The Japanese Journal of Antibiotics
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38 巻, 5 号
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  • 岡田 薫, 澤江 義郎, 熊谷 幸雄
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1155-1164
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用のCephamycin系抗生物質であるCefminox (CMNX, MT-141) はFig. 1に示すような構造であり, 7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にアミノ酸のD-Cysteineを含んでいるのが, これまでのCephem系抗生物質にみられなかつた特徴である。同時に, 3位にはMethyltetrazol基が導入されており, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対して安定で, 広範な抗菌スペクトラムを有し, しかも, 生体内ではMICから推定される以上の治療効果が期待できると言われている1)。
    又, 静注, 点滴静注により高い血中濃度が得られ, その血中半減期は2~2.5時間とやや長く, 大部分が代謝を受けずにそのままの形で尿中へ排泄されると言われている1)。
    そこで, われわれもCMNXについて, 臨床分離菌に対する抗菌力を測定すると共に, 臨床応用した時の臨床効果と副作用の有無について検討したので報告する。
  • 池田 大忠, 鈴木 周雄, 室橋 光宇, 小田切 繁樹, 金子 保
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1165-1177
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓中央研究所で開発された新しいセファマイシン系抗生物質で, グラム陽性菌及び緑膿菌を除くグラム陰性菌に幅広いスペクトルを有し, その作用は殺菌的であるとされている。又, in vivoでは, 優れた抗菌力を示し, マウス実験感染症で多くの菌に対し他のいわゆる第3世代セフェム剤と同等以上の優れた治療効果が得られたと言う1)。
    我々は今回当院入院中の呼吸器感染症患者22名に本剤を使用し, その有効性及び安全性を検討したので報告する。
  • 臨床効果と組織内濃度について
    西代 博之, 橋本 伊久雄, 三上 二郎, 吉本 正典, 中村 孝, 沢田 康夫, 葛西 洋一, 中西 昌美
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1178-1194
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性化膿性腹膜炎は一般外科において, 感染性疾患の典型的なものであり, 日常最も手掛けることの多い疾患の1つである。この治療の原則は, 手術的に原発病巣の除去あるいは感染源の遮断を行い, 腹腔内に貯溜する膿汁を排出すると共に, 毒素及び腸管麻痺による中毒症状や全身の血行障害を排除し, 更に抗菌性化学療法を施行することである。
    急性汎発性腹膜炎となり, 麻痺性イレウスを合併し, Endotoxin shock等を併発すれば, 死亡することも稀ではないが, 抗生物質の進歩, 普及している今日, 軽症あるいは急性初期の限局性腹膜炎の治療は, ドレナージ併用の時期, 適応を誤らなければ, さして困難であるとは言えず, 大部分の腹膜炎は比較的治療しやすい疾患の1つとなつていると言える。特に軽症で比較的限局した, あるいは限局する傾向の強い腹膜炎では, 化学療法剤だけによる治療で治癒することも稀ではなくなつてきている1~4)。
    しかし最近になつて, 現在幅広く用いられているAmpicillin, Carbenicillin, SulbenicillinなどのPenicillin系抗生物質, Cephalothin, Cephaloridine, CefazolinなどのCephalosporin系抗生物質の多くに耐性を持つβ-Lactamase産生菌の存在が指摘され, 特にこれはEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter sp. 等のグラム陰性桿菌に多く認められ, これらの菌群は, 急性腹膜炎の起炎菌として今日多く認められている細菌群であるところから, 腹膜炎治療上の大きな問題となつてきた5~7)。
    著者らは最近β-Lactamase抵抗性を有する新しいCephamycin系抗生物質Cefminox(CMNX, MT-141)8~12)の試用を行う機会を得た。急性虫垂炎に合併した限局性あるいは汎発性腹膜炎, 腸閉塞症, 消化管穿孔などによる急性腹膜炎の手術に際して, 各種組織あるいは膿性腹水中のCMNX濃度を測定した。これらの症例に, 術後の化学療法としてCMNXによる治療を行い, 臨床効果の検討と, 組織及び体液中濃度, 更に起炎菌のMICとの関連を検討して, 若干の興味ある成績を得たので報告する。
  • 上尾 裕昭, 岩永 哲也
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1195-1197
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓中央研究所において開発されたCephamycin系の新抗生物質で, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対し安定であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 広範な抗菌スペクトラムを有する。又, Bacteroides fragilis, Clostridium difficile等の嫌気性菌に対しても優れた抗菌力を有する。本剤はFig. 1のような化学構造を持つており, 静注, 点滴静注により高い血中濃度が得られ, その半減期は2~2.5時間で尿中排泄率は8時間で約90%とされている1)。
    われわれは今回, 外科手術後合併症に対し本剤を使用し, その臨床効果及び副作用について検討する機会を得たので報告する。
  • 組織内移行について
    千石 一雄, 清水 哲也
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1198-1202
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓 (株) で開発された新しいCephamycin系抗生物質で, 7位側鎖にアミノ酸を含む特異な構造を有する (Fig. 1)。
    本剤はEscherichia coli, Klebsiella sp., Proteus sp., Haemophilus influenzaeなどのグラム陰性桿菌, 並びにBacteroides fragilis, Clostridium difficileなどの嫌気性菌に対し強い抗菌力を示す。
    今回, 著者らはCMNXの産婦人科領域感染症に対する有効性を裏付けるため, 本剤投与後の肘静脈血, 子宮動脈血清中濃度並びに性器各組織内濃度を測定すると共に, 感染症例2例に本剤を投与し臨床的効果をも検討したので報告する。
  • 井上 公俊, 森崎 伸之, 千村 哲朗
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1203-1207
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年Cephem系抗生物質の開発には目覚しいものがあるが, Cefminox (CMNX, MT-141) は新しく開発されたCephamycin系の新抗生物質の1つである。
    本剤は図1の構造式を有し, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対し安定であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広範な抗菌スペクトラムを有する。又, Bacteroides fragilis, Clostridium difficile等の嫌気性菌に対しても優れた抗菌力を有し, 高い安全性も有することが報告されている。
    今回, われわれは産婦人科領域の感染症に対し本剤の臨床的有用性を検討する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 五十嵐 章, 古川 和美, 山田 和徳, 中川 公夫, 岡村 州博, 中岫 正明, 古賀 詔子
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1208-1212
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓中央研究所において合成されたセファマイシン系の新抗生物質であり, 図1のとおりの構造である。各種好気性及び嫌気性グラム陽性菌と, 緑膿菌を除くグラム陰性菌に広い抗菌スペクトルを有する。特にグラム陰性菌に対しては強い抗菌力を示し, 他のセファロスポリンと比較してBacteroides fragilis, Clostridium difficileに優れた抗菌力を示す。
    今回, 我々は産婦人科感染症患者にCMNXを使用する機会を得たので若干の検討を加え報告する。
  • 福永 完吾, 國井 勝昭, 青木 一石, 東郷 実昌, 満川 元一, 張 南薫, 田村 俊郎
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1213-1224
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓中央研究所において開発された新しいCephamycin系抗生物質である。本剤は化学構造上, 7位側鎖にアミノ酸を有し, メトキシ基を有することが抗菌スペクトル, 抗菌機序の上での特徴となつている。すなわち, 本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定であり, グラム陽性菌, 緑膿菌を除くグラム陰性菌及び嫌気性菌に対し, 広い抗菌スペクトルを有する。又, これまでに得られた基礎的成績では本剤はin vivoにおいて優れた抗菌力を発揮し, マウスの実験感染症で優れた治療効果をあげることが報告されている1)。体内動態では静注によつて高い血中濃度が得られ, その半減期は2~2.5時間とされている。
    体内では代謝されず, 活性のまま尿中に高率に排泄される1)。
    安全性については, 種々の検討成績から, 安全性の高いことが認められている1)。
    これらの諸点について, 1982年5月から全国的規模の研究が組織されて共同研究が行われ, その成果が1983年6月の第31回日本化学療法学会総会, 新薬シンポジウムで報告され, その成績が評価された2)。
    われわれもこの研究会に参加して, 産婦人科領域で基礎的, 臨床的研究を行い, その成績を報告した4)。
    本報告は, その後産婦人科領域で行つた基礎的, 臨床的検討成績で, ここに結果を得たので以下に報告する。
  • 中村 英世, 林 茂, 福田 俊子, 岩田 善行
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1225-1235
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓 (株) 中央研究所において開発された新しいCephamycin系抗生物質で, 本剤の化学構造上の特徴は7位側鎖にD-システィン及びメトキシ基を有する (図1)。本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定であり, Serratia marcescens, Proteus, Haemophilus influenzae及びBacteroides fragilisなどに強い抗菌力を示す。又, 本剤はMICの値から推測される以上の効果が, 感染治療実験で示されており, 特異的な抗菌作用を有することが報告されている。
    体内動態では, 静注, 点滴静注により血中に高濃度が維持され, その血中半減期は2~2.5時間とされている。又, 本剤は生体内では代謝を受けずに, 未変化体のまま尿中へ排泄される1)。
    今回, われわれは基礎的検討としてCMNXの血清中濃度及び婦人性器組織への移行を検索した。
    又, 別途に本剤を産婦人科領域の感染症に使用し, その臨床的有用性を検討したので報告する。
  • 大林 太, 二宮 敬宇, 吉本 淑子, 長谷川 幸生
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1236-1240
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓 (株) 中央研究所で開発された新しい注射用のCephem系抗生剤で, Fig. 1に示したとおり7位側鎖にD-システインを含む特徴ある化学構造を右する。
    本剤に対する基礎的・臨床的評価は第31回日本化学療法学会総会新薬シンポジウム (1983年, 大阪) において報告されている。その中で本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌(Pseudomonasを除く)及び嫌気性菌に対し広い抗菌スペクトルを有しており, 他のCephem系抗生剤に比較して特にBacteroides fragilis, Campylobacter jejuni等に優れた抗菌力を示し, 且つ各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対して安定であり, in vitroよりin vivoの効果が優れていることなどが示されている1)。
    今回, 本剤の産婦人科領域における有用性を検討するため, 全国規模でCMNX産婦人科研究会 (世話人高瀬善次郎博士) が組織され, 著者らも本剤の抗菌力について検討する機会を得たので報告する。
  • 市川 文隆, 馬島 秀泰, 近藤 正利, 福島 穣, 多田 伸, 廣田 穣
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1241-1243
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓中央研究所において新しく開発されたCephamycin系の抗生物質である。
    本剤の特徴はβ-Lactamaseに対して強い抵抗性を有し, グラム陰性菌や嫌気性菌に対し広い抗菌スペクトルを有し, 特にEscherichia coli, Klebsiella, Serratiaなどの菌に対しては, 低濃度, 短時間の接触でも強く且つ速い溶菌, 殺菌作用を示すことである1)。
    近年, 産婦人科領域における感染症はその起炎菌の50~60%がグラム陰性桿菌で占められているとの報告が多く, 又, グラム陽性球菌は10%前後であるが, 嫌気性菌の検出も高頻度であり, これらの臨床的な成績からCMNXの有用性がかなり期待出来るものと思われる。
    そこで今回われわれはCMNXの骨盤内臓器への組織移行について検討を行つたので報告する。
  • 近藤 英明, 野田 克已, 伊藤 邦彦, 早崎 源基
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1244-1253
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓中央研究所において開発されたCephamycln系新抗生物質であり, その化学構造はFig. 1に示すとおりである。7位側鎖にアミノ酸を含むこと, 又, メトキシ基を持つことが抗菌スペクトル, 抗菌機序上の特徴となり, 感染治療実験 (ED50)上, MICから推定される以上の効果を示している。
    本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに対し安定であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 広範な抗菌スペクトルを有する。又, Bacteroides fragilis, Clostridium difficile等の嫌気性菌に対しても優れた抗菌力を有する1)。
    われわれは, すでに各種のβ-Lactam系抗生物質の婦人性器内移行について検討を行つてきており2-11), それらの成績は産婦人科領域の各種感染症における薬剤投与量を決定するのに重要な指標の1つであると考えられる。
    今回われわれはCMNXについて検討する機会を得たので骨盤死腔浸出液への移行及び6例の臨床例に本剤を使用した成績について報告する。
  • 丸山 千鶴, 舘野 政也
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1254-1259
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近の抗生物質の発達は目ざましいものがあり, 現在では広範囲な抗菌性を有し, しかも耐性菌に対しても有効であるとされている抗生剤が次々と開発されている。しかし, 臨床応用の主役は合成PenicillinとCephalosporin系となつてきている。産婦人科領域において, 以前にしばしばみられた重症感染症, 例えば産褥熱や血栓性静脈炎などの発生頻度が, 現在では極めて少なくなつてきており, これは抗生物質や消炎剤の発達によるところが大きいと思われる。今回, 我々は嫌気性菌の多くに強い抗菌力を有し, 又, 好気性菌ではGram陰性菌に効果が特に優れているとされているCefminox (CMNX, MT-141) を明治製菓 (株) から提供を受け, 産婦人科感染症に対して使用する機会を得たので, 少数例ではあるが我々の臨床成績について検討を加えてみたいと思う。なお, 本剤の理化学的性状は図1のとおりで, 粉末状態, 溶液状態でも極めて安定であるとされている1)。
  • 岡田 弘二, 保田 仁介, 金尾 昌明, 冨岡 恵, 山元 貴雄
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1260-1267
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox(CMNX, MT-141)は我が国で開発された新しいセファマイシン系抗生物質である。本剤の基礎的検討並びに内科領域, 外科系領域における臨床成績は1983年6月の日本化学療法学会総会新薬シンポジウム1)において報告されている。その中で本剤はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 広範な抗菌スペクトラムを有し, 又, Bacteroides fragilis, Clostridium difficile等の嫌気性菌に対しても優れた抗菌力を有すること, 更に各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対して非常に安定であることが示されている1)。
    臨床的検討においても各科感染症に対する本剤の有用性が認められており, 我々もその成績を報告した2)。
    今回, 我々は産婦人科領域における本剤の追加検討を行う機会を得たので報告する。
  • 野田 起一郎, 塩田 充, 堀井 高久, 渡部 洋
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1268-1271
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox(CMNX, MT-141)は明治製菓中央研究所において新しく開発されたセフェム系抗生物質で, 7位側鎖にアミノ酸を導入したことは過去に例をみず, 本剤の構造式上の特徴となつている1)。又, メトキシ基を有し, この両者が抗菌スペクトル, 抗菌機序上の特徴に関与している。Fig-1にCMNXの構造式を示す。本剤は細菌の産生するβ-Lactamaseに対し安定で, 広い抗菌スペクトラムを有し, 又, Bacyeroides fragilis, clostridium difficile等の嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示す。
    本剤は静注, 点滴静注により高い血中濃度が得られ, 体内では代謝を受けずに未変化体のまま大部分が尿中に排泄される。今回われわれは, CMNXの女性性器組織内濃度, 骨盤死腔液中濃度及び静脈血中濃度を測定し基礎的検討を行うと共に, 産婦人科領域感染症患者2例に本剤を投与し, 臨床的検討を行ったのでその結果を報告する。
  • 小坂井 秀宣, 島本 郁子, 平岡 克忠, 一條 元彦
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1272-1278
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141)は明治製菓中央研究所において開発されたCephamycin系新抗生物質で, Fig. 1に構造式を示す。本剤の特長は1. 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対し安定であり, 2. グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 広範な抗菌スペクトラムを有する, 3. Bacteroides fragilis, Clostridium difficile等の嫌気性菌に対しても優れた抗菌力を有する, 4. 静注, 点滴静注により高い血中濃度が得られ, その半減期は2~2. 5時間であり体内では代謝を受けずに未変化体のまま大部分が尿中へ排泄され, 尿中排泄率は8時間で約90%である. 又, 連続投与による蓄積性は認められていない1)。今回, 我々はCMNXの婦人科領域における体内移行性及び臨床効果につき検討し, 若干の知見を得たのでここに報告する。
  • 高島 英世, 棚田 省三, 春田 恒和, 小林 裕
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1279-1286
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox(CMNX, MT-141)は明治製菓にて開発された, セファマイシン系の抗生物質であり, 広範囲な抗菌スペクトルを持っ。特に他のセファロスポリン剤と比較してBacteroides fragilis及びCampylobacter jejuniに優れた抗菌力を示し, 又, Escherichia coli, Klebsiella, Serratiaなどの菌に対し, 低濃度, 短時間の接触でも強く且つ速い溶菌, 殺菌作用を示す。今回, 我々はCMNXを使用する機会を得, 本剤について内性器及び骨盤死腔への移行性を調べ, 又, 臨床的検討をも行つた。
  • 藤原 篤, 岸田 秀夫, 平岡 仁司, 相原 正記, 田中 慎一郎, 占部 武, 松岡 敏夫, 木阪 義憲
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1287-1300
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox(CMNX, MT-141)は最近新たに開発されたセファマイシン系の抗生物質で, その構造式は図1に示すように7-アミノセファロスポリン酸を基本骨格として7位にメトキシ基を持ちβ-ラクタマにゼに対して優れた安定性を示す薬剤である。各種好気性及び嫌気性のグラム陽性菌やグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムを有し, 他のセファロスポリン系抗生物質と比較して, Bactteroidesfragilis及びCampylobacterjejuniに特に優れた抗菌力を持つとされD, 臨床応用が期待されている。
    今回, 我々は基礎的検討として, 産婦人科手術患者17例について本剤の血中濃度推移と骨盤内組織濃度及び蛋白結合率を測定して検討し, 更に臨床的検討としては産婦人科領域における感染症19例にCMNXを使用し, 本剤の効果並びに投与前後における細菌学的検索と臨床検査成績や副作用について検討を加えたので報告する。
  • 土光 文夫
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1301-1303
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox(CMNX, MT-141)は明治製菓中央研究所において開発されたCephamycin系新抗生物質であり1), その化学構造式はFig. 1に示すとおりである。本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに対し安定であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広範な抗菌スペクトラムを有することが認められている。
    第31回日本化学療法学会新薬シンポジウムで, すでに本剤の作用機序, 抗菌力, 吸収排泄及び臨床的検討の各成績が発表されている。女性性器及び骨盤死腔滲出液中移行についても報告されている1)。
    今回, われわれは基礎的研究として, 子宮頸癌の広汎子宮全摘出術を施行した症例に対し術後本剤を投与し, その骨盤死腔滲出液中への移行濃度及び血清中移行濃度を測定したので報告する。
  • 岡田 悦子, 平林 光司
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1304-1310
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいCephamycin系抗生物質CMNXについて基礎的・臨床的検討を行い,以下の成績を得た。
    1.CMNX 1 gを1時間点滴静注した場合の血清中濃度は点滴終了後4時間後においても子宮動脈血20μg/ml, 肘静脈血21μg/mlを示した。又, 組織内濃度についても4時間の濃度は12~17μg/gであつた。この成績かみて, 本剤は産婦人科領域において多く分離されるS.aureus, E. coli, Klbesiella, Proteus, 及び嫌気性菌のB.fragilis 等の臨床分離株を80~100%発育阻止し得る濃度を, 体内において維持するものと思われる。
    2.女性性器感染症7例 (子宮労組織炎4例, 子宮内感染1例, 子宮溜膿腫1例, 骨盤腹膜炎1例) にCMNXを1日2gを朝夕2回に分割し, 90分かけて点滴静注した場合の臨床効果は著効1例, 有効3例, 無効3例で,有効率は57.1%であつた。なお, この7例中6例は進行癌に発生したものである。
    3.副作用は7例全例において認められず, 臨床検査値異常も認められなかった。
    以上の成績からCMNXは産婦人科領域における感染症に対して優れた治療効果を期待し得るものと考える。謝辞本研究にあたり, 血清, 組織内濃度を測定していただいた川崎医科大学高瀬善次郎助教授はじめ関係各位に心からの謝意を表する。
  • 栄 勝美, 安藤 正明, 本郷 基弘, 清水 礼子, 林 省治, 光井 行輝
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1311-1317
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCephamycin系抗生物質Cefminox (CMNX, MT-141)は, Fig. 1の構造式を持ち, 名種細菌産生のβ-Lactamaseに対して安定であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 広範な抗菌スペクトラムを有する。又, bacteroides fragilis, clostridium difficile等の嫌気性菌に対しても優れた抗菌力を有すると言われている。
  • 久保田 健二
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1319-1330
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓(株)中央研究所において開発された新しいセファマイシン系抗生物質で, 7位側鎖にアミノ酸を含む特徴ある構造を有する(図1)。
  • Midecamycinを対照薬とした二重盲検比較試験
    久木田 淳, 野波 英一郎, 田上 八朗, 占部 治邦, 細川 宏, 滝脇 弘嗣, 高橋 久, 月永 一郎, 武田 克之, 上野 一恵, 藤 ...
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1331-1354
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいMacrolide系抗生剤であるTMS-19-Q·GC錠(TMS)の浅在性皮膚化膿症に対する有効性及び安全性をMidecamycin (MDM)を対照薬として二重盲検法で検討した.投与量はTMS 1 日600mg, MDM 1,200mgで比較を行った.
    臨床効果検討症例218例 (TMS 群 106例, MDM 群 112例) での最終全般改善度(かなり改善以上)はTMS群82.1%, MDM群83.9%で両薬剤間に効果の差は認められなかった.疾患群別では1群 (毛嚢炎, 膿庖性座瘡) ではMDM群がやや高い改善率を, IV, V群 (蜂窩織炎, 丹毒, 表在性リンパ管炎, 化膿性爪囲炎, 皮下膿瘍, 化膿性汗腺炎, 感染性粉瘤) ではTMS群がやや高い改善率を示した以外はほとんど差は認められなかった.
    無酸症が多いと考えられる高年齢層 (60才以上) での臨床効果の比較では, TMS群が有意 (P<0.05) に優れた治療効果を示し,又, S.aureusの感受性菌 (MIC 3.13μ9/ml以下) 分離症例での効果の比較においてもTMS群が優れた成績を示した.本剤は特種な製剤設計がなされ, 既存のMacrolide剤とは異なり, 胃酸の酸度に影響なく消化管吸収を可能にした製剤であり, その特長が臨床面にも波及したと推察された.
    副作用はTMS群に6例 (発現率5.0%), MDM群3例 (2.4%) にみられたが, いずれも軽度で問題となるような症例は認められず, 両薬剤間に安全性の面でも差は認められなかった.
    以上の成績から, TMSは既存のMacrolide剤とはやや性質を異にした興味ある薬剤であり, その上, 既存Macrolide剤の半量投与で同等の効果が期待でき, 浅在性皮膚化膿症の治療薬として有用な薬剤と考えられた.
  • 三辺 武右衛門, 木下 治二, 鈴木 秀明, 渋井 弘一, 調所 廣之, 川久保 淳, 島田 純一郎, 鈴木 賢二, 深水 浩三, 出口 浩 ...
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1355-1367
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Macrolide系(MLs)抗生剤はStaphylococcus aureus,Stretococcus pyogenesなどに対する耐性菌の増加がみられ1, 2), その上, 優れた広範囲スペクトラムを有するPenicillin系, Cephem系抗生剤の相次ぐ登場も相まつて, 我々の領域でもMLsを選択する機会は少なくなっている。
    しかし, 今回耐性菌に対する抗菌力において既存のMLsとはやや性質を異にする新しいMLsであるTMS-19-Q (TMS)3)を試用する機会を得, 全国的な研究会を組織し臨床治験を実施した。その治療成績はTMS-l9-Q>O錠4)では急性中耳炎69.4%,急性副鼻腔炎80.6%, 急性扁桃炎85.7%, 急性咽頭炎76.0%の有効率が得られ, そして更に製剤改良がなされたTMS-19-Q>GC 錠3)では急性中耳炎78.0%, 急性副鼻腔炎81.8%, 急性扁桃炎92.4%, 急性咽頭炎80.0%とβ-Lactam剤に匹敵する良好な成績が得られた。そこで, その成績の背景を詳しく検討するためこれらの治験において一括分離同定し得た検出菌につき, 疾患別分類及びMLsに対する薬剤感受性について検討を行つたので報告する。
  • Josamycinを対照とする二重盲検試験
    小出 明美, 市川 朝也, 三辺 武右衛門, 築家 大介, 飯田 富美子, 木下 治二, 鈴木 秀明, 渋井 弘一, 調所 広之, 小林 一 ...
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1368-1388
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    TMS-19-Qは東洋醸造株式会社で開発された新しい16員環Macrolide系抗生物質で, Kitasamycinの一有効成分であるLeucomycinA5の3位水酸基を化学的にPropionyl化して得られた誘導体, 3ipropionylleuco-mycinA5である1)。
    本剤は, 既存のMacrolide系抗生物質とほぼ同様な抗菌スペクトラムを有し, 又, 抗菌力に関しては, 2~4倍優れていると共に一部のMacrolide耐性株に対しても抗菌力を示すと言う特徴を有する。又, 既存のMacrolide系抗生物質に比べ, 高い血中濃度が得られ, 更に製剤に緩衝作用をもたせたTMS-19-Q·GC錠は, 胃液酸度による吸収の個人差を軽減したものである2)。そのため本剤は, 既存薬の半量投与で有効であるとされている3)。
    本剤の基礎並びに臨床成績については, 第31回日本化学療法学会新薬シンポジウム (昭和58年6月, 大阪)において発表され, 耳鼻咽喉科領域感染症では80%以上の有効率が, 特に急性扁桃炎に対しては90%以上の有効率が認められている3)。
    今回, 我々はTMS-19-Q·GC錠の急性陰窩性扁桃炎及び急性炉胞性扁桃炎に対する有効性と安全性をより一層客観的に評価するために, 同じ16員環Macrolide系抗生物質であるJosamycin (JM) を比較対照薬とした二重盲検試験を実施, 検討したのでその成績について報告する。
  • Josamycinを対照とする二重盲検試験
    金子 明寛, 佐々木 次郎, 伝 春光, 成田 秀貴, 大村 光, 高井 宏, 阿部 裕哉, 河西 一秀, 中尾 薫, 石橋 克禮, 池嶋 ...
    1985 年 38 巻 5 号 p. 1389-1419
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    TMS-19-Qは東洋醸造(株)により開発された新しいマクロライド系抗生物質であり, Kitasamycinの一成分であるLeucomycin A5をPropionyl化して得られた, 半合成化合物である。既存の同系薬剤と同様に, その抗菌スペクトラムはグラム陽性菌, 嫌気性菌が主体であるが, 抗菌力は最小発育阻止濃度(MIC)で2~4倍優れており, 既存マクロライド耐性株の一部にも感受性を示す株が見い出される。又, マクロライド系抗生物質としては高い血中濃度が得られ, 更に, その製剤TMS-19-Q·GC錠は, 無酸症, 低酸症の患者では良好な血中濃度が得られないというマクロライド系経口剤の問題点を是正すべく製剤化がなされている。このような特徴を有する本剤は, 既存薬の約半量の1日600mgの投与で十分な効果が期待される。
    我々はすでに本剤の当科領域歯性感染症に対する有用性を確認しており, 1983年第31回日本化学療法学会新薬シンポジウムにおいてその成績を報告した。1日600mgの投与例を中心にした218症例において, 81.7%の有効率を得ている1)。
    今回, 更に客観的な評価を行うため, 同系抗生物質で当科領域においてその有用性がすでに確認されているJosamycin (JM) と二重盲検法による比較試験を実施したので, その結果について報告する。
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