The Japanese Journal of Antibiotics
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42 巻, 2 号
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  • 目黒 英典, 有益 修, 比留間 藤昭, 菅又 久美子, 杉江 信之, 比嘉 晶子, 篠崎 立彦, 阿部 敏明, 藤井 良知
    1989 年 42 巻 2 号 p. 255-262
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    31例の各種小児感染症に対してClarithromycin (TE-031, A-56268) による治療を行い, マイコプラズマ肺炎, 肺炎球菌肺炎, 百日咳, 溶連菌咽頭炎, カンピロバクター胃腸炎などにおいて優れた効果が認められた。顆粒の5mg/kg投与で血清中濃度のCmaxが約3.4~4.0μg/ml, 10mg/kg投与で約4.4~6.9μg/mlと, 従来のMacrolide系抗生物質に比較して高い血清中濃度が得られた。血清中半減期 (顆粒製剤) は3.2±0.25時間と長く, 1日2回投与による治療が可能な薬剤であると思われた。検討できた21例中2例に軽度のGPT上昇及び2例に好酸球増多が認められた。他の原因による可能性も否定はできないが, 肝灘性の有無については今後共注意を払つてゆく必要があろう。
  • 秋田 博伸, 佐藤 吉壮, 岩田 敏, 砂川 慶介
    1989 年 42 巻 2 号 p. 264-280
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clarithromycin (TE-031, A-56268) は大正製薬株式会社で新しく開発された14員環のマクロライド系抗生物質で, 6位にMethoxy基を有する薬剤である。我々は今回, 小児科領域における本剤投与時の基礎的, 臨床的検討を行って以下の結果を得た。
    抗菌力について検討症例から分離されたStreptococcus pyogenes,Staphylococcus aureus, Haemophilus influenzae, Bordetella pertussis, Campylobacter jejuni計16株について検討し, Erythromycinと同等の抗菌力が得られた。
    血中濃度推移の検討では顆粒例でCmaxが5mg/kg投与例で0.64μg/ml, 10mg/kg投与例で5.94, 9.02μg/mlであつた。錠剤例は3例について検討し, 5mg/kg投与例でCmaxは2.09~3.92μg/ml, T 1/2は2.9~3.8時間であった。尿中濃度の検討では顆粒例の尿中排泄率は6時間までで9.9, 53.4%であり, 錠剤例は36.8%であった。
    臨床的検討では中耳炎1例は無効であつたが, 上気道炎10例/10例 (100%), 気管支炎, 肺炎15例/18例 (83.3%), 百日咳5例/6例 (83.3%) マイコプラズマ肺炎13例/13例 (100%), Chlamydia psittaci肺炎 (オーム病) 4例/4例 (100%), 感染性腸炎16例/16例で, その内カンピロバクター腸炎15例/15例 (100%), 膿痂疹1例/1例 (100%) で合計の有効率は64例/69例 (92.8%) であつた。
    細菌学的検討では消失率27例/29例 (93.1%) で, なかでもC. jejuni15例/15例 (100%), B. pertussis52例/2例 (100%) で全例が消失し, 優秀な結果であった。
    副作用は82例について検討し消化器症状5例 (腹痛1例, 腹痛及び嘔吐1例, 嘔吐1例, 下痢又は軟便2例), 蕁麻疹1例で発現率は6例/82例 (7.3%) であった。臨床検査値異常は好酸球増多1例/38例,(2.6%), GOT値上昇3例/39例 (7.7%), GOT, GPT値上昇1例/39例 (2.6%) であった。更に止血機構に及ぼす影響についても検討したが, 本剤投与前後で影響は認めなかった。
    以上から, 本剤は1回投与量, 5~10mg/kgを1日2~3回投与すれば, 小児科領域における感染に対して有効であり安全な薬剤であると考えられる。
  • 佐藤 肇, 成田 章, 松本 貴美子, 中澤 進一, 鈴木 博之, 中西 好子, 新納 憲司, 中澤 進
    1989 年 42 巻 2 号 p. 281-303
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるClarithromycin (TE-031, A-56268) に関する検討を行い, 以下の成果を修めることができた。
    1. 内服後の血清中濃度のPeakは10mg/kg顆粒では1~2時間目, 20mg/kg顆粒では2時間目であり, T 1/2は10mg/kg顆粒は2.5~3.3時間, 20mg/kg顆粒は5.5時間であった。又, 錠剤は1.7~5.0mg/kg投与し, Peakは30分~2時問目にあり, T 1/2は2.0~4.3時間であつた。
    2. TE-031顆粒内服後6時間までの尿中回収率は20.3~62.9%であつた。又, 錠剤の6時間目までの尿中回収率は11.6~42.4%であつた。
    3. Campylobacter jejuniに対する薬剤感受性分布はErythromycinに類似し, Josamycin Midecamycin acetate, Rokitamycinよりやや高い抗菌活性であった。
    4. 各種材料から分離された8菌種に対する細菌学的効果は88.4%, 上気道・下気道感染症, マイコプラズマ肺炎, カンピロバクター腸炎を主とする66例に対する臨床効果は100%であった。
    5. TE-031の1日量は6.8~42.3mg/kg (大半は20~30mg/kg), 投与期間は4~15日間であり全例1日3回分割投与であった。
    6. 本剤投与による副作用は一過性の症状及び臨床検査値異常各々1例だけであった。
    以上の結果から, TE-031の小児科領域における有用性を認めることができた。
  • 岩井 直一, 種田 陽一, 宮津 光伸, 中村 はるひ, 笠井 啓子
    1989 年 42 巻 2 号 p. 304-322
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたMacrolide系抗生物質であるClarithromycin (TE-031, A-56268) の小児用顆粒剤と小児用50mg錠について, 基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1. 小児における本剤投与後の血清中濃度と尿中排泄を経時的に検討した。
    顆粒剤10mg/kgを食前30分と食後30分に投与した際の6例のCross-overによる検討では, 前者の平均血清中濃度は1時間値の5.32±1.20μg/mlがピークで, その後は3.6±1.0時間の半減期をもって推移し, 6時間値は1.94±0.55μg/mlであつた。又, 後者では, 2時間値の4.21±1.25μg/mlがピークで, 半減期は3.5±1.3時間, 6時間値は1.66±0.47μg/mlであつた。更に, 6時間までの尿中回収率は前者, 後者で各々平均30.5±6.4%, 34.7±7.3%であった。
    又, 小児用50mg錠でほぼ10mg/kgに相当する量を食前30分に投与した3例の検討では, 平均血清中濃度は2時間値の4.10±0.44μg/mlがピークで, 半減期は3.5±0.7時間, 6時間値は1.90±0.55μg/mlであり, 6時間までの尿中回収率は平均32.7±12.1%であつた。
    以上の成績から, 本剤は小児においても優れた吸収が得られ, 既存のMacrolide系抗生物質の及ばない, 高く維持される血清中濃度と良好な尿中排泄を示すことが確認された。又, 顆粒剤のBioavailabilityについては, 食後より空腹時の方が若干優れており, 更に, 50mg錠は顆粒剤とほぼEquivalentな吸収, 排泄を示すと考えられた。
    2. 小児期感染症56例 (10カ月~12歳) に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討を行った。
    臨床効果の判定対象となつた急性咽頭炎2例, 急性化膿性扁桃腺炎26例, 急性肺炎12例 (Mycoplasma肺炎7例), 急性腸炎10例, 伝染性膿痂疹1例に対する臨床効果は著効41例, 有効10例であり, 著効と有効を含めた有効率100%であつた。又, 原因菌が判明した24例から分離されたStaphylococc aureus 1株, Streptococcus pyogenes 10株, Haemophilus influenzae 7株, Haemophilus parainfluenzae 1株, Campylobacter jejuni 5株に対する細菌学的効果については, H. influenzae 2株, H. parainflunzae 1株が減少であつた以外は消失と判定され, 除菌率は87.5%であった。更に, 副作用の認められた症例はなかつた。又, 臨床検査値異常については, 好酸球増多が2例, GOTの上昇が1例, GOT並びにGPTの上昇が1例に認められたが, いずれも軽度で, しかもトランスアミナーゼの上昇例では再検査により正常化が確認された。なお, 服用拒否が2例に認められたが, 他の症例では指示とおりの服用が可能であった。
    以上の成績から, 本剤は従来からMacrolide系抗生物質が第1次適応になると考えられてきた感染症だけでなく, 通常の細菌が関与する小児期の各種感染症に対しても高い有効性が得られること, 又, 安全性においても特に問題のない薬剤であることが確認された。
  • 早川 文雄, 久野 邦義, 中尾 吉邦, 山本 直樹, 石川 秀樹, 木村 宏, 竹内 秀俊
    1989 年 42 巻 2 号 p. 324-338
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口用マクロライド系抗生物質であるClarithromycin (TE-031, A-56268) の顆粒及び錠剤製剤につき小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. 本剤を5mg/kg3例 (錠剤2例, 顆粒1例), 10mg/kg 1例 (顆粒), 15mg/kg 1例 (顆粒) の計5例の小児に朝食前30分に投与し, その後の血清中濃度, 尿中濃度, 尿中回収率につき検討した。血清中濃度のピークは投与後30分に2例, 1時間に2例, 2時間に1例認められ, 2.29~7.10μg/mlであった。半減期は2.2~7.5時間に分布した。投与後の0~6時間までの尿中回収率は7.1~34.5%であった。
    2. Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Staphylococcus aureus, Haemophilus infiuenzae, Haemophilus parainfiuenzae, Branhamella catarrhalis, Campylobacter jejuni等の当科臨床分離株に対するMICをJosamycin (JM), Erythromycin (EM), Ampicillinと比較した。すべてJMより優れEMと同等の成績であつた。
    3. 55例の小児各種感染症 (猩紅熱3例, 咽頭炎, 扁桃炎15例, 百日咳2例, 肺炎10例, 気管支炎14例, カンピロバクター腸炎11例)に, 本剤10~35mg/kg/日を原則的に1日3回食前に分け投与した。臨床的には96%の有効率, 細菌学的には72%の除菌率であつた。
    4. 副作用及び臨床検査値異常は認められなかつた。
    5. 本剤の服用を拒否する児はみられなかった。
  • 井口 光正, 川口 寛, 神谷 齊, 櫻井 實
    1989 年 42 巻 2 号 p. 339-342
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく合成されたマクロライド系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) を小児に投与し, 治療効果にっき検討した。
    小児感染症26名に投与した結果, 臨床有効率は88.5%で, 小児科領域の感染症に対して高い有効率を持つ薬剤と評価された。
    副作用として26名中1名にトランスアミナーゼの上昇がみられたが, 抗生物質中止後正常化した。又, 1名に血小板増多が認められた。
    TE-031は有効率も高く小児科領域の感染症に対して有効な薬剤であると思われた。
  • 伊藤 節子, 真弓 光文, 三河 春樹
    1989 年 42 巻 2 号 p. 343-351
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    大正製薬株式会社研究所で開発された新しいマクロライド系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) の有効性と安全性について, 生後8カ月から12歳2カ月の男児19例, 女児11例の計30例を対象として検討し, 次のような結論を得た。
    1. 顆粒10mg/kgあるいは錠剤5.5mg/kg経口投与による吸収排泄試験では, 従来のマクロライド系抗生物質に比べて, 高い血中濃度と尿中回収率がみられた。
    2. マイコプラズマ肺炎5例, 肺炎, 気管支肺炎21例, 百日咳2例, 腸炎2例の計30例で, 本剤を1日投与量として, 細粒を用いた23例では16.7~31.6mg/kg,錠剤を用いた7例では11.1~31.6mg/kgを1日3回に分割して経口投与した。臨床効果は著効19例, 有効11例で有効率100%であつた。
    3. 臨床的副作用, 臨床検査値異常を認めた症例はなかつた。
    4. 本剤使用前に気管支肺炎の10例から分離された臨床分離株に対するMIC分布は, Sterptococcus pneumoniae 7株に対して0.025μg/ml以下3株, 0.05μg/ml 2株, 0.10μg/ml 2株, Haemophilus influenzae 1株に対して3.13μg/ml, Branhamella catarrhalis 2株に対して0.20μg/mlであつた。
    5. 本剤は小児科領域のマイコプラズマ感染症及び細菌感染症などの呼吸器感染症に対して優れた抗菌力を示し, しかも安全性が高く, 有用な薬剤であると考える。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1989 年 42 巻 2 号 p. 353-369
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規Macrolide系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    基礎的検討として, TE-031の血清中濃度及び尿中排泄率を測定した。TE-031 5mg/kg, 6.7mg/kgを各々食前に投与した場合, 濃度ピークはいずれも投与後1時間にあり, 各々1.98μg/ml, 2.21μg/mlで, 半減期は各々2.99時間, 2.08時間, 又, 6時間までの尿中排泄率は各々30.1%, 20.5%であつた。一方, 10mg/kg投与は2例に行い, いずれも濃度ピークは投与後2時間にあり, 平均3.91±1.64μg/mlで, 半減期は平均3.00±0.58時間, 投与後6時間までの尿中排泄率は23.8%, 22.7%, 平均23.3±0.6%であった。又, TE-031 15mg/kg投与は食後に行い, 濃度ピークは投与後30分にあり5.58μg/mlで, 半減期は2.09時間, 6時間までの尿中排泄率は39.1%であつた。
    放射性同位元素で標識したTE-031のヒト好中球内への移行率 (細胞内/外濃度比) は16.6±3.7倍であり, Erythromycinの13.1±1.6倍に比べ高値を示した。
    臨床的検討は化膿性扁桃炎5例, 急性咽頭炎3例, 気管支炎7例, 肺炎5例, Mycoplasma肺炎15例, 百日咳1例, Campylobacter腸炎3例の計39例について行い, 臨床効果は著効17例, 有効18例, やや有効3例, 無効1例で, 有効以上は39例中35例で, 89.7%の有効率であった。細菌学的効果はStreptococcus pneumoniae 1例, Haemophilus influenzae 4例, Haemophilus parainfluenzae 2例, Mycoplasma pneumoniae 5例, Campylobacter spp. 3例及びS. pneumoniaeH. influenzaeの混合感染1例の計16例, 17株について検討したが, うち14株 (82.4%) は菌消失し, 2株は不変, 1株は菌交代であつた。
    副作用は臨床症状・所見及び本剤投与前後の臨床検査値異常について検討したが, 本剤を中止するほどの重篤な異常は認めなかつた。
  • 服部 和裕, 東野 博彦, 武部 充子, 佐藤 勇, 竹田津 みさ, 登 美, 禹 満, 田中 宏卓, 足立 靖, 小林 陽之助
    1989 年 42 巻 2 号 p. 371-380
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. 46例の呼吸器感染症, 皮膚感染症等の小児にClarithromycin (TE-031, A-56268) を投与した。臨床効果の判定対象となつたのはこの中から服薬できなかつた8症例及びウィルス感染症であつた間質性肺炎の1症例の計9例を除いた37例で, このうち27例で有効以上の成績を収めた。
    2. 細菌学的には, 分離された4例のHaemophilus influenzaeのうち1例は消失, 3例に菌の減少を認め, Haemophilus parainfluenzae 1例は消失, Staphylococcus aureus 1例は消失した。
    3. 副作用及び臨床検査値の異常は認めなかつた。
    4. 以上からTE-031は副作用も少なく, 軽症~中等症の呼吸器感染症には有効な薬剤と考えられるが, 細粒等の剤型においては幼児にも服用しやすくするための工夫が必要と考えられる。
  • 筒井 孟, 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 小林 裕
    1989 年 42 巻 2 号 p. 381-387
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新Macrolide系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) の小児用顆粒を23例, 錠剤を2例, 計25例の小児感染症例に投与した。1日量は14.3mg/kgを分2投与した1例を除いて, 18.3~30.3mg/kg, 分3, 投与日数は4日から13口にわたり, うち18例は6~8日であつた。得られた結果は以下のとおりである。
    1. 臨床効果は百日咳7例では著効1例, 有効4例, やや有効2例, 扁桃炎6例では著効3例, 有効2例, やや有効1例, 扁桃炎兼気管支炎1例有効, 気管支炎4例では著効1例, 有効3例, 肺炎2例では著効, 有効各1例, 大腸炎5例では著効4例, 有効1例, 計25例中著効10例, 有効12例, やや有効3例, 無効例はなく, 有効率は88.0%で, 本剤の抗菌力, 吸収の良さを反映する成績と考えられた。
    2. 起炎菌が検出できた12例における細菌学的効果はHaemophilus influenzae 5株中3株が消失, 1株が減少, 1株が不変であつたほかは, 2回目の培養ができなかつたため不明としたCampylobacter jejuni 1株を除き, 残り6株 (Staphylococcus aureus 2株, Streptococcus pyogenes 1株, C. jejuni 2株, Bordetella pertussis 1株) はすべて消失し, 81.8%の除菌率であつた。
    3. 副作用及び臨床検査値異常は全く認められなかつた。
    4. 以上の成績から, 本剤は小児科領域においても有用な新Macrolide剤と考えられたが, 穎粒剤については, ざらざらするあるいは苦味のためほとんど服用できなかつた3例のほか, 予定どおりの回数を服薬できなかつたものが3例あり, 使用に際しては, 本剤が最適であることを十分納得させ, 飲ませ方についての細かい注意を与えることが大切である。
  • 田山 正伸, 市岡 隆男, 細田 禎三, 宮尾 益英
    1989 年 42 巻 2 号 p. 388-392
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clarithromycin (TE-031, A-56268) を小児細菌感染症20例 (急性咽頭炎1例, 急性扁桃炎3例, 急性気管支炎11例, 慢性気管支炎の急性増悪1例, 急性気管支肺炎1例, マイコプラズマ肺炎2例, 伝染性膿痂疹1例) に使用した結果, 臨床的に有効と判定されたものは15例 (75.0%) であつた。副作用は臨床症例, 検査所見共に認めなかつた。TE-031は小児感染症の治療に有効な薬剤であると考えられた。
  • 林 正俊, 貴田 嘉一, 松田 博, 村瀬 光春
    1989 年 42 巻 2 号 p. 393-400
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clarithromycin (TE-031, A-56268) の小児における体内動態及び小児期細菌感染症に対する有効性, 安全性を検討し, 下記の成績を得た。
    1. 小児5例にTE-031顆粒5mg/kgを食前投与した時の血清中濃度は30分, 1時間後に最高値 (0.29~2.0μg/ml) を示したが, 血清中濃度には明らかな個体差が認められた。
    2. TE-031顆粒平均20mg/kg/日を投与された呼吸器感染症14例, 腸管感染症3例の計17例に対する臨床的効果は著効10例, 有効6例, やや有効1例で, 有効率94.1%であつた。
    3. 細菌学的検査を行い得た10例におけるTE-031の細菌学的効果は, 起因菌の消失7例, 減少2例, 不変1例で, 菌消失率は70.0%であった。分離菌別菌消失率はStaphylococcus aureusでは66.7% (2株/3株), Streptococcus pneumoniae (3株/3株) 及びStreptococcus pyogenes (1株/1株) では100%, Haemophilus influenzaeでは42.9% (3株/7株) であつた。
    4. 副作用と思われる症状は認められなかつた。臨床検査値異常として, 好酸球増多を1例に認めた。
  • 小倉 英郎, 久保田 晴郎, 野村 伊知郎, 友田 隆士, 荒木 久美子, 小倉 由紀子, 倉繁 隆信
    1989 年 42 巻 2 号 p. 401-410
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいマクロライド系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) の小児科領域における臨床効果を検討した。
    患者は生後2カ月から11歳までで, 疾患の内訳は急性気管支炎5例, 急性扁桃炎2例, マイコプラズマ肺炎2例, 百日咳6例, 猩紅熱1例, 急性腸炎2例の計18例であつた。
    TE-031の用量は1日19.7~43.5mg/kgで, 投与期間は4~19日間であつた。
    臨床効果は著効11例, 有効7例で全例有効以上であつた。
    TE-031に起因すると思われる副作用及び臨床検査値異常は全例に認められなかつた。
  • 関口 隆憲, 岡本 喬, 大原 克明, 西森 緑, 幸山 洋子, 宮崎 雅仁
    1989 年 42 巻 2 号 p. 411-419
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clarithromycin (TE-031, A-56268) を小児感染症25例 (気管支炎5例, 肺炎8例, マイコプラズマ肺炎4例, 百日咳2例, カンピロバクター腸炎6例) に使用した結果, 臨床的に有効と判定されたもの22例 (88%) であり, 細菌学的に菌の消失をみたものは10例中10例 (100%) であった。副作用は認めなかった。本剤は小児細菌感染症に対して有用な薬剤と考えられる。
  • 古川 正強, 岡田 隆滋
    1989 年 42 巻 2 号 p. 420-422
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域の各種感染症にClarithromycin (TE-031, A-56268) 顆粒を使用し, 下記の結果を得た。
    1. 腸炎5例, 気管支炎4例, 扁桃炎1例の計10例に対する臨床的効果は著効6例, 有効4例で, 有効率は100%であつた。
    2. 副作用, 臨床検査値異常は認めず, 治療上問題となる服薬拒否はなかつた。
  • 本廣 孝, 阪田 保隆, 黒岩 泰直, 荒巻 雅史, 織田 慶子, 川上 晃, 島田 康, 田中 耕一, 古賀 達彦, 藤本 保, 林 真夫 ...
    1989 年 42 巻 2 号 p. 423-464
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたClarithromycin (TE-031, A-56268) は抗菌域と抗菌力はErythromycin (EM) とほぼ同等であるが, 既存のマクロライド系抗生物質に比べ血中濃度が高く, 尿中回収率も良好で, 各組織へ良い移行を示す等の特徴を有し, 本邦では成人において種々の検討がなされその有用性が確認されている。
    今回, 顆粒及び50mg力価含有錠剤を用いて本剤の小児における有用性を検討した。
    本剤の顆粒は6ヵ月から13歳10ヵ月の小児132例に投与したが, 臨床効果の判定できなかつた12例を除いた疾患と症例数は咽頭炎1例, 扁桃炎3例, 急性気管支炎9例, 肺炎19例, マイコプラズマ肺炎19例, 猩紅熱2例, カンピロバクター腸炎20例, 膿痂疹11例, 皮下膿瘍2例, 異型肺炎18例, 起炎菌不明の急性腸炎16例, 計120例で, 本剤の1日平均投与量は25.9mg/kg, 分2か分3 (分2は1例, 分3は119例) で, 平均7日間の投与であった。本剤の50mg力価含有錠剤投与例の疾患と症例数は, 3歳1ヵ月から14歳0ヵ月の咽頭炎8例, 扁桃炎1例, 急性気管支炎1例, 肺炎4例, マイコプラズマ肺炎14例, 猩紅熱4例, カンピロバクター腸炎5例, 膿痂疹7例, 異型肺炎1例, サルモネラ胃腸炎1例, 起炎菌不明の急性腸炎3例, 計49例で, 本剤の1日平均投与量は13.5mg/kg, 分2~4 (分2は12例, 分3は32例, 分4は5例) で, 平均7日間投与し, 両製剤投与例の臨床効果, 細菌学的効果をみると共に, 本剤投与の症例から分離され, 起炎病原体あるいは起炎病原体と推定された71株中Stapylococcus aureus 12株, Streptococcus pyogenes 7株, Streptococcus pneumoniae 2株, Haemophilus influenzae 2株, Campylobacter jejuni 6株, 計29株の接種菌量106cfu/mlにおけるMLsではTE-031とEM, Josamycin (JM), Midecamycin acetate (MDM acetate), Rokitamycin (RKM) の5剤, ペニシリン系抗生物質ではAmpicillin (ABPC), Methicillin, Cloxacillinの3剤, セフェム系抗生物質では, Cefaclor (CCL) の1剤, 計9剤, C. jejuniに対してはKanamycin, Fosfomycin, Ofloxacinの3剤も加えてMICの測定を実施し, 又, 副作用及び臨床検査値への影響を検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. TE-031顆粒投与例の臨床効果は120例中109例が有効以上で, 有効率は90.8%を示し, 本剤の対象外疾患とすべき異型肺炎, 起炎菌不明の急性腸炎例を除いた場合には86例中79例が有効以上で, 有効率は91.9%と良好であった。
    2. TE-031 50mg力価含有錠剤投与例の臨床効果は49例中48例が有効以上で, 有効以上の有効率は98.0%を示し, TE-031顆粒投与例と同様に本剤の対象外疾患, すなわち異型肺炎, サルモネラ胃腸炎, 起炎菌不明の急性腸炎例を除いた場合には44例中43例が有効以上で, 有効率は97.7%と良好であったTE-031顆粒投与例の有効率に類似した。
    3. TE-031の顆粒と50mg力価含有錠剤投与例をまとめてすべての症例で臨床効果をみると, 169例中157例が有効以上で, 有効率は92.9%を示したが, 本剤の対象外疾患とすべき症例を除いた場合には130例中122例が有効以上で, 有効率は93.8%と良好であった。
    4. 全例について, 1日投与量別の臨床効果をみると, 10.0mg/kg以下, 10.1~15.0, 15.1~20.0, 20.1~30.0, 30.1mg/kg以上の各々11, 36, 30, 68, 24例における有効以上の有効率はそれぞれ100, 97.2, 93.3, 91.2, 87.5%で, 本剤の対象外疾患とすべき症例を除いた場合の有効率は各々100, 96.7, 91.3, 925, 92.9%で, 各投与量群の有効率は類似した。
    5. TE-031顆粒投与例の細菌学的効果はグラム陽性球菌では12株中11株91.7%, グラム陰性桿菌では22株中21株95.5%, Mycoplasma pneumoniae 6株はすべて消失し, 40株の全株では38株が消失し, 消失率は95.0%と良好であつた。
    6. TE-031 50mg力価含有錠剤投与例の細菌学的効果はグラム陽性球菌では8株の全株, グラム陰性桿菌では6株中4株, M. pneumoniae 8株はすべて消失し, 22株の全株では20株が消失し, 消失率は90.9%であったが, 本剤の有効菌種ではないSalmonella choleraesuis 1株を除いた場合の消失率は95.2%と良好で, TE-031顆粒投与例の消失率と同等であった。
    7. TE-031の顆粒と50mg力価含有錠剤投与例をまとめて細菌学的効果をみると, グラム陽性球菌では20株中19株95.0%, グラム陰性桿菌では28株中25株89.3%, M. pneumoniae 14株はすべて消失し, 62株の全株では58株が消失し, 消失率は93.5%であつたが, 本剤の有効菌種ではないS. choleraesuis 1株を除いた場合の消失率は95.1%と良好であった。
    8. TE-031の抗菌力はS. aureus 12株ではMIC0.10~100μg/mlで, MIC90は100μg/mlを示し, EMのMICに類似し, S. pyogenes 7株では全株がMIC0.025μg/ml以下で, EM及びABPCのMICと同等, S. pneumoniae 2株ではMIC0.05μg/mlか0.025μg/ml以下で, EMのMICと同等で, ABPCのMICと同等か類似した。H. influenzae 2株では両株共にMIC3.13μg/mlで, CCLのMICに類似した。C. jejuni 6株でのMICは0.78μg/mlが5株, 3.13μg/mlが1株で, MDM acetateのMICとほぼ同等で, EM, JM, RKMのMICにほぼ類似した。
    9. 副作用はTE-031顆粒投与例ではなく, 50mg力価含有錠剤投与例で発疹が1例, 下痢が2例に出現し, そのうち1例は発疹出現例と同一の症例であった。
    なお, 服薬状況ではTE-031顆粒投与例で服薬を嫌い自主休薬した症例が12例あった。
    10. 臨床検査値では好酸球増多がTE-031顆粒投与例で55例中2例3.6%, TE-031 50mg力価含有錠剤投与例で33例中1例3.0%に出現した。
  • 本廣 孝, 吉永 陽一郎, 佐々木 宏和, 織田 慶子, 荒巻 雅史, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 阪田 保隆, 藤 ...
    1989 年 42 巻 2 号 p. 465-494
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいマクロライド系抗生物質 (MLs) であるClarithromycin (TE-031, A-56268) は既存のMLsに比較し血中濃度が高く, 尿中へ高率に移行し, 各組織への移行が良好であることが成人において確認されている。今回, 小児における体内動態を検討するため, TE-031を1g中に100mg力価含有する顆粒を5歳4ヵ月から14歳0ヵ月の男児6例中各3例に5mg/kgか10mg/kg, TE-031の50mg力価含有錠剤を8歳5ヵ月から11歳6ヵ月の男児4例, 女児2例中各3例に2錠, すなわち100mg力価か3錠すなわち150mg力価を食前30分に経口投与すると共に, 前述のTE-031 50mg力価含有錠剤を2錠投与した3例に同力価量の顆粒, 50mg力価含有錠剤を3錠投与した3例中1例に同力価量の顆粒をCross-overで食前30分に経口投与し, 血清中濃度はBioassay法による抗菌活性物質の濃度, High performance liquid chromatography (HPLC) 法による未変化体のTE-031と主な代謝物であるM-5の濃度を測定, 尿中濃度はBioassay法による抗菌活性物質の濃度を測定し, 投与後6時間までの回収率を算出, HPLC法で投与後6時間までの全尿にっき未変化体のTE-031とその代謝物であるM-1, M-4, M-5, M-6, M-7の濃度とその占める割合にっき検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. TE-031の顆粒を5, 10mg/kg投与した各3例におけるBioassay法による血清中抗菌活性物質の平均での最高濃度は5mg/kg投与群では投与1時間後, 10mg/kg投与群では投与2時間後で, 各々1.28, 3.62μg/mlを示し, 両投与群間にDose responseがみられ, 5, 10mg/kg投与群の平均半減期はそれぞれ2.1, 2.0時間で類似した。
    HPLC法による未変化体のTE-031の平均濃度は両投与群共に投与1時間後が最も高く各々0.65, 2.67μg/ml, M-5も同じ時間に平均で最高濃度を示し, それぞれ0.88, 1.62μg/mlで, TE-031, M-5共に両投与群間でDose responseがみられ, 5, 10mg/kg投与群におけるTE-031の平均半減期は各々1.90, 1.97時間で類似し, M-5の平均半減期はそれぞれ2.58, 3.62時間で, 5mg/kg投与群に比べ10mg/kg投与群が長かった。
    2. TE-031の50mg力価含有錠剤を2錠か3錠投与した各3例におけるBioassay法による血清中抗菌活性物質の平均での最高濃度は両投与群共に投与1時間後で, 投与量を体重当り1mg/kgに換算した場合の平均最高濃度は各々0.45, 0.54μg/ml, 5mg/kgに換算した場合の平均最高濃度はそれぞれ2.23, 2.68μg/mlで類似し, 平均半減期は各々2.2, 2.3時間でほぼ同じであつた。
    HPLC法による未変化体のTE-031の濃度はそれぞれの投与群においては投与量に著しい差がないことから平均してみると両投与群共に投与1時間後が最も高く各々0.61, 1.99μg/ml, M-5も同じ時間で平均最高濃度を示し, それぞれ0.50, 1.20μg/mlであつた。両投与群におけるTE-031の平均半減期はそれぞれ1.85, 1.99時間, M-5の平均半減期は各々3.29, 3.38時間で, TE-031, M-5共に類似した。
    3. TE-031の錠剤と顆粒をCross-overで投与した場合では, TE-0312錠と同力価量の顆粒を投与した3例のBioassay法による血清中抗菌活性物質の平均での最高濃度は両投与群で, 投与量に著しい差がないことから平均してみると両群共に投与1時間後で, それぞれ1.32, 1.43μg/ml, 平均半減期は各々2.2, 2.4時間を示し, 両者共に類似した。
    HPLC法による未変化体のTE-031の濃度は投与量に著しい差がないことから平均してみると, 両群共に投与1時間後が最も高く各々0.61, 0.71μg/ml, M-5も同じ時間で平均では最高濃度を示し, それぞれ050, 0.64μg/mlと類似, 錠剤と顆粒投与時におけるTE-031の平均半減期は各々1.85, 2.15時間, M-5の平均半減期はそれぞれ3.29, 3.65時間で両者共に著しい違いはなかった。
    TE-031 3錠と同力価量の顆粒を投与した1例のBioassay法による血清中抗菌活性物質は両剤投与時共に投与1時間後が最高濃度で, 各々3.41, 2.46μg/mlを示し, 錠剤投与時がやや高く, 半減期はそれぞれ2.2, 2.5時間で類似した。HPLC法による未変化体のTE-031とその主な代謝物であるM-5の濃度は両剤投与時共に投与1時間後が最も高く, TE-031の濃度は各々2.17, 1.51μg/ml, M-5の濃度はそれぞれ1.50, 0.80μg/mlで, 両者共に錠剤投与時がやや高いか高い濃度を示し, TE-031の半減期は各々1.68, 1.77時間, M-5の半減期はそれぞれ2.85, 4.36時間で, 両剤投与時共にTE-031は類似したが, M-5は顆粒投与時が長かった。
    4. TE-031の顆粒を5, 10mg/kg投与し血清中濃度を測定した各3例中5mg/kg投与群では2例でBioassay法による尿中抗菌活性物質の濃度が測定でき, 平均での最高濃度は投与後4~6時間で53.7μg/ml, 投与後6時間までの平均回収率は20.55%であった。HPLC法による投与後6時間までの全尿における未変化体のTE-031とその代謝物中, 平均での最も高い濃度を示したものはM-5で22.1μg/ml, その占める割合は57.1%であつた。
    10mg/kg投与の3例でのBioassay法による尿中抗菌活性物質の平均での最高濃度は投与後4~6時間で336μg/mlで, 5mg/kg投与群より高く, 投与後6時間までの平均回収率は35.01%で, 5mg/kg投与群より高率であつた。HPLC法による投与後6時間までの全尿における未変化体のTE-031とその代謝物中, 平均での最も高い濃度を示したものはTE-031で137.3μg/ml, その占める割合は52.0%であった。
    5. TE-031の50mg力価含有錠剤を2錠投与し血清中濃度を測定した同じ3例についてのBioassay法による尿中抗菌活性物質の濃度は投与量に著しい差がないことから平均してみると投与後2~4時間が最も高い濃度で149.7μg/ml, 投与後6時間までの平均回収率は21.7%であつた。HPLC法による投与後6時間までの全尿における未変化体のTE-031とその代謝物を平均してみると, 最高濃度を示したものはTE-031で53.3μg/ml, その占める割合は43.6%であった。
    TE-031を3錠投与し血清中濃度を測定した3例について, Bioassay法による尿中抗菌活性物質の濃度でも, 投与量に著しい差がないことから平均してみると, TE-031 2錠投与群と同じく投与後2~4時間が最も高い濃度で308μg/mlを示し, 2錠投与群より高濃度で, 投与後6時間までの平均回収率は26.3%で, 2錠投与群よりやや高かつた。HPLC法による投与後6時間までの全尿における未変化体のTE-031とその代謝物を平均してみると, 最高濃度を示したものは2錠投与群と同じくTE-031で105.2μg/ml, その占める割合は48.1%であつた。
    6. TE-031の錠剤と顆粒のCross-over中, TE-031 2錠と穎粒を投与した3例でのBioassay法による尿中抗菌活性物質の平均での最高濃度は錠剤投与時は投与後2~4時間, 顆粒投与時は投与後0~2時間で各々149.7, 60,8μg/mlを示し, 錠剤投与時が高濃度で, 投与後6時間までの平均回収率はそれぞれ21.7, 12.4%で, 錠剤投与時が高かつた。HPLC法による投与後6時間までの全尿における未変化体のTE-031とその代謝物中, 平均での最高濃度を示したものは錠剤投与時ではTE-031で53.3μg/ml, 顆粒投与時ではTE-031とM-5で21.2μg/ml, その占める割合で最も高率のものは錠剤投与時でTE-031の43.6%, 顆粒投与時でM-5の42.1%であったが, 両剤投与時共にTE-031とM-5の占める割合は類似した。
    TE-031 3錠と顆粒を投与した1例でのBioassay法による尿中抗菌活性物質の平均での高い濃度は錠剤では投与後0~2時間, 顆粒では投与後4~6時間で各々376, 83.0μg/mlを示し, 錠剤投与時が高濃度で, 投与後6時間までの回収率はそれぞれ25.0, 17.9%で, 錠剤投与時が高かつた。HPLC法による投与後6時間までの全尿における未変化体のTE-031とその代謝物で, 最も高い濃度を示したものは両剤投与時共にTE-031で, 各々126.7, 20.7μg/mlを示し, 錠剤投与時が著しく高濃度であつたが, その占める割合はそれぞれ53.8, 48.6%で著しい違いはなかった。
  • 柳島 正博, 楊井 正紀, 柳 忠道, 辻 芳郎, 中山 紀男, 今村 甲
    1989 年 42 巻 2 号 p. 495-511
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいマクロライド系経口抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) について基礎的, 臨床的検討を行ったので報告する。
    1. 体内動態
    TE-031 10%細粒を1, 5, 10, 15mg/kg, TE-031 50mg錠剤を3錠 (150mg) 投与し, 血清中濃度の推移と尿中排泄を検討した。Tmaxは細粒, 錠剤とも投与後1~2時間後であつた。Cmaxは1mg/kgでは0.29±0.15μg/ml, 5mg/kgでは2.53±0.71μg/ml, 10mg/kgでは4.11±1.37μg/ml, 15mg/kgでは6.28±1.48μg/mlであった。T1/2は1.8~6.5時間と症例間で差があつた。投与後6時間までの尿中排泄は9.4±2.4%~31.6±19.0%であった。
    2. 臨床成績
    マイコプラズマ肺炎をはじめとする呼吸器感染症24例に投与した。臨床効果は著効11例, 有効12例, やや有効1例で, 有効率は95.8%であった。臨床的副作用は認められなかったが, 臨床検査値異常としてGOT, GPTの上昇が3例に認められた。
  • 藤井 良知, 目黒 英典, 有益 修, 比留間 藤昭, 菅又 久美子, 杉江 信之, 比嘉 晶子, 篠崎 立彦, 阿部 敏明, 砂川 慶介, ...
    1989 年 42 巻 2 号 p. 512-541
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新マクロライド系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) について全国規模で研究会を組織し, 小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 吸収・排泄
    10%顆粒剤及び50mg錠剤を用い, 1, 5, 10mg/kg及び15mg/kgの1回経口投与による体内動態を検討した。10%顆粒剤と50mg錠剤間及び食前, 食後投与間に有意な差はみられなかった。5mg/kg, 10mg/kg, 15mg/kgの顆粒剤食前1回投与での血清中濃度ピーク値は各々1.58μg/ml, 4.37μg/ml, 3.79μg/ml, 半減期は2.53, 3.17, 2.20時間, 投与後6時間までの尿中排泄率は約20~30%であった。
    2. 抗菌力
    Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenesに対しては0.10μg/ml, Branhamella catarrhalisに対しては0.39μg/ml, Campylobacter jejuniに対しては0.78μg/mlで80%以上の株の発育が阻止され, 優れた抗菌力を示した。又, Staphylococcus aureusではErythromycin (EM) とほぼ同等の感受性分布を示し, EM耐性株はTE-031に対しても耐性を示した。
    3. 臨床成績
    総症例は764例であり, 除外・脱落を除いた717例を効果判定解析対象とした。臨床効果は起炎菌及び病因が確定したA群453例で著効265例, 有効161例, 有効率94.0%, 菌及び病因未確定のB群264例で著効115例, 有効124例, 有効率90.5%であった。A群とB群合せた疾患別臨床効果は, 上気道炎91.6% (217例/237例), 細菌性肺炎90.0% (108例/120例), マイコプラズマ肺炎97.4% (111例/114例), クラミジア肺炎100% (4例/4例), 百日咳85.0% (34例/40例), 猩紅熱100% (16例/16例), 皮膚軟部組織感染症83.9% (26例/31例), カンピロバクター腸炎98.9% (87例/88例) であった。
    細菌学的効果は起炎菌と判定された309株中264株, 85.4%に除菌効果がみられた。グラム陽性菌は113株で除菌率91.2%, 内S. aureus 41株で85.4%, S. pyogenes 42株で90.5%, S. pneumoniae 28株で100%を示した。グラム陰性菌177株で除菌率80.2%, 内Haemophilus influenzae 62株で56.5%, C. jejuniCampylobacter sp. 合せて83株で96.4%が除菌された。
    又, Mycoplasma pneumoniae 19株すべてが除菌された。
    先行抗生剤3日間以上投与の無効例130例では, 著効61例, 有効57例, 有効率90.8%の高値を示した。又, 除菌効果は29株中22株75.9%にみられた。
    4. 副作用, 臨床検査値異常
    副作用検討対象例737例の内, 嘔吐, 腹痛, 軟便, 下痢, 発疹, 蕁麻疹等の症状が12例1.6%に認められた。臨床検査値異常はGOT, GPT上昇, 好酸球増多, 血小板数増加等31件 (28例) に認められたがいずれも軽度なものであり, 特に留意すべき異常所見は認められなかった。
    5. 投与量別臨床効果及び投与量別細菌学的効果
    投与量別臨床効果及び投与量別細菌学的効果は有効率が高いためもありDose responseは明らかでなかつた。小児に対するTE-031の標準用量は1日15mg/kgを分3を原則として食前投与する。なお, 症状に応じて用量・回数を増減する。年長児に対する錠剤投与もこれに準ずるが, 成人の1日最大量を越えないとするのが適当であろうと考えられた。
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