The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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38 巻, 4 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
  • 牟禮 一秀, 千石 一雄, 山下 幸紀, 清水 哲也
    1985 年 38 巻 4 号 p. 905-910
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は, 味の素 (株) 中央研究所で創製され, 同社と持田製薬 (株) で開発された注射用Cephalosporin剤で, グラム陽性菌からグラム陰性菌に対し幅広いスペクトルを持つが, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し良好な抗菌力を示すとされている1)(図1)。
    今回著者らは, AG-1370を投与した場合の静脈血中濃度及び性器組織内濃度を測定し本剤の基礎的検討を行うと共に, 臨床的検討を行つたのでその結果を報告する。
  • 永井 宏, 赤間 二郎, 岡村 州博, 中岫 正明, 古賀 詔子
    1985 年 38 巻 4 号 p. 911-914
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は, 持田製薬株式会社と味の素株式会社で共同開発された注射用セファロスポリン系抗生剤である。広範囲な抗菌スペクトラムを持ち, 特に緑膿菌を含めたグラム陰性菌に対し優れた抗菌力を示す1)。
    又, マウスの感染防禦試験においてin vitroの抗菌活性を上回る効果が認められており, β-Lactamaseに対して安定である2, 3)。
    今回, われわれは婦人科領域の炎症性疾患を有する患者にAC-1370を投与する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 小川 英弌, 村田 誠, 真木 正博
    1985 年 38 巻 4 号 p. 915-920
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCephalosporin系抗生物質であるCefpimizole(AC-1370)は, Fig. 1に示すとおり, 化学構造上7位側鎖にD-(-)-α-(4(5)-Carboxyimidazole-5(4)-carboxamido) phenylacetamido基, 3位側鎖に4-β-Sulfbethylpyridinium methyl基を有している。本剤はグラム陽性菌からグラム陰性菌に対し幅広いスペクトルを持つが, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し, 良好な抗菌力を示している。
    本剤の際立つた特徴として, マウスの感染防御試験においてin vitroの抗菌活性を上回る効果が認められている1)。
    今回, われわれはAC-1370について, 女性性器各部位における組織移行性の検討を行い, 更に本剤を臨床応用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 岩崎 寛和, 斉藤 正博, 臼杵 哲, 宮川 創平
    1985 年 38 巻 4 号 p. 921-925
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) はβ-Lactamaseに対し安定なβ-Lactam剤であるCephalosporin系抗生剤で, グラム陽性菌からグラム陰性菌までの幅広い抗菌スペクトルを持ち, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し良好な抗菌力を有している1)。
    女性内性器は, 性管が腟-子宮-卵管を経て腹腔内に通じると言う特殊な解剖学的特徴の故に比較的感染症にかかる機会も多い。
    事実, 子宮筋腫, 子宮癌等では, 臨床的に感染徴候が全く認められなくても, 性器並びに周囲組織に好気性菌ないし嫌気性菌の存在を比較的多く認める2~7)。
    この事実は, 感染症の場合だけでなく, 女性内性器の手術に際しても抗生物質の術前ないし術後の予防的投与の必要性を示唆している7)。
    又, 抗生物質の組織内移行も女性内性器の各々の組織部位によつて著しい差が認められる8)。このことは目的とする内性器の各組織内濃度と血中濃度の関係が分かれば, 血中濃度から各々の組織内濃度を推察でき, 最も効果的な治療が期待できる。今回, われわれはAC-1370の子宮及び附属器組織内移行及び感染症例についての臨床応用を検討したので報告する。
  • 福永 完吾, 國井 勝昭, 張 南薫
    1985 年 38 巻 4 号 p. 926-939
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は味の素 (株) 中央研究所で創製され, 同社と持田製薬 (株) で開発された注射用Cephalosporin系抗生物質である。
    本剤は広域の抗菌スペクトルを有し, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し良好な抗菌力を示す。
    又, その抗菌作用はin vivoにおける効果が優れているとされ, マウスの感染防禦実験においてin vitroの抗菌活性を上回る効果が認められている1)。
    本剤の臨床薬理学的特徴は他のいわゆる第3世代Cephem系抗生物質と似ており, 静脈内投与によつて高い血中濃度が得られ, その半減期は100分前後である。主な排泄臓器は腎で, 体内では代謝されず, 尿中には投与後8時間までに80~90%が排泄される1)。
    本剤については1982年3月から全国規模の研究会が組織され基礎的, 臨床的共同研究が行われ, その成果が1983年6月第31回日本化学療法学会総会新薬シンポジウムにおいて報告された2)。
    われわれもこの研究会に参加して, 産婦人科領域で基礎的, 臨床的研究を行いその成績を報告した4)。
    本報告はその後産婦人科領域で行つた基礎的, 臨床的検討成績で, ここに結果を得たので, 以下に報告する。
  • 林 福勝, 小幡 功, 落合 和彦, 小池 清彦, 今川 信行, 森本 紀, 蜂屋 祥一
    1985 年 38 巻 4 号 p. 940-953
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は1978年, 味の素 (株) 中央研究所と持田製薬 (株) で新しく開発された半合成の注射用Cephalosporin系抗生物質である。本剤は化学構造上7-Aminocephalosporanic acidの7β位にD-(-)-α-(4(5)-Carboxyimidazole-5(4)-carboxamido)phenylacetamido基を, 3位に4-β-Sulfoethylpyridiniummethyl基を有する点が特徴である(Fig. 1)。
    AC-1370は静脈内投与により高い血中濃度が得られ, 生物学的半減期も100分前後と比較的長く, 大部分が尿中に排泄される特性を有する1)。その上, 抗菌力もGram陽性菌からGram陰性菌まで幅広いSpectrumを有し, なかでもGram陰性桿菌, 特にPseudomonas属に良効な抗菌力を示す一方, 本剤の際立つた特徴はマウス感染防御試験においてin vitroの抗菌活性を上回る効果が認められると報告されている点である1~3)。
    今回, 著者らはAC-1370について基礎的には子宮及び子宮附属器組織への移行性について検討すると共に, 臨床的には婦人科感染症症例に投与し, 有効性及び安全性について検討したので, その成績について報告する。
  • 水口 弘司, 五来 逸雄, 植村 次雄
    1985 年 38 巻 4 号 p. 954-965
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は味の素 (株) 中央研究所で創製され, 同社と持田製薬 (株) で開発された注射用Cephalosporin系抗生剤で, その構造式は図1に示されるとおり, 骨格の7β位にD-(-)-α-(4(5)-Carboxyimidazole-5(4)-carboxamido)phenylacetamido基を, 更に3位に4-βSulfoethylpyridinium methyl基を有する。
    本剤はグラム陽性菌からグラム陰性菌に対し幅広い抗菌スペクトルを持つが, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し良好な抗菌力を示す。又, マウスの感染防御試験においてin vitroの抗菌活性を上回る効果が認められており, 更に, 種々のβ-ラクタマーゼに対し安定であることが報告されている1)。
    今回, 我々は本剤を使用して婦人科領域における基礎的, 臨床的検討を行つたので, その成績について報告する。
  • 中村 英世, 中村 淳, 林 茂, 岩田 嘉行
    1985 年 38 巻 4 号 p. 966-971
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新抗生物質であるCefpimizole (AC-1370) の婦人科領域における基礎的, 臨床的検討を行つた。
    静脈血と子宮動脈血清濃度はほぼ同値であり, 経時的にみても変らなかつた。各組織を比較すると, 卵巣と子宮腟部が最も高く, 次いで子宮内膜の順になつた。
    臨床的には7例の婦人科領域感染症に本剤を使用し, 有効率は85.7%であつた。
    副作用は1例も経験せず, 臨床検査値の異常な変動もみられなかつた。
    各種感染症に対する抗生剤療法の効果に対しては全く異存のないところであるが, 反面, 薬剤の濫用, 不適当な使用のために耐性菌の出現が問題とされており, 難治性感染症に対して, 更に優れた抗菌力を有する新抗生物質が期待されている。
    今回, 味の素中央研究所と持田製薬で開発された新注射用セファロスポリン製剤であるAC-1370を使用して, 婦人科領域における本剤の基礎的, 臨床的検討を行い, いささかの知見を得たので報告する。
  • 近藤 英明, 野田 克已, 松波 和寿, 伊藤 邦彦, 早崎 源基, 馬場 義孝
    1985 年 38 巻 4 号 p. 972-981
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は味の素 (株) 中央研究所で創製され, 同社と持田製薬 (株) で開発された注射用Cephalosporin剤で, その構造式はFig. 1に示すとおりである。
    本剤はグラム陽性菌からグラム陰性菌に対し, 幅広いスペクトルを持つが, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し良好な抗菌力を示す1)。
    われわれは, すでに各種の抗生物質の婦人性器内移行について検討を行つてきた2~8)。そして, それらの成績が産婦人科領域の各種感染症における薬剤投与量を決定するのに重要な指標の1つになると考えている。
    今回, われわれはAC-1370について検討する機会を得たので骨盤死腔浸出液への移行及び7例の臨床例に本剤を使用した成績について報告する。
  • 舘野 政也
    1985 年 38 巻 4 号 p. 982-986
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科における骨盤内感染症に関しては特別な場合を除き部位的な関係から起炎菌の証明が困難な場合があり, 抗菌力のある抗生物質を選択的に使用することはなかなか困難で, 従つて, これら感染症に対しては抗菌スペクトラムの広い抗生物質の使用を余儀なくさせられる。今回, 我々は新抗生物質Cefpimizole (AC-1370) を味の素K. K.から提供を受け産婦人科領域における感染症に対して使用する機会を得たので少数例ではあるがその臨床成績について報告する。
    使用した薬剤の化学構造, 物理化学的性状は表1のとおりであつて安定性にも優れ, 室温保存下で1年以上安定であると言う。又, 本剤はPseudomonas aeruginosaを含むグラム陰性菌による感染症に有効でβ-Lactamaseに対し安定なβ-Lactam剤でありこの点でも特異的で抗菌スペクトルムも広いと言う1)。
  • 岡田 弘二, 保田 仁介, 金尾 昌明, 冨岡 恵, 山元 貴雄
    1985 年 38 巻 4 号 p. 987-994
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は我が国で開発された新しいセフェム系抗生物質である。
    本剤の基礎的検討並びに内科・外科領域における臨床成績は1983年6月の第31回日本化学療法学会総会新薬シンポジウム1)において報告されている。そのなかで, 本剤はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し良好な抗菌力を示す。又, 本剤の特徴としてin vivoの抗菌活性がin vitroよりも上回ることがマウス感染防御試験において認められている1)。
    臨床的検討においても各科感染症に対する本剤の有効性及び安全性が認められており, われわれもその検討成績を報告した2)。
    今回, われわれは産婦人科領域における本剤の追加検討を行う機会を得たのでその成績を報告する。
  • 手島 研作, 野田 起一郎, 北村 幸太郎, 池田 正典, 塩田 充, 堀井 高久
    1985 年 38 巻 4 号 p. 995-1000
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は味の素 (株) 中央研究所により創製, 同社と持田製薬 (株) によつて共同開発されたセフェム系注射用抗生物質で, その広い抗菌スペクトルを特徴とし, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し, 強力な抗菌作用を示す。本剤の構造式をFig. 1に示す。
    今回, われわれはAC-1370の女性性器組織内, 静脈血及び骨盤死腔液中の濃度を測定し基礎的検討を行うと共に, 産婦人科領域感染症患者4例に本剤を投与し臨床的検討を行つたのでその結果を報告する。
  • 金重 恵美子, 関場 香, 早田 幸司, 早瀬 良二, 福本 悟, 片山 竣介, 谷村 豊海, 石井 良夫, 林 裕治
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1001-1010
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近,持田製薬(株)と味の素(株)で共同開発された新しいCephalosporin系抗生剤Ce鉛imizole(AC-1370)は現在までの基礎,臨床両面での検討の結果,幅広い抗菌スペクトラムを有し,マイルドな抗菌力ながら,マウス感染防禦試験においてiπV∫VO効果がiπy∫tro効果を上回る優れた成績を示すことなど,ユニークな抗生剤として注目を浴びている1)。今回,婦人科領域における本剤の有用性を基礎的及び臨床的に検討する機会を得たので報告する。なお,みC-1370の組織濃度測定は川崎医科大学産婦人科学教室,又,臨床例の起炎菌の分離同定は東京総合臨床検査センター研究部にそれぞれ依頼した。
  • 江口 冬樹, 内田 克彦, 山本 和喜, 白川 光一
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1011-1016
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpimizole (AC-1370) は新しく開発されたセフェム系抗生物質であり, その構造式はFig. 1に示すとおりである。本剤はβ-Lactamaseに対し安定なβ-Lactamの開発を目的として多数のCephalosporin合成誘導体から選択されたもので, Pseudomonas属を含むグラム陰性桿菌による感染症に有効である。その構造式に示されるとおり, 骨格の7β位にD-(-)-α-(4(5)-Carboxyimidazole-5(4)-carboxamido) phenylacetamido基を, 更に3位に4-β-Sulfoethylpyridiniummethyl基を有するものである。
  • KENICHI MIYAHARA, TORU SUGIYAMA, TOSHI KATO
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1017-1021
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The use of cefpimizole (AC-1370) in 11 patients with a variety of obstetric and gynecologic infections was studied. Although the activity of AC-1370 was found in vitro less eminent than those of currently employed antibiotic regimens, the overall clinical response was 82%. No side effects were found.
  • in vitroでの相乗効果の検討
    佐藤 清, 岡地 諒, 伊山 吉香
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1022-1028
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Astromicin (Fortimicin®,ASTM) は, 協和醗酵工業株式会社で発見されたMicromonospora olivasterospora MK70の産生するAminoglyooside系抗生物質である1)。本剤の抗菌作用は, グラム陽性菌, グラム陰性菌に広範囲な抗菌スペクトルを有し, 特にSerratia marceacensに対しては, 他のAminoglyooside系抗生物質に比べ, 強い抗菌力を示す。又, Gentamicin耐性菌をはじめ, 各種Aminoglycoside系抗生物質耐性菌にも有効であるが, Pseudomonas aeruginosaに対しては抗菌力がやや弱い2, 3)。
    感染症の治療には, 2種以上の抗菌剤による併用療法がしばしば行われる4)。薬剤の併用は, 一般に抗菌スペクトルの拡大, 耐性菌出現の防止, 副作用の軽減などの目的で行われるが, 臨床的に特に注目されるのは, 適当な薬剤の組合せによつて, それぞれの薬剤の単独使用時に比べて特定の菌に対する抗菌力が増強され, より有効に作用することが期待できる点にある。
    今回,我々はASTMの抗緑膿菌効果を向上させることを目的として, 現在臨床に用いられている3種のβ-Lactam系抗生物質との併用効果について, in vitroで検討したので報告する。
  • 前田 富実雄, 野村 史郎, 河地 英昭, 服部 治郎次, 下方 薫, 中西 和夫, 西脇 敬祐, 藤井 晧, 山本 正彦, 山本 直彦, ...
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1029-1036
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症の主たる起炎菌であるStreptococcus pneumoniaeの重要性は今でもかわりないが, 近年ではグラム陽性球菌に加えてHaemophilus influenzae, Klebsiella pneumoniaeなどのグラム陰性桿菌が呼吸器感染症の起炎菌として重視されてきている。又, β-ラクタマーゼ産生による耐性菌もかなり出現しつつある。
    Ceftizoxime (以下CZXと略す) は, 藤沢薬品中央研究所で開発された新しいセフェム系注射剤で, 3位側鎖に置換基がないのが特徴であり, そのため生体内代謝を受けることなく1), 又, 腎毒性などの副作用が少ないと言われている2)。その抗菌スペクトルはグラム陽性球菌からグラム陰性桿菌まで広範囲にわたつており, 抗菌力, 殺菌力は従来の薬剤に比べて非常に優れている3~5)。
    更に, H. influenzae, K. pneumoniae, S. pneumoniaeなどの呼吸器感染症の主要菌に対しては, その抗菌力は従来のセフェム系抗生剤に比べて特に勝つている。又, その優れた体内動態を反映して喀痰中移行, 肺組織移行
  • 特に腎毒性に関する検討
    田中 篤, 笹川 富士雄, 西 鐵幹, 堺 薫, 竹内 衛, 和田 守雄, 村井 力四郎, 伊藤 末志, 富沢 修一, 浅見 直, 田口 哲 ...
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1037-1048
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本邦で開発されたCephalosporin系薬剤であるCefoperazone(CPZ)は, その基礎的及び臨床的検討1, 2)により, 安全性と有効性がすでに確認されており, 現在広く臨床的に使用されている薬剤である。本剤は蛋白結合率が高く, ほとんど代謝されずに尿中及び胆汁中に高濃度で排泄される。
    今回われわれは, 小児科領域における治験並びに小児における体内動態, 特に尿中β-D-N-Acetylglucosaminidase(NAG), β2-Microglobulin(BMG)の変動から, 薬剤の腎に及ぼす影響について検討したので, その成績を報告する。
  • 小野 栄一郎, 山下 文雄, 富永 薫, 田中 耕一, 石本 耕治, 冨田 尚文, 久田 直樹, 本廣 孝, 藤本 保, 古賀 達彦, 西山 ...
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1049-1085
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin(ABPC)はグラム陽性菌からグラム陰性菌まで広域抗菌スペクトルを有する薬剤として本邦では17年間頻用されてきたが, 今日ではグラム陽性菌はStreptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae, Enterococcus faecalis, Streptococcus pneumoniae, Listeria monnocytogenes, グラム陰性桿菌ではHaemophilus influenzae, Escherichia coli, Proteus mirabilisなどに第1あるいは第2選択剤とされ, その適応菌の種類は少なくなつてはいるものの前述の種々の細菌は小児科領域の急性感染症においては重要な位置を占めており, ABPCは欠くことのできない薬剤である。しかしながら本剤の内服剤は他の経口剤と同様に年少児ではきらう例が少なくなく, 経口と同等かそれ以上, できれば筋注に匹敵するBioavailabilityを有する製剤すなわち坐剤の出現が望まれていた1)ところ, 京都薬品工業株式会社の研究所が坐剤化に成功し, KS-R1として京都薬品工業株式会社と住友製薬株式会社が現在共同で開発中であり, 私たちはすでに本坐剤のBioavailabilityはABPC経口よりは優れ2), 臨床効果も良好であると報告3~5)している。
    ABPCの副作用は他のPenicillin系薬剤に類似しているが, その経口製剤を小児に投与した場合, 下痢が比較的多くみられる6)。その原因として腸内細菌叢の変動が関与7)している, あるいは動物実験からの推定であるが, 盲腸内細菌叢に強い変化を与え, その結果盲腸内容物の水分含有量が増加し, 下痢を起すと述べられている8~10)。
    そこでヒトでは盲腸内細菌叢の変動は検索できないことから小児にKS-R1を投与すると共に対照としてABPCを経口投与し糞便内細菌叢の変動を観察, 2製剤投与時における糞便中のABPC濃度を測定, 分離株のABPCに対する感受性を検討したのでその成績を報告する。
  • 1. 吸収排泄について (その2)
    斉藤 功, 中川 圭一, 真下 啓明, 渡辺 誠, 大越 正秋, 小山 優, 三橋 慎一, 川口 義明
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1086-1092
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前回, 我々はMicronomicin(MCR)の点滴投与法での薬物体内動態を成人健康男子を対象に検討し, 従来臨床で行われている筋肉内投与法に比べ, ほとんど差がないことを報告した1)。
    今回は, 腎機能に差のある患者を対象とし点滴投与法での体内動態を検討し, 更に前回の結果と共に腎機能低下患者や高齢患者に本剤を投与する時の投与間隔を調節するノモグラムを作成した。
  • 第1報 ラットにおける生体内動態
    井上 顕信, 小林 智, 出口 隆志
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1093-1101
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bacmecillinam(KW-1100)はMecillinam(MPC)の3位側鎖にEthoxycarbonyloxyethyl基がエステル結合した経口用合成ペニシリンである. KW-1100は経口投与後, 腸管粘膜内及び血漿中の非特異的エステラーゼにより速やかにエステルが加水分解され1, 2)MPCとなり, 特にグラム陰性桿菌に強い抗菌作用を発揮するものと考えられている3~6)。そこで我々は14Cラベル化したKW-1100を用い, ラットにおけるKW-1100の吸収, 分布, 排泄を調べ, 更に血中及び尿中代謝物についても検討したので報告する。
  • 第2報 ラットにおける胎仔移行性及び乳汁中移行性
    井上 顕信, 小林 智
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1102-1106
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bacmecillinam(KW-1100)はMecillinam(MPC)の3位側鎖にEthoxycarbonyloxyethyl基がエステル結合した経口用合成ペニシリンである。KW-1100は経口投与後, 腸管粘膜内及び血漿中の非特異的エステラーゼにより速やかにエステルが加水分解され1, 2)てMPCとなり, 特にグラム陰性桿菌に対して強い抗菌活性3~6)を発揮するものと考えられている。
    第1報7)においてラットにおける生体内動態について114C-KW-1100を用いて詳細な検討を行つた。その結果, KW-1100は腸管から速やかに吸収されほとんど腎臓から排泄され蓄積も少ないことが明らかにされた。しかし, 本薬物が妊娠中あるいは授乳中の婦人に用いられる可能性もあるため, 動物において胎盤通過性及び乳汁移行性について研究することは重要と思われる。今回, 著者らは妊娠ラット及び授乳期ラットを用いて, 子宮, 卵巣, 胎仔及び乳汁中への移行について検討したので報告する。
  • 第3報 イヌにおける生体内動態
    井上 顕信, 小林 智
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1107-1112
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bacmecininam(KW-1100)は, 経口投与後, 腸管粘膜内及び血漿中の非特異的エステラーゼにより速やかにエステルが加水分解されて1, 2)Mecillinam(MPC)となり, 特にグラム陰性桿菌に対し強い抗菌活性を示す3~6)と考えられている。本薬剤の生体内動態に関しては, 第1報7), 第2報8)においてラットにおける吸収, 分布, 代謝及び排泄について詳細な検討を行つた。その結果, KW-1100は腸管から速やかに吸収され, ほとんど腎臓から排泄され蓄積性も少ないことが明らかにされた。更に胎仔移行性, 乳汁中移行性も低かつた。代謝に関しては, 主代謝物はMPCであり, その他の代謝物としてM-6, M-1が含まれ, 又, M-4が少量含まれることを明らかにした。
    本報ではラットにおいてみられる様な吸収, 排泄が他の動物においてもみられるかを知る目的で, イヌを用いてKW-1100の生体内動態に関する種差の検討を加えたので報告する。
  • 第4報 Bacmecillinamの人尿中代謝物
    井上 顕信, 小林 智
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1113-1116
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bacmecillinam(KW-1100)は, 経口投与後腸管粘膜内及び血漿中の非特異的エステラービにより速やかにエステルが加水分解されて1, 2)Mecillinam(MPC)となり, 特にグラム陰性桿菌に対し強い抗菌活性を示す3~6)と考えられている。本薬剤の生体内の代謝に関しては第1報, 第3報7, 8)の14C-KW-1100を用いたラット及びイヌでの生体内動態研究から, 尿中の主代謝物はMPCであり, その他の代謝物としてM-6, M-1が含まれ, 又, M-4が少量含まれることを明らかにした。又, 先の研究では確認されなかつたが6位の側鎖からはHexamethyleneimine(HMI)が代謝物として生成されるものと思われる9)。更にAmpicillinの3位の側鎖に同様なEthoxycarbonyloxyethyl基をエステル結合させたBacampicillinの場合, 吸収後直ちにエステラーゼにより水解され, Ethoxycarbonyloxyethyl基からはアセトアルデヒド及びエタノールが生成されると報告されている10, 11)。
    著者らはKW-1100投与時の人尿を分析し, ラット及びイヌでみられた代謝物MPC, M-6, M-1, M-4及び側鎖から生成されるHMIなどの存否並びに排泄量の時間的推移を検討したので報告する。Fig.1に各々の化学構造を示した。
  • 二重盲検法によるCefaclor通常製剤との比較試験
    山中 弘之, 木村 二郎, 堀井 正雄, 稲葉 修, 猪木 令三, 相楽 貞文, 高田 静治, 島田 惣四郎, 岡田 孝, 佐々木 哲也, ...
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1117-1140
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefaclor(以下,CCL)は既存の経口用セフェム系抗生物質に比べ, in vitroで抗菌力の強化, 拡大が認められ, 短時間で強い殺菌作用を示すことが特徴とされている1~3)。我が国では1982年に発売され, 今日に至るまで各科領域における種々の感染症に繁用されており, その有効性及び安全性の面から有用性の高い抗生物質と評価されている。
    このCCL通常製剤に比べ血中濃度が持続し, 朝夕1日2回の服用で同等の効果が期待できるCCL持続性製剤の設計が塩野義製薬(株)においてなされ, in vitroにおける生菌数変化からみた殺菌効果実験では, CCLの速溶性顆粒と腸溶性顆粒の混合比は力価において4:6が最適である4)と結論されている。
    このことを臨床的に裏付けるために, 今回我々は歯科領域感染症を対象とし, CCL持続性製剤の速溶部と腸溶部の最適混合比, 並びにその製剤の有効性, 安全性及び有用性について, CCL通常製剤を対照薬として二重盲検法により比較検討したので報告する。
  • 関根 理, 薄田 芳丸
    1985 年 38 巻 4 号 p. 1141-1146
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefaclor(CCL)投与中の4症例で, 血中や尿中のCCL濃度を調べた。
    高度腎機能低下例では, 比較的高い血中濃度が持続し, 血中濃度半減期も延長したが, さほど高度ではなかつた。尿中濃度は比較的高値を保ち, 尿中排泄量の減少は軽度であつた。
    CCLの投与量は, 腎機能低下に応じて減量すべきであるが, 750mg/日の連続使用は高度腎機能低下例にも安全且つ有効であると考えられる。
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