The Japanese Journal of Antibiotics
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43 巻, 11 号
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  • 山根 孝久, 中尾 吉孝, 安井 良則, 太田 健介, 大平 秀公, 井上 健, 古川 佳央, 日吉 基文, 佐々木 安津子, 岸田 卓也, ...
    1990 年 43 巻 11 号 p. 1843-1849
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回, 血液疾患に合併した感染症に対して, Cefmetazole (CMZ), Netilmicin (NTL) の併用療法を試み, 有効性と安全性を検討した。
    評価可能対象となった31症例の内訳は急性骨髄性白血病3例, 急性リンパ性白血病2例, 悪性リンパ腫14例, 慢性骨髄性白血病2例, 慢性骨髄性白血病急性転化4例, 骨髄異形性症候群2例, 再生不良性貧血3例及び悪性組織球症1例であった。合併した感染症の内訳は敗血症疑が29例, 敗血症が1例及び肺炎が1例であつた。臨床効果は著効6例 (19.4%), 有効12例 (38.7%), やや有効1例 (3.2%) 及び無効例12例 (38.7%) であり, 全体としてその有効率は58.1%であった。本併用療法前後の好中球数と臨床効果との関係を検討したところ, 投与前好中球数別での有効率ではほぼ同等の有効率であつたが, 投与後好中球数が投与前に比較して増加していた症例の有効率は, 減少あるいは不変 (投与後好中球数500/mm3以下の症例において) であった症例の有効率に比べて上昇していた。
    CMZ, NTL投与によるものと考えられる副作用は認められなかった。
    本併用療法は血液疾患に伴う感染症に対して, 有効に且つ安全に使用できるものと思われた
  • 高木 伸介, 荒川 創一, 松本 修, 守殿 貞夫, 広岡 九兵衛, 濱見 学, 石神 襄次, 梅津 敬一, 山中 望, 杉本 正行, 伊藤 ...
    1990 年 43 巻 11 号 p. 1850-1872
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経口セファロスポリン剤である (Cefaclor持続性製剤) S6472の, 泌尿器科領域における有用性を検討する目的で尿路感染症 (UTI) 102例を対象に本剤を主として1回375mg, 1日2回投与し, 以下の成績を得た。
    1.急性単純性腎孟腎炎16例中, UTI薬効評価基準に合致した症例は11例で, 著効10例, 有効1例で, 総合有効率100%であった。細菌学的効果では100%の菌消失率であった。
    2.急性単純性膀胱炎32例中, UTI薬効評価基準合致例は21例で, 著効17例, 有効3例, 無効1例で, 総合有効率95%であった。細菌学的効果では, Escheric物ia coli1株を除き全株消失し, 95%の菌消失率であった。
    3.複雑性尿路感染症54例中, UTI薬効評価基準合致例は43例で, 著効20例, 有効15例, 無効8例で, 総合有効率81%であつた。細菌学的効果では, 47株中39株が消失し, 83%の菌消失率であった。
    4.副作用は102例中, 口内炎1例, 胃部不快感1例の計2例 (発現率2%) であり, いずれも投薬中止には至らなかった。臨床検査値の異常変動は57例中2例 (発現率3.5%) でみられ, 末梢血リンパ球等の増加1例, 血清クレアチニン値の軽度上昇1例であった。
    以上の結果から, S6472は尿路感染症に対し有用な薬剤と考えられ
  • 荒川 創一, 高木 伸介, 松本 修, 守殿 貞夫, 広岡 九兵衛, 濱見 学, 松本 弘人, 斎藤 博, 梅津 敬一, 石神 襄次, 藤澤 ...
    1990 年 43 巻 11 号 p. 1873-1892
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カテーテル非留置の複雑性尿路感染症に対するS6472 (Cefaclor持続性製剤) の有効性, 安全性及び有用性を客観的に検討する目的でCefaclor通常製剤 (以下CCL) を対照薬として二重盲検比較試験を行った。
    S6472は1回750mgを1日2回, CCLは1回500mgを1日3回で5日間経口投与した。臨床効果の判定はUTI薬効評価基準 (第3版) に従い行つた。その結果以下の成績を得た。
    1.S6472投与群とCCL投与群の背景因子の分布に有意な偏りは認あられなかった。
    2.総合臨床効果はS6472投与群で76.2%, CCL投与群で75.5%の有効率であり, 両群間に有意差は認められなかった。UTI群別にみた効果についても, 2, 3, 4, 6群のいずれにおいても両群間に有意差を認めなかった
    3.主治医により判定された臨床効果において, 両群間に有意差は認められなかった。
    4.細菌学的効果はS6472投与群で81.2%, CCL投与群で78.3%の菌消失率を示し, 両群間に有意差は認められなかった。
    5.副作用の発生率はS6472投与群で2.9% (4例/139例), CCL投与群で0.7% (1例/141例) であり, 両群間に有意差は認あられなかった。臨床検査値異常変動はS6472投与群で94例中3例4件, CCL投与群で100例中5例5件が認められたが, 両群間に有意差を認めなかった。なお, 副作用及び臨床検査値異常変動はいずれも軽度且つ一過性であつた。又, 副作用と臨床検査値異常変動を考慮して主治医が判定した概括安全度においても, 両群間に有意差は認められなかった。
    6.有効性及び安全性を勘案して主治医により判定された有用性において両群間に有意差は認められなかった。
    以上の成績から, カテーテル非留置の複雑性尿路感染症に対してS6472は有効性, 安全性, 有用性においてCCL通常製剤と同等の優れた成績を示し, 1日2回投与という便利性を有する点から有用度の高い薬剤と考えられる。
  • 本廣 孝, 川上 晃, 佐々木 宏和, 荒巻 雅史, 阪田 保隆, 富永 薫, 山下 文雄, 中名生 宏, 平岡 聖樹, 石川 清康
    1990 年 43 巻 11 号 p. 1893-1897
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    健常成人男子被験者を対象として, 非エステル型新経口セファロスポリン剤BMY-28100 (カプセル剤) の連続経口投与を実施し, 本剤の安全性と体内動態を検討した。
    BMY-28100250mgを1日3回7日間 (計21回) の連続投与を行った。
    安全性に関しては, 副作用及び臨床検査値に異常を認あなかった。
    初回投与時の血清中濃度はCmaxが平均4.45μg/mlで, T1/2は平均1.3時間, AUCは10.6μg・hr/mlであった。投与19回目の血清中濃度はCmaxが平均4.83μg/mlでT1/2は平均1.1時間, AUCは12.4μg・hr/mlであつた。又, 24時間 (投与3回) の尿中回収率は1日目が平均53.4%, 7日目が平均56.2%であつた。
    本剤は1日2回14日間連続投与時の成績と同じく, 1日3回の連続投与試験においても薬剤の蓄積性は認あられなかった
  • 本廣 孝, 川上 晃, 佐々木 宏和, 荒巻 雅史, 阪田 保隆, 富永 薫, 山下 文雄
    1990 年 43 巻 11 号 p. 1898-1913
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口用非エステル型セフェム系抗生物質BMY-28100を年齢20~24歳, 体重58.0~79.5kgの健康成人男子8例に投与し, 糞便内細菌叢に及ぼす影響を検討した。
    投与方法はBMY-28100の1カプセル (1カプセル中BMY-28100250mg力価含有) を毎食後30分に1回1カプセル, 1日3回7日間連続投与し, 投与5日前から投与終了30日後までの糞便にっき細菌数及び糞便中薬剤濃度の変化を調べた。又, Clostridium difficileD-1toxinの検出, 副作用の有無及び臨床検査値の変動についても合せて検討した。
    1.糞便内細菌叢の変動は, 好気性菌ではEscherichia coli, Yeast like organismが投与期間中に一時的に増加の傾向を示した。嫌気性菌ではVeillonellaceae, Peptococcaceae, Eubacterium sp.が投与中に減少した。
    C.difficileは1例で検出され, 又, C.difficile D-1toxinは5例において一過性に検出された。
    2.糞便中薬剤濃度はすべて検出限界以下であった。
    3.副作用及び臨床検査値異常は全例に認あられなかった。
  • 大泉 耕太郎, 渡辺 彰, 斎藤 玲, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 平賀 洋明, 大道 光秀, 田村 昌士, 小西 一樹, 五味 和俊, ...
    1990 年 43 巻 11 号 p. 1914-1947
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BMY-28100の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性及び有用性をCefaclor (以下CCLと略す) を対照薬剤とし, 二重盲検法により比較検討した。
    BMY-28100は1日750mg, CCLは1日1,500mgをそれぞれ3回に分割し, 原則として14日間経口投与した。
    薬剤投与症例172例中, プロトコールに基づいて違反例を除外し, 有効性の解析は124例, 副作用の解析は160例, 臨床検査値異常の解析は146例について実施した。得られた成績は下記のとおりである。
    1.小委員会判定による臨床効果 (有効以上) は細菌性肺炎群ではBMY-28100投与群81.7%49例/60例), CCL投与群89.1% (41例/46例) であり, 両薬剤投与群間に有意差は認あられなかった。
    2.委員会採用例に対する主治医判定の臨床効果 (有効以上) は細菌性肺炎群ではBMY-28100投与群83.3% (50例/60例), CCL投与群88.9% (40例/45例) であり, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかつた。
    3.起炎菌別細菌学的効果は細菌性肺炎群ではBMY-28100投与群86.2% (25株/29株), CCL投与群85.7% (18株/21株) であり, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった。
    4.自他覚的副作用発現率はBMY-28100投与群3.5% (3例/85例), CCL投与群1.3% (1例/75例) で, 両薬剤投与群間に有意差は認あられなかった。臨床検査値異常についてもBMY-28100投与群21.1% (16例/76例), CCL投与群25.7% (18例/70例) と両薬剤投与群間に有意差は認められなかった。
    5.有用性に関しては, 小委員会判定の有用率 (有用以上) が細菌性肺炎群ではBMY-28100投与群83.6% (46例/55例), CCL投与群90.5% (38例/42例), 委員会採用例に対する主治医判定では, 各々78.3% (47例/60例), 82.2% (37例/45例) であり, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった。
    以上, BMY-281001日750mgはCCL1日1,500mgの半量でCCLと同等の有効性と安全性を示したことから, 細菌性肺炎に対して有用性の高い薬剤であると考えられる
  • 大門 良男
    1990 年 43 巻 11 号 p. 1948-1955
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床材料から分離したグラム陽性球菌, グラム陰性桿菌の Imipenem/Cilastatin sodium (Imipenem) に対する薬剤感受性成績について検討を加えた。Imipenem (IPM) はグラム陽性球菌については, Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Enterococcus faecalis, Streptococcusagalactiae に対して優れた抗菌活性を示し, 対象としたβ-ラクタム系薬剤のCefuzonam (CZON), Ceftazidime (CAZ), Latamoxef (LMOX), Piperacillin, Cefmetazole に比べて, 同等かもしくはそれ以上であった。又, グラム陰性桿菌についてみると, 腸内細菌科のEscherichia coli, Citrobacter freundii, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescens, Enterobacter cloacae に対してはAztreonam (AZT) をはじめとするβ-ラクタム系薬剤に比べて若干抗菌活性は劣るものの, いずれの菌株に対しても3.13μg/ml以下のMIC値を示した。一方, Enterobacter aerogenes, Proteus spp.についてはAZT, CZON, CAZ, LMOXに比べて抗菌活性は劣っていた。しかしながら, いずれの菌株に対しても6.25μg/ml以下のMIC値であった。ブドウ糖非醗酵グラム陰性桿菌についてみてみると, Pseudomonas aeruginosa, Acinetobacter anitratus に対してIPMは対象としたβ-ラクタム系薬剤に比べて優れた抗菌活性を示したが, Pseudomonas cepaciaではCAZに比べて高いMIC値を示した。又, Xanthomonas maltophiliaに対してはすでに報告されているとおり, 抗菌活性を示さなかった。
  • その2.NCCLSディスク法 (K-B法) による場合
    猪狩 淳
    1990 年 43 巻 11 号 p. 1956-2002
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1988年9月から12月の4ヵ月間, 全国23都道府県64病院臨床細菌検査部で, 各種臨床材料から分離された各種病原菌の抗菌薬感受性をImipenem (IPM) を中心として検討した。検討に用いた感受性検査法はNCCLSによるディスク法で, 感受性を「S」, 「Ms」, 「I」, 「R」の4段階に区別し, 「S」を感性として集計した。
    IPMが強い抗菌力を示した菌種は多く, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae, Enterococcus faecalis, Haemophilus influenzae, Escherichia coli, Klebsiellapneumoniae, Klebsiella oxytoca, Enterobacter aerogenes, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens, Salmonella spp., Citrobacter freundii, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Providencia stuartii, Acinetobacter calcoaceticus, Moraxella (Branhamella) catarrhalis, Alcaligenes spp., Peptococcusspp./Peptostreptococcus spp., Bacteroides fragilis, Bacteroides spp.Peptococcus, spp. Achromobacter xylosoxidans, Pseudomonas aeruginosa にも強い抗菌力を示した。
    由来臨床材料別に, IPMに対する各細菌の感性率を比較すると, Staphylococcus aureus, Coaaulase-negative Staphylococci, A. calcoaceticus, P. aeruginosa で, 臨床材料由来により感性率に差を認め, 菌種にもよるが, 血液由来株で感性率の低下がみられた。S. pneumoniae, E. faecalis, H. influenzae, E. coli, K. pneumoniae, E. cloacae, C. freundii, S. marcescens, P. mirabilisではがほとんどなかった。
  • 鈴木 恵三, 長田 恵弘, 堀場 優樹
    1990 年 43 巻 11 号 p. 2003-2010
    発行日: 1990/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経口セフェム系抗生物質Ceftibuten (CETB, 7432-S)(200mgカプセル) の泌尿器科領域感染症に対する臨床的検射を行い以下の結果を得た。
    1.慢性複雑性尿路感染症15例に本剤を投与し, UTI薬効評価基準合致例11例で81.8%, 主治医判定で92.3%の有効率であった。又, 細菌学的消失率はグラム陰性桿菌 (GNR) では100%, グラム陽性球菌も87.5%の成績であった。
    2.安全性については1例で軽度のめまいを訴えた以外には特異なものはなかった。
    3.基礎的にはCETBはGNRのうちニューキノロン剤に高度耐性を示すSerratia marcescensに最も優れた抗菌活性をもつており, そのことは臨床面でも確認できた
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