The Japanese Journal of Antibiotics
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42 巻, 7 号
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  • 藤井 良知, 目黒 英典, 有益 修, 白石 裕昭, 阿部 敏明, 吉岡 一, 坂田 宏, 井関 憲一, 高橋 庸二, 室野 晃一, 我妻 ...
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1439-1455
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCefpodoxime proxetil (CS-807, CPDX-PR)のドライシロップ剤について小児科領域における基礎的, 臨床的検討を目的として研究会を組織し参加17施設とその関連施設による協同研究を実施し, 以下の成績を得た。
    1. 血中濃度, 尿中排泄
    小児での体内動態を1回3mg/kg及び6mg/kg経口投与にて検討した。
    空腹時投与のCmaxは2. 24±0. 21μg/ml(3mg/kg), 4. 68±0. 54μg/ml(6mg/kg), 食後投与のCmax1. 65±0. 07μg/ml(3mg/kg), 3. 71±0. 41μg/ml (6mg/kg) であった。
    投与6時間後までの尿中排泄率は空腹時投与28. 2±25%(3mg/kg), 31. 6±4. %(6mg/kg), 食後投与30. 5±2. 9%(3mg/kg), 34. 1±6. 6%(6mg/kg)であった。
    2. 臨床成績総症例780例から除外・脱落33例を除く747例に, 2疾患合併の1例を加えた748例で臨床効果の検討を行つた。起炎菌が検出された499例中有効以上472例, 有効率94. 6%であった。起炎菌が検出できなかつた249例での有効率は93. 2%で, 起炎菌検出例とほぼ同じであった。
    1日投与量は> 8. 0-12. 0mg/kgが全体の68. 2%を占め, その有効率は93. 9%であった。
    起炎菌別細菌学的効果は起炎菌と判定された502株中455株, 90. 6%が消失した。
    すなわち, 菌消失率はStaphylococcus aureus 119株で86. 6%, Staphylococcus pyogenes 99株で97. 0%, Staphylococcus pneumoniae30株で90. 0%, Haemophilus influenzae 105株で85. 7%, Escherichia coli82株で100%, Branhamella catarrhalis 14株で78. 6%であった。他抗菌剤の無効であつた84例のうち本斉1J投与により有効以上のものは74例, 有例率88. 1%であった。又, そのうち起炎菌の明らかな45例中有効以上のものは40例, 有効率88. 9%であり, 除菌効果も39株中消失28例, 消失率71. 8%であった。
    3. 副作用, 臨床検査値異常
    安全性に関する検討は初診後来院しなかつた1例を除く779例について行つた。
    副作用は嘔吐, 下痢, 軟便, 発疹など17例で, そのうち15例が消化器症状であった。
    臨床検査値では, 好酸球増多, S-GOT, S-GPT, 血小板増加など約3%の異常値発現率で, 従来のCephalosporin系抗生物質と同程度であつた。その他には, 1例プロトロンビン時間の延長がみられた。副作用, 臨床検査値異常に特に重篤なものはなく, 本剤の投与中止又は投与終了により消失もしくは正常に復した。
    4. 服用の難易性本剤の服用に際し, 苦味のために服用を他剤に変更したのは1例にすぎず, 服用は容易であった。
    5. 標準投与量以上の成績から, 標準投与量は1回3mg/kg1日3回であり, 軽症及び尿路感染症には1日2回投与でよい。症状に応じ倍量まで増量できるが成人用量を超えないことを原則とする。
  • 坂田 宏, 梯 仁志, 藤田 晃三, 吉岡 一, 井関 憲一, 室野 晃一, 高橋 庸二
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1456-1463
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児の呼吸器感染症, 尿路感染症及び皮膚感染症29例にCefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807)のドライシロップを投与し臨床効果と副作用を, 更に10例において薬物動態を検討した。
    1. 有効率は100%であった。細菌学的効果でも100%の除菌率であっだ。
    2. 重篤な副作用は認めず, 下痢が3例にみられ, 検査値の異常としてGOT, GPTの増加が2例にみられた。
    3. 空腹時投与における最高血清中濃度は6時間にあっだ1例を除き投与後1-2時間にあり, 3mg/kg投与で平均2. 53μg/ml, 6mg/kg投与で平均4. 36μg/mlであった。
    4. 投与後6時間までの尿中回収率は3mgkg投与で平均27. 1%, 6mg/kg投与で平均41. 1%であった。
  • 我妻 義則, 高瀬 愛子, 福島 直樹, 石川 丹, 高橋 聰
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1464-1470
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpodoxime proxetil (CS-807, CPDX-PR) の小児用ドライシロップを試用し, 下記のような臨床成績を得た。
    1. 11歳 (男子) と12歳 (女子) の2例に本剤をそれぞれ5. 6mg/kg及び6. 0mg/kgを食後及び食前に内服させて, 吸収排泄について観察した結果は下記の表のとおりであった。
    2. 22例の感染症に応用した。マイコプラズマ肺炎1例を除く細菌性咽頭炎, 扁桃炎, 狸紅熱, 尿路感染症21例での有効以上の成績は81両0%に得られた。
    又, 細菌学的消失効果は11株中8株 (消失率72両7%) で認められた。
    3. 副作用として軟便となった症例を1例認めたが, 投与継続し, 特別の処置を必要としなかった。
  • 渡辺 章, 越浪 正仁
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1471-1476
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口抗生物質Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) を小児細菌感染症18例 (急性扁桃腺炎10例, 急性気管支炎3例, 肺炎1例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群 (SSSS) 3例, 伝染性膿痂疹1例) に投与した。1日投与量は75-18mg/kgで投与期間は5-15日間に及んだ。
    臨床効果は著効3例(16. 7%), 有効11例(61. 1%), やや有効4例 (22. 2%), 無効0例(0%)で有効以上の有効率は77. 8%であった。細菌学的効果は起炎菌を同定し得た7例中6例に除菌効果があった。
    副作用は全く認めなかった。トランスァミナーゼの上昇を1例に認めたが, 投与終了後速やかに前値に復した。
    CPDX-PRは小児科領域でも安全で有用な経口抗生物質であると考えられる.
  • 木村 滋, 横山 碓, 工藤 真生, 青山 隆蔵, 岡本 忠篤, 対馬 徳武, 小野寺 典夫, 池田 保彦
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1477-1487
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各種小児感染症60例にCefpodoxime proxetil (CPDX-PR) を投与し, 54例で臨床的効果を, 60例で副作用及び検査値異常を検討した。有効率は98. 1% (53例/54例), 副作用及び検査値異常は10% (6例/60例) であった。副作用及び臨床検査値異常はすべて軽度で, CPDX-PRは小児科領城でも有用な薬剤と考えられた。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 金田 一孝
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1488-1497
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域における各種急性感染症に対し新しく開発された経口用セファロスポリン系抗生物質Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) を使用し, その臨床効果について検討した。
    1. 吸収, 排泄については, 4歳女児 (体重17kg) と12歳女児 (体重33kg) に対しそれぞれCPDX-PR 3mg/kgを経口投与し血清中濃度を測定したところ, ピークはいずれも投薬後4時間で, それぞれ1.39μg/ml, 2.26μg/mlで, T 1/2 2.09時間, 2.63時間であり, AUC 6.05μg・hr/ml及び10.10μg・hr/mlであった。投与後8時間までの尿中累積回収率はそれぞれ57.3%, 80.9%であった。
    2. 臨床使用成績では, 急性扁桃炎10例, 急性気管支炎6例, 気管支肺炎5例, 急性肺炎1例, 猩紅熱2例, 急性中耳炎1例, 急性中耳炎兼化膿性汗腺炎1例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群1例, 急性リンパ節炎1例, 尿路感染症2例の計30例にCPDX-PRを使用し, 臨床効果不明の1例を除いた29例中, 27例 (93.1%) 有効であった。
    3. 細菌学的効果はCPDX-PR投与前に起炎菌を検出した9例での投薬後菌検索の結果, 菌消失7例, 菌効果不明2例であった。
    4. 副作用調査では, 投薬2日目から軽度の下痢を1例に認めたが, 投薬継続に差し支えなく, 血液生化学検査でGOT軽度上昇1例, GOTとGPT軽度上昇1例を認めた。
  • 廣澤 浩, 石川 尉子, 高橋 慎太郎, 松田 博雄, 市橋 治雄
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1498-1504
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新セファロスポリン系抗生物質Cefpodoxime proxetil (CS-807, CPDX-PR) の小児科領域における有用性を検討した。
    1. 症例数は21例, 年齢は3カ月~9歳1カ月にわたり, 男児5例, 女児16例であった。
    2. 1回投与量は4.4~5.8mg/kgで, 1日3回の空腹時経口投与とし, 総投与量は46.4~200.0mg/kgにわたった。投与期間は3~12日間であった。
    3. 疾患別症例数はAcute pharyngids 9例, Acute tonsillitis 5例, Acute bronchitis 3例, Impetigo+Purulent rhinitis, Cervlcal lympkadenitis, Scarlet fever, Urinary tract infection各1例であった。
    4. 臨床効果は著効18例, 有効3例とすべて有効以上で, 100%の有効率であった。
    5. 細菌学的効果は起炎菌と推定された17株のうち消失10株, 減少1株, 不明6株で, 90.9%の除菌率であった。
    6. 本剤投与中及び投与中止後に副作用をみたものはなかったが, 臨床検査値異常として, GOT, GPTの上昇を1例に認めただけであった。
    又, 服薬拒否例もいなかった。
    本剤は小児科領域感染症に対する有効性・安全性が高く, 有用性の高い薬剤であると思われた。
  • 新納 憲司, 佐藤 肇, 成田 章, 中澤 進一, 鈴木 博之, 松本 貴美子, 中澤 進
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1505-1518
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セファロスポリン系抗生物質Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) を使用して小児科領域における一連の基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績を得た。
    1. 1回投与量3.0mg/kg投与時の血清中濃度のPeakは4時問目にあり, 1.26~1.46μg/ml, 4.4mg/kg投与時のPeakは1時間目にあり1.45μg/mlであり, 8時間目までの尿中回収率は28.1~30.2%であった。
    2. 各種小児科感染症に対する本剤の臨床効果は1回3~6mg/kg投与群で97.5%, 1mg/kg投与群で90.9%であった。
    3. 小児科感染症の臨床分離株45株の細菌学的効果は, 1回3~6mg/kg投与群で91.3%, 1mg/kg投与群で95.5%であった。
    4. 副作用及び臨床検査値異常は1例も観察されなかった。よって本剤は小児科感染症に対し, 有用性の高い薬剤であると思われる。
  • 豊永 義清, 小泉 満男, 今井 祐之, 杉田 守正, 高橋 孝行, 福島 よし子, 山崎 美喜雄, 堀 誠
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1519-1546
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新経口用Cephem系抗生物質であるCefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) について基礎的・臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    1. 抗菌力臨床分離のStaphylococcus aureus (Methicillin耐性 (MRSA), Methicillin感性), Escherichia coli (Cefazolin (CEZ) 感性, CBZ耐性), Klebsiella pneumoniae (CEZ感性, CEZ耐性), Proteus mirabilis, Enterobacter cloacaeに対するMICをR-3746 (CPDXのNa塩), Cefaclor (CCL), Cephalexin, Cefroxadine (CXD), CEZ, Cephalothin (CET) 及びAmoxicillin (AMPC) について検討した。MRSA及びCEZ耐性E. coli, K. pneumoniaeはCXD, CETを, E. cloacaeに対してはAMPCを除き検討した。すべて, 100倍希釈液接種にて検討を加えた結果, R-3746はS. aureusについては, AMPCが若干優れていた以外は他の経口剤よりも, 優れた成績を示し, MICピークはS. aureus, E. coli, K. pneumoniae, P. mirabilisでは1.56μg/ml, 0.39μg/ml, ≤0.10μg/ml, ≤0.10μg/mlであった。MRSAに対しては, 25μg/ml以上のMICを示す株が23株 (77%) あったが, CCL, AMPCとほぼ同様のMIC分布を示していた。CEZ耐性のE. coli及びK. pneumoniaeに対しても, 他剤よりも優れた抗菌力を示し, MIC50はいずれも0.20μg/mlであった。E. cloacaeに対するMIC分布は若干高いMICを示す株が多く, 0.78~100μg/mlであったが, そのMIC50は12.5μg/mlで, 従来の経口用Cephem系抗生物質がほとんど100μg/ml以上の高度耐性であるのに比べ優っていた。
    2. 吸収, 排泄
    今回, 3mg/kg, 6mg/kg, 100mg錠剤について, CPDXの血清中, 尿中濃度推移を検討した。 食後投与時のCmax, Tmaxが高いという特徴は得られなかったが, それぞれ, 1~6時間, 1~4時間, 2~6時間にピークを示し, 0.99~2.99μg/ml, 4.30~7.05μg/ml, 1.65~2.93μg/mlであり, 8時間でもそれぞれ平均値で, 0.31μg/ml, 0.83μg/ml, 0.66μg/mlであった。AUCもそれぞれ平均値で8.16μg・hr/ml, 25.97μg・hr/ml, 10.79μg・hr/mlとかなり大きいものであり, 空腹時投与と食後投与で差はなかった。尿中回収率は8時間までに, それぞれ20.9~56.5%, 28.3~49.7%, 35.1~50.4%であり, 従来のいわゆる第3群のCephem系抗生物質よりも若干低い回収率を示した。
    3. 臨床成績本剤を上気道感染症 (咽頭炎2例, 扁桃炎19例) 21例, 下気道感染症 (気管支炎2例, 肺炎12例) 14例, 猩紅熱6例, 皮膚軟部組織感染症9例, 尿路感染症9例, 急性中耳炎1例の計60例 (含む扁桃炎, 尿路感染症合併例1例) 中, 有効以上の成績を示したものは54例で, その有効率は90%であった。細菌学的に本剤投与前に検出された起因菌あるいは原因菌の経過を追い, 検索が可能であったものは42株で, そのうち40株に有効, 2株に無効であった。その細菌学的有効率は95.2%であった。なお, 副作用, 検査値異常は全例に認めなかった。
  • 秋田 博伸, 佐藤 吉壮, 岩田 敏, 砂川 慶介
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1547-1559
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セフェム系抗生物質Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) について小児科領域における投与時の基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. 抗菌力はグラム陰性桿菌であるEscherichia coli, Salmonella sp., Klebsiella pneumoniae, Serratia sp., 更にはグラム陽性球菌であるStreplococcus pyogenes, Streplococcus pneumoniaeをはじめβ-ラクタマーゼを産生するBranhamella catarrhalis, Haemophilus influenzaeに対して優れた抗菌力を有しており, 小児科領域の感染症の主要起炎菌から考えると有用な薬剤である。
    2. 本剤3.7mg/kgを食前投与した時の血中濃度の検討ではCmaxが2時間値で2.98μg/mlであり, T 1/2は1.73時間であった。尿中濃度の検討では尿中排泄率は6時間までで32.5%であり, 最高尿中濃度は52μg/mlであった。
    3. 臨床的検討では上気道炎8例/8例 (100%), 気管支炎, 肺炎28例/29例 (96.6%), 中耳炎3例/4例 (75%), 副鼻腔炎2例/2例 (100%), 皮膚軟部組織炎3例/3例 (100%), 感染性腸炎1例/1例 (100%), 尿路感染症は11例/14例 (78.6%) で, 有効率の合計は91.8%であり良好な結果であった。
    4. 細菌学的検討では, Staphylococcus aureusは5例, Staphylococcus epidermidis 1例, S. pyogenes 4例, S. pneumoniae 6例, Enterococcus faecalis 1例, B. calarrhalis 5例, H. influenzae 5例, E. coli 11例, Salmonella typhimurium 1例はすべて消失し, 消失率の合計は39例/40例 (97.5%) であった。
    5. 副作用は71例中消化器症状2例 (嘔吐1例, 下痢1例) だけ認められ, 発現率は2例/71例 (2.8%) であった。検査値異常は好酸球増多3例/39例 (7.7%), 血小板増多1例/39例 (2.6%), GOT, GPT値上昇2例/34例 (5.9%) であった。
    6. 止血機構に及ぼす影響について検討したが, 本剤投与による影響は認めなかった。
    以上から, 本剤は1回投与量3~6mg/kgを1日2~3回投与すれば, 小児科領域における感染に対して有効であり安全な薬剤であると考えられる。
  • 目黒 英典, 有益 修, 白石 裕昭, 田島 剛, 比留間 藤昭, 西村 修一, 杉江 信之, 菅又 久美子, 阿部 敏明, 藤井 良知, ...
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1561-1570
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    47例の小児で主として1回3mg/kg1日2~3回投与によるCefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) の臨床的検討を行い, 93.6%の有効率が得られた。副作用は52例中2例に下痢, 軟便, 1例に臀部皮膚カンジダ症を認めただけであった。CPDX-PRは溶連菌咽頭炎及びHaemophius influenzaeによる各種気道感染症に著しい効果を示した。血中半減期は2.17±0.24時間であった。安全性が確立されれば, 小児の細菌感染症の治療において有用性の高い薬剤となるであろう。
  • 岩井 直一, 種田 陽一, 中村 はるひ, 宮津 光伸, 笠井 啓子
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1571-1592
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるCefpodoxime proxetil (CPDX) PR, CS-807)(小児用Dry syrup剤) の基礎的, 臨床的検討を行った。
    1. 小児 (6~14歳) における本剤投与後の血清中濃度と尿中排泄について検討を行つた。
    3mg/kgを食前30分と食後30分に投与した際の4例のCrossover法による検討では, 前者の平均血清中濃度推移は1時間値の2.34±0.16μg/mlがピークで, その後1.94±0.08時間の半減期をもって漸減し, 8時間値は0.29±0.04μg/mlであった。又, 後者では, 4時間値の1.93±0.09μg/mlがピークで, 半減期は2.08±0,19時間, 8時間値は0.58±0.16μg/mlであった。更に8時間までの尿中回収率は前者, 後者で各々平均34.4±6.3%, 38.5±7.0%であつた。
    又, 3mg/kgと6mg/kgを食後30分に投与した7例のCrossoverによる検討では, 平均血清中濃度推移のピークはいずれも4時間にみられ, その値は前者では, 1.76±0.11μg/ml, 後者では3.08±0.41μg/mlであった。又, 半減期は各々2.40±0.14時間, 2.25±0.07時間で, 8時間値は各々0.64±0.10μg/ml, 1.30±0.21μg/mlであった。更に8時間までの尿中回収率は前者, 後者でそれぞれ平均40.4±3.2%, 46.3±6.5%であつた。
    これらの成績から, 本剤は吸収に対する食事の影響がみられ, 食前投与に比べ食後投与では吸収の遅れることが推測された。しかし, 吸収される全体量については, 食前投与と食後投与とで大きい差はないと考えられた。又, 血清中濃度推移, 尿中濃度推移には明らかなDose responseの認められることが確認された。
    2. 小児期感染症61例 (4カ月~10歳2カ月) に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討を行つた。
    臨床効果の判定対象となつた急性咽頭炎6例, 急性化膿性扁桃腺炎10例, 急性気管支炎4例, 急性肺炎18例, 急性尿路感染症9例, 膿痂疹5例, 節症1例, 急性化膿性リンパ節炎2例, 急性化膿性中耳炎3例, 計58例に対する臨床効果は著効41例, 有効15例, やや有効1例, 無効1例であり, 著効と有効を含めた有効率は96.6%であった。又, 原因菌と断定もしくは推定されたStaphylococcus aureus6株, Staphylococcus epidermidis1株, Staphylococcus pyogenes6株, Staphylococcus pneumoniae1株, Enterococcus faecalis1株, Escherichia coli8株, Haemophilus influenzae10株, 計33株に対する細菌学的効果はS. aureus1株が存続, H. influenzae1株が減少であった以外は消失と判定され, 除菌率は93.9%であった。更に副作用の認められた症例はなかった。又, 臨床検査値異常については, 好酸球増多が1例, 血小板増多が3例に認められたが, いずれも軽度であり, しかも好酸球増多例と血小板増多の1例では再検査により正常化が確認された。
    以上の成績により, 本剤は小児期においても有効性並びに安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 木村 宏, 竹内 秀俊, 石川 秀樹, 早川 文雄, 山本 直樹, 中尾 吉邦, 久野 邦義
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1593-1606
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. 臨床分離株 (Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Staphylococcus aureus,Enterococcus faecalis, Branhamella catarrhalis, Escherichia coli, Proteus mirabilis, Haemophilus influenzae) に対するR-3746 (Cefpodoxime (CPDX) のNa塩) の抗菌力をCefaclor, Cephalexin, Cefadroxilと比較検討した。S. pneumoniae, S. pyogenes, B. catarrhalis及びグラム陰性桿菌に対してR-3746の抗菌力は他剤より優れていた。
    2. Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) 3mg/kg (空腹時), 6mg/kg (食後), 6mg/kg (空腹時) 投与し, CPDXの血中濃度を測定した。CPDXの濃度曲線下面積 (AUC) は, それぞれ9.60, 31.35, 17.89μg・hr/ml, 平均血中半減期は3.35, 1.88, 1.76時間であった。3mg/kg (空腹時) 投与後8時間までの尿中回収率は39.2%であった。
    3. 各種小児感染症37例 (腎盂腎炎9例, 膀胱炎4例, 肺炎7例, 急性気管支炎3例, 中耳炎2例, 扁桃炎10例, 皮下膿瘍1例, 化膿性リンパ節炎1例) にCPDX-PRを投与し有効率91.9%, 細菌学的消失率91.9%であった。
    4. 副作用の発現はなく, 臨床検査値の異常は軽度の好酸球増多2例とGOT, GPT上昇1例であった。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1607-1620
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セファロスポリン系抗生物質Cefpodoxime proxetil (CS-807, CPDX-PR) の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    基礎的検討として, CPDXの血清中濃度及び尿中排泄率を測定した。CPDX-PR3mg/kg投与の血清中濃度推移は2例で検討し, 濃度ピークはいずれも投与後2時間目にあり, 平均1.86±0.35μg/mlで, 半減期は平均1.31±0.02時間, 投与後12時間までの尿中排泄率は平均32.8±1.0%であった。一方, 本剤100mg錠1回投与は3例で検討され, 血清中濃度ピークはいずれも投与後2時間目にあり, 平均2.16±0.63μg/mlで, 半減期は平均1.47±0.18時間, 投与後12時間目までの尿中排泄率は各々43.5%, 48.6%, 24.8%であった。
    臨床的検討は扁桃炎19例, 咽頭炎3例, 気管支炎1例, 肺炎3例, 猩紅熱3例, 蜂窩織炎1例, 伝染性膿痂疹2例, 皮下膿瘍1例, 亀頭炎1例, 尿路感染症4例の計38例について行い, 臨床効果は著効23例, 有効15例で, 全例が有効以上の成績であった。又, 細菌学的効果はStaphylococcus aureus8例, Streptococcus pneumoniae1例, Streptococcus pyogenes6例, Escherichia coil2例, Haemophilus influenzae10例, Haemophilus parainfluenzae3例, Proteus mirabilis2例, Morganella morganii1例の検出症例で検討され, H. influenzae 1例の減少, S. aureus2例, H. influenzae1例, M. morganii1例, 計4例の不変を除く計28例において本剤使用中に菌消失がみられた。
    副作用は効果判定から除外した4例を加え, 計42例について行い, 下痢1例, GOT上昇1例, GOT, GPT上昇2例を認めたが, いずれの症例においても臨床的には問題なく, 処置を必要とするものはなかつた。
  • 春田 恒和, 黒木 茂一, 橋本 尚子, 鈴木 紀子, 大倉 完悦, 小林 裕
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1621-1628
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児細菌感染症31例にCefpodoxlme proxetil (CPDX) PR, CS-807) dry syrup 1日5.4~10.9mg/kg (大部分9~10mg/kg) を分3経口投与し, 以下の成績を得た。
    1. 尿路感染症3例, 扁桃炎25例, 気管支炎, 肺炎, 頸部リンパ節炎各1例, 計31例における臨床効果は著効16例, 有効14例, やや有効1例 (扁桃炎) で, 無効例はなく, 有効率は96.8%であった。
    2. 起炎菌と考えられた32株 (Staphylococcus aureus6株, Streptococcus pyogenes2株, Enterococcus faecalis1株, Haemophilus influenzae15株, Haemophilus parainfluenzae5株, Escherichia coli3株) に対する細菌学的効果はE. faecalisが不変, H. parainfluenzae5株中1株が減少に止まった以外は, すべて消失し, 除菌率は93.8%であった。
    3. 副作用としては, 軽度の発疹を1例に認めたが, 投与中に消失し, 検査値異常としては, 投与前後の検査が行われた29例中, 軽度のプロトロンビン時間延長, 好酸球増加各1例だけで, いずれも問題となるほどのものではなく, 下痢は全くみられなかった。
    4. 全例予定どおり内服でき, 本剤の味と匂いには大きな難点はないと考えられた。
    5. 以上の成績に文献的考察を加えると, 本剤は小児科外来における細菌感染症治療に好適な経口剤であり, 1回3mg/kg, 1日3回経口投与で所期の効果をあげられるものと考えられた。
  • 本廣 孝, 織田 慶子, 荒巻 雅史, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 阪田 保隆, 藤本 保, 横地 一興, 山下 文雄, 坂本 ...
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1629-1666
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) はOxime型Cephem系抗生物質であるCPDXの4位カルボン酸をIsopropoxycarbonyloxyethyl基でエステル結合させた新しい経口用Cephem系薬剤で, 主に腸管壁のエステラーゼにより加水分解を受け, 活性体としてのCPDXは体液中に存在する。本邦ではその製剤中錠剤について種々の検討がなされているが, 小児用として新しくドライシロップが製剤化された。
    そこで, 本剤のドライシロップを8歳1カ月から10歳10カ月の男児6例中各3例にそれぞれ3mg/kg, 6mg/kgを食後20分に経口投与し, 血清中濃度, 尿中濃度及び回収率を測定, 2カ月から11歳8カ月の咽頭炎13例, 扁桃炎21例, 急性気管支炎4例, 肺炎6例, 胸膜炎1例, 猩紅熱13例, 尿路感染症41例, 包皮炎3例及び細菌性赤痢3例, 計105例に1回平均投与量3.4mg/kgを1日3回か4回 (3回は96例, 4回は9例) で, 平均7日間投与し, その臨床効果, 細菌学的効果をみると共に, 当科保存株のStreptococcus pyogenes 52株, Streptococcus agalactiae18株, Bordetella pertussis 11株とCPDX-PRを投与した症例から分離のStaphylococcus aureus52株, S. pyogenes 58株, Haemophilus influenzae 2株, Escherichia coli 10株, Proteus minabilis 1株につき, 当科保存株では接種菌量108, 106cfu/mlにおけるR-3746 (CPDXのNa塩), Cefaclor (CCL), Cephalexin (CEX), Amoxicillin (AMPC), Methicillin (DMPPC), CPDX-PRを投与した症例から分離の細菌では両接種菌量におけるR-3746, CCL, CEX, Cefadroxil, Ampicillin (ABPC), DMPPC, Cloxacillin (MCIPC) の薬剤感受性試験を実施, 副作用及び臨床検査値への影響を検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. 3mg/kg, 6mg/kg投与群におけるCPDXの平均血清中濃度はいずれも投与2時間後に最高濃度を示し, 各々2.00μg/ml, 4.27μg/mlで, 両投与量群間にDose responseがみられた。平均半減期はそれぞれ2.03時間, 2.28時間で類似し, 平均AUCは各々10.65μg・hr/ml, 21.80μg・hr/mlで, 両投与量群間にDose responseが認められた。
    2. 血清中濃度を測定した同一の症例におけるCPDXの平均尿中濃度は3mg/kg投与群では投与後2~4時間, 6mg/kg投与群では投与後4~6時間が最も高い濃度で, それぞれ171.3μg/ml, 265μg/mlを示し, 投与後8時間までの平均回収率は各々44.7%, 43.5%で類似した。
    3. 臨床効果は105例中103例で判定でき, 100例が有効以上で, 有効率は97.1%と優れた成績を示した。
    4. 細菌学的効果は46株について判定でき, 42株が消失し, 消失率は91.3%と良好であつた。
    5. 当科保存株中S. pyogenes 52株の 接種菌量108, 106cfu/mlに対するR-3746のMIC90はそれぞれ0.05, 0.012μg/mlを示し, AMPCのMICと類似かほぼ同じで, 他の3剤のMICより小で, S. agalactiae 18株の両接種菌量に対するR-3746のMICgoは各々0.05, 0.024μg/mlで, AMPCのMICに類似の傾向を示し, 他の3剤のMICより小であった。B. pertussis 11株の両接種菌量に対するR-3746のMIC90はそれぞれ100, 50μg/mlで, AMPC, DMPPCに次ぐ抗菌力であつた。
    CPDX-PRを投与した症例からの分離株中グラム陽性球菌ではS. aureus 52株の接種菌量108, 106cfu/mlに対するR-3746のMICはいずれも3.13μg/mlで, MCIPCのMICより大であつたが, 他5剤のMICと類似の傾向を示し, S. pyogenes 8株の両接種菌量に対するR-3746のMICはすべてが0.05μg/ml以下で, ABPC, MCIPCのMICと同値を示し, 他4剤のMICより小であつた。グラム陰性桿菌中H. influenzae 2株の両接種菌量に対するR-3746のMICは2株共に0.10μg/ml, E. coli10株の両接種菌量に対するR-3746のMICは0.20μg/mlから6.25μg/ml域, P. mirabilis 1株の両接種菌量に対するR-3746のMICはいずれも0.10μg/mlで, 3菌種共にR-3746のMICは他6剤のMICより小であつた。
    6. 副作用の出現例はなく, 本剤の服薬を嫌つた症例が2例みられた。
    7. 臨床検査値では血小板数の異常増加が38例中1例2.6%, GOT, GPTの同時異常上昇が35例中1例2.9%に出現した。
  • 岩田 敏, 山田 健一朗, 金 慶彰, 横田 隆夫, 楠本 裕, 佐藤 吉壮, 秋田 博伸, 南里 清一郎, 老川 忠雄, 砂川 慶介, 市 ...
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1667-1684
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セファロスポリン系抗生物質であるCefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) について, 4種感染マウス及び小児臨床例の腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した。Escherichia coli, Enterococcus faecalis, Bacteroides fagilis, Bifidobacterium breveの4菌種を腸管内に定着させた4種感染マウスに, CPDX-PRドライシロップ10mg/kgを1日1回, 連続5日間経口投与した結果, 糞便中の生菌数はE. coliが投与開始後3~5日目に軽度の減少傾向を示した以外, 大きな変動は認められなかつた。小児臨床例における検討は感染症の小児5例 (男児3例, 女児2例, 年齢1歳1カ月~6歳10カ月, 体重9.3~23.8kg) に対し, CPDXPR-ドライシロップ1回3.0~3.7mg/kgを1日3回, 4~7日間経口投与して行つた。CPDX-PR投与中の糞便中細菌叢の変動は症例により若干のばらつきが認められたが, 1例でStreptococcus, Enterobacteriaceae, Bifidobacterium, Eubacterium, 嫌気性球菌の著明な減少とEnterococcusの増加が認められたものの, 他の4例においてはEnterobacteriaceae, Enterococcus, Bacteroides, Bifidobacteriumなどの主要な好気性菌及び嫌気性菌に大きな変動は認められなかった。又, ブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌や真菌が優勢菌種となる症例も認められなかつた。Enterobacteriaceaeに関しては, 属内で一時的な菌種の交代が認められた。CPDX-PR投与中の糞便中CPDX濃度は, 腸内細菌叢の変動の大きかった1例の1検体を除き検出限界以下もしくは極めて低値であつた。以上から, CPDX-PRは腸内細菌叢に及ぼす影響の比較的少ない薬剤と考えられる。
  • 本廣 孝, 織田 慶子, 荒巻 雅史, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 阪田 保隆, 藤本 保, 横地 一興, 山下 文雄, 坂本 ...
    1989 年 42 巻 7 号 p. 1685-1704
    発行日: 1989/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCephem系抗生物質 (CEPs) のCefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) のドライシロップを小児の皮膚・軟部組織感染症に投与し, これらの症例から分離したStaphylococcus aureus 71株とStreptococcus pyogenes 51株, 計72株の接種菌量108, 106cfu/mlに対しCEPs中CPDX-PRの活性体であるCPDXのNa塩R-3746, Cefaclor (CCL), Cephalexin (CEX), Cefadroxil (CDX) の4剤, Penicillin系抗生物質ではAmpicillin (ABPC), Methicillin (DMPPC), Cloxacillin (MCIPC) の3剤, 計7剤についての薬剤感受性試験を実施した。臨床投与例の年齢は2カ月から15歳の小児で, 膿痂疹60例, 蜂窩織炎1例, 皮下膿瘍5例, 計66例に本剤を1目平均投与量9.4mg/kg, 分2か分3 (分2は1例, 分3は65例) で, 平均6日間投与し, 臨床効果, 細菌学的効果及び副作用と臨床検査値への影響について検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. S. aureus 71株の接種菌量108cfu/mlにおける薬剤感受性試験ではR-3746のMICは1.56~6.25μg/mlと>100μg/mlの2峰性を示し, MIC3.13μg/mlの株が最も多く51株71.8%, MIC25μg/ml以上は13株で18.3%, MIC80は625μg/mlで, MCIPC, DMPPCに次ぐ抗菌力を示し, CCL, CEX, CDXのMICとほぼ類似した。接種菌量106cfu/mlにおけるR-3746のMICはL56~3.13μg/mlと25μg/ml以上の2峰性を示し, MIC3.13μg/mlの株が最多で47株66.2%, MIC25μg/ml以上は13株18.3%で, MIC80は3.13μg/mlを示し, 接種菌量108cfu/ml時のMICにほぼ類似して, MCIPC, ABPC, DMPPCに次ぐ抗菌力を示し, CCL, CEX, CDXのMICに類似した。
    2. S. pyogenes 1株の接種菌量108, 106cfu/mlに対するR-3746のMICはいずれも0.05μg/ml以下で, ABPC, MCIPCと同等の抗菌力を示し, CCL, CEX, CDX, DMPPCより優れていた。
    3. 66例に対する主治医判定での臨床効果は膿痂疹の有効率93.3%, 蜂窩織炎, 皮下膿瘍の各々1例, 5例ではすべて有効以上で, 全疾患での有効率は93.9%と優れた成績が得られた。
    投与症例数の多い膿痂疹で1日投与量を4.9mg/kg以下, 5.0~9.9mg/kg, 10.0mg/kg以上の3群に分けての臨床効果では5.0~9.9mg/kg投与群と10.0mg/kg以上投与群で比較でき, 有効率はそれぞれ92.7%, 100%で, 前者は後者よりやや低かつた。
    4. Scoreによる臨床効果の判定では投与開始3日後3疾患中62例に判定でき, 有効率は71.0%, 投与開始5, 7日後は各々34, 25例に判定でき, 有効率はそれぞれ94.1, 92.0%であつた。
    投与症例数の多い膿痂疹で1日投与量5.0~9.9mg/kgと10.0mg/kg以上の2投与量群で, 投与開始3, 5, 7日後の有効率を比較してみると, 5.0~9.9mg/kg投与群では各々81.1, 88.9, 77.8%, 10.0mg/kg投与群ではそれぞれ58.8, 100, 100%であった。以上の成績から, 1日投与量10.0mg/kg以上を分3で, 5日間以上投与すれば本疾患では良好な臨床効果が得られると思われた。
    5. 細菌学的効果
    細菌学的効果はS. aureus 48株, S. pyogenes 1株, 計49株で判定でき,S. aureusの消失率は95.8%, S. pyogenesの1株は消失し, 全体での消失率は95.9%と優れた成績が得られた。
    1目投与量5.0~9.9mg/kgと10.0mg/kg以上の2投与量群で消失率を比較してみると各々96.6%, 100%で, 5.0~9.9mg/kg投与群はやや低率であつた。
    6. 副作用は下痢が1例1.5%に出現した。服薬状況では本剤を嫌う症例はなかつた。臨床検査値への影響では本剤投与前後で各項目共に検査された症例は少なかつたが, 異常値を示したものはなかつた。
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