The Japanese Journal of Antibiotics
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39 巻, 5 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • KATSURO TOMITA
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1219-1227
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Experimental chemotherapy using high-dose methotrexate (MTX) with citrovorum factor (CF) was performed on ddN strain mice bearing 89Sr-induced osteosarcoma and the antitumor efficacy was analyzed through autoradiography ([3H]thymidine). The administration was done using sustained infusion via the tail vein using our own device to maintain certain elevated blood levels of the drugs. As the first experiment, MTX was administered to 4 different groups of mice with dose levels of 250, 500, 1,000, 2,000 mg/kg for 6 hours followed by CF 200 mg/kg for 24 hours. It was found that the blood levels of MTX were maintained at 10-4M by the dosage of 500 mg/kg, but no higher levels were achieved by increasing dosage. Tissue such as the small intestine and the bone marrow recovered from the toxicity of MTX in about 1 week after the dosage of 500 mg/kg. In tumors, on the other hand, the tissue showed a gradual recovery with time, but the uptake of [3H]thymidine by the tissue was not restored to the pretreatment level. When the antitumor efficacy of a single dosage of 1,000 mg/kg and 2 dosages of 500 mg/kg each with 1 week interval were compared, the latter was definitely more effective. It was, therefore, concluded that the administration of the drugs should be done repeatedly with optimum doses of MTX and CF rather than with ultrahigh doses of MTX and CF all at once.
  • KATSURO TOMITA, AKIO YOKOGAWA
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1228-1233
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Human tumor colony-forming assay for the efficacy of antitumor agents, established by SALMON and HAMBURGER, has become the subject of vigorous investigations because of its close correlation to the clinical course in cancer patients. However there are yet no reports of this assay being applied to sarcoma of bone which is difficult to cultivate. To find out if this assay is useful or not for malignant bone tumors, especially osteosarcoma, 10 specimens obtained through biopsy, resection or thoracotomy were employed in the colony-forming assay. While 7 samples showed colony forming ability, the sensitivity tests were possible only in 3 specimens because of low rates of colony formation. The results of the 3 sensitivity tests corresponded appreciably to clinical courses of the patients; hence this assay seemed useful in planning a chemotherapeutic schedule for the treatment of osteosarcoma.
  • 陳 茂楠, 吉田 大蔵, 今屋 久俊, 中沢 省三
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1234-1236
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    脳神経外科領域における術後の抗生剤投与は術後の髄膜炎の予防, 治療という点において重要である。Mezlocillin (以下MZPCと略す) は殺菌作用の強いペニシリン誘導体として開発され, グラム陽性, 陰性菌に対し広い抗菌スペクトルを有していると共に髄液中移行がよいと言われている。今回我々はMZPCの髄液中移行について検討したので報告する。
  • 新井 俊彦
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1237-1240
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ブドウ球菌はペンジルペニシリン (PCG) が著効を示す細菌種であったが, ペニシリンの多用に伴って, ペニシリナーゼプラスミドを持ったPCG耐性菌が増加し, 特に院内感染菌株のほとんどはPCG耐性化するに至っている1)。そこで, これらの耐性菌に対処するために, ペニシリナーゼ (PCase) によつて不活化され難いメチシリン (DMPPC) を始めとする半合成ペニシリンが導入された。しかし, DMPPCの導入はすぐにDMPPC耐性菌の出現をよんだ2)。しかもこれらの耐性菌はペニシリン系薬剤の標的タンパクであるペニシリン結合タンパク (PBP) に変異を持つ株であることが明らかにされた3, 4)。
    セファロスポリン系薬剤は, ペニシリン系薬剤と同様にべータ・ラクタム環構造を持ち, 同じくPBPを標的にする抗生剤であるが, PCaseには抵抗性であり, PCGほどではないがブドウ球菌に対しても抗菌力を示す。これらセフェム系薬剤では, 本来の標的であるグラム陰性菌に対して抗菌活性を高める改良が加えられたが, それらは逆にグラム陽性菌に対する抗菌力を下げる効果となり, その多用は生体内でグラム陰性菌に対するグラム陽性菌の比率を高め, 感染起因菌でもグラム陽性菌を増やす結果になっている5)。
    しかし, 最近セフェム剤でブドウ球菌に対する抗菌力を改善したものが開発されている。そこで, それらの一つであるCefuzoname (CZON) のDMPPC耐性ブドウ球菌(MRS)に対する抗菌活性を, 代表的セフェム剤と比較しながら最小発育阻止濃度 (MIC) によって調べた。
  • Latamoxefの心嚢液, 右心耳移行濃度の検討
    松浦 雄一郎, 田村 陸奥夫, 山科 秀機, 肥後 正徳, 藤井 隆典, 山本 正治, 島本 博幸, 山田 秀雄, 尾熊 隆嘉, 島村 健治
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1241-1249
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 麻酔, 人工心肺装置, 外科技術及び術後管理の著しい進歩により, より複雑な心内整復が可能となりつつあるが, これに術後感染が伴うと, その手術は無効となり, むしろ臨床症状は悪化することともなりかねない。
    すなわち, 開心術においてはこと更に術後の感染症予防が重要であるというわけである。
    周知のように, これまで多くの抗生剤が開発され, 心臓外科領域においても, それなりの効果が認められてきているが, この度Oxacephem系第3世代と言われるLatamoxef (LMOX, Siomarim(R)) の開心術術後感染予防に関し, 基礎的検討を行ったのでここにその結果の一端を報告する。
  • 特に血液疾患に合併する感染症を中心として
    河村 節子, 坂田 優, 千葉 陽一, 吉田 豊, 金沢 鉄男, 河津 俊太郎, 柘植 光夫, 田辺 和彦, 奈良 秀八洲, 相沢 道郎, ...
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1250-1258
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceflnenoxime(CMX, Bestcall® )は武田薬品中央研究所が開発した, いわゆる第3世代のセフェム系抗生物質である。その抗菌スペクトラムは, セラシア属, エンテロバクター属, バクテロイデス属にまで拡大されたことが特徴と言われている。
    今回, 弘前大学第1内科及び関連病院で血液疾患に合併した感染症及び内科領域の感染症に対して本剤を使用する機会を得たので, 臨床効果を中心に報告する。
  • 正田 裕一, 松山 四郎, 宝田 彰, 新井 昌明, 長島起 久雄, 中野 眼一, 中村 卓次, 神坂 幸次, 松沢 達治, 吉野 豊明, ...
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1259-1272
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    胆道感染症の初期治療において, 抗生剤の投与は必要欠くべからざるものである. そして, 抗生剤の選択にあたっては, 胆汁中への移行が良好な抗生剤を選択することが基本条件とされている。
    急性胆嚢炎症例のうち胆嚢管閉塞例など肝胆汁が胆嚢に流入していない症例では, いかなる機序で抗生剤が作用するのか, 又, 閉塞性黄疸に伴う胆管炎の際には, 胆汁中に抗生剤がどの程度排泄されているのかを把握することは興味ある問題である。
    今回, 我々は胆道感染症の主要分離菌に強い抗菌力を有し, 且つ胆汁中への移行が極めて良好であると言われているCefmenoxime (以下CMX, Bestcall® )1)及びCefbtiam (以下CTM, Pansporin® )2)について, 胆汁中及び胆嚢組織内への移行性を検討し, 若干の興味ある成績を得たので報告する。
  • 遠藤 富士乗, 松井 宣夫, 渡部 恒夫, 新井 貞夫, 斉藤 雅人, 飯島 一彦, 安東 昌夫, 宇津 木誠
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1273-1278
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近手術術式の進歩や術前術後の管理の進歩によつて手術適応が著しく拡大され, 整形外科領域においても関節の広範囲の切除や人工関節置換術など過大な手術侵襲が加えられるようになつた。しかし, 骨組織及び関節は血液循環が乏しいために一旦感染が成立すると慢性化する傾向にあり, 更に続発する関節の変形・機能障害など難治化する例が多い。事実, 栄養状態の向上に伴い血行性骨髄炎が減少している反面, これらの手術適応の拡大により, 開放性骨折や人工関節の手術に伴う外因牲の感染は相対的に増加の傾向にある1)。このような状態を回避するために, 従来の無菌操作と共に抗生物質による感染予防の効果も検討されている2-4)。
    近年多くの施設で抗生物質の組織移行性の研究が行われているが, 骨髄という特異な器官に関する研究は未だ十分とは言い難い。又, 従来の抗生物質による耐性菌の増加, 更に起炎菌としてグラム陰性桿菌が増加している現在, グラム陽性菌から陰性菌まで広範な抗菌スペクトラムを有し, 且つ抗菌力の強いと言われているセフェム系抗生物質Cefotaxime (CTX, Clafbran® ) の骨髄への移行を検討することは, 感染予防だけではなく, 治療面からみても有益であると考えられる。
    今回, 我々はCTXの骨髄血への移行濃度を測定し若干の知見を得たので報告する。
  • 藤井 良知, 目黒 英典, 有益 修, 田村 健一, 比留間 藤昭, 堀 誠, 豊永 義清, 杉田 守正, 久野 邦義, 岩井 直一, 種田 ...
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1279-1296
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年の経口用, 静注用抗生剤のめざましい開発の中にあつて, 抗生物質坐剤の開発は, 特に小児科領域を中心としてその必要性が指摘されていたにもかかわらず, 有効性, 安全性共に優れる抗生物質坐剤が臨床に供されることはなかつた。これは, 直腸投与では難吸収性であるβ-Lactam剤の吸収を促進させ, 安全性にも問題のない坐剤基剤の開発が困難であつたことによる。しかし, 最近, カプリン酸ナトリウムを吸収促進剤として含有するAmpicillin (ABPC) 坐剤が市販され, 抗生物質坐剤開発の新たな道を開いた。
    Ceftizoxime坐剤 (CZX-S)は, いわゆる第5群β-Lactam剤である1) Ceftizoxime (CZX) を主薬とする坐剤で, ABPC坐剤と同様の基剤を有し, 直腸吸収性に優れている。本剤の小児科領域における体内動態及び一般臨床試験成績は, すでに報告しているが2), 小児肺炎及び尿路感染症などの主要疾患における有効率はいずれも95%以上であり, 本剤はCZXの優れた抗菌力, 抗菌スペクトラム及び坐剤製剤としての剤型上の有用性を有する薬剤として, 呼吸器感染症及び尿路感染症など小児の細菌感染症の治療に新しい治療法を提供するものである。
    今回我々は, 小児科領域における本剤の臨床上の位置付けを更に検討するため, 小児細菌性肺炎を対象として, CZX注射剤を対照薬剤とした封筒法によるRandomized trialを実施したので, その成績を報告する。
  • 杉山 博子, 羽田野 徹夫, 高柳 きよみ, 青山 久, 菊地 康博
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1297-1301
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セファマイシン系抗生物質製剤であるCefotetan (CTT, Yamatetan®,山之内製薬) を9人の患者に対し体重kgあたり50mg One shot静注した際の皮膚浸出液中への移行を調べた。
    血清中CTT濃度は, 静注後30分で274.3μg/ml (平均値) に達し, 以後漸減し8時間後には30.0μg/mlとなつた。これに対し, 皮膚浸出液中CTT濃度は, 投与1時間後に143.1μg/mlの最高濃度に達し, 8時間後にもなお25.7μg/mlのCTTが存在した。
  • 第3報使用抗生剤と予後との関連
    藤井 良知, 西村 忠史
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1302-1312
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本邦48施設の協力を得た1980~1984年間の入院小児敗血症患児についてのアンケート調査の内, 年度, 年齢, 性別頻度と原因菌の推移並びに本症予後, 基底疾患, 合併症についての解析は, 著者らの一人西村が行つた1975~1979年間の同様の調査データとの比較を加えてすでに報告した1, 2)。
    今回は, この調査期間は本邦における抗生剤の消費傾向についてもその内容に著明な変化がみられている3)ので, 化学療法との関連において解析を行つた。
  • 第4報原因菌別抗生剤療法と予後について
    藤井 良知, 西村 忠史
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1313-1320
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本邦48施設の協力を得て行つたアンケートによる敗血症の調査のうち, 使用抗生剤の現況並びに予後との関係についてはすでに報告した。
    今回は各起炎菌別に単剤又は抗生剤の併用の状況を分析し, 予後との関係を検討したので報告する。
  • HIROSHI FUJITA, KATSUI OGAWA, HIROSHI TONE, HIROSHI IGUCHI, TOMOKO SHO ...
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1321-1336
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The following paragraphs summarize the properties of ADR, THP and ACR in terms of their pharmacokinetics.
    1. The blood level of anthracyclines shows a three-phase function of decline: α, β and γ phases. Compared with other classes of anticancer agents, the anthracyclines are characterized by an extremely short T1/2 (α) and an extremely long T1/2(γ). These characteristics reflect the facts that anthracyclines are rapidly transferred to the tissues and that they are retained for a long time in the body. In comparison with ADR, the T1/2 (α) of THP is relatively short and T1/2(α, β and γ) of ACR are also short.
    2. Anthracyclines show large values for K12 and K18, transfer rate constants of the drug from the blood to the tissues, and small values for K21 and K31 transfer rate constants of the drug from the tissues to the blood. This means that these drugs are rapidly transferred to the tissues, from which they are then slowly released. The order of magnitude of K12 and K13 was THP>ACR>ADR. The order for K21 and K31 was ACR>THP>ADR.
    3. Anthracyclines are also characterized by small distribution volumes (V1) in the blood circulation, and very large distribution volumes (V2 and V3) in the tissue compartments. The order of magnitude for V2 and V3 was THP>ADR>ACR.
    4. Anthracyclines achieved high concentrations in such thoracic and abdominal organs such as lung, heart, thymus, liver, kidney, spleen and digestive tract. ADR showed the highest levels in liver and kidney, while THP and ACR showed their highest concentrations in lung and spleen. A decrease in the drug concentration in various organs is slow in the case of ADR, while rapid in the cases of THP and ACR. Most of the distributed drug is the unchanged form with ADR, whereas metabolites are common with ACR. THP is partially converted to ADR in liver.
    5. Anthracyclines were usually excreted over a long period of time at a high rate in the bile and at a low rate in the urine.
    6. Orally-administered ACR showed considerably good absorption from the digestive tract.
    7. The metabolism of anthracyclines was carried out in vivo and resulted in the formation of bioactive glycoside metabolites and inactive aglycone metabolites.
    8. In vitro studies employing liver tissue homogenates, revealed that the degradation of ADR and THP was small, whereas the degradation of ACR was rapid and extensive. The metabolism of ACR occurred most strongly in the liver homogenate, followed in order of intensity by the kidney, heart and testis homogenates.
  • 前田 康子, 千石 一雄, 牟禮 一秀, 山下 幸紀, 清水 哲也
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1337-1341
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Thienamycin (THM) の誘導体であるImipenem (MK-0787) は新しいβ-ラクタム系のカルバペネム系抗生物質であり, Clavulanic acid (CVA), Sulbactam (SBT) と並び, β-ラクタマーゼ阻害剤であるが, 腎においてDehydropeptidaseにより分解される欠点があつた。しかし, メルク社によつてこの酵素の阻害物質Cilastatin sodium (MK-0791) が合成された。そしてMK-0787とMK-0791の1:1合剤MK-0787/MK4791が, 新しいβ-ラクタム系抗生物質として開発された。
    本剤はいわゆる第3世代セフェム系抗生物質が, 抗菌力において劣る, ブドウ球菌, 腸球菌, ブドウ糖非発酵菌などのグラム陰性菌にもつよい抗菌性を示し, Pseudomonas aeruginosaにも有効性を示している。
    今回, 著者らはMK-0787/MK-0791の産婦人科領域における有効性確認のため, 本剤投与後の肘静脈血, 子宮動脈血漿中濃度及び子宮付属器及び子宮各部位における組織内濃度を測定し, それらについて検討したので報告する。
  • 組織内移行及び臨床的効果について
    大桃 幸夫, 丸橋 敏宏, 花岡 仁一, 源川 雄介, 湯沢 秀夫, 徳永 昭輝, 高橋 威, 笹川 重男, 竹内 正七
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1342-1349
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem (MK-0787) はStreptomyces cattleyaから得られたカル11バペネム系抗生物質であり, 米国メルク社により合成されたものである1)。生体内での安定性と腎毒性を抑える目的でCilastatin sodium (MK-791) との合剤の形状をとりImipenem/Cilastatin sodium (以下MK-0787/MK-791と略す) として臨床試用されている (図1)。
  • 岩瀬 一, 瀬戸 裕, 穂垣 正暢, 荒井 清
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1350-1358
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem/Cilastatin sodium (MK-0787/MK-0791) は, 米国メルク社で開発されたβ-ラクタム系抗生物質配合剤である。
    MK-0787は, CarbaPenem系抗生物質であり, Fig. 1に示すような構造式を持ち1), グラム陽性, グラム陰性の広範囲の菌種に対し強い抗菌力を示す。又, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対して極めて安定である2~5)。しかしMK-0787は生体内で主として腎におけるDehydropeptidase-Iにより水解不活化される。MK-0791 (Fig. 2) はこの酵素の選択的阻害剤であるが抗菌活性は有しない。MK-0791をMK-787と1:1に配合することにより, MK-0787の尿中回収率が最高に達し且つ動物実験においてみられた腎毒性も消失することが認められた6)。
    我々は婦人性器各組織内へのMK-0787/MK-0791の移行を検討すると共に, 産婦人科領域の感染症に使用し, 臨床的効果及び安全性の検討を行つたので報告する。
  • 張 南薫, 福永 完吾, 國井 勝昭
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1359-1371
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem (MK-0787) は, 米国メルク社研究所において開発されたカルバペネム系抗生物質で, 好気性, 嫌気性の広範囲の菌種に強い抗菌力を示す。その抗菌作用は殺菌作用で, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対し安定である。しかし, 体内においては主として腎でDehydropeptidase-Iにより水解不活化される1, 2)。
    一方, Cllastatin sodium (MK-0791) は同じく米国メルク社において開発された選択的Renal-dipeptidaseの阻害剤であり, 抗菌力はないがDehydropeptidaseを選択的, 可逆的に阻害する1, 2)。
    MK-0787/MK-0791はこの両者の1:1の配合剤であり, 投与すると体内でMK-0791によつてDehydropeptidaseを阻害するため, MK-0787の抗菌活性を期待できることとなる。又, MK-0787の腎毒性が軽減するとされている1, 2)。
    本剤については, 1984年12月, 第32回日本化学療法学会西日本支部総会, 新薬シンポジウムにおいて基礎的, 臨床的共同研究の成果が報告され, その効果が認められた2)。
    われわれもこのシンポジウムの一環として産婦人科領域で基礎的, 臨床的研究を行い, その成績を報告した5)。
    本報告は, その後産婦人科領域で行つた基礎的, 臨床的検討成績で, ここに結果を得たので報告する。
  • 小原 達也, 松井 幸雄, 野田 正和, 大岩 一彦, 飯田 晋也
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1372-1382
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem (MK-0787) は米国メルク社で開発されたCarbapenem系抗生物質で, Streptomyces cattleyaから得られたThienamycinのN-Formimidoyl誘導体である1~3)。MK-0787は図1のような構造式を持ち, グラム陽性, グラム陰性の広範囲の菌種に対し強い抗菌力を有し4, 5), 特にPseudomonas aeruginosaにCefsulodin (CFS) 及びCefbperazone (CPZ) より強い抗菌力を示し6), 従来のCephem系抗生物質が無効であつたEnterococcus faecalisに対しても強い抗菌力を示す。又, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対して極めて安定である。しかし, MK-0787は体内において主として腎におけるDehydropeptidase-Iにより水解不活化されるため7), この酵素の選択的阻害作用を有するが抗菌活性のないCilastatin sodium (MK-0791)(図2) が, 同じく米国メルク社において開発された2)。このMK-0791をMK-0787と1:1に配合することにより, MK-0787の尿中回収率が最高に達し, 且つ動物実験においてみられた腎毒性も軽減することが認められた。
  • 中西 彰, 日野 晃治, 島本 郁子, 一條 元彦
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1383-1387
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem (MK-0787) は, 米国メルク社研究所において開発されたCarbapenem系抗生物質でFig. 1に示す構造式を持ち, 以下の特徴を有している。1. グラム陽性, グラム陰性の広範囲の菌種に対し強い抗菌力を示す。2. β-Lactamaseに対し極めて安定で, 且つβ-Lactamase阻害活性を有する。3. 各種細菌に対して殺菌的に働く。4. 尿細管上皮でRenal dipeptidaseにより分解される。5. 動物実験でCephaloridineよりは弱いが, 腎毒性を示す。この4. に対処するため米国メルク社研究所が開発したのがFig. 2に示すCilastatin sodium (MK-0791) で, この特徴は以下のとおりである。1. 抗菌活性はない。2. Renaldipeptidaseを選択的可逆的に阻害する。今回検討したのは, MK-0787とMK-0791の1:1配合剤で, この製剤は, MK-0787の高い尿中回収率が得られると共に腎毒性の消失により安全性が高まるなどの特徴を持つ1)。
    今回, 著者らは本剤の産婦人科領域における臓器移行特性及び臨床効果につき検討し, いささかの知見を得たのでここに報告する。
  • 本郷 基弘, 清水 礼子, 栄 勝美, 高知 利勝, 多田 克彦, 谷 政明
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1389-1400
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem (MK-0787) は, 従来のβ-Lactam剤とは基本骨格を異にするCarbapenem系抗生剤であり, Fig.1に示すような化学構造式を持つ1)。各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定であり,Xanthomonas maltophiliaを除くほとんどのグラム陰性菌のほか, グラム陽性菌や嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示す。臨応用の製剤としては, MK-0787が生体内で主として腎におけるDehydropeptidase-Iにより加水分解され, 又, 腎障害を起す可能性があるため, その特異的阻害剤であるCilastatin sodium (MK-0791)(Fig.2) との1:1配合剤になつている2)。
    実地臨床の場で内性器感染症に対し抗生剤を使用する際, その選択の指標として,in vitroでの抗菌力が大切であることは勿論であるが, と同時に, 抗生剤の体内動態, 特に性器組織内への移行性も極めて重要な問題である。
    この度, 著者らは, 本剤の子宮及び付属器への移行性について検討したので, その成績について報告する。
  • 内藤 博之, 原 鉄晃, 赤木 武文, 正岡 亨, 工藤 美樹, 岩崎 恭子, 松尾 光将, 占部 武, 藤原 篤
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1401-1411
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年最も開発や研究が行われている抗生物質としてβ-ラクタム系抗生物質が注目されているが, その作用機序は, 細胞壁の合成阻害にあるとされており, 細菌に対して選択毒性を示し強い抗菌力を有し, 且つ安全性が高い薬剤として期待されている。
    米国メルク社により開発されたカルバペネム系のImipenem (MK-0787) は, Fig. 1に示す化学構造を有する第3のβ-ラクタム系抗生物質とも称されるThienamycinのN-Formimidoyl誘導体で臨床効果が期待されていたが, 主として腎臓においてDehydropeptidase-Iにより不活化され, 又, 動物実験において腎毒性 (Tubular necrosis) が認められ, その後の研究の進展が一時妨げられていた1~5)。ところが酵素の特異的阻害剤であるFig. 2に示す化学構造を持つCilastatin sodium (MK-0791)が開発され, MK-0787とMK-0791を1:1に配合することによりMK-0787の尿中回収率は高まり, 且つ腎毒性も消失することが明らかにされてきた1~5)。
    本剤は各種β-Lactamaseに対して極めて安定で一般にいわゆる第3世代セフェム系抗生物質では抗菌力の劣るブドウ球菌などのグラム陽性菌に対しても幅広く, 強い抗菌力を有する薬剤とされている6)。
    われわれは, 本剤を産婦人科領域の感染症に対して使用し, 若干の基礎的検討と臨床的検討を行つたのでその成績を報告する。
  • 平林 光司, 岡田 悦子
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1413-1425
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
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    新しいカルバペネム系抗生物質Imipenem (MK-0787) 及びMK-0787とRenal dipeptidase阻害剤Cilastatin sodium (MK-0791) の合剤, MK-0787/MK-0791について基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. MK-0787 500mg, MK-0787/MK-0791 500mg/500mgを30分間点滴静注した後の血漿中濃度は両群とも同様の傾向を示した。MK-0787/MK-0791投与群では約2時間後にMK-0787, MK-0791各々子宮動脈血漿中で6.8μg/ml, 3.2μg/ml, 肘静脈血漿中で8.4μg/ml, 4.7μg/mlであつた。又, MK-0787組織内濃度は投与終了205分後に0.8~3.8μg/gであり, 産婦人科領域において多く分離されるE. faecalis, E. coli, Klebsiella sp., Peptococcus sp., Peptostreptococcus sp., B. fragilisに対して十分発育を阻止する濃度を体内において維持するためには, 通常投与回数1日2回でやや不足のように考えられた。
    2. 産婦人科感染症18例 (子宮感染症12例, 骨盤死腔炎2例, 骨盤腹膜炎2例, 膣断膿瘍1例, 外陰膣膿瘍1例) とその他の感染症1例 (腹壁膿瘍) にMK-0787/MK-0791 500mg/500mgを1日2回朝夕に30分かけて点滴静注した。そのうち骨盤腹膜炎1例は基礎疾患重篤なため臨床効果判定から除外した。臨床効果は著効1例, 有効16例, 無効1例で有効率は94.4%であつた。
    3. 副作用は認められなかつたが, 臨床効果判定除外例1例においてGOT, GPTの一過性上昇が認められたが, 2週後までに正常に復した。
    以上の成績から, 副作用及び臨床検査に十分注意を払いながら, 症例によつては投与回数を増加することにより, なお一層の治療効果を期待し得るものと考える。
  • 土光 文夫
    1986 年 39 巻 5 号 p. 1427-1431
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem/Cilastatin sodium (MK-0787/MK-0791) は, ThienamycinのN-Formimidoyl誘導体であるImipenem (Fig. 1) と, Imipenemの腎での代謝を阻害し, 且つ腎毒性を軽減させる目的で合成されたCilastatin sodium (Fig. 2) の1:1の配合剤である1, 3)。本剤はグラム陰性菌は勿論のことであるが, いわゆる第3世代抗生剤が弱いとされている Enterococcus faecalis, Staphylococcus aureus等のグラム陽性菌に対しても優れた抗菌力を持ち, その臨床効果が期待されている1, 2)。
    今回われわれは, 本剤500mg/500mgを用いその産婦人科領域感染症に対する臨床的検討を行う機会を得たのでその結果を報告する。
  • 1986 年 39 巻 5 号 p. 1432-1435
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2013/05/17
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