新しく開発されたCephem系抗生物質の注射剤であるCefodizime (CDZM) を小児9例中各3例に10, 20, 40mg/kgをOne shot静注で投与し, 血清中, 尿中濃度及び尿中回収率を測定, 扁桃周囲膿瘍1例, 急性気管支炎2例, 肺炎38例, 尿路感染症8例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群1例, 蜂窩織炎2例, 化膿性リンパ節炎4例, 腸チフス1例の計57症例に本剤を1回量平均20.9mg/kg, 1日2-4回 (2回は3例, 3回は26例, 4回は28例), いずれもOne shot静注で, 平均7日間投与しての臨床効果, 細菌学的効果及び本剤を投与したが効果判定のできなかった脱落症例6例を加えての63例につき副作用と臨床検査値への影響を検討したところ, 次のような結果を得た。
1.9例中各3例に本剤を10, 20, 40mg/kg, One shot静注で投与しての血清中濃度をBioassay法で測定したところ, 投与5分後に最高濃度を示し, その平均は各々114.0,264.6,461.6μg/mlで, 各投与量群間にDose responseが認められ, 平均半減期はそれぞれ1.757, 1.552, 1.668時間であった。各3例の高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法による血清中濃度はBioassay法と同じくいずれも投与5分後が最高値で, その平均は各々105.5,264.0,461.7μg/mlを示し, 各投与量群間にDose responseがあり, 平均半減期はそれぞれ1.755, 1.598, 1.668時間で, 濃度推移及び半減期共にBioassay法に類似した。
2.血清中濃度を測定した10mg/kgの3例中2例と20, 40mg/kgの各3例における尿中濃度をBioassay法でみると, その平均濃度は各投与量群共に投与後0-2時間が最高濃度を示し, 各々884.3, 3,061, 7,352μg/mlで, 投与量にみあった濃度が得らず, 投与後8時間までの平均回収率はそれぞれ74.4, 78.4, 71.5%であった。HPLC法による平均尿中濃度もBioassay法と同じく各投与量群共に投与後0-2時間が最高値を示し, 各々962.3, 3,404, 7,899μg/mlと投与量にみあった濃度が得られ, 投与後8時間までの平均回収率はそれぞれ82.1, 86.0, 76.5%で, 各群共にBioassay法よりはやや高率であった。
3.57例に対する臨床効果は53例93.0%が有効以上で, 高い有効率を示した。
4.細菌学的効果は16株について判定でき15株93.8%が陰性化し, 高い消失率であった。
5.脱落症例を加えた63例での副作用は下痢が2例に出現した。
6.臨床検査値異常では血小板数増多が2例, 好酸球増多が5例, GOT, GPTの単独異常値を示した症例が各1例, GOTとGPTの同時異常値を示した症例が4例に出現した。
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