The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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39 巻, 12 号
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  • 小林 宏行
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3129-3139
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフトリアキソン (Ceftriaxone, CTRX) はスイスのF. Hoffmann-La Roche社において合成された新しい注射用セファロスポリン系抗生物質である1)。基本骨格の7-Aminocephalosporanic acidの3位及び7位側鎖を種々化学修飾することにより抗菌活性が優れ, β-ラクタマーゼに安定で, 且つ既存の薬剤に例のない特異な薬動力学的特性をも兼ね備えたセフトリアキソンが合成された (Fig. 1)。
    CTRXはすでに米国, ヨーロッパをはじめ多くの国々で発売されているが, 血中濃度半減期が非常に長く, 且つ各組織への移行性が良好なことから, Table 1のように1日1回投与による治療が広く行われ, 良好な成績が得られている。
    本邦においては1981年から全国規模の研究会を組織し, 基礎的及び臨床的検討が開始され, その成績は翌年の第29回日本化学療法学会東日本支部総会において新薬シンポジウム2)として発表され, 本剤の有用性が評価された。
  • 小林 智, 高井 勝己, 井上 顕信
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3140-3147
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Astromicin (Fortimicin®, ASTM) は協和醗酵工業株式会社で発見されたMicromonospora olivasterospora MK70の産生するアミノ配糖体系抗生物質である1)。本剤は, 化学構造式中に新規アミノ糖であるFortamineを有し, 4位のアミノ基にGlycineがアミド結合している (Fig. 1)。グラム陽性菌及びグラム陰性菌に広範なスペクトルを有し, 特にセラチア属, プロテウス属, エンテロパクター属, シトロバクター属に対しては強い抗菌力を示す。又, Gentamicin耐性菌をはじめ, 各種アミノ配糖体系抗生物質耐性菌に有効であるがPseudomonas aeruginosaに対しては抗菌力がやや弱い2, 3)。
    抗菌スペクトルの拡大, 抗菌力の増強, 耐性菌出現の防止及び副作用の軽減などの目的で, 作用機作の異なる2種以上の抗生物質の併用療法がしばしば行われる。その中でもアミノ配糖体系抗生物質とβ-ラクタム系抗生物質との併用は最も多く行われ, 良好な治療効果が得られている4)。ASTMにおいても抗緑膿菌活性を有するβ-ラクタム系抗生物質との併用が検討され抗菌力の著しい増強が認められ5, 6), 臨床での成果が期待されている。しかし, 併用時の各薬剤個々の体内動態に関する報告は多くない7~9)。
    我々はASTMとβ-ラクタム系抗生物質併用時の各薬剤の体内動態を知るために感度及び精度の高いHigh performance liquid chromatography (HPLC) による血漿 (清) 中各薬剤分別定量法を確立するため検討を行つた。先ず併用薬剤としてCefsulodin (CFS) を選びHPLCによる定量法を検討し良好な結果を得たので報告する (Figs. 1, 2)。
  • 小林 智, 高井 勝己, 増田 智枝, 井上 顕信
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3148-3155
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Astromicin (Fortimicin®, ASTM) は, 協和醗酵工業株式会社で発見された新規アミノ配糖体系抗生物質である1)。抗菌スベクトルの拡大, 抗菌力の増強, 耐性菌出現の防止及び副作用の軽減などの目的でアミノ配糖体系抗生物質とβ-ラクタム系抗生物質との併用は広く行われ良好な治療効果が得られている2)。ASTMにおいても抗緑膿菌活性を有するβ-ラクタム系抗生物質との併用が検討され抗菌力の著しい増強が認められている3, 4)。
    しかしながら併用時の各薬剤個々の体内動態に関する報告は多くない5, 6)。
    我々はASTMとβ-ラクタム系抗生物質併用時の各薬剤の体内動態を知るために感度及び精度の高いHigh performance liquid chromatography (HPLC) による血漿 (清) 中各薬剤分別定量法を確立するため検討を行つた。Cefsulodin (CFS) についで併用薬剤としてCefoperazone (CPZ) を選びHPLCによる定量法を検討し良好な結果を得たので報告する (Figs. 1, 2)。
  • 小林 智, 高井 勝己, 増田 智枝, 井上 顕信
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3156-3163
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Astromicin (Fortimicin®,ASTM) は協和醗酵工業株式会社で発見された二糖類の新規アミノ配糖体系抗生物質である1)(Fig. 1)。抗菌スペクトル拡大, 抗菌力増強, 耐性菌出現防止及び副作用軽減等の目的でアミノ配糖体系抗生物質とβ-ラクタム系抗生物質との併用は基礎, 臨床の場で広く検討され, 良貯な成績が得られている2)。ASTMにおいても抗緑膿菌活性を有するβ-ラクタム系抗生物質との併用が検討され抗菌力の著しい増強が認められている3,4)。しかし併用薬剤個々の体内動態に関する報告は多くない5, 6)。
    我々はASTMとβ-ラクタム系抗生物質併用時の各薬剤の体内動態を知るために高感度で且つ高精度のHigh performance liquid chromatography (HPLC) による血漿 (清) 中各薬剤分別定量法を確立するために検討を行つた。Cefsulodin (CFS)7)及びCefoperazone (CPZ)8)についで, 併用薬剤としてPiporacillin (PIPC)(Fig.2) を選びHPLCによる定量法を検討し, 良好な結果を得たので報告する。
  • 第1報マウス, ラット及びイヌにおける急性毒性試験
    守野 豊彦, 佐野 光一, 原 ひとみ, 本山 径子, 飯塚 和彦, 原 利己, 松本 一彦, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3164-3178
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) のマウス, ラヅト及びイヌにおける急性毒性試験をAmikacin (AMK) 及びGentamicin (GM) と比較検討し, 以下の結論を得た.
    1. LD50
    (1) マウス, ラットともLD50値に雌雄差はみられなかつた.
    (2) 投与経路によるLD50値は静脈内投与が最も小さく, 次いで腹腔内, 筋肉内, 皮下及び経口投与の順に高くなつた.
    (3) LD50値をAMKと比べるとマウスの静脈内投与ではHAPA-BはAMKの約1.3倍でGMの約5倍, 筋肉内投与ではAMKの約2倍, GMの約7倍であつた. 又, ラットの場合は静脈内及び筋肉内投与ともHAPA-BはAMKとほぼ等しく, GMの約4倍であつた.
    (4) 経口投与によるLD50値はマウス, ラットとも5,000mg/kg以上であつた.
    2. 一般症状はマウス,ラ ット及びイヌとも各投与経路において運動抑制, 脱力, 呼吸困難, 痙攣がみられた.
    3. 死亡原因はいずれの動物においてもアミノ配糖体系抗生物質に共通にみられる呼吸麻痺であつた. 一方, ラットの皮下及び筋肉内投与により, 投与数日後に死亡した動物の死因は腎障害によるものであつた.
    4. イヌの血清生化学的検査では, 生存例の投与後14日目の検査で静脈内及び筋肉内投与とも尿素窒素, クレアチニンの上昇がみられた.
    5. 剖検では, いずれの動物においても腎臓の褪色及び肥大がみられ, 更に, ラットでは盲腸の肥大が散見された.
    6. ラットにおいて, 肉眼的に腎臓の褪色及び肥大の認められた腎臓の病理組織学的検査では, 尿細管上皮細胞の剥離, 壊死及び石灰化がみられた. 又, イヌにおける生存例では, 尿細管の萎縮拡張, 好酸性顆粒状変性及びボーマン嚢拡張などが観察された.
  • 第2報ラットにおける筋肉内投与による亜急性毒性試験
    守野 豊彦, 遠藤 晴子, 白岩 和己, 佐野 光一, 三浦 昌己, 松本 一彦, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3179-3200
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) を雌雄ラットに28日間連続筋肉内投与し, その毒性を検討した。1日の投与量は12.5, 25, 100mg/kg及び300mg/kgとした。又, 同系薬剤のAMKを25mg/kg及び100mg/kg筋肉内投与し, その毒性発現について, HAPA-Bと比較検討した。
    1. HAPA-B, AMKとも死亡例は認められず, 一般症状においても投与部位の出血以外, 異常はみられなかつた。
    2. HAPA-B300mg/kg群の雌雄に体重及び摂餌量の減少がみられた。又, 摂水量の増加がHAPA-B300mg/kg群, AMK100mg/kg群の雄にみられた。
    3. 血液学的検査ではいずれの検査項目においても異常はみられなかつた。
    4. 血清生化学的検査では, HAPA-B300mg/kg群及びAMK100mg/kg群で尿素窒素ないしクレアチニン値の上昇を示す個体が散見され, 更に両薬剤で投与部位の筋肉障害によると思われるGOTの上昇が投与量に関係なく散見された。
    5. 尿定性試験では, いずれの検査項目においても異常はみられなかつた。
    6. 肉眼的所見では, 対照群を含む全群で投与部位における出血及び炎症がみられた。更に, HAPA-B, AMK とも100mg/kg群から腎臓の肥大, 褪色がみられた。
    7. 臓器重量では雌雄ともHAPA-B100mg/kg及びHAPA-B300mg/kg, AMK25mg/kg及びAMK 100mg/kg群で腎臓及び盲腸重量の増加, 又, HAPA-B300mg/kg群では副腎の相対重量増加がみられた。
    8. 病理組織学的検査では, HAPA-B25mg/kg群から近位尿細管上皮細胞において軽微な好酸性穎粒状変性ないし腫大がみられ, 100mg/kg群では, 近位尿細管上皮細胞の変性, 壊死が認められ, 更に, 300mg/kg群では尿細管上皮細胞の扁平化, 再生像, 尿細管腔の拡張などがみられた。なお, AMK投与群では, これらの像はより強い変化でみられた。又, 雌でも雄とほぼ同様な変化が認められたが, その程度は雄より軽度であつた。又, 電子顕微鏡所見ではHAPA-B, AMKとも尿細管上皮細胞の一部において, 刷子縁の消失がみられ, 更にミエリン様小体を豊富に有するライソゾーム穎粒の増加が認められた。腎臓以外の臓器では雌雄とも投与部位で筋線維の石灰化等が観察された。
    9. 以上の結果, HAPA-Bの毒性は他のアミノ配糖体系抗生物質と同様に腎障害であるが, その程度はAMKより弱く, 本試験における無影響量は腎障害のみられない12.5mg/kgと推定した。
  • 第4報イヌにおける筋肉内投与による亜急性毒性試験
    中西 大介, 佐野 光一, 飯塚 和彦, 三浦 昌己, 守野 豊彦, 松本 一彦, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3201-3244
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規アミノ配糖体系抗生物質である硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) のイヌにおける亜急性毒性試験を実施した。投与量はHAPA-Bが6.25, 25mg/kg及び100mg/kg, 対照薬として用いたAmikacin (AMK) が25mg/kg及び100mg/kgで, いずれも30日間筋肉内投与し, 以下の結果を得た。
    1. 死亡例はHAPA-B投与では認められなかつたが, AMK100mg/kg群の雌1例が食欲廃絶, 嘔吐, 起立不能を示したため投与29日目に切迫屠殺した。
    2. 血液学的検査において異常は認められなかつた。
    3. 血清生化学的検査ではAMK100mg/kg投与群の3例にBUN及びクレアチニンの上昇が認められた。
    4. 尿検査においてHAPA-B, AMK共にNAG及びγ-GTPの上昇が25mg/kg群から用量相関をもつて認められた。
    5. 肉眼的所見で, 腎臓の褪色あるいは肥がHAPA-B, AMK共に, 100mg/kg群において認められた。又, 投与部位筋肉における出血あるいは浮腫が, HAPA-B, AMK共に25mg/kg群から認められた。
    6. 腎臓の絶対重量増加がAMK100mg/kg群に, 相対重量増加がHAPA-B及びAMKの100mg/kg群に認められた。
    7. 病理組織学的検査において薬剤投与に起因すると思われる病態豫は, 腎臓及び投与部位筋肉にみられた。腎臓においては尿細管及び尿細管上皮細胞の種々な変化が, HAPA-B, AMK共に25mg/kg群から用量相関をもつて認められたが, 尿細管上皮細胞の剥離及び壊死はAMK 100mg/kg群においてだけ認められ, HAPA-B投与群では認められなかつた。これらの変化の中で, 特に尿細管上皮細胞の壊死は尿細管の最も高度な障害像と考えられるので, 腎毒性の程度はHAPA-B100mg/kg群ではAMK 100mg/kg群に比較して弱いと判定される。
    投与部位ではHAPA-B, AMK投与群共に出血, 浮腫をはじめとする炎症性変化がみられた。
    8. HAPA-B 6.25mg/kg群では, 諸検査において薬物により惹起されたと思われる変化が認められないため, 本試験におけるHAPA-Bの無影響量は6.25mg/kgと推定した。
  • 第7報ラットにおける筋肉内投与による慢性毒性試験
    藤井 博子, 白岩 和己, 三浦 昌己, 守野 豊彦, 松本 一彦, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3245-3282
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) を雌雄ラットに6ヵ月間連続筋肉内投与し, その毒性を検討した。1日の投与量は3.125, 6.25, 25mg/kg及び100mg/kgとし, 投与終了後2カ月間の回復試験も併せて行つた。又, 同系薬剤であるAmikacin (AMK) を25mg/kg及び100mg/kg筋肉内投与し, その毒性発現について HAPA-Bと比較検討した。
    1. HAPA-B, AMK共に死亡例は認められず, 投与部位筋肉の出血以外, 一般症状に変化はみられなかつた。
    2. HAPA-B, AMK共に100mg/kg群で体重の増加抑制並びに摂餌量の低下がみられた。又, AMKの雄 100mg/kg群で摂水量の著しい増加が投与期間及び回復期間共に認められた。
    3. 血液学的検査ではHAPA-B, AMKとも100mg/kg群で腎障害によると思われる赤血球数, ヘマトクリット値及びヘモグロビン量の減少がみられ, 更に, 投与部位の出血によると思われる血小板数の増加が認められた。なお, 回復試験においてもAMKの100mg/kg群ではこれらの変化が依然みられた。
    4. 血清生化学的検査ではHAPA-B, AMKとも100mg/kg群の雄で尿素窒素の上昇がみられ, 特に, AMK 投与群はHAPA-B投与群よりも著しく高い値を示し, 休薬後も回復は認められなかつた。又, AMK-100群ではクレアチニンの上昇も認められ, 休薬後も回復は認められなかつた。
    5. 尿検査ではHAPA-B, AMK共に100mg/kg群の雄で尿量の増加と尿比重の低下がみられた。更に, 尿中酵素の中でもNAGの排泄量の増加が雄は25mg/kg群から, 雌は100mg/kg群で認められた。なお, 回復試験ではHAPA-B, AMKとも休薬後, NAGの増加は認められなかつた。
    6. 肉眼的所見ではHAPA-B, AMKとも25mg/kg群及び100mg/kg群で腎臓の肥大, 褪色が認められた。なお, 100mg/kg群の回復試験では, これらの変化が依然みられた。又, 対照群を含む全群で投与部位の筋肉に出血及び炎症がみられた。
    7. 臓器重量はHAPA-B, AMK共に腎重量が25mg/kg群から, 盲腸重量が6.25mg/kg群ないし25mg/ kg群から用量相関をもつて増加した。なお, これらの変化は休薬により回復傾向を示した。
    8. 病理組織学的検査では25mg/kg群から, 近位尿細管上皮細胞の腫大, 空胞変性, 好酸性穎粒状変性, 尿細管腔の拡張, ボーマン嚢及び尿細管基底膜の肥厚等がみられ, 更に, 100mg/kg群では軽度な壊死がみられた。一方, 回復試験では壊死は消失し, 代りに石灰化及び再生像が多く認められた。又, HAPA-B, AMKとも観察した100mg/kg群の電子顕微鏡所見において, 近位尿細管上皮細胞の一部に刷子縁の消失がみられ, 更に, ミエリン様小体を有するライソゾーム穎粒の増加がみられた。投与部位の筋肉では対照群を含む全群で出血, 細胞浸潤, 筋線維の変性, 壊死等がみられ, 更に, 薬剤投与群では筋線維の石灰化や再生も観察された。これらの病変の程度はAMKの方がHAPA-Bより強く現れた。
    9. 以上の結果, 本実験におけるHAPA-Bの無影響量は腎障害のみられない6.25mg/kgと推定した。
  • 第1報ラットにおける筋肉内投与による妊娠前及び妊娠初期投与試験
    佐々木 眞敬, 川口 清美, 山田 初音, 小林 洋四郎, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3283-3290
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) の生殖試験として, ラットにおける筋肉内投与による妊娠前及び妊娠初期投与試験を行い, 次の結果を得た。
    1. 雄動物では100mg/kg及び200mg/kg投与群で体重増加の抑制が認められ, 剖検により腎臓の褪色及び肥大が観察された。
    2. 雌動物では100mg/kg及び200mg/kg投与群で体重の増加抑制が認められ, 剖検所見では200mg/kg投与群で腎臓の褪色が観察された。
    3. 薬剤投与された雌雄動物の交尾率, 授胎率及び妊娠率に異常は認められなかつた。
    4. 妊娠末期における解剖の結果, 200mg/kg投与群で黄体数の減少が認められたほか, 異常は認められなかつた。
    5. 妊娠末期生存胎仔における外表, 内臓及び骨格観察の結果, HAPA-B投与によると思われる異常は認められなかつた。
    6. 本試験におけるHAPA-Bの無影響量は, 親動物に対しては体重の減少が認められない25mg/kgであり, 生殖能力及び胎仔に対しては100mg/kgであつた。
  • 第2報ラットにおける筋肉内投与による胎仔の器官形成期投与試験
    佐々木 眞敬, 川口 清美, 山田 初音, 小林 洋四郎, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3291-3310
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいアミノグリコシド系の抗生物質である硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) の25, 100mg/kg及び200mg/kgをラットにおける胎仔の器官形成期に筋肉内投与して, 親動物, 妊娠末期胎仔及び新生仔に対する影響を検索し次の結果を得た。
    1. 妊娠末期観察試験における200mg/kg投与群親動物で, 摂餌量の抑制が認められ, 剖検で数例に腎臓の褪色が観察された。
    2. 妊娠末期胎仔に対するHAPA-Bの影響はみられなかつた。
    3. 生後観察試験では, 親動物の腎臓に妊娠末期観察試験と同様の変化が認められたが, 分娩及び哺乳に関して
    4. 新生仔の発育, 行動及び生殖能力において有意な変化が散見されたが, 用量相関を示すこともなく, HAPA-B の影響は認められなかつた。
    5. 本試験におけるHAPA-Bの無影響量は親動物に対しては100mg/kg, 胎仔又は新生仔に対しては200mg/kgであつた。
  • 第4報ラットにおける筋肉内投与による周産期及び授乳期投与試験
    久保 田宏史, 須田 真理子, 山田 初音, 小林 洋四郎, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3311-3328
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) は, 米国のSchering社で発見された新規の半合成アミノグリコシド系の抗生物質である1)。今回, 著者らはHAPA-Bの安全性試験の一環として, ラットにおける筋肉内投与による周産期及び授乳期投与試験を行ったので報告する。
  • 中野 雄司, 新見 勇, 小林 洋四郎, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3329-3340
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) は米国Schering社で発見された新規の半合成アミノグリコシド系の抗生物質である1)。今回, 著者らはHAPA-Bの免疫原性, 誘発原性をGentamicin (GM) を対照物質として, ウサギ, モルモット及びマウスを用いて検討したので報告する。なお, 本試験は昭和58年9月から昭和59年10月の期間に行った。
  • 園 明, 小柳出 貴巳子, 小林 洋四郎, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3341-3348
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン [Isepamicin, 1-N-(S-3-Amino-2-hydroxypropionyl)-gentamicin B sulfate, 以下HAPA-Bと略す1は, 米国Schering社において合成された1) Aminoglycoside系抗生物質で, グラム陰性菌, 特にGentamicin (GM) やTobramycin (TOB) 耐性菌に対しても有効である。又, 臨床においてAminoglycoside系抗生物質を用いる際に問題となるのは, Streptomycin (SM) に代表される腎毒性と第8脳神経系障害であるが, HAPA-Bはこの点においても既存のAminoglycoside系抗生物質に比べて低毒性を示す優れた抗生物質である。
    今回, これらの優れた特性を持つHAPA-Bを医薬品として開発するに当り, 我々はその遺伝学的な安全性を確認する目的で, 数種の変異原性試験を実施したので, その結果をここに報告する。
  • 小柳出 貴巳子, 園 明, 小林 洋四郎, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3349-3352
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) は, ゲンタマイシンBの1-NH2にβ-Amino-α-hydroxypro-pionic acid (HAPA) を結合させ得られたアミノ配糖体系抗生物質で, 化学名は1-N-(S-3-Amino-2-hydroxypro-pionyl)-gentamicin B sulfateである。
    広い抗菌スペクトルを有するアミノ配糖体系抗生物質のなかでもHAPA-Bは, その強い抗菌力1, 2) と共に実験動物に対する毒性の低いこと, 耐性菌の分離頻度の低いこと3) などの特色から新規抗生物質として期待されている。
    前報で我々は, HAPA-Bの細菌を用いる復帰変異試験を行ったが, その強い抗菌性のため, 高濃度域での試験が実施不可能であった。そこで本報では, 高濃度域での安全性を確認するために, HAPA-Bの突然変異誘発頻度試験を行ったのでその結果を報告する。
  • 小平 輝朋, 矢野 譲次, 小林 洋四郎, 山本 宏
    1986 年 39 巻 12 号 p. 3353-3368
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸イセパマイシン (Isepamicin, HAPA-B) は, 米国Schering社で発見された新規の半合成アミノグリコシド系抗生物質である (Fig. 1)1)。今回著者らは, ウサギを用いてHAPA-Bの筋肉及び血管に対する局所刺激性試験を行ったので報告する。
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