The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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41 巻, 5 号
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  • 山田 博豊, 竹山 英夫, 福谷 久, 渡邊 英二, 坂 行雄, 鈴木 克己, 亀山 由美子, 江崎 准子, 山崎 均, 森 芳夫, 佐竹 ...
    1988 年 41 巻 5 号 p. 469-477
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は, 1986年8月及び9月の2ヵ月間に当院中央検査部で臨床材料から分離され, 起炎菌と推定された緑膿菌50株の8種の抗生物質Piporacillin (PIPC), Cefsulodin (CFS), Cefpiramide (CPM), Cefoperazone (CPZ), Cefmenoxime (CMX), Ceftazidime (CAZ), Netilmicin (NTL), Amikacin (AMK) に対する感受性を調べ, 併せて臨床材料, 血清型, MICと1濃度ディスク感受性検査との相関, 及び過去4年間の感受性の推移について検討した。
    1. 薬剤感受性成績では, CAZの抗菌力が最も強く, そのMIC80値は6.25μg/mlで, 次いでAMK, 以下CFS, CPM, PIPC, CPZ, NTL及びCMXの順であつた。又, 50μg/ml以上の耐性を示す菌株はCAZではみられなかったが, CMXで74.0%, CPM, CPZ, NTL及びCFSで62.0%, PIPCで58.0%, AMKで2.0%にみられた。
    2. 血清型と薬剤感受性との関係については, CAZ, AMKを除く他の薬剤に対し, E型株の大部分が低い感受性を示した。CFS及びPIPCに対してもE型株は抵抗性であることが示された。CFSはG型株の中にも16.7%に感受性の低い株がみられた。CAZ, AMKはE型株にも優れた抗菌力を示した。
    3. 臨床材料と薬剤感受性との間では, いずれの臨床材料においても, CAZとAMKは高い抗菌力を示した。CFS, CPM, CPZ及びNTLは膿, 分泌液由来菌株が他の材料のそれよりやや高い感受性を示し, 尿由来菌株においては低かった。
    4. MIC値と1濃度ディスク感受性検査との相関は比較した5種類の抗生物質において, MIC12.5μg/ml以下とディスク感受性++以上において, いずれにおいても高い一致率を示し, x2検定を行い, P<0.01の危険率をもつて高い相関を示すことが認められた。
    5. 1983年から1986年までの4年間において, 当院中央検査部において尿及び喀痰から分離された緑膿菌の各種抗生物質に対する感受性の推移は, AMKには高い感受性を保っているものの, Gentalnicin, PIPC, Fosfomycin及びCFSに対する感受性は尿, 喀痰共に明らかに低下していることを示していた。
  • In vitroでのCefsulodin低感受性菌を中心として
    山田 博豊, 竹山 英夫, 渡邊 英二, 福谷 久, 坂 行雄, 鈴木 克己, 亀山 由美子, 江崎 准子, 山崎 均, 森 芳夫, 佐竹 ...
    1988 年 41 巻 5 号 p. 478-484
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aminoglycoside系抗生物質Astromicin (ASTM) とβ-Lactam系抗生物質Cefsulodin (CFS), Cefoperazone (CPZ), Piperacillin (PIPC), Ceftazidime (CAZ) 及びFosfomycin (FOM) とのin vitroの併用効果を新鮮臨床分離緑膿菌を用いて検討した。緑膿菌株は, CFS高感受性株 (MIC≤3.13μg/ml) 13株及びCFS低感受性株(MIC≥400μg/ml) 19株 (うち喀痰由来10株, 尿由来9株) を用いてFractional inhibitory concentration indexを算出する方法により検討した。ASTMはCFS高感受性株において, FOM併用時を除くすべてにおいて, PIPC (54%), CAZ (38%), CPZ (23%), CFS (8%) の順で相乗効果がみられた。又, CFS低感受性株においては, FOMを除き, CAZ (63%), CPZ (47%), PIPC (37%), CFS (11%) に相乗効果がみられた。CFS低感受性緑膿菌株中, ASTM単独にて高い感受性 (MIC0.78μg/ml) を示すものが認められた。
  • 第4報 黄色ブドウ球菌について
    猪狩 淳, 設楽 正登, 設楽 政次, 吉本 加代子, 林 康之, 小酒井 望
    1988 年 41 巻 5 号 p. 485-493
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    全国各地の病院から臨床分離株を収集して1980年以後抗菌薬感受性の年次推移の調査を実施している。今回は1980年から1985年までの6年間に, 黄色ブドウ球菌のAmpicillin (ABPC), Cefazolin (CEZ), Cefmetazole (CMZ), Gentamicin (GM) に対する感受性推移を検討した。
    被験菌株は総計12, 116株。MIC測定は日本化学療法学会標準法 (再改訂法) に準じて実施した。
    一律にMIC25μg/ml以上を耐性として結果をまとめると, 以下のようになる。
    1. 1985年に収集した2,891株のうち, ABPC及びGM耐性株は約1/4を占めたが, CEZは8%, CMZは3%であつた。
    2. 耐性株の年次推移はABPC, CEZ, CMZでは1984年まで漸増し, 1985年には減少あるいは減少傾向が認められた。GMではなお増加を持続した。
    3. 臨床材料別の耐性株の分離頻度は薬剤によつて差があるが, ABPC, GMでは膿, 胆汁, 尿で高く, CEZでは胆汁, 膿, 喀痰, 尿で高かつた。但し, CMZの場合は胆汁>喀痰>尿>膿の順であつた。
    4. 入院患者由来株は外来患者よりも, 耐性株の頻度が高かつた。
  • 富澤 和広, 佐藤 重明
    1988 年 41 巻 5 号 p. 494-504
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    鹿島労災病院は1981年6月に開院した小児科, 産婦人科を除く9科 (内科, 神経内科, 外科, 脳外科, 整形外科, 泌尿器科, 耳鼻科, 眼科, 皮膚科) からなるベッド数300床の地方病院である。当院におけるStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidisの分離状況, 薬剤感受性の現況を知る目的で1985年1月から12月までに当院臨床検査科にて, 各種臨床材料から分離されたブドウ球菌218株について検討した。
    各種臨床材料から分離されたブドゥ球菌は8菌種で, そのうちS. aureus, S. epidermidisが93.6%を占める。S. aureusは外来由来株がわずかながら多く, S. epidermidisでは入院由来株に多く認められた。材料別では, S. aureusは外来由来株で耳漏, 膿, 入院由来株では喀痰, 膿, S. epidermidisは外来, 入院由来株共に尿, 膿に多く認められた。Methicillin-resistant S. aureus (MRSA), Methicillin-resistant S. epidermidis (MRSE) の分離頻度は8.6%, 30.8%で7月を除くすべての月に分離されている。又, 多種類の臨床材料から分離されており, 月ごとに分離される場所にある程度のHospital strainとして, Compromised hostに対し院内感染の危険性があると考えられた。コァグラーゼ型の検討では, MRSAは外来由来株ではIV型, 入院由来株ではII型が高率であり, 又, II型では多種類の臨床材料から認められているのが特徴的である。又, コアグラーゼ型別分類は院内感染の疫学的検索において, 簡易, 迅速であり, 有用性であると考えられた。薬剤感受性試験では, S. aureus, S. epidermidisでβ-ラクタム剤, Gentamicin, Norfloxacinで対比的現象が認められた。β-ラクタム剤のMRSA, MRSEに対する抗菌力はMRSAでFlomoxef, MRSEでCephalothin, Cefamandoleが優れた抗菌力を示した。又, 他剤ではMinocycline, Vancomycinが両者に優れた抗菌力を示した。
  • YOSHIYUKI KAWAKAMI, YUKIE OKIMURA, MASAMITSU KANAI
    1988 年 41 巻 5 号 p. 505-509
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Hospital acquired infection due to Serratia marcescens, a ubiquitous saprophyte, is significantly increasing1-3, 16, 19). A majority of such S. marcescens strains are highly resistant, and in fact, the emergence of multiple drug resistant strains of genus Serratia is more prevalent than any other commonly occurring members of the family Enterobacteriaceae of clinical origin12). The presence of transferable R plasmids with resistance markers to ampicillin (ABPC), chloramphenicol (CP), gentamicin (GM), nalidixic acid (NA), streptomycin (SM), and/or tetracycline (TC) has been demonstrated in these strains6, 11, 12, 15, 17). In this papers, we describe antibiotic susceptibilities of 101 strains of S. marcescens isolated in our hospital. Mention will also be made on the transferability of their drug resistance properties. The 101 isolates of S. marcescens tested came from various pathological specimens obtained during years 1980 to 1981. Forty three strains were isolated from urine, 37 from sputum and 21 from wound or soft tissue infections. Criteria used for the identification of S. marcescens were as follows: Gram-negative, cytochrome oxidase-negative motile rods that fermented glucose and sorbitol but not arabinose and raffinose. They neither produced indole, hydrogen sulfide (in TSI agar) nor urease. Lysine was decarboxylated. They grew on SIMMONS' citrate agar and excreted gelatinase and extracellular DNase.
  • バイオアッセイ値に及ぼす代謝物の影響
    鈴木 忠清, 酒井 敦史, 森下 真孝, 石岡 忠夫, 清水 喜八郎
    1988 年 41 巻 5 号 p. 510-522
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9名の健常人を対象に, ロキタマイシン (RKM) 錠, 酢酸ミデカマイシン (MOM) 錠及びジョサマイシン (JM) 錠各600mg力価をクロスオーバー法により空腹時経口投与し, 3種のバィオアッセイ法により血漿中及び尿中濃度を測定した。
    検定菌にはすべてMicrococcus luteus ATCC 9341を用い, 第I法 (RKMのバイオアッセイ法) として, 日本抗生物質医薬品基準培地 (MRAPJ培地, pH6.5) を測定培地とするアガーウェル法, 第II法 (MOMのバイオアッセイ法) として, マイシンアッセイアガー (pH8.0) を測定培地とするアガーウェル法, そして, 第III法 (JMのバイオアッセイ法) として, 普通寒天培地 (NA培地, pH7.8) を測定培地とするアガーウェル法を検討した。
    3種薬剤経口投与後の血漿中濃度を比較した場合, RKM錠投与群の血漿中濃度は, いずれの測定方法においてもMOM錠投与群あるいはJM錠投与群と比べて高く推移した。
    一方, 同一検体について3種の測定方法での結果を比較すると, 第II法及び第III法により測定した血漿中濃度は, 第I法による値と比べてかなり高い値を示した。
    この原因を確かめるため, 未変化体とその代謝物をそれぞれヒト血漿に添加し, 第I法, 第II法及び第III法により検量線を作成した。その結果, RKM及びMOMにおいて, 第II法及び第III法では代謝物の抗菌活性が本来有しているMIC値に比べて異常に高く現されるのに対し, 第I法では, 未変化体とその代謝物のMIC値の関係が良く反映されており, 第I法はこれら薬剤のバイオァッセイ法として適切な方法と考えられた。
  • 松橋 祐二, 山本 治夫
    1988 年 41 巻 5 号 p. 523-529
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    順天堂大学医学部細菌学教室にて分離されたメチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 46株の産生するアミノ配糖体系抗生物質不活性化酵素について検討し, 以下の成績を得た。
    1. これらのMRSAはアミノ配糖体系抗生物質に対する耐性パターンから三つの群に分けることができた。
    2. Gentamicin (GM) とTobramycin (TOB) に高い耐性を示した第I群の35株は2-アミノ配糖体系抗生物質リン酸転移酵素 (APH (2)) を産生していることを, 代表株から得た粗酵素の不活性化反応及び単離した不活性化物の構造から明らかにした。
    3. GMには感受性か弱い耐性を示し, TOBに第I群と同様耐性を示した第II群の8株は4'-アミノ配糖体系抗生物質アデニリル転移酵素 (AAD (4')) を産生していることを, 代表株から得た粗酵素の不活性化反応及び単離した不活性化物の構造から明らかにした。
    4. GM及びTOBには感受性を示したが, Kanamycinには第I, II群と同様耐性を示した第III群の3株はAPH (3')-IIIを産生していることを粗酵素の不活性化反応における基質特異性から明らかにした。
    5. これらの不活性化酵素の基質に用いた10種のアミノ配糖体系抗生物質のうち, 最も基質になり難いものはArbekacin (HBK) であり, すべての菌株はHBKに感受性であった。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 深山 成美, 西村 由紀子, 小田 清次, 田中 節子, 佐藤 久美子, 加藤 三枝 ...
    1988 年 41 巻 5 号 p. 530-537
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1986年5月~1987年4月に分離した小児由来臨床分離株に対するGentamicin (GM) の抗菌力を, 他のアミノ配糖体系抗生物質, β-Lactam系剤を加えて検討した。
    1. GM耐性菌はStaphylococcus aureus22%, Proteus vulgaris6%, Morganella morgaaii8%, Providencia spp. 40%, Enterobacter spp. 6%, Serratia marcescens14%, そしてPseudomonas aeruginosa14%だった。
    Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisのGM耐性菌は無かった。
    2. 小児由来株を用いたGMの抗菌力の成績は, ほぼ同時期に検討した成人由来株の成績と同様の傾向だった。
    3. S. aureusのGM耐性菌はその大部分がMethicillin-cephem-resistant Staphylococcus aureusであり, S. marcescens及びP. aeruginosaのGM耐性菌は, 多剤耐性菌としての性質を示した。
    4. GM耐性菌はS. aureus, S. marcescens, P. aeruginosaに14~22%と比較的高率であるが, 1980年代前半と比較して, 経年的増加傾向は認められなかった。
    5. GMはGenus Providenciaに対する抗菌力が不十分であることが推察された。
    以上の成績から, GMは今日においても, 小児も含めた感染症の起炎菌に対して, 有効な抗菌力を維持しているとの結論に達した。
  • Gentamicin小児科領域研究会
    市橋 保雄, 堀 誠, 立沢 宰, 岡部 信彦, 若杉 宏明, 吉岡 一, 藤田 晃三, 坂田 宏, 石田 千佳子, 梯 仁志, 森 善樹, ...
    1988 年 41 巻 5 号 p. 538-548
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Gentamicin (GM) は小児科領域の感染症の治療において重要な薬剤の一つである。しかし本剤は筋肉内注射だけが認可されているため, 四頭筋拘縮症等の副作用の点で小児科領域では使用しにくい。近年ようやく成人領域で静脈内投与が許可され, 小児科領域でも静脈内投与例についての検討が散見されるようになった。そこで今回我々は小児科領域におけるGMの点滴静注時の基礎的, 臨床的検討を行うためにGM小児科領域研究会を組織し以下の結果を得た。
    1. GM体重kg当り2.0~2.5mg (最大60mg/回) を30分~1時間かけて点滴静注し, 従来報告されている筋肉内投与と同様に4~12μg/mlの有効血中濃度が得られた。
    2. 点滴静注後6時間まで高濃度の尿中濃度が得られ, 尿中回収率は約60%であつた。
    3. 本研究会に142例の症例が集められ, その内117例について検討した。疾患別臨床効果では肺炎30例/30例 (100%), 尿路感染症59例/60例 (98.3%), 皮膚軟部組織感染症12例/13 例 (92.3%), 合計94.9%の有効率であつた。
    4. 細菌学的効果の検討ではStaphylococcus aureus8例/10例 (80%), Pseudomonas aeruginosa 3例/5例 (60%), Haemolphilus influenzae7例/7例 (100%), Escherichia coli 44例/45例 (97.8%), 合計92.4%の消失率であつた。混合感染例は6例/7例 (85.7%) であつた。
    5. 聴力障害, 腎障害, アレルギーなどの副作用は認めなかつた。検査値異常は合計5.6%に認められ, その内訳はGOT上昇 (3.1%), GPT上昇 (3.9%), 血小板増多 (1.5%), 好酸球増多 (0.8%) であった。
    以上からGMの点滴静注は小児科領域では有用な方法である。
  • 坂田 宏, 石田 千佳子, 梯 仁志, 藤田 晃三, 吉岡 一, 森 善樹, 丸山 静男, 坂田 葉子, 滝本 昌俊
    1988 年 41 巻 5 号 p. 549-556
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    18例の小児尿路感染症患者にGentamicinを点滴静注投与し, 臨床効果と薬動力学的検討を行つた。
    1. 18例中全例が有効以上の臨床効果を示し, 腎や聴覚器に対する毒性は認めなかつた。
    2. 1.0mg/kg投与群, 1.9~2.0mg/kg投与群, 2.2~2.5mg/kg投与群の間に投与量と血清中濃度の間のDose responseを認めた。
    3. 血中半減期は年長児では短く1.66時間, 1歳未満では2.10時間であつた。
    4. 1.9~25mg/kg投与時における点滴静注開始後6.5時間以内の尿中回収率は平均62.48%であつた。
    5. 初回投与時と最終投与時との間に薬動力学的係数上, 大きな差はなく, 蓄積効果は認めなかつた。
  • 竹田 篤, 豊浦 多喜雄, 清原 鋼二, 下平 雅之, 新井 繁, 福田 睦夫
    1988 年 41 巻 5 号 p. 557-562
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Flavobacterium menigosepticumによる新生児髄膜炎例を呈示する。本症例は生後3日発症の成熟男児で, Cefmetazole, Cefotaxime併用療法により後遺症なく治癒した。
    過去82例の同菌による1歳未満の髄膜炎例を検討したが, 諸種の抗生物質に耐性であるために予後は極めて悪く, 41例が死亡し, 16例に水頭症を残している。
    同菌による髄膜炎の治療法は確立されていないが, 早期の細菌の同定と感受性テストに従つた安全な薬剤の選択により, 予後が改善できると考えられる。
  • 吉野 公博, 藤田 啓, 武本 本久, 須賀 正和
    1988 年 41 巻 5 号 p. 563-566
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. Cemetazole(CMZ)とNetilmicin(NTL)をOne shot静注法, 筋注法により投与した後, 破裂脳動脈瘤術後, 脳槽内に留置したドレナージチューブから採取した髄液と血清中のCMZ及びNTL濃度を測定することにより, 両剤の髄液移行を検討した。
    2.髄液中のCMZ, NTL濃度は血清中濃度とほぼ平行して増減し, 良好な移行を示した。
    3.高い髄液中濃度を得ようとするならば, One shot静注法が有用と考えられた。
  • 藤田 公生, 成田 佳乃, 宗像 昭夫, 村山 猛男
    1988 年 41 巻 5 号 p. 567-570
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性単純性膀胱炎患者25例にFosfomycin錠39を3日間投与し, 効果を判定した。有効例について7日間投与して7日後の再発をみた。有効率は100%であり, 再発は1例にみられた。副作用としては, 3例が胃部不快感ないし下痢を訴えた。
  • 井田 士朗, 西岡 きよ, 滝島 任
    1988 年 41 巻 5 号 p. 571-576
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいOxacephem系抗生物質Flomoxef(FMOX, 6315-S)を6例の慢性気道感染症患者に使用し, その細菌学的, 臨床的効果について検討した。全症例で起炎菌が同定されたが, 本剤による治療開始後短時日にて起炎菌が消失, 臨床的に著しい改善が認められた。
    続いて, 上記症例中5症例について本剤29を1時間で点滴静注した際の血中濃度の推移と喀痰中移行について調べた。その結果, 最高血中濃度が点滴静注終了直後で134.32±40.32μg/mlであり, β相血中半減期が0.65時間であつた。喀痰中濃度は点滴静注終了後から8時間まで大きな変化はなく, 0.88~1.86μg/mlの範囲であつた。
    更に当科における呼吸器分離菌のうち, Haemmophilus influenzaeBranhamella catarrhalisの2菌種について, FMOXの抗菌力を調べたがβ-Lactamaseの産生の有無にかかわらず前者のMICは0.10~L56μg/ml, 後者では≤0.05~0.39μg/mlの範囲にあった。
    以上のデータから本剤が, 慢性気道感染症の治療に極めて有用性が高いことが示唆された。
  • 津田 昌一郎, 西垣 光, 奥田 司, 堀池 重夫, 横田 昇平, 彌重 博巳, 谷脇 雅史, 三澤 信一, 瀧野 辰郎, 稲澤 譲治, 阿 ...
    1988 年 41 巻 5 号 p. 577-587
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器悪性腫瘍に併発した感染症57例に対し, Psudomonas aeruginosaにも強力な抗菌スベクトルを持っCefmenoxime(CMX), Cefsulodin(CFS)併用療法の有効性及び安全性を検討した。
    1. LCMX, CFS併用療法前のいくつかの材料から菌を分離できた症例は21.1%(12例/57例)であり, そのうちP.aeruginosaが証明されたのは敗血症の2例であった(16.7%,2例/12例)。そのうちの1例ではP.aeruginosaが起因菌となつており有効であつた。他の1例はEnterococcusとの複合感染でP.aeruginosaは喀痰から分離されており無効例であつた。
    2. 感染症の内訳で最も多い敗血症疑い症例での有効率は59.0%であつた。又, 末梢血好中球数がほとんどない状態(100/mm3以下)でも54.5%と良好な成績を示した。
    3. 全体の有効率は63.2%であつた。
    4. 更に, CMXとCFSの投与方法(投与間隔, 投与量)を検討することで有効率を向上させ得る可能性がある。
    5.同じセフェム系抗生物質どうしの組合せであったにもかかわらず腎機能障害は1例も認めなかつた。
    以上から, CMX, CFS併用療法は安全性が高く臨床上有用な併用療法の一つである。
  • 平林 光司
    1988 年 41 巻 5 号 p. 588-593
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. 骨盤死腔排液ドレーンからの分離菌は予防投与剤の特徴をよく反映しており, ペニシリン系, テトラサイクリン系, いわゆる第1, 第2, 第3セフェム系抗生物質へと進むにつれ, Escherichia coliを主体としたグラム陰性桿菌の検出率は著しく減少し, 一方, Enterococcus faecalisを中心としたグラム陽性球菌は増加している。
    2. 排液ドレーンから分離された菌種とその後骨盤死腔炎, リンパ嚢腫化膿症を起した菌種とは密接な関係があることから排液ドレーン中の菌検索を行うことは重要である。
    3. Ceftriaxone(CTRX)2g/日1回投与法での血清中濃度の推移, 骨盤死腔への移行度からみて骨盤死腔炎, リンパ嚢腫化膿症においてもこの投与法で充分制御しうると考えられる。
    4. 骨盤死腔炎4例にCTRX2g/日1回投与, 5日間行い, 3例において総合効果有効という成績が得られた。
  • 小林 晋三, 新井 進, 林 昌亮, 坂口 孝, 川名 林治
    1988 年 41 巻 5 号 p. 594-601
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (CTX) とその主要代謝産物Desacetylcefotaxime (DCTX) のinvi vitro併用効果を, 7種の臨床分離株を用いて検討した。Bacteroides fragilis, Staphylococcus aureus, Citrobacter freundii, Pseudomonas cepacia, Enterobacter cloacaeにおいて, CTXとDCTX の抗菌力での1:1併用効果は, 相乗作用及び部分的相乗作用を合せて22%から78%に認め, 拮抗作用はProteus vulgarisの11%, Serratia marcescensの4%に認めた。Checkerboard 法においてもB. fragilisに対しCTXとDCTXは相乗的に作用し, 拮抗作用はなかつた。B. fragilisでの殺菌曲線において, CTXとDCTXの併用は菌の再増殖を抑制した。CTXのヒト静注時, 血清中濃度にシミュレートした実験系においても, DCTXの共存はCTXの殺菌力を増強させ, 且つ再増殖の抑制効果をもたらした。これらの事実から, CTXはin vivoにおいて, in vitroでの感受性試験から予想されるよりも優れた治療効果が得られると推察された。
  • 1988 年 41 巻 5 号 p. 602-603
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 41 巻 5 号 p. 604-606
    発行日: 1988/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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