1~24生日の新生児, 未熟児23例に対しCeftriaxone (CTRX) を10mg/kgか20mg/kg, Oneshot静注で投与し, 投与後12時間までか症例によっては72時間後までの血漿中濃度と投与後12時間までの尿中濃度及び尿中回収率を測定すると共に, 0生目から6カ月の新生児, 未熟児, 乳児の種々の細菌感染症及び細菌感染症疑い21例と感染予防を目的として25例, 計46例に本剤を1日量平均47.7mg/kg, 1日1回か分2, 0ne shot静注で平均9日間投与し, 臨床効果, 感染予防効果, 細菌学的効果をみると共に除外例7例を加えた53例における副作用, 症例によっては臨床検査値異常を検討したところ, 次のような結果を得た。
1. 10mg/kg投与の6生日, 12生日, 13生日の新生児各1例, 21生日の未熟児1例における血漿中最高濃度はいずれも投与5分後で各々59.38, 53.13, 37.50, 50.00μg/mlを示し, 13生日の新生児はやや低濃度であつたが, 他の3例は類似し, 半減期はそれぞれ9.762, 7.775, 7.330, 8.149時間で, 未熟児1例を除くと日齢が若いほど延長の傾向にあった。濃度曲線下面積 (AUC) は各々511.169, 324.714, 236.346, 326.852μg・hr/mlで未熟児1例を除くと日齢が若いほど大の傾向を示し, Vdはそれぞれ0.709, 1.004, 1.316, 0.696Lで13生日の新生児例が最も大であった。
2. 20mg/kg投与の3生目以内の未熟児3例, 4~7生日の新生児4例, 未熟児3例, 8~28生日の新生児5例, 未熟児4例における血漿中濃度はいずれも投与5分後が最高濃度で, 各群の平均最高濃度は各々83.34, 77.35, 109.39, 95.63, 100.79μg/mlを示し, 10mg/kg投与群との間にDose responseが認められた。平均半減期はそれぞれ15.528, 6.661, 10546, 9.145, 10.379時間で, 4~7生日の新生児群を除いてみると日齢が若く, そして新生児よりも未熟児の例が長い傾向を示した。平均AUCは各々850.894, 348.329, 639.233, 572.205, 616.240μg・hr/mlで, 3生日以内の未熟児群が最も大を示し, 他の日齢では未熟児群が新生児群より大の傾向にあり, 平均Vdはそれぞれ1.025, L676, 1.091, 1.440, 1.087Lで新生児群が未熟児群より大の傾向を示した。
3. 10mg/kg投与の6生日, 12生日, 13生日の新生児各1例, 21生目の未熟児1例における尿中濃度は投与後0~2, 2~4, 4~6, 6~12時間のいずれかの時間に42.00~298.30μg/ml域を示し, 投与12時間後までの回収率は各々79.98, 52.00, 56.82, 60.14%であった。
4. 20mg/kg投与の3生日以内の未熟児3例, 4~7生日の新生児4例, 未熟児3例, 8~28生日の新生児5例, 未熟児4例における尿中濃度は投与後0~2, 2~4, 4~6, 6~12時間のいずれかの時間に34.10~782.00μg/ml域を示し, 投与12時間後までの平均回収率は各々23.15, 37.08, 41.64, 28.47, 27.16%を示し, 3生目以内の未熟児群が最も低率であつた。
5. 種々の細菌感染症及びその疑い例21例に対する臨床効果は有効率85.7%, 25例に対し感染予防を目的とした投与では全例に効果が認められ, 細菌学的効果では5例中4例で消失し, 1例が不変であつた。
6. 臨床効果及び感染予防効果の判定できた46例に, 脱落症例7例を加えた53例での副作用は発疹が1例と下痢が2例出現し, 臨床検査値異常としては好酸球増多が2例5.0%に認められた。
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