The Japanese Journal of Antibiotics
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37 巻, 3 号
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  • 加藤 雅典, 森本 良价
    1984 年 37 巻 3 号 p. 279-284
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    原発性, 二次性あるいは術後の骨関節感染症は最近の整形外科学の進歩により激減したものの今日においてもある一定の発症は避けられない。そしてその多くは一度発生すれば容易に骨髄炎に移行し, 難治性で再発を繰返すばかりでなく重大な後遺症を残すため多くの外科医を悩ます疾患の1つとなっている。これに対して種々の外科的処置に加えて, 多種類の抗生剤が使用されているが骨組織への移行濃度が測定されている抗生剤は限られている1, 2, 5-7, 10-13)。今回われわれは骨髄炎をはじめ骨関節感染症の治療に抗生剤が有効に使用されるためには, 抗生剤の血中濃度に合せて骨組織への移行濃度を知ることは重要であると考え, 現在使用されている抗生剤の中からPiperacillin sodium (PIPC)を選び, その骨組織への移行濃度を測定したのでその結果を報告する。
  • 河田 幸道, 清水 保夫, 堀江 正宣, 徳山 宏基, 松田 聖士, 西浦 常雄
    1984 年 37 巻 3 号 p. 285-289
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    広域且つ強力な抗菌薬の開発とその繁用に伴い, 菌交代症としての真菌感染症が注目されつつあるが, 尿路感染症の治療に際しても全く同様で, いわゆる第3世代のセフェム剤を用いて複雑性尿路感染症を治療した場合, 投与後出現細菌としての真菌の頻度が高いことについては, すでに指摘したところである1)。
    このような真菌の尿路に対する病原性は必ずしも明確であるとは言えず, 従つて今後, 尿路に対する真菌の病原的意義について検討されねばならないが, 同時に治療法の確立も又重要な課題である。
    本邦において現在, 全身投与が可能な抗真菌剤としては, Flucytosine, Nystatin, Amphotericin B, Griseofulvinがあるが, 薬効及び副作用の両面を満足できる薬剤はすくなく, 真菌性尿路感染症に有効且つ耐容性の高い薬剤の開発が望まれる。
    我々は今回, 真菌による尿路感染症の発生要因について検討すると共に, 新しい経口抗真菌剤, Ketoconazoleを真菌性尿路感染症の治療に用い, 若干の知見を得たので報告する。
  • 青山 恒夫
    1984 年 37 巻 3 号 p. 290-294
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmenoximc (CMX) は, 武田薬品工業株式会社中央研究所にて合成された注射用のセフェム系抗生物質 (Fig.1) で, いわゆる第3世代のセフェム系抗生物質に分類される。
    本剤は, いわゆる第2世代とされるCefotiamに比べて, 抗菌スペクトルはSerratia marcescens, Bacteroides fragilisまで拡大され, Streptococcus pneumoniae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Indole陽性Proteus, Haemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacterに対する抗菌力がin vitro, in vivoとも優れていると報告されている1, 2)。
    今回, CMXの小児への適応にあたり小児におけるCMXの吸収及び排泄について若干の検討を行つたのでその成績を報告する。
  • 西崎 昭, 青山 久, 高 富彦, 井澤 洋平
    1984 年 37 巻 3 号 p. 295-302
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セファロスポリン系抗生剤Cefmenoxime (CMX, Bestcol®, 武田薬品工業K. K.) 25, 50mg/kg量を各々5名ずつ, 計10名の熱傷患者に対し1時間点滴静注した際の熱傷水疱液への移行を調べた。
    CMX 25mg/kg投与群での血清中CMX濃度は, 点滴開始1時間後に最高濃度 (平均61.5μg/ml) に達し, その後急速に減少し, 4時間後には2.2μg/mlとなつた。これに対し, 熱傷水疱液中CMX濃度は, 投与2時間後に最高濃度 (平均15.2μg/ml) に達するが, 水疱液中CMX濃度の上昇は血清中のそれと比べると緩徐であつた。
    又, CMX 50mg/kg投与群での血清中CMX濃度は, 先の25mg/kg投与の場合と同様1時間後に最高濃度 (平均122.0μg/ml) となり, 6時間後には1.6μg/mlとなるのに対し, 水疱液中濃度は2時間後に最高濃度 (平均40.8μg/ml) となり, 8時間後にもなお5.2μg/ml濃度のCMXが水疱液中に存在した。これらの結果から, 熱傷水疱液中CMX濃度に血清中濃度と同様, 用量依存性が認められた。
    最後に, 薬動力学的解析に関し多大の御尽力を賜わりました武田薬品工業中央研究所, 畚野剛氏, 水田栄治氏に深く感謝いたします。
  • 永井 謙一, 矢部 博樹, 吉田 輝夫, 中山 志郎
    1984 年 37 巻 3 号 p. 303-308
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器悪性腫瘍は種々の抗癌剤の開発や成分輸血等の補助療法の発展により長期生存例が増えつつある。しかしながら抗癌剤による宿主の免疫抑制に加え, 強力な抗生物質による治療の結果, 深在性真菌症が増加し, その的確な診断が困難なことや効果的な治療法がないために, 血液学的寛解到達前に死に到る症例が少なくない1)。真菌症の中ではカンジダによるものが最も多いが2), FlucytosineやAmphotericin B(AMPH)による治療効果は不充分であることが多く, 又, AMPHはアナフィラキシーや腎障害のため投与困難なことがまれではない。
    今回我々は造血器悪性腫瘍患者の化学療法中に真菌感染症を併発したと考えられた12例に, 1969年に合成された新しい抗真菌剤であるMiconazole (1-{2, 4-Dichloro-β-[(2, 4-dichlorobenzyl) oxy]phenethyl}imidazole) を使用する機会を得たので報告する。
  • 熊野 修, 大嶋 進, 山口 広明, 平岡 達也, 山崎 広一
    1984 年 37 巻 3 号 p. 309-317
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    整形外科領域において, 一般的な感染症の予防は勿論のこと, 特に人工関節全置換手術とか脊椎外科手術の術中, 術後感染防止のためには細心の注意が払われている。一方最近においては, 新しい広範囲抗菌スペクトラムの抗生物質も次々と開発されており, 薬効も著しく向上して来ている。
    私たちはこれら抗生物質のうち, セフェム系抗生剤であるCefotiam (Pansporin®, 以下CTMと略す) 及びCefmenoxime (Bestcall®, 以下CMXと略す) が, 実際手術中その術野の骨組織及び骨髄血にどの程度の濃度で移行存在しているかについて調査検討したので, 若干の考察を加え報告する。
  • 吉田 幸子, 喜多 孝志, 兼松 登, 佐藤 圭, 河田 耕治, 福田 望, 佐藤 純
    1984 年 37 巻 3 号 p. 318-328
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (以下CCL) は, イーライ・リリー社において開発された3位にクロル原子が結合した図1のような化学構造を持つ経口用セフェム系抗生物質製剤で, Cephalexin (CEX) とほぼ同様の抗菌スペクトルを示すが, 抗菌力はCEXより強力であると言われている1)。我々は, このCCL (塩野義製薬) を口腔領域の感染症に使用する機会を得たので, その成績の概要を報告する。
  • 藤田 晃三, 坂田 宏, 室野 晃一, 吉岡 一, 丸山 静男, 早苗 信隆, 滝本 昌俊
    1984 年 37 巻 3 号 p. 329-337
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は, 英国Glaxo社により開発された新しいCephalosporin系抗生物質で, ブドウ球菌に対する抗菌力は従来のCephalosporin系抗生物質に劣るものの, グラム陰性桿菌に対する抗菌域が広く抗菌力も優れ, 特に緑膿菌に対してAminoglycoside系抗生物質に相当する抗菌力を持つことが特徴である1, 2)。
    成人に本剤をOne shot静注した時の半減期は約2時間で, 投与後24時間の尿中回収率は約70%と報告されており3), 臨床投与においても良い成績が報告されている4)。
    私たちは小児細菌感染症患者の治療に本剤を投与する機会を得, その臨床投与成績及び薬物動態につき検討を加えたので報告する。
  • 永松 一明, 堀口 貞子
    1984 年 37 巻 3 号 p. 338-343
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) はβ-Lactamaseに抵抗性を持つた新しいCephalosporin系の注射用抗生物質で, 広い抗菌スペクトルを有し, 特にPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌並びにSerratiaに対して強い抗菌作用を示す。PHILLIPSら1)によるとCAZはP. aeruginosaに対してCefotaxime (CTX), Latamoxef (LMOX) よりも約8倍以上の抗菌力を持ち, 又, HARRISら2)によるとCarbenicillin, Gentamicin (GM) よりも抗菌力が強いと報告されている。小児感染症の起炎菌として重要であるStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzaeに対しても強い抗菌力を持つているが, Staphylococcus aureusには他のCephalosporin系抗生物質に比べて抗菌力が劣るとされている。
    われわれはCAZ注射剤の提供を受け, 小児の細菌感染症に試用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 越浪 正仁, 渡辺 章
    1984 年 37 巻 3 号 p. 344-348
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しいCephalosporin系の注射用抗生物質であり, Cephem系抗生物質の中でも抗菌スペクトルが広域で, なかでもPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌並びにSerratiaに対して強い抗菌作用を示す。又各種細菌の産出するβ-actamaseに対して極めて安定である1, 2)。
    今回, 筆者らはCAZを小児科領域の各種感染症に使用しその臨床効果と安全性について検討したので報告する。
  • 青山 隆蔵, 和賀 忍, 大西 彬, 泉 幸雄, 黒沼 忠由樹, 柿崎 良樹, 永田 紀四郎, 工藤 眞生, 岡庭 信一, 沢口 博, 岡本 ...
    1984 年 37 巻 3 号 p. 349-354
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しいセファロスポリン系抗生物質である。
    本剤は抗菌スペクトルが広く, 緑膿菌やセラチアに対しても強い抗菌作用を示す1)。
    今回我々は本剤を小児感染症に使用する機会を得たので, 臨床成績につき報告する。
  • 寺嶋 周, 中村 明, 沖本 由理, 菅谷 直子, 黒崎 知道, 氷見 京子, 山崎 勉, 上原 すゞ子
    1984 年 37 巻 3 号 p. 355-362
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新世代のCephem系注射用抗生物質である。本剤はβ-Lactamaseに極めて安定であり, 抗菌スペクトルが広域で, なかでもPseudomonas aeruginosa, Serratiaに優れた抗菌力を有し, 髄液への移行もAmpicillin (ABPC) とほぼ同程度であると報告されている1~5)。以下にCAZのHaemophilus influenzae142株のMICと9例の感染症患児に投与した臨床成績を述べる。
  • 金 保洙, 目黒 英典, 有益 修, 益子 仁, 大成 滋, 多賀谷 満, 坂本 充徳, 藤井 良知
    1984 年 37 巻 3 号 p. 363-376
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (以下CAZ) は, 英国グラクソ社で開発された注射用セファロスポリン系新抗生物質である。化学名は (6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-Aminothiazol-4-yl)-2-4 (2-carboxypro2P-2-yloxyimino) acetamido]-3-(pyridinium-1-ylmethyl) ceph-3-em-4-carboxylate pentahydrateであり, 化学構造式はFig. 1に示される。7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基を, 又, 3位側鎖にPyridineを導入している。分子量は636.6である。
    本剤は藤井の分類によればセファロスポリン系の第5群に分類され1), 広くグラム陽性菌, グラム陰性菌に抗菌力を有するほか, Pseudomonas属, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌並びにSerratiaに対し優れた抗菌力を示す。又, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して安定である。
    動物実験による急性, 亜急性及び慢性の毒性試験を経て, 成人における安全性, 有効性が検討され確認された2)。
    我々は小児における本剤の安全性及び有効性について検討したのでその成績を報告する。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 金田 一孝
    1984 年 37 巻 3 号 p. 377-388
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は, 英国グラクソ社で開発されたCephalosporin系の新抗生物質で, Fig.1に示すように, 7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基, 3位側鎖にPyridineを持つている。本剤の特徴としてグラム陽性菌及び陰性菌に対し幅広い抗歯スペクトラムを有し, 特にSerratia, Pseudomonas aerugimsa, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に対して強い抗菌作用を示すが, グラム陽性菌に対する抗菌力はやや弱い1, 2, 3)。又各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定であり4, 5), 各種細菌に対する抗菌力が他剤に比べ平均しており, in vitroの抗菌力を反映して優れた感染防御効果を認めている6, 7)。本剤は, 一般毒性試験, 腎毒性試験, 生殖試験, 抗原性試験及び一般薬理試験などの動物実験を検討したところ, 安全性が高く, 腎毒性もCephalothin (CET) とほぼ同程度とされている3)。
    本剤を成人に静脈内投与すると, 高い血中濃度が得られ, その半減期は90~100分で, 代謝を受けることはなく大部分が尿中に排泄される8)。
    欧米における本剤の臨床使用成績に次いで, わが国では成人領域における臨床研究が昭和56年7月から全国的規模のもとに約1年間にわたつて行われ, 1,300例以上に使用された。そのうち効果判定評価に耐える1,206例での有効率は78%であり, 副作用解析対象1,312例における副作用発現率は2,2%であつたと言う8)。
    私達は小児科領域における中等度以上の感染症に対しCAZを使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 佐藤 吉壮, 岩田 敏, 岩崎 由紀夫, 秋田 博伸, 村井 孝安, 早野 紳哉, 若林 良, 砂川 慶介, 老川 忠雄, 小佐野 満
    1984 年 37 巻 3 号 p. 389-406
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (以下CAZと略す)は, 7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基を有し, 3位側鎖にPyridineを導入した新しいCephem系注射薬剤である。CAZはCephem系抗生物質の中でも抗菌スペクトルが広域であり, なかでもPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌並びにSerratiaに対して強い抗菌作用を示す。又, 各種細菌に対する本剤の抗菌力は他剤に比べ平均しており, in vivo実験的混合感染に対しても優れた感染防禦効果を示す1)。今回, 本剤の小児科領域における抗菌力, 吸収・排泄などの基礎的検討及び臨床的検討を行う機会を得たので報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 平間 裕一, 成田 章, 鈴木 博之, 中沢 進一, 近岡 秀次郎, 田添 克衛, 中田 義雄, 吉原 ...
    1984 年 37 巻 3 号 p. 407-422
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しい, いわゆる第3世代Cephem系抗生剤である。本剤の特徴は各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定で, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌, Serratia, インフルエンザ菌を含むグラム陰性桿菌 (GNB) に対してまで広範囲な抗菌性を有している点である。又, in vivoの実験的混合感染に対しても優れた防禦効果が認められている1)。
    本剤の本邦成人各科領域における基礎的, 臨床的検討はすでに広く実施され, その成果は昭和57年6月13日の第30回日本化学療法学会総会において報告され, その有用性が認められている。
    本剤を成人に静注した場合の半減期 (T1/2) は約1時間半であり, 又, 体内では代謝を受けずに未変化体のまま大部分が尿中に排泄され, 投与後6時間までの尿中回収率は約85%である。
    本シンポジウムにて報告された内科疾患424例 (解析対象症例376例) の総合有効率は80%でその内訳は, 呼吸器感染症77%, 尿路感染症86%, 胆道感染症85%, 敗血症69%, 細菌性心内膜炎50%, 髄膜炎100%, その他83%であつた。又, 成人各科領域1,206例における有効率は78%であり, 副作用検討症例1,312例における副作用発現率は2.2%であった1)。
    今回本剤の静注を主体とした小児科領域における一連の基礎的, 臨床的検討を行つてみたので以下今日までの概況について報告する。
  • 豊永 義清, 黒須 義宇, 杉田 守正, 川村 悟朗, 松永 光平, 川人 尚子, 望月 弘, 井田 博幸, 中村 弘典, 河村 研一, 瀬 ...
    1984 年 37 巻 3 号 p. 423-459
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在使用されているCephalosporinC系薬剤 (CEPs) はグラム陽性球菌並びにグラム陰性桿菌に強い抗菌力を示し, その作用は殺菌的で毒性も比較的低いため, 小児科領域での細菌感染症に広く使用されている。一方CEPsの頻用に従い, Cephalosporinase産生株に伴う耐性菌も増加傾向にあり1), 又, 宿主の感染抵抗性低下に乗じて定着し, 起病性を発揮するようになつた弱毒菌の出現も事実である。こうした背景から, より強力な殺菌効果, 抗菌域の拡大, β-Lactamaseに安定な薬剤の開発が求められ, いわゆる藤井2)の分類による第4, 第5群の新しいCEPsが多数開発され, すでにその一部は日常の臨床使用の段階に至つている2, 3)。
    Ceftazidime (CAZ) は, 第5群のCEPsの1つで, 英国Glaxo社において開発されたものであり, 3位側鎖にPyridineを有し, 7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基を持ち, その化学名は (6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-Aminothiazol-4-yl)-2-(2-carboxyprop-2-yloxyimino) acetamido]-3-(pyridinium-1-ylmethyl) ceph-3-em-4-carboxylate pentahydrateである。本剤はグラム陽性及び陰性菌に広く優れた抗菌力を示すが, グラム陽性菌よりも陰性菌に対する抗菌力の方が優れていると報告4, 5, 6)されており, 特にPseudomonas属には, 他の第5群のCEPs及びAminoglycoside系薬剤よりも優れた抗菌力を示していると言われる。しかも, 各種β-Lactamaseに対しても極めて安定であり, 既存のCEPsに対する耐性菌に強い抗菌力を示すことが知られている。
    今回, 我々はCAZを試用する機会を得たので, 本剤について, 抗菌力, 吸収・排泄などの基礎的検討を行うと共に, 各種細菌感染症に使用したのでそれらの成績について報告する。
  • 保科 弘毅, 三国 健一, 市橋 治雄
    1984 年 37 巻 3 号 p. 460-468
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しいCephalosporin系の注射用抗生物質である。本剤の化学構造式はFig. 1に示すとおりで, 7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolylcarb-oxypropyloxyimino基を, 又, 3位側鎖にPyridineを導入している点が特異的であり, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対しても極めて安定である1)。抗菌活性はグラム陰性菌に極めて強く, 特に従来のCephem系抗生物質には感受i生の低かつたPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌及びSerratiaに対して強い抗菌作用を示すことが明らかとなつており1, 2), 又, 各種細菌に対する抗菌力も他剤に比べ平均しており, in vivo実験的混合感染に対しても優れた防禦効果を示すことが明らかにされている2)。
    今回, 我々は本剤を中等症以上の小児感染症に臨床使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 久野 邦義, 屋冨祖 正光, 宮地 幸紀, 中島 崇博, 市原 邦彦, 上田 佐智恵
    1984 年 37 巻 3 号 p. 469-484
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国Glaxo社で開発された新しいCephem系の注射用抗生物質で, Fig. 1のような構造式を持ち, 7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolylcarboxyproPyloxyimino基を, 又, 3位側鎖にPyridineを有する。
    本剤の特長として以下の点があげられている1, 2, 3)。1. グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にSerratia, Pseudo-monsa aeruginosaを含むグラム陰性菌に強い抗菌力を示す。2. 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対して極めて安定である。3. In vitroの抗菌力を反映した優れた感染防禦効果を示す。4. 実験動物において, 腎毒性を含めた安全性はCephalothinとほぼ同等である。5. ヒトに静脈内投与した場台, 高い血中濃度が得られ, 未変化体のまま大部分が尿中に排泄される。
    成へ領域での本剤の使用成債は, 第30回日本化学療法学会総会で報告されている1)。今回, 我々は小児科領域の細菌感染症に本剤を使用し, その有効陸と安全性について検討する機会を得たので, 若干の基礎的検討成績と共に報告する。
  • 中村 孝, 瀬戸 嗣郎, 木村 紘一郎, 佐藤 和彦, 佐藤 博美, 福田 文男, 西川 伸一
    1984 年 37 巻 3 号 p. 485-489
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい注射用のCephem系抗生物質Ceftazidime (CAZ) を小児科領域で試用する機会を得たので, その成績について報告する。CAZは7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基を, 又, 3位側鎖にPyridineを有しており, その構造式をFig. 1に示した。
    本剤の特徴は従来のCephem系抗生物質に比較して, β-Lactamaseに対し安定であり, 且つ広い抗菌スペクトルを有していることである。特にブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌, Pseudomonas aerugi nosaには強い抗菌作用を示すと言われている。又, 静脈内投与した場合, 速やかに吸収され, 未変化体のまま大部分が尿中から排泄される点も特徴の1つである1)。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 柴田 元博, 溝口 文子, 中村 はるひ
    1984 年 37 巻 3 号 p. 490-511
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は, 英国グラクソ社で開発された新しいCephalosporin系の注射用抗生物質である。本剤は, 化学構造上7位の側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基を, 3位の側鎖にPyridineを有し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定である1~3)。又, 抗菌力面では, グラム陽性菌並びに陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムを有しており, 特にグラム陰性菌に対しては優れた抗菌力を示し, Pseudomonas aeruginosa,, ブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌, Serratia marcescens等にも優れているのが特徴である1~11)。一方, 吸収, 排泄の面では, 静脈内投与により高い血中濃度が得られ, 体内で代謝を受けることなく大部分が尿中に排泄されると言われている1, 12, 13)。
    第30回日本化学療法学会総会新薬シンポジウムIで報告された成人での臨床成績1)は, 本剤の臨床面での有用性と安全性を示唆したものと考えられる。又, その後なされた幼若動物を対象とした種々の検討においても, 特に問題となるような結果は得られていない。
    今回, 我々は, 本剤の有用性と安全性を小児科領域において検討する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 高島 俊夫, 高木 道生
    1984 年 37 巻 3 号 p. 512-523
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年のセファロスポリン系抗生物質の開発, 進歩は, 細菌感染症治療に大きく貢献している。しかし一方, 最近の感染症は, 宿主条件及び病原微生物の変化によつて生じた重症難治性感染症が増加しており, 化学療法もこのような状況下において, 用法, 用量への考慮はもちろん, 病原菌の特徴をふまえた対応に向けられることは言うまでもない。事実, より強力な殺菌効果と薬剤耐性打破, 特にβ-Lactamase抵抗性保有を目的とした抗生物質の開発はめざましく, すでにその一部は実際使用の段階にあり臨床面での貢献度も大きい1)。今度, 英国グラクソ社で開発されたCeftazidime (CAZ) は, 新しい注射用セファロスポリン剤で, グラム陽性菌及び陰性菌に対して, 広範囲な抗菌スペクトラムを持つており, 特にグラム陰性菌のうちPseudomonasにまで抗菌スペクトラムは拡大された。CAZはすでに本邦において成人領域での評価が行われ, その有効性と安全性が確認されている2)。そこでこれらの成績をもとに小児科領域でも多施設協同で本剤に関する研究が開始され, 著者らも, この研究に参加し, 本剤の基礎的及び臨床的検討を行つたので, その成績について述べる。
  • 春田 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一, 小林 裕
    1984 年 37 巻 3 号 p. 524-536
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) はグラム陰性菌, 特にIndole陽性Proteus, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosaに対して優れた抗菌力を持ち, β-Lactamaseに極めて安定な新注射用抗生剤で, Latamoxef (LMOX) 同様にグラム陽性球菌では他の第3世代Cephem剤より劣るものの, Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae, Streptococcus pneumoniaeに対しては, LMOXよりかなり良い抗菌力を示す1)。本剤の成人領域における基礎的, 臨床的研究成果は1982年の第30回日本化学療法学会総会の新薬シソポジウムにおいて討議され, その有効性, 安全性が認められた1)。その結果小児においても検討すべき新薬剤と考えられ, 幼若動物における安全性も立証されたので, 小児科領域研究会を組織して検討が行われた。我々もその一員として若干の知見を得たので報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄 ...
    1984 年 37 巻 3 号 p. 537-553
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しい注射用Cephem系抗生剤である。その化学名は (6R,7R)-7-[(Z)-2-(2-Aminothlazol4-yl)-2-(2-carboxyprop-2-yloxyimino) acetamidol-3-(pyridinium-1-ylmethyl)-ceph-3-em-4-carboxylate pentahydrateで, Fig.1に示した構造式を持ち, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広域抗菌スベクトルを有する1, 2)が, 特にSerrotia marcescensPseudomonas aeruginosaなどのクラム陰性菌に強い抗菌力があり3, 4, 5), 各種細菌の産生するß-Lactamaseに対しても極めて安定であると述べられている6)。
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