The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
40 巻, 3 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 宇野 伸郎, 野坂 哲哉, 内山 哲, 川上 恵基, 星野 賢一郎, 森 美貴, 堀田 安則, 太田 千鶴子, 小林 透, 北 堅吉, 白川 ...
    1987 年 40 巻 3 号 p. 469-475
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    液疾患に合併した重症感染症例に対して, Amikacin (AMK), Cefbxitinの併用療法を試み, 有効性と安全性を検討した。有効性では11例中7例 (64%) の有効率を示し, 安全性では薬剤投与を中止しなければならないような副作用はみられなかつた。免疫能の低下した症例では常在化している弱毒菌が病原性を発揮するため, 培養検査でPseudomonasが常在するようになつた場合, AMKなどのアミノ配糖体系抗生物質をFirst choiceしなければならない。
  • 藤井 良知, 篠崎 立彦, 目黒 英典, 有益 修, 和泉 桂子, 小佐野 満, 老川 忠雄, 城 裕之, 砂川 慶介, 岩田 敏, 佐藤 ...
    1987 年 40 巻 3 号 p. 476-492
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児の尿路感染症を対象としAmpicillin坐剤 (KS-R1) の有効性及び安全性の比較試験を, Ampicillin (ABPC) ドライシロップを対照薬としてWell-control法により行つた。
    1. 年齢4カ月~11歳4カ月の尿路感染症を対象として, KS-R1125mg (力価), 1日4回を原則として5日間投与した。ABPCドライシロップもせ25mg (力価), 1日4回を原則として5日間投与した。
    2. 小委員会判定による有効性解析対象は, 対象外疾患等12例を除く105例であつた。両群の背景因子に差は認められなかつた。
    3. 総合臨床効果は有効率で坐剤群70.4%, 内服群66.7%と坐剤群で優れていたが, 両群間に有意差は認められなかつた。臨床効果を重症度別, 基礎疾患・合併症の有無別, 1日投与量別及び起炎菌別に検討したが, 両群の有効率に有意差は認められなかつた。
    4. 投与前自他覚症状及び尿路感染症の指標となる検査値の改善度において, いずれの項目も両群間で有意差は認められなかつた。
    5. 細菌学的効果は坐剤群, 内服群で主な起炎菌はEscherichia coli及びProteus mirabilisであり, 菌消失率は坐剤群65.9%, 内服群62.5%で, 両群間に有意差は認められなかつた。6
    6. 主治医により判定された, 臨床効果及び有用性に両群間に有意差は認められなかつた。
    7. 副作用は坐剤群12.1% (下痢6例, 疹痛1例), 内服群12.7% (下痢5例, 下機嫌1例, 嘔吐1例) で両群間に有意差は認められなかつた。臨床検査値異常は坐剤群で好酸球増多2件, GOT上昇2件, GPT上昇2件, 内服群では好酸球増多2件, 血小板増多2件, GOT上昇2件, GPT上昇1件であつた。
  • 酒井 敦史, 芹澤 和憲, 渡辺 真由美, 遠藤 里子, 鈴木 忠清, 森下 真孝
    1987 年 40 巻 3 号 p. 493-497
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ピー一グル犬にロキタマイシン (TMS-19-Q) を50 mg/kg絶食下経口投与し, TMS-19-Qの組織移行性を検討した。
    組織内濃度は投与後1~2 時間でピークに達し, その濃度は肝臓>腎臓>脾臓>肺臓>腸間膜リンパ節>心臓>扁桃>血清>前立腺>子宮>皮膚の順であり, 組織移行性は良好であつた。
    又, ピ一ク時における扁桃及び肺臓内濃度は血清中濃度の約1.1 倍及び1.4 倍であつた
  • I.ラット単回投与時の吸収, 分布, 代謝, 排泄
    鈴木 忠清, 酒井 敦史, 森下 真孝, 村西 昌三
    1987 年 40 巻 3 号 p. 499-518
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ロキタマイシン (TMS-19-Q) 経口投与後 (200mg/kg) の血液中濃度は投与後1時間で最高濃度に達し, 雄ラットで28.0±0-8μg/ml, 雌ラットでは24.9±2.0μg/mlであつた。
    濃度曲線下面積 (AUC, 台形法により算出) 及び最高血液中濃度において, 雌雄を比較したところ, 両者に差は認められなかつた。
    経口投与後 (200mg/kg) TMS-19-Qは良好に組織に移行し, 特に, 肝, 腎, 脾, 膵, 副腎, 脳下垂体, 甲状腺, 気管, 外涙腺, 顎下腺及び骨髄に高い移行性を示した。
    経口投与後 (200mg/kg) 72時間までに尿中へ8.0%, 糞中へ89.6%が排泄され, 総排泄率は97.5%であつた。
    十二指腸内投与後 (200mg/kg) 48時間までに尿中へ6.9%, 胆汁中へ36.2%が排泄された。腸肝循環について検討したところ, 胆汁から排泄された放射活性の再吸収はほとんど認められなかつた。
    吸収部位の検討において, TMS-19-Qは胃ではほとんど吸収されず, 小腸及び結腸において良好に吸収された。
    経口及び十二指腸内投与後の血漿中, 尿中及び胆汁中の代謝物を検索したところ, TMS-19-Qの主要な代謝反応は脱アシル化反応と水酸化反応であり, 10-OH-TMS-19-Q, LeucomycinA7, Leucomycin V及び14-OH-Leucomycin Vが主要な代謝物として検出された。
  • II. ラット連続投与時の吸収, 分布, 排泄
    鈴木 忠清, 酒井 敦史, 森下 真孝, 村西 昌三
    1987 年 40 巻 3 号 p. 519-530
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ラットに14C標識ロキタマイシン (TMS-19-Q) を200mg/kg/日, 28日間連続的に経口投与し, 蓄積性に関する検討をした。
    第1回, 14回及び28回投与後の最高血液中濃度及び投与後24時間の血液中濃度は, 投与回数が増すに従い上昇傾向を示したが, 第14回投与後と第28回投与後の差は顕著なものではなかつた。又, 血液中濃度の消失に及ぼす連続投与の影響はほとんど認められなかつた。
    一方, 比較的良好な親和性を示した肝, 腎, 脾, 副腎, 脳下垂体, 包皮腺, 甲状腺, 内涙腺及び骨髄において, 投与後1日における組織内濃度を比較すると, 第1回投与後の濃度に対して第14回投与後では2.6~6.1倍, 第28回投与後では3.2~6.8倍となり, 投与回数が増すに従い上昇傾向を示したが, 第14回投与後と第28回投与後との差はほとんど認められなかつた。すなわちTMS-19-Qは28日間連続投与しても, 第14回投与以降は定常状態を示し, 特に蓄積性はないものと判断された。
    尿及び糞へは投与期間中ほぼ一定に排泄され, 累積排泄率は最終投与後10日までにそれぞれ総投与量の8.0%及び93.8%となり, ほぼ100%が回収された。
  • III. ラットにおける胎盤通過性及び乳汁移行性の検討
    鈴木 忠清, 酒井 敦史, 森下 真孝, 村西 昌三
    1987 年 40 巻 3 号 p. 531-538
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    14C標識ロキタマイシン (TMS。19-Q) を用い, TMS-19-Qの胎盤通過性及び乳汁移行性について検討した。
    妊娠ラットに14C標識TMS-19-Qを経口投与 (200mg/kg) した場合, 投与後2時間で最高血液中濃度に達し22.8μg/mlであつた。
    組織へは良好な移行性を示し, 胎盤, 卵巣及び子宮においては, 投与後2時間で最高濃度に達し, それぞれ28.9, 26.0μg/g及び26.2μg/gであつた。
    羊水中濃度においては, 投与後2時間で最高濃度に達し5.4μg/mlであつた。
    胎仔内濃度においては, 投与後2時間で最高濃度に達し13.7μg/gであり, 母体投与量に対する分布率は0.04%であつた。
    又, 胎仔肝及び胎仔脳内濃度においては, 投与後4時間で最高濃度に達し, それぞれ32.8μg/g及び11.4μg/gであつた。
    全身オートラジオグラフィーによる検討において, 母体血液中濃度が最高濃度に達した時の胎盤及び胎膜の放射活性は母体血液と同程度であり, 胎仔脳内の放射活性は母体血液より弱かつた。
    乳汁移行性の検討においては, 母体血液中濃度が投与後1時間で最高濃度に達し14.8μg/mlであるのに対し, 乳汁中濃度は投与後4時間で最高濃度に達し21.5μg/mlであつた。
  • IV.イヌ単回投与時の吸収, 代謝, 排泄
    鈴木 忠清, 酒井 敦史, 森下 真孝, 村西 昌三
    1987 年 40 巻 3 号 p. 539-552
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    イヌに14C標識ロキタマイシン (TMS-19-Q) を経口 (50mg/kg), 十二指腸内 (50mg/kg) 及び静脈内 (10mg/kg) 単回投与し, TMS-19-Qの吸収, 代謝及び排泄に関する検討をした。
    経口投与では投与後2時間で最高血液中及び血漿中濃度に達し, それぞれ11.1μg/ml及び14.3μg/mlであつた。
    十二指腸内投与では投与後30分で最高血液中及び血漿中濃度に達し, それぞれ10.7μg/ml及び12.0μg/mlであつた。
    静脈内投与では3分後の血液中及び血漿中濃度がそれぞれ8.4μg/ml及び11.1μg/mlであり, 24時間後ではそれぞれ0.6μg/ml及び0.7μg/mlであつた。
    経口投与後72時間の尿及び糞への排泄はそれぞれ12.8%及び82.6%であり, 総排泄率は95.4%であった。
    静脈内投与後72時間の尿及び糞への排泄はそれぞれ19.4%及び75.3%であり, 総排泄率は94.7%であつた。
    十二指腸内投与後24時間の尿及び胆汁への排泄はそれぞれ18.0%及び48.3%を示し, 総排泄率は66.3%であつた。
    TMS-19-Qの主要な代謝反応は脱アシル化と水酸化であり, 10-OH-TMS-19-Q, LMA7, LMV及び14-OH-LM Vの4種が主要な代謝物として検出された。
  • 3種Bioassay法の比較
    森下 真孝, 酒井 敦史, 遠藤 里子, 鈴木 忠清
    1987 年 40 巻 3 号 p. 553-560
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    in vitro及びin vivoにおいてロキタマイシン (TMS-19-Q) の体液中濃度測定法を3種のBioassay法で比較検討した。
    第1法として, Micrococcus luteus ATCC 9341を検定菌とし, Nutrient agar (pH 8.0) を測定培地とするPaper disc法, 第2法として, Streptococcus pyogenes COOKを検定菌とし, Brain heart infusion agar (pH 7.4) を測定培地とするPaper disc法, そして第3法として, M.luteus ATCC 9341を検定菌とし, 日本抗生物質医薬品基準培地 (pH 6.5) を測定培地とするAgar welI法を検討した。
    TMS-19-Q及びその代謝物をそれぞれヒト血漿に添加し各測定法により標準曲線を作成することにより未変化体と各代謝物の相対力価を求めた。
    第1法では1.00: 1.13: 3.34: 0.96 (TMS-19-Q: 10-OH-TMS-19-Q: LM A7: LM V), 第2法では1.00: 1.58: 0.40 (TMS-19-Q: LM A7: LM V), 第3法では1.00: 0.51: 0.86: 0.114 (TMS-19-Q: 10,-OH-TMS-19-Q: LM A7: LM V) であり, 特に, 一般に汎用されている第1法では代謝物の相対力価が極端に大きな値として表現されることが判明した。これに対し, 第3法での相対力価は臨床分離Staphylococcus aureus 190株に対するMIC値の関係をよく反映しており, 第3法は血中濃度測定法として適切な方法と考えられた。
    一方, ヒトにTMS-19-Q錠1,200 mgを経口投与し, その血漿中濃度を3種のBioassay法で測定したところ, 第3法で得られた測定値を1とした時, 第1法では約4.3倍, 第2法では約1.3倍高い値を示した。このように測定法により異なつた血漿中濃度が得られる主要な原因は, 代謝物の抗菌力が測定法により異なつた値として測定されるためであることが判つた。
  • 永田 良一, 永田 貴久, 大西 瑞男, 佐藤 堅, 永田 次雄
    1987 年 40 巻 3 号 p. 561-587
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規半合成マクロライド系抗生物質ロキタマイシン (TMS-19-Q) の6カ月間連続強制経口投与による慢性毒性試験をビーグル犬を用いて実施した。投与量は0, 90, 180mg/kg/日及び360mg/kg/日で0mg/kg/日及び360mg/kg/日投与群には1群雄雌各2頭の回復試験 (2カ月) を追加した。
    1.一般症状では薬物投与群において嘔吐あるいは流誕がみられ, その発現時期と頻度は投与量にほぼ依存したが, 90mg/kg投与群では極めてまれであつた。なお360mg/kg投与群ではごく散発的に軟便がみられたが, それ以外の異常はみられなかつた。又, 各群とも1例の死亡もなかつた。
    2.体重増加では90mg/kg投与群に変化は認められなかつたが, 180mg/kg以上の投与群では雄で7週目頃から, 雌で5週目頃から一過性の軽度な増加抑制傾向が認められたが, その後順調な体重増加を示した。
    3.摂餌量は90mg/kg及び180mg/kg投与群の雄で異常はなく, 180mg/kg投与群の雌と360mg/kg投与群の雄雌では散発的に摂餌量の減少が認められた。
    4.体温, 脈拍数及び心電図, 精子及び腟脂垢検査, 尿検査ではいずれの薬物投与群でも異常所見は認められなかつた。
    5.血液及び生化学的検査では, いずれの検査項目においても薬物投与によると思われる異常所見は認められなかつた。
    6.病理学的検査では諸器官の肉眼的所見及び器官重量に薬物投与によると思われる異常所見はなく, 組織学的所見でも異常病変はみられなかつた。
    7.回復試験の諸検査においても対照群と薬物投与群の問に差は認められなかつた。
  • 三浦 昌己, 守野 豊彦, 遠藤 晴子, 白岩 和己, 松本 一彦, 早野 和夫
    1987 年 40 巻 3 号 p. 588-601
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Rokitamycin (TMS-19-Q) 及びJosamycinのラットにおける比較毒性試験を行つた。投与量は両薬物とも物理的投与可能最大量の2,000mg/kgを最高投与量とし, 以下1,000,500 mg/kg及び250mg/kgを1カ月間経口投与した。その結果を要約する。
    1. 死亡例, 体重, 摂餌料, 一般症状に両薬物投与に起因する変化はみられなかつた。
    2.尿, 血液, 血清生化学検査において, 両薬物投与による影響とみなされる変化はみられなかつた。
    3.剖検所見及び臓器重量で異常のみられたものは両薬物とも盲腸の肥大だけであつた。
    4. 病理組織学的検査で薬物に起因する病態像は認められなかつた。
    5.両薬物とも物理的投与可能最大量の2,000mg/kg投与において, 毒性発現は認められず, 薬物間の差はなかつた
  • ウサギにおける胎仔の器官形成期投与試験
    北島 省吾, 香田 繁, 小林 洋四郎, 早野 和夫
    1987 年 40 巻 3 号 p. 602-607
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    マクロライド系抗生物質であるRokitamycin (TMS-19-Q; 3,-O-Propionylleucomycin A5, 以下TMSと略す) の安全性研究の一環として, 生殖に対する影響を検討する目的で, ウサギにおける胎仔の器官形成期投与試験を行つた。
    TMSは100,300mg/kg及び600mg/kgを妊娠6 日から18 日まで, それぞれ経口投与し, 次に述べる結果を得た。
    1. TMSは300mg/kg以上の投与量で妊娠母動物に対し, 下痢症, 摂餌量の減少及び体重の増加抑制を引き起した。
    2. 妊娠末期の観察において, 300mg/kg及び600mg/kg の投与量で生存胎仔数の減少が認められた。
    以上の結果から, ウサギにおける胎仔の器官形成期投与試験における母動物及び末期胎仔に対するTMSの最大無作用量は100mg/kg と考えられた。
  • 中野 雄司, 小林 洋四郎, 辻野 正俊, 早野 和夫
    1987 年 40 巻 3 号 p. 608-612
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    マクロライド系抗生物質であるRokitamycin (TMS-19-Q;以下TMSと略す) の安全性評価の一環として, ウサギ, モルモット及びマウスを用いて抗原性の検討を行つた。
    1.TMSはFREuND's complete adjuvant (FCA) を用いてウサギに感作を行つても, 受動的赤血球凝集 (PHA) 反応及びモルモット受動的皮膚アナフィラキシー (PCA) 反応で検出される免疫グロブリン (Ig) G型の抗体産生が認められなかつた。
    2.FCAを用いてTMSで感作したモルモットに, TMSを腹腔内注射して能動的全身性アナフィラキシー反応を行つたが, 反応は陰性であつた。
    3.TMSを水酸化アルミニウム・ゲルと共に, マウスに感作しても, ラットPCA反応で検出されるIgE型の抗体産生は認められなかつた。
    4.TMSとBovine serum albumin並びにOvalbuminとの結合物を合成し, それらとadjuvantを用いてウサギ及びマウスを感作すると特異抗体を産生し, TMSはHaptenとしての抗原性を示した。
    以上により, 人為的に調製したTMSと高分子物質との結合物では, TMSはHaptenとして挙動するが, 単独で投与されたTMSが生体内で抗原となり, 特異抗体を産生する可能性は非常に少ないと考えられる。
  • 中澤 進, 佐藤 肇, 成田 章, 松本 貴美子, 鈴木 博之, 中澤 進一, 近岡 秀次郎, 小井土 玲子, 神垣 昌人, 中田 義雄, ...
    1987 年 40 巻 3 号 p. 613-629
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるCefuzonam (L-105, CZON) に関する一連の検討を行い以下の成績を収めることができた。
    1.最近分離したStaplococcus aureusに対するMICは0.39~0.78μg/mlにPeakがあり, Cefoperazone (CPZ), Latamoxef (LMOX), Cefmenoxime (CMX) より活性が高かつた。
    2.Escherichia coliに対しては0.10~0.20μg/mlにPeakがあり, CPZ, LMOX, CMXに類似し, Ampicillin (ABPC) 耐性株にも活性を示した。Salmonellaに対するMICもE.coliに対するMIC分布に類似していた。
    3.Vitio parahaemolyticsに対するMICのPeakは0.20~0.39μg/mlにこ分布し, ABPCよりはるかに活性が高く, CPZ, LMOX, CMXに類似していた。
    4.20mg/kg点滴静注時の血中濃度のPeakは終了時にあつて20.6~68.7μg/ml, 2時間0.43~1.70μg/ml, T1/20.68~1.2時間であつた。50mg/kg点滴静注時の血中濃度のPeakは終了時にあつて69.0~82.0μg/ml, 2時間1.85~3.45μg/mlで明らかなDose responseがみられた。T1/20.63~0.99時間であつた。
    5.6時間までの尿中回収率は39.9~80.5%であつた。
    6.急性小児感染症10種類, 計44例に本剤の点滴静注を主体とした治療をし, 有効率は93.2%であり, ABPC耐性ブドウ球菌, E.Ccoli, Enterococcus faecalis等を起炎菌とした化膿症, 急性尿路感染症等に有効であり, この際1日の使用用量は大半約50~80mg/kgであつた。
    7.S.aureus8株, Streptococcus pneumoniae3株, E.faecalis1株, Haemophilrporahaemolyticus1株, Haemophilus parainfluenzae2株, H.influenzae11株, Bordetellapertrsi51株, E.coli3株, 計30株中S.aureus1株を除く29株に除菌効果を認めることができた。
    8.本剤の使用期間は4~15日間であつたが副作用として下痢1例, 血小板増加1例だけであり, 臨床所見に及ぼす副作用はみられなかつた。
  • 目黒 英典, 有益 修, 白石 裕昭, 小林 正明, 藤井 良知, 益子 仁
    1987 年 40 巻 3 号 p. 630-640
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuzonamの小児における臨床試験を行つた。9例でのBolusinjection後の血中半減期は1.17±0.37時間で, 6例での尿中排泄は4~6時間までで31.5~73.7%であつた。22例の化膿性髄膜炎を含まない各種感染症で本剤を使用し, 有効率95%, 細菌学的効果91%が得られた。副作用として下痢, 軟便, 腹痛の胃腸症状が7例 (32%) と多く見られたが, 重症なものはなかつた。以上から本剤は小児においても, 感受性菌感染症に用いうるだろうと考えられた。
  • 岩井 直一, 宮津 光伸, 柴田 元博, 中村 はるひ, 片山 道弘, 種田 陽一, 猪熊 和代
    1987 年 40 巻 3 号 p. 641-657
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいCephem系抗生物質であるCefuzonam (L-105, CZON) について, 小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1.小児9例 (2~14歳) にCZONを静脈内投与 (20mg/kg One shot静注4例, 40mg/kgOneshot静注2例, 40mg/kg1時間点滴静注3例) した際の血清中濃度と尿中排泄について検討した。
    20mg/kgOneshot静注例の平均血清中濃度は投与開始後1/4時間49.0μg/ml, 1/2時間22.7μg/ml, 1時間9.03μg/ml, 2時間2.13μg/ml, 4時間0.37μg/ml, 6時間0.09μg/mlであり・40mg/kg One shot静注例では各々117.5, 68.0, 26.2, 8.80, 0.63, 0.19μg/mlであつた。又, 40mg/kg1時間点滴静注例では1/2時間57.1μg/ml, 1時間78.8μg/ml, 2時間12.9μg/ml, 4時間1.12μg/ml, 6時間0.23μg/mlであつた。なお, 血清中半減期の平均は20mg/kgOneshot静注例では0.69時間, 40mg/kgOneshot静注例では0.44時間, 40mg/kg1時間点滴静注例では0, 58時間であつた。
    一方, 投与開始から6時間までの尿中回収率は20mg/kgOneshot静注例では平均70.8%, 40mg/kgOneshot静注の1例では44.1%, 40mg/kg1時間点滴静注例では平均60.0%であつた。
    2.小児科領域の感染症26例にCZONを投与し, その際の臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
    細菌の関与がなかつたと判断された2例を除いた残り24例, すなわち急性気管支炎1例, 急性肺炎16例, 急性化膿性中耳炎1例, 急性化膿性リンパ節炎2例, 急性根尖性歯周組織炎1例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群1例, 急性腎孟腎炎1例, 急性腸炎1例に対する臨床効果は著効19例, 有効5例であり, 全例において有効以上の成績が得られた。
    原因菌と断定もしくは推定されたStaphylococcus aureus 1株, Streptococcus pneumoniae1株, β-Streptococcus 1株, Haemophilus influenzae 10株, Haemophilus parainfluenzae 1株, Proteus mirabilis 1株, Campylobacter jejuni 1株に対する細菌学的効果はいずれも消失と判定された。
    副作用は臨床的に認められた症例はなかつた。臨床検査値異常としては, GOTの上昇が2例, 好酸球増多が1例に認められたが, 投与終了後の再検査ではいずれも正常化が確認された。
    以上から, CZONは小児においても有効性並びに安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 岡田 隆滋, 古川 正強
    1987 年 40 巻 3 号 p. 659-670
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新Cephem系β-ラクタム抗生剤Cefuzonam(L-105,CZON)について髄液移行及び細菌感染症に対する臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. 耳痴, 脳炎, ムンプス髄膜炎の患児それぞれ1例についての本剤100mg/kg One shot静注後1時間目の髄液中濃度は0.56μg/ml,1.44μg/ml,0.33μg/mlであつた。
    化膿性髄膜炎3例についての本剤100mg/kgOneshot静注後1時間目の髄液中濃度は急性期は2.80~6.40μg/mlで回復期では0.56~1.45μg/mlであつた。
    2.臨床分離菌に対する本剤のMIC測定結果は,Haemophilus influenzae,. Escherichia coli, Proteus mirabilis,Klebsiella pneumoniaeに対しての抗菌力はCefmenoxime (CMX) と同等でCefbperazone (CPZ), Cefmetazole (CMZ), Cefotiam (CTM), Cefazolin (CEZ) より優れていた。
    Staphylococcu aureusに関してはCEZ, CMZ, CTMとほぼ同等でCMX, CPZより優れていた。
    3. 疾患別の臨床効果は化膿性髄膜炎の2例と膿胸の2例は共に有効, 敗血症の1例,尿路感染症の3例は共に著効であつた。肺炎の10例は著効7例, 有効3例で, 気管支炎の4例はすべて著効で, 耳癌, 扁桃炎それぞれ1例は有効と著効であつた。
    24例すべて有効以上で有効率100%であつた。
    4. 副作用は24例中2例に軽症の下痢を認めただけで本剤中止後速やかに改善した。
    Cefuzonam (L-105, CZON) は日本レダリーにおいて新しく開発されたCephem系抗生剤でグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトルを有している1)。
    又, 本剤は第3世代Cephem剤の抗菌力が弱いStaphylococcus aureusにも良い抗菌力を有する1)。その構造式はFig.1に示すとおりである。
    今回, 我々は本剤を臨床的に使用する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 関口 隆憲, 岡本 喬, 大原 克明, 宮内 吉男, 西岡 敦子, 川人 里美, 西条 隆彦
    1987 年 40 巻 3 号 p. 671-679
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuzonam (L-105, CZON) を小児急性細菌感染症20例 (気管支肺炎13例, 急性扁桃炎, 急性扁桃炎に伴う化膿性頸部リンパ節炎, 急性喉頭炎, 急性気管支炎, 膿胸, 敗血症性関節炎を合併した化膿性髄膜炎, 尿路感染症各1例) に使用した結果, 臨床的に著効及び有効と判定されたもの20例 (100%) であり, 細菌学的に菌の消失をみたものは15例中15例 (100%) であった。副作用は軟便1例, Transaminase軽度上昇3例, 好酸球増多1例であつた。CZONは中等症から重症の小児急性細菌感染症に対する第1選択薬として十分な効果を期待し得る抗生剤と思われる。
  • 小倉 英郎, 友田 隆士, 浜田 文彦, 藤枝 幹也, 大原 雄二, 荒木 久美子, 喜多村 勇
    1987 年 40 巻 3 号 p. 680-684
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新Cephalospolin系抗生剤Cefuzonam (L-105, CZON) につき, 小児科領域における血中濃度の推移及び臨床検討を行い以下の結果を得た。
    1.6歳7カ月の男児にCZON20mg/kgを1時間点滴静注を行い血中濃度の推移を観察した。投与直後の血中濃度は45.6μg/mlを示しその半減期は0.97時間であつた。
    2.小児科領域感染症患者7例に本剤1日90~160mg/kgを3回に分割投与 (1時間点滴静注) し, その臨床効果を検討した。結果は著効4例, 有効1例, 無効2例だつた。
    3.副作用は1例に発疹を認めたがいずれも速やかに改善した
feedback
Top