The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
37 巻, 11 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
  • 永松 一明, 宮の下 昭彦, 阿部 和男
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2003-2011
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro13-9904, CTRX) はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に強い抗菌力を持つ新しいセフェム系の注射用抗生物質製剤で, その半減期は長く, 1日1~2回の注射で治療効果をあげ得る臨床上極めて便利な抗生物質である。
    成人での成績では, その半減期は6~8時間であり1, 2), 小児でも4~6時間と言われている3, 4)。又, 髄液への移行もよく, 髄液中のCTRXの濃度は起炎菌に対するMICの480~5,600倍に達し, 小児の細菌性髄膜炎に有効な抗生物質とされている5)。
    CTRXの抗菌スペクトルはPseudomonas, Enterococcus, Bacteroides fragilisにはやや弱いが6), 小児にみられる多くの細菌性感染症の起炎菌Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Escherichia coilなどには強い抗菌力を持ち, 臨床上90%以上の有効率をあげている7, 8)。
    われわれは小児の細菌性感染症にCTRXを使用する機会を得たので, その臨床成績とCTRXの吸収, 排泄並びに髄液, 胸水への移行について報告する。
  • 青山 隆蔵, 伊藤 悦朗, 大西 彬, 泉 幸雄, 永田 紀四郎, 横山 碓, 黒沼 忠由樹, 藤田 誠
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2012-2014
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro13-9904, CTRX) はエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社で開発されたセファロスポリン系抗生物質であり, 広い抗菌スペクトラムを有し, 特にグラム陰性菌に対し強い抗菌力を有する。更に, 血中半減期が7~8時間と長く, 1日1~2回の投与法が可能である1)。
    今回我々は本剤を小児感染症に使用する機会を得たので, 臨床成績につき報告する。
  • 大沼 正和, 渡辺 章
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2015-2020
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) は第3世代のセファロスポリン系抗生物質であり, 中でも半減期の長いことで注目される薬剤である1~3)。
    今回筆者らはCTRXを小児科領域の各種感染症に使用しその臨床効果と安全性について検討したので報告する。
  • 寺嶋 周, 上原 すゞ子, 鳥羽 剛, 林 龍哉, 星 まり
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2021-2026
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) は, 広い抗菌力を有し, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Serratia marcescens, Haemophilus influenzaeに強い抗菌力を示す。静脈内投与により高い血中濃度が得られ, T1/2は成人で7~8時間1), 小児で5~6時間と長く, 尿中に未変化体として排泄され, 髄液中移行1, 2) も良好と言う特徴を持つ。
    我々は本剤を1983年6月から9月の間に5例 (他に除外1例) に投与し, 臨床的効果は全例に有効以上を認めた。細菌学的には, 1例だけ便中salmnonella panamaの減少を認めた以外, 全例に菌陰性化を認めた。本剤投与中止にいたるような副作用は今度の症例では経験しなかつた。
  • 保科 弘毅, 広澤 浩, 三国 健一, 市橋 治雄
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2027-2033
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) はスイス, エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社で開発され, 化学構造上Fig. 1に示したように3位側鎖に新規のトリアジン環を有する新セフェム系抗生物質である1)。本剤は抗菌スペクトラムが広域であり, Escherichia coli, Klebsiella pneumiaeはもとより, Proteus mirabilis, Serratia marcescens, Haemophilus influenzaeに強い抗菌力を示し, in vitroにおける効果よりもin vivoにおける効果が優れている2) と報告されている。吸収排泄では本剤はヒトに静脈内投与した場合の血中濃度が高く, その半減期は7~8時間と既存のセフェム系抗生物質のどれよりも長いのが特徴であり, 体内ではほとんど代謝を受けずに未変化のまま尿中に48時間までに約60%が排泄される1) と言う。今回我々は本剤の抗菌力について教室保存の臨床分離株を用いて検討すると共に, 易感染傾向を基礎疾患として持つ6例を含めた10例の中等症以上の小児感染症に対し本剤を投与し, その臨床的効果を検討したので, その結果をここに報告する。
  • 佐藤 吉壮, 岩田 敏, 秋田 博伸, 村井 孝安, 早野 紳哉, 老川 忠雄, 小佐野 満
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2034-2048
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, 以下CTRXと略す) は, 7-Aminocephalosporanic acidの3位側鎖に新規のトリアジン環を有する新しいCephalosporin系注射薬剤であり, その抗菌スペクトラムは広域で, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeはもとよりProteus mirabilis, Serratia marcescens, Haenophilus influenzaeに対して強い抗菌力を認める。従来のCephalosporin系の薬剤の中では血中濃度半減期が最も長く, in vitroにおける効果よりin vivoにおける効果が優れている1)。今回, 本剤の小児科領域における抗菌力, 吸収・排泄などの基礎的検討及び臨床的検討を行つたので報告する。
  • 目黒 英典, 野中 千鶴, 川生 泰子, 高橋 茂, 藤井 良知, 有益 修
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2049-2059
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, 以下CTRXと略す) はF. Hoffmann-La Roche社により開発された新注射用Cephalosporin系抗生物質 (CEPs) で, Fig. 1のような構造式を持つ。3位側鎖にTriazine環を有するのが特徴である。分子量は661.59で, CEPsの中では大きい方であるが, 遊離酸は553となる。本剤は藤井による分類で第5群のCEPSに属し1), 抗菌力, 抗菌範囲, β-Lactamaseに対する安定性共に極めて優れているほか, 血中半減期が成人で7~8時間と極めて長いのが特徴である。
    本剤の成人領域における臨床第2相試験はすでに終了し, その安全性, 有効性が報告されている2)。
    我々は小児における本剤の臨床的検討を行う機会を得たのでその結果を報告する。
  • 豊永 義清, 黒須 義宇, 植草 忠, 中村 弘典, 杉田 守正, 岡部 武, 河村 研一, 瀬尾 究, 高橋 孝行, 堀 誠
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2060-2082
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年,Cephalosporin C系薬剤 (CEPs) の使用増加に伴い, Cephalosporinase産生株に伴う耐性菌も増加傾向を示し1), 又, 宿主の感染抵抗性の低下に乗じて定着し, 起病性を発揮するようになつた弱毒菌の出現も事実である。そこで, 従来のCEPs系抗生物質にかわるβ-Lactamaseに対して安定な薬剤の開発が求められ, 7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の7位の側鎖並びに3位の側鎖を変化させ, いわゆる藤井の分類2)による第4, 5群のCEPsが開発され, すでにその一部は日常の臨床使用の段階に至つている。
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) は第5群のCEPsの1つで, スイス, エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社で開発されたものであり, Cefotaxime (CTX), Ceftizoxime (CZX), Cefmenoxime (CMX) と同様に, Aminothiazolyloxyiminoacetamido cephalosporin (ATOIC)と言われるもので, 3位の側鎖にはTriazine環を有し, その化学名は (Z)-(6R, 7R)-7-[2-(2-Amino-4-thiazoly1)-2-(methoxyimino)-acetamido]-3-{[(2, 5-dihydro-6-hydroxy-2-methyl-5-oxo-as-trlazin-3-yl)-thio]methyl}-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo-[4. 2. 0]oct-2-ene-2-carboxylic acid disodium saltである。本剤は他のATOICsとほぼ同様に, ほとんどのグラム陰性桿菌及び連鎖球菌の発育を1μg/mlで阻止し得る優れた抗菌力を示し3~5), 更に薬理学的特徴としては, 他のATOICs及び半減期が長いと言われている第5群の薬剤の1つであるCefpiramide (CPM)6)そして7α-MethoxycephemであるCefotetan (CTT)7)よりも更に長く, その半減期は7~10時間であると言われている8~10)。今回, 我々はCTRXを使用する機会を得たので, 本剤についての抗菌力, 吸収・排泄など基礎的検討を行うと共に, 各種細菌感染症に使用したので, その成績について報告する。
  • 中澤 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 平間 裕一, 成田 章, 鈴木 博之, 中澤 進一, 近岡 秀次郎, 田添 克衛
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2083-2101
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) は, スイス, エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社で開発された以下の各種特徴を有する新しい所謂第3世代に属するCePhem系注射剤 (Fig. 1) であり, 本邦成人各科領域における基礎的, 臨床的検討はすでに終了し, その成果は昭和57年11月, 第29回日本化学療法学会東日本支部総会において報告され, 本剤の有用性が認められている1)。本剤の特徴はAmpicillin (ABPC) 耐性株を含むEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Serratia marcescens並びにHaemophilus influenzaeに抗菌力があり, 静注後体内でほとんど代謝を受けず活性の状態で尿中に排泄され, 一方半減期が7~8時間と従来本邦において実用化されている各種第3世代Cephem系製剤に比較して最も長く, 又, in vitroにおける効果よりin vivoにおける効果が優れている諸点であろう。
  • 砂川 慶介, 斉藤 伸夫, 安達原 曄子, 石塚 祐吾, 岩田 敏, 佐藤 吉壮, 秋田 博伸
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2102-2110
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) はスイス, エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社で開発されたCephalosporin系の注射用抗生剤で, 3位側鎖にトリアジン環を有し, グラム陰性菌に強い抗菌力を有し, 血中濃度が高く半減期が長いと言う特徴を有している。本剤はすでに成人領域での検討が終了し, 第29回日本化学療法学会東日本支部総会の新薬シンポジウムに採り上げられ, その有用性が確認されている。
    今回, 小児の感染症の治療に使用する機会を得たので, これを機会に本剤の臨床効果, 並びに抗菌力, 体内動態, Vitamin K (vit K) 欠乏との関係, 血小板機能に及ぼす影響を検討し, その結果を報告する。
  • 岩井 直一, 種田 陽一, 柴田 元博, 溝口 文子, 片山 道弘
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2111-2130
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) は, スイス, F. Hoffmann-La Roche社で開発されたCephalosporin系抗生剤で, 3位側鎖に新規のTriazine環を有している1, 2)。本剤の特長としては, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに極めて安定であること1~6), グラム陰性菌においては, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Haemophilus influenzaeはもとよりIndole陽性Proteus, Serratia, Enterobacter, Citrobacterなどにも非常に優れた抗菌性を示すこと1~4, 6~12), 静脈内投与により高い血中濃度が長時間にわたつて得られること2, 13~15), in vivoにおける治療効果が非常に優れていること1, 2, 9), などがあげられる。このような特長は人での臨床面にも反映されることが予想され, その点に大きな期待がよせられている。
    第29回日本化学療法学会東日本支部総会で報告された成人領域での臨床成績2)は, 本剤の臨床面での有用性と安全性を示唆したものであると考える。又, その後なされた幼若動物を対象とした種々の検討においても, 特に問題となるような成績は得られていない。
    今回, 我々は小児科領域において本剤の基礎的, 臨床的検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 高島 俊夫, 高木 道生
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2131-2140
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌感染症に対する抗生物質療法の進歩はめざましく, とりわけセフェム系抗生物質の進歩は, 医療の多様化と相まつて, 感染症治療に大きく貢献している。さて, 今日の化学療法が直面する問題は, 従来の細菌感染症と異なり宿主の持つ基礎疾患及び病原微生物の変化が加わつた難治性感染症治療にある。従つて抗生物質の開発の方向も抗菌スペクトラムの拡大はもちろん, 抗菌力の強化特に難治性感染症の主要菌種ともなつているグラム陰性桿菌におけるβ-Lactamaseへの抵抗性保有を目的にされ, すでにその一部は実際使用の段階に至つている1)。
    今度, スイス, エフ・ホフマン・ラ・ロッシュ社で開発されたCeftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) は従来のセファロスポリン骨格の3位側鎖にトリアジン環を有する新しいセファロスポリン系の注射用抗生物質であり, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeはもとよりProteus mirabilis, Serratia marcescens, Haemophilus influenzaeに強い抗菌力を示す。又, 本剤の臨床薬理学的特徴は静注, 点滴静注により高い血中濃度が得られ, その半減期は7~8時間であり, 従来のセフェム系抗生物質の中では血中半減期が最も長く, 体内ではほとんど代謝を受けず, 未変化体のまま尿中に48時間までに約60%排泄される。
    すでに本邦ではCTRXに関する基礎的及び成人領域における臨床検討が行われ, 第29回日本化学療法学会東日本支部総会において, 本剤の評価が行われた2)。今回著者らは, そこで得られた本剤の有効性と安全性の成績に基づいて, 小児におけるCTRXの基礎的, 臨床的検討を行つたので, その成績について述べる。
  • 春田 恒和, 黒木 茂一, 眞弓 光文, 松尾 尚子, 大倉 完悦, 小林 裕
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2141-2151
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) はスイスのF. Hoffmann-La Roche社で開発された新注射用第3世代Cephalosporin剤で, 広域で強い抗菌力を有する点ではCefotaxime (CTX) に極めて類似しているが, 蛋白結合率が高く, 血中濃度半減期が非常に長いと言う特徴を持ち, 胆汁中排泄が多い1)。本剤の基礎的, 臨床的研究は欧米で広く進められ, スイスではすでに市販されており, その化膿性髄膜炎に対する有用性が注目されている2~9)。本邦では, 全国規模の研究会組織によつて行われた基礎的及び成人領域の臨床的研究成績が, 1982年秋の第29回日本化学療法学会東日本支部総会において, 新薬シンポジウムとして討議され, その有効性, 安全性が認められた1)。その結果小児においても検討に値すると考えられ, 幼若動物における安全性も確認されたので, 小児科領域研究会によつて検討が進められた。われわれは本剤の抗菌力及びStaphylococcus aureus髄膜炎家兎における髄液中移行について前報で報告した10)が, 今回は小児感染症に対する有用性を検討し, 若干の知見を得たので, その成績について述べたいり。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄, 木村 建 ...
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2152-2168
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) はスイスのエフ・ホフマソ・ラ・ロシュ社で開発された新しい注射用Cephem系抗生物質1) であり, その化学名は (Z)-(6R, 7R)-7-[2-(2-Amino-4-thiazolyl)-2-(methoxyimino) acetamido]-3-{[(2, 5-dihydro-6-hydroxy-2-methyl-5-oxo-as-triazin-3-yl)thio] methyl}-8-oxo-54thia-1-azabicyclo-[4. 2. 0]oct-2-ene-2-carboxylic acid disodium saltで, Fig. 1に示した構造式を持ち, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広域抗菌スペクトルを有するが, グラム陰性桿菌の中ではHaemophilus influenzae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae,Proteus mirabilis, Indole陽性Proteus, Serratia marcescensなどに強い抗菌力を示し1, 2, 6), β-Lactamaseに安定で1, 3, 6), 本剤を成人に静注した場合の半減期は既存のCephem系注射剤に比較し, 非常に長い特微4~7)を有している。
    本剤については, すでに1982年の第29回日本化学療法学会東日本支部総会において, 新薬シンポジウムにとりあげられ, 基礎的検討及び成人における臨床評価が論じられており6), その成績から, 小児科領域でも有用な薬剤の1つとなり得ることが十分に考えられる。
    そこで私たちはCTRXを小児に投与し, その血清中濃度, 尿中濃度, 尿中回収率, 髄液中濃度の測定を行うと共に, 種々の細菌感染症に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 占部 愼二, 重松 俊
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2169-2173
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (CTRX) はスイス, エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社で開発されたCephalosporin系の注射用抗生物質である。本剤は抗菌スペクトラムが広域であり, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeはもとよりProteus mirabilis, Serrtia marcescens, Haemophilus influenzaeに強い抗菌力を示す。又, in vitroにおける効果よりin vivoにおける効果が優れている。
    本剤の臨床薬理学的特徴は静注, 点滴静注により高い血中濃度が得られ, その半減期は7~8時間であり, 従来のCephalosporin系の薬剤の中では血中濃度半減期が最も長い。体内ではほとんど代謝を受けず, 未変化体のまま尿中に48時間までに約60%が排泄される。
    今回日本ロシュ株式会社からCTRXの提供を受け, 男子淋菌性尿道炎の治療を行つたので, その成績と分離淋菌の細菌学的検討, 及び副作用について報告する。
  • 中澤 進, 佐藤 肇, 成田 章, 中澤 進一, 鈴木 博之, 近岡 秀次郎, 田添 克衛
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2174-2187
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium sulbactam (SBT) は米国Pfizer社Groton中央研究所で開発されたβ-Lactamase inhibitorで各種のペニシリナーゼ並びにセファロスポリナーゼ型β-Lactamaseを不可逆的に不活化するため, β-Lactam剤と配合することによつてβ-Lactamaseによる失活を防ぎ配合された抗生剤の抗菌力が発揮されることが明らかにされている1)。今回, 本剤1と第3世代Cephem系製剤Cefoperazone (CPZ) 2, 3) 1との配合静注合剤が製造され, 本邦成人各科領域において基礎的・臨床的検討が行われ, その成果が昭和57年6月13日の第30回日本化学療法学会総会において報告され, 安全性と有用性が認められている4)。
    われわれは, 本剤を使用しての小児科領域における2, 3の検討を行い一連の成績が得られたので以下今日までの概況について報告する。
  • 池川 明, 瀬戸 裕, 穂垣 正暢, 荒井 清
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2188-2192
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, β-Lactam薬剤はめざましい進歩を示し, 抗菌スペクトラムの拡大と抗菌力の増強により, 又, 安全性の高いことから化学療法剤の主流となつてきている。しかし, 繁用に伴つてβ-Lactam薬剤に対する耐性, 特にβ-Lactamase産生による耐性菌が増大していると言われている。これら耐性菌に対する対策として, β-Lactamase阻害剤をβ-Lactam薬剤と併用することにより耐性菌に対する抗菌力を増強することができるとの考え1) によつて, 1977年にPfizer社Groton研究所によつてSodium sulbactamがβ-Lactamase阻害剤として開発された。本剤はFig. 1に示す構造式を有するPenicillanic acid sulfoneで, それ自体の抗菌力は弱いが, β-Lactamaseに対して強い不可逆的阻害作用があり, 安定性が高く, 毒性が低い1) ことからβ-Lactam剤と配合することにより, 抗菌力を発揮することが期待された。
    今回, われわれはSulbactam (SBT) とβ-Lactam薬剤としてCefoperazone (CPZ, Fig. 2に構造式を示す) を1対1に配合した注射用製剤 (以下SBT/CPZと略す) を, 台糖ファイザー株式会社の提供により, 臨床的に使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 伊藤 邦彦, 近藤 英明, 早崎 源基, 野田 克巳
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2193-2202
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam(SBT)は1977年Pfizer社Groton中央研究所で開発されたβ-Lactamase inhibitorで, その構造式はFig.1に示したとおりである。SBTそれ自身は極く少数の菌種を除いて抗菌力は弱く, 単独では抗菌剤としての有用性は少ないが, 各種の細菌が産生するペニシリナーゼ型β-Lactamaseを強く, セファロスポリナーゼ型β-Lactamaseを中等度に不可逆的に不活化する。この特性からSBTを種々のβ-Lactam剤と配合することにより, β-Lactamaseによる失活を防ぎ配合された抗生剤の抗菌力を増強することができる1)。
    CefoPerazone (CPZ) はFi9.2に示す構造を持ち, すでに第3世代の抗生物質として評価を受けているが, ペニシリナーゼ型β-Lactamaseにより若干不活化される欠点を有する。このためβ-Lactamase inhibitorであるSBTと1対1の割合で配合されたSBT/CPZがPfizer社にょり製剤化された。
    われわれは, すでに各種のβ-Lactam系抗生物質の婦人性器内移行について検討を行つてきた2~11)。今回SBT/CPZについて検討する機会を得たのでSBTICPZ2g1時間点滴静注時の骨盤死腔浸出液への移行, 及び4例の臨床例に本剤を使用した成績について報告する。
  • 高山 辰男, 小坂井 秀宣, 新谷 雅史, 森山 郁子, 一條 元彦
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2203-2207
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/Cefoperazone (以下SBT/CPZと略す) は米国ファイザー社が開発した新しい注射用抗生物質で, 図1に示すSodium sulbactam (SBT) とSodium cefoperazone (CPZ)が1:1の力価に配合された合剤である。
    本剤の特徴として1), SBTがβ-Lactamase inhibitorでありCPZより更に広範囲の抗菌スペクトラムをもつこと。PCase型β-Lactamaseによる耐性菌にも有効であること。複数菌感染に対して効果が期待できること。PBP3と1A, 1Bを同時に強く抑え, 強い殺菌作用を示すこと。速やかに高い血中濃度が得られ, 長時間作用が持続すること。安全性が高いこと。安定性が良いことなどである。今回, 著者らはSBTICPZの産婦人科領域感染症に対する臨床効果につき検討し, いささかの知見を得たのでここに報告する.
  • 堀井 高久, 野田 起一郎
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2208-2212
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) はセフェム系第3世代の抗生物質で, その臨床的及び基礎的検討についての報告はすでに多くを数え, 日常臨床における有用性は周知のとおりである. 近年, 細菌の持つβ-Lactamaseが注目を浴び, 薬理学的に検討されつつある。今回, 抗生物質の抗菌作用の増強を目的に, β-Lactamase阻害剤のSulbactam (SBT)1)とCPZを合剤にした SBT/CPZ2)(図1) の産婦人科領域における臨床効果について検討した。
  • 山元 貴雄, 保田 仁介, 金尾 昌明, 岡田 弘二
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2213-2222
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam (SBT) は米国ファイザー社で開発されたβ-Lactamase inhibitor1, 2)であり, Fig. 1に示す構造式を有するSulfoneβ-lactam化合物である。
    SBTはそれ自身は極く少数の菌種を除いて抗菌力は弱いが, 各種の細菌が産生するペニシリナーゼ型β-Lactamaseを強く, セファロスポリナーゼ型β-Lactamaseを中等度に不活化する能力を備えている1, 2)。
    Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) はSBTとCPZとを1:1に配合した注射用抗生物質である。本剤はCPZより更に広範囲の抗菌スペクトラムを有し3), いわゆる第3世代セフェム系抗生物質の中では最も広域となるため, β-Lactamase産生菌由来の感染症や耐性菌由来の感染症に対する治療効果が期待される。
    今回, われわれは産婦人科領域における本剤の基礎的検討並びに臨床的有効性, 安全性を検討する機会を得たので報告する。
  • 平林 光司, 岡田 悦子
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2223-2233
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium sulbactam (SBT) は1977年P5zer社Groton研究所で開発されたβ-Lactamase inhibitorでFig. 1に示す構造式を有している。
    SBTはそれ自身の抗菌力は弱く単独では抗生剤としての有用性は少ないが, 各種の細菌が産生するβ-Lactamaseを不可逆的に不活化する1)ことから, 他のβ-Lactam剤と配合することで,β-Lactamaseによる薬剤耐性化を防ぎその本来の抗菌力を発揮させることができる。
    本剤に配合するβ-Lactam剤についての基礎的検討から, すでに市販されているCefoperazone (CPZ) が選ばれたが,SBT/CPZ (1:1) 配合剤の特徴は2), 1. CPZより更に広範囲の抗菌スペクトラムを有し, 第3世代セフェム系抗生剤の中で最も広域となる, 2. PCase型β-Lactamaseによる耐性菌にも有効である, 3. 複数菌感染に対して効果が期待できる, 4. PC結合蛋白 (PBP) 3と1A, 1Bを同時に強く抑え, 強い殺菌作用を有する, 5. 速やかに高い血中濃度が得られ, 長時間作用が持続する, 6. 安全性が高い, 7. 安定性が良いなどである。
    今回, 著者らは婦人性器各組織内へのSBT/CPZの移行を検討すると共に, 産婦人科領域における感染症12例に使用してその臨床的効果を検討したので報告する。
  • 久保田 健二
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2234-2242
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, Penicillin, CePhalosPorinなどのβ-Lactam薬剤の進歩はめざましく, 化学療法剤の主流となつているが, 繁用のための耐性菌増加も否定できない。
    β-Lactam薬剤に対する耐性機構としては種々の問題が指摘されているが, 実際にはβ-Lactamase産生によることが大であるとされている1)。
    Sulbactam/Cefoperazone (SBTICPZ) はこのような耐性菌に対する対策としてβ-Lactamase阻害剤SBT2)を既存のβ-Lactam剤, CPZと1:1の比率で配合することにより, CPZの抗菌力を低下させることなくβ-Lactamaseに対する抵抗力を強化した薬剤で優れた臨床効果を期待されるものである3)。
    今回, われわれは本剤について産婦人科領域の各種感染症を対象に起炎菌の分離, 同定, 感受性の測定並びに臨床的検討を試みたのでその成績について述べる。
  • 土光 文夫
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2243-2250
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/CefoperazoneはSodium sulbactam (SBT) とSodium cefoperazone (CPZ) の1: 1の配合剤で, 第30回日本化学療法学会総会, 新薬シンポジウムIIでその基礎的・臨床的成績が報告されている1)。その中で産婦人科疾患70例に対する臨床効果, すなわち投与量別臨床効果及び分離菌別臨床効果等が発表され有効率86%と良好な結果を示している。
    われわれは更に本剤を少数例の産婦人科感染症に使用し, その有効性及び安全性を臨床的に検討したのでここに報告する。
  • 幾嶋 泰郎, 小林 秀樹, 松本 伸一郎, 白川 光一
    1984 年 37 巻 11 号 p. 2251-2255
    発行日: 1984/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam (SBT) は単独では抗菌剤としての有用性は少ないが, β-Lactamase inhibitorであることから, 他のβ-Lactam剤と配合することによつて, β-Lactamaseによる失活を防ぎ, 配合された抗生剤の抗菌力を増強することができる1, 2)。
    今回われわれはCefoperazone (CPZ) を配合の対象として3), 産婦人科領域の感染症患者に使用する機会を得たので若干の検討を加えて報告する。
feedback
Top