The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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43 巻, 4 号
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  • 島田 馨
    1990 年 43 巻 4 号 p. 583-602
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 本廣 孝, 織田 慶子, 荒巻 雅史, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 阪田 保隆, 山下 文雄, 高城 信彦, 岡林 抄由理, 清 ...
    1990 年 43 巻 4 号 p. 603-622
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCephem系抗生物質の注射剤であるCefodizime (CDZM) を小児9例中各3例に10, 20, 40mg/kgをOne shot静注で投与し, 血清中, 尿中濃度及び尿中回収率を測定, 扁桃周囲膿瘍1例, 急性気管支炎2例, 肺炎38例, 尿路感染症8例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群1例, 蜂窩織炎2例, 化膿性リンパ節炎4例, 腸チフス1例の計57症例に本剤を1回量平均20.9mg/kg, 1日2-4回 (2回は3例, 3回は26例, 4回は28例), いずれもOne shot静注で, 平均7日間投与しての臨床効果, 細菌学的効果及び本剤を投与したが効果判定のできなかった脱落症例6例を加えての63例につき副作用と臨床検査値への影響を検討したところ, 次のような結果を得た。
    1.9例中各3例に本剤を10, 20, 40mg/kg, One shot静注で投与しての血清中濃度をBioassay法で測定したところ, 投与5分後に最高濃度を示し, その平均は各々114.0,264.6,461.6μg/mlで, 各投与量群間にDose responseが認められ, 平均半減期はそれぞれ1.757, 1.552, 1.668時間であった。各3例の高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法による血清中濃度はBioassay法と同じくいずれも投与5分後が最高値で, その平均は各々105.5,264.0,461.7μg/mlを示し, 各投与量群間にDose responseがあり, 平均半減期はそれぞれ1.755, 1.598, 1.668時間で, 濃度推移及び半減期共にBioassay法に類似した。
    2.血清中濃度を測定した10mg/kgの3例中2例と20, 40mg/kgの各3例における尿中濃度をBioassay法でみると, その平均濃度は各投与量群共に投与後0-2時間が最高濃度を示し, 各々884.3, 3,061, 7,352μg/mlで, 投与量にみあった濃度が得らず, 投与後8時間までの平均回収率はそれぞれ74.4, 78.4, 71.5%であった。HPLC法による平均尿中濃度もBioassay法と同じく各投与量群共に投与後0-2時間が最高値を示し, 各々962.3, 3,404, 7,899μg/mlと投与量にみあった濃度が得られ, 投与後8時間までの平均回収率はそれぞれ82.1, 86.0, 76.5%で, 各群共にBioassay法よりはやや高率であった。
    3.57例に対する臨床効果は53例93.0%が有効以上で, 高い有効率を示した。
    4.細菌学的効果は16株について判定でき15株93.8%が陰性化し, 高い消失率であった。
    5.脱落症例を加えた63例での副作用は下痢が2例に出現した。
    6.臨床検査値異常では血小板数増多が2例, 好酸球増多が5例, GOT, GPTの単独異常値を示した症例が各1例, GOTとGPTの同時異常値を示した症例が4例に出現した。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 福島 よし子, 深山 成美, 西村 由紀子
    1990 年 43 巻 4 号 p. 623-635
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1988年以降に分離したMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) のなかから, 自力呼吸困難な患者の気道採取物, 敗血症の血液及び熱傷二次感染巣などの難治性疾患由来株を選び, 16抗菌薬剤のMICを測定した。
    1.供試株は高度のMRSAが多く, 特に呼吸器由来, 血液由来株は高度のMRSAの占める割合が高率だった。
    2.高度のMRSAには, いずれのβ一ラクタム系薬剤も大部分のMICが耐性域に分布していた。
    3.供試株のアミノ配糖体系薬剤耐性はTobramycin, Gentamicin, Dibekacin, Amikacin耐性が高率であるが, Arbekacin (HBK) は≤3.13μg/mlで95%の株の発育を阻止し, 高度のMRSAにも強い抗菌活性を示した。更に1986年以降の経年的比較においても, HBKのMIC分布は変化していないことを確認した。これらのことからHBKがMRSAに強い抗菌活性を示す理論的根拠を考察した。
    4.1986年以降のMRSAに対する自験例を薬剤耐性パターンとしてとらえると, 1986年以降における呼吸器, 血液由来株の多くはコアグラーゼII型に占める割合が高いことが示唆された。
    5.1986年以降の経年的比較ではNetilmicin耐性が増加しており, 1988年と1989年の比較においては, Fosfomycin, Minocycline, Norfloxacin, Ofloxacin の耐性が増加していることを確認した。
    6.MRSAは経年的にみると薬剤耐性パターンが変動しており, 加えてより多剤耐性化していることからMRSA感染症への対応には, 迅速且つ正確な薬剤感受性の把握が大切である.
  • β-ラクタム剤耐性菌に対するSulbactamの効果及びPiperacillin, Latamoxef, Ceftazidime, Fosfomycin, DoxycyclineとSulbactam/Cefoperazoneとのin vitroでの併用効果
    甲田 雅一, 熊谷 郁子, 小林 準一, 須貝 涼子, 松崎 廣子
    1990 年 43 巻 4 号 p. 636-658
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    324株の臨床分離菌を用いて, β-Lactamase産生性とβ-ラクタム剤耐性との関係, 及びβ-Lactamase阻害剤であるSulbactam (SBT) の効果につき検討し, 更に多剤耐性菌に対するSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) と他剤との併用効果につき検討を行った。
    β-ラクタム剤に耐性を示す菌の多くは, β -Lactamase産生菌であった。β-Lactamase産生性とβ-ラクタム剤耐性との関係は, 原則的にはPenicillinase (PCase) とCephalosporinase (CEPase) の双方産生菌が最も耐性が強く, 次いでPCase又はCEPaseだけ産生菌が強く, 非産生菌は最も弱かったが, Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), Serratiamarcescens, Pseudomonas aeruginosa の一部で例外がみられ, 特にMRSAでの高度耐性株はβ-Lactamase非産生株に多いようであった。又, SBTのβ-Lactamase阻害効果はPCase産生株に有効, PCaseとCEPaseの双方産生株にやや有効, CEPase産生株の一部にやや有効, β-Lactamase非産生株には無効であった。耐性菌に対するSBT/CPZと他剤との併用ではProteus属, Enterobacter cloacae, S. marcescens ではSBTICPZとFosfomycin (FOM) 又はPiperacillinとの併用で, Methicillin-sensitive S. aureus ではSBT/CPZとCeftazidime (CAZ) やFOMとの併用で, P. aeruginosa ではSBT/CPZとCAZとの併用で相乗効果がみられた。又, 併用では薬剤濃度は高い方が, より良い相乗効果が得られた.
  • 猪狩 淳, 設楽 正登, 設楽 政次, 吉元 加代子, 林 康之
    1990 年 43 巻 4 号 p. 659-669
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    全国の69病院から大腸菌, 肺炎桿菌の臨床分離株を収集し, 11種の抗菌薬に対する感受性を調査した。
    1986年と1987年の2年間に臨床材料から分離された大腸菌4,421株, 肺炎桿菌2,825株 (主に, 尿, 喀痰, 膿から分離) を対象とし, 日本化学療法学会標準法によりMIC (接種菌量108CFU/ml) を測定した。実験に供した抗菌薬はペニシリン系2剤, セフェム系7剤, アミノ配糖体系2剤である。
    両菌種の90%以上の株はCeftizoxime (CZX), Cefotetan (CTT), Latamoxef (LMOX), Cefotiam (CTM), Cefmetazole (CMZ), Gentamicin (GM), Netilmicin (NTL) に感性, 約80%の株がCefazolin (CEZ) に感性を示し, Ampicillin (ABPC), Piperacillin Cephalothinにはほとんどの株が耐性であつた。
    大腸菌の場合, 約90%の株がCZXの0.20μg/ml, LMOXの0.39μg/ml, CTTの0.78μg/ml, CTM, NTLの1.56μg/ml, CMZ, GMの3.13μg/mlで発育が阻止された。肺炎桿菌の場合も, ほぼ同様の感受性を示した。
    由来臨床材料別の両菌種の抗菌薬感受性には, 大腸菌の場合にABPCで, 胆汁由来株が他材料由来株よりMIC100μg/ml以上の株の比率が小さく, 6.25-12.5μg/mlの株の比率が大きかつた以外は, 大きな差は認められなかった。
    1980年から1987年までの大腸菌, 肺炎桿菌のABPC, CEZ, CMZ, GMに対する感受性には年次的変動はなかつた。
    以上から, いわゆる第2, 第3世代セフェム系とアミノ配糖体系薬剤は, 大腸菌又は肺炎桿菌による感染症治療に有効な薬剤と考える。
  • Cefuroxime axetilについて
    森鼻 健史, 井下 万也
    1990 年 43 巻 4 号 p. 670-676
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuroxime axetil 20mg/kgを家兎に経口投与し, 口腔組織への移行について検討した。対血清 (Free) 比でCmax O.26-0.62, AUC 0.70-1.53と高い組織移行が得られた。又, Meanresidence time, Variance of residence timeもそれぞれ血中の2.6-3.0倍, 7.7-12.2倍大きく, 組織停留性がよい薬剤である。
  • 松下 忠弘, 春日 修, 山口 東太郎
    1990 年 43 巻 4 号 p. 677-685
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    緑膿菌の臨床分離株に対するAspoxicillin (ASPC) とアミノ配糖体抗生物質 (AGs) のうちAmikacin (AMK), Gentamicin及びTobramycinとの併用効果を検討した結果以下の成績を得た。
    1.ASPCの場合, 各AGとの併用にて81.9-95.5%の菌株がin vitro で明らかな相乗効果を示した。この比率は同時に行ったPiperacillin (PIPC) 及びMezlocillin (MZPC) より高かった。ASPCと各AGとの平均FICindexはいずれの組み合せとも0.5以下となり他のペニシリン系抗生物質 (PCs) より小さく, 最も強い相乗効果が認められた。
    2.臨床分離株から3菌株を選び, in vivo における併用効果を検討したところ, ASPCはPIPCと同様に3菌株に対して強い相乗効果を示した。しかし, MZPCの場合, その作用は若干弱かった。
    3.ASPCとAMKについて投与間隔を検討したところ, AMKを前投与した後にASPCを投与した場合明らかな相乗効果の現れる間隔は1時間までであったが, ASPCを前投与した場合は4時間後にAMKを投与しても明らかな相乗効果が観察された。
    4.Pseudomonas aeruginosa 22の増殖に及ぼすPCs及びAGsのMIC以下の濃度における影響を検討したところ, AMKは1/4MICまで本菌株の増殖を抑制したが, PCsの場合は1/32-1/256MICの濃度で本菌株の増殖に影響を与え, ASPCは中でも濃度範囲が最も広かった。更に, この濃度における各PCとAMKの1/4MICを併用したところ, いずれのPCsとも殺菌的に作用した。
  • 千石 一雄, 清水 哲也, 芳賀 宏光, 井上 亮一, 山崎 知文, 溝口 久富, 鳥居 豊, 佐川 正, 斉藤 聡史
    1990 年 43 巻 4 号 p. 686-691
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    周産期感染症領域におけるAztreonam (AZT) の基礎的並びに臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.AZT2g静注後の臍帯血, 羊水への移行に関しては良好な移行率を示し, 特に羊水への移行は投与30分後0.6μg/mlから漸増し, 3時間30分に27.1μg/mlと最高値に達し以後漸減するが23時間30分後も3.7μg/mlの濃度を持続した。
    2.9例の周産期感染症において著効3例, 有効6例で有効率は100%と極めて高い臨床効果を示し, 又, 副作用も全例において認められなかった。
    以上の成績から, 本剤は周産期感染症領域において安全且っ有用性の高い薬剤であることが示唆された。
  • 牧野田 知, 根岸 広明, 大河内 俊洋, 花谷 馨, 佐藤 博, 田中 俊誠, 藤本 征一郎
    1990 年 43 巻 4 号 p. 692-695
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aztreonam (AZT) の周産期領域産婦人科感染症に対する有用性を検討し次の知見を得た。
    1.AZTはセフェム系抗生物質とほぼ同程度に母体血から臍帯静脈血, 羊水に移行し, セフェム系抗生物質と同様に周産期領域で使用することが可能である。
    2.AZTの臨床効果については, グラム陰性桿菌を起因とするもので80%の有効率を得ており, グラム陰性菌感染症に対しては有効な薬剤と考えられた。
  • 千村 哲朗, 森崎 伸之, 舟山 達, 松尾 正城
    1990 年 43 巻 4 号 p. 696-699
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    モノバクタム系抗生物質であるAztreonam (AZT) の周産期感染症に対する臨床効果を検討し, 以下の成績を得た。
    1.周産期感染症例12例に対し, AZT2-4g/日の点滴静注 (総投与量8-24g) の臨床効果は, 有効率91.7% (11例/12例) であった。疾患別の効果では, 乳腺炎 (n=3), 腎盂腎炎 (n=1), 尿路感染症 (n=1) で著効を認めた。羊膜炎 (n=2), 羊水感染 (n=3), 外性器感染 (n=1) の計6例には有効を認めた。
    2.細菌学的検討では, 菌消失 (n=1), 菌交代 (n=4), 菌出現 (n=2), 判定不能 (n=5) であった。妊娠13週頸管炎 (羊膜炎合併) の1例の無効例では, 分離菌に対する本剤のMIC値 (106cells/ml) は25->100μg/mlを示した。
    3.本剤投与による自他覚的副作用及び臨床検査値の異常は認められなかった。
  • 松田 静治, 王 欣輝, 平山 博章
    1990 年 43 巻 4 号 p. 700-705
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域の周産期においてAztreonam (AZT) の基礎的・臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.AZT1g, 2g静注及びAZT1g点滴静注後の母体血清中, 臍帯血清中, 羊水中濃度を測定した。その結果1-2時間前後で臍帯血清中への本剤の移行が増加しはじめ, 又, 羊水中への本剤の移行も2時間を経過してから増加しはじめた。更に2g静注では10時間30分後でも羊水中で27.1μg/mlの高い濃度を示し, 20時間以降でも6.9μg/ml以上の濃度を示した。
    2.AZTを腎盂腎炎の周産期感染症1例に本剤を1日29 (分2) 点滴静注した。臨床効果は有効であり, 副作用, 臨床検査値異常は認められなかった.
  • 長 南薫, 福永 完吾, 國井 勝昭, 小林 寅哲
    1990 年 43 巻 4 号 p. 706-718
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    周産期におけるAztreonam (AZT) の臨床応用に関し, 基礎的並びに臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    羊水中での細菌の増殖曲線に及ぼすAZTの殺菌効果を検討し, Escherichia coli (MIC12.5μg/ml) 及びPseudomonas aeruginosa (MIC50μg/ml) に対し, AZTが羊水中で抗菌力を増強することを認めた。
    AZTの妊婦投与後の吸収は速やかであり, 静注後, 短時間内に血清中濃度はピークに達した。
    経胎盤的胎児移行は良好で, 1回1gの静脈内投与で主なグラム陰性桿菌に対するMIC値に達する臍帯血清中, 羊水中濃度が得られた。この成績からAZTは1回1gの静脈内投与で, 周産期感染症の治療又は予防が可能であることを認めた。
    産褥期感染症の治療にAZTを投与し, 臨床効果を認め, 好気性グラム陰性桿菌に対し100%の消失率を認め, 副作用はなかった。
    以上の諸成績から, 周産期におけるAZTの臨床的有用性が示唆された。
  • 伊藤 邦彦, 広瀬 玲子, 玉舍 輝彦, 山田 新尚, 和泉 孝治
    1990 年 43 巻 4 号 p. 719-726
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科周産期感染症におけるAztreonam (AZT) の基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.AZT1g One shot静注時, 膀帯動・静脈血清への移行は速やかで1時間36分後には15μg/ml以上, 投与後4時間30分でも10μg/ml以上の濃度であった。
    同一症例における膀帯動・静脈血清検体間に著明な濃度差は認められなかった。更に羊水移行では, 投与後3時間37分後には10μg/ml以上の濃度に達した。
    2.乳汁中の移行は投与後6時間までにく0.4-1.0μg/mlとなった。
    3.産婦人科周産期感染症4例にAZT1回1g, 1日2回, 5-9日間点滴静注投与した。臨床効果はすべて有効であつた。副作用及び臨床検査値異常は認められなかつた。
    以上, AZTは産婦人科周産期領域において有用性及び安全性の高い薬剤であると思われる.
  • 山元 貴雄, 保田 仁介, 岡田 弘二, 岩破 一博
    1990 年 43 巻 4 号 p. 727-735
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科周産期領域において, Aztreonam (AZT) の基礎的及び臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.AZT1g1時間点滴静注後の母体血清中, 臍帯血清中, 羊水中濃度及び新生児血清中濃度を測定した。
    母体血清中濃度は投与後26分で32.2μg/mlを示し, 以後漸減し, 2時間33分で13.2μg/ml, 3時間21分で4.9μg/ml, 5時間3分で2.9μg/mlの値を示した。臍帯血清中濃度は投与後36分で17.0μg/mlを示し, 以後5時間まで4.0-16.1μg/mlの濃度を示した。
    羊水中濃度は投与後41分で4.3μg/mlの値を示し, 以後漸増し3時間21分で9.9μg/mlと最高値を示し, 16時間26分を経過しても3.3μg/mlの値を示した。
    2.産婦人科周産期感染症12例にAZT1回1-2g, 1日2回, 5-8日間点滴静注した。臨床効果は著効8例, 有効2例, 無効2例, 有効率83.3%であった。
    副作用として1例に軽度のじんま疹が, 臨床検査値異常として1例にGOT, GPT, A1-Pの一過性の上昇が認められた。
  • Aztreonam周産期感染症研究会
    松田 静治, 王 欣輝, 平山 博章, 清水 哲也, 千石 一雄, 芳賀 宏光, 井上 亮一, 山崎 知文, 溝口 久富, 鳥居 豊, 佐川 ...
    1990 年 43 巻 4 号 p. 736-753
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科周産期領域における注射用Monobactam系抗生物質Aztreonam (AZT) の基礎的並びに臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.基礎的検討
    (1) 分娩前にAZTを1g One shot静注した際の母体血清中濃度は投与直後に89.0μg/mlを示し, 半減期0.96時間であった。臍帯血清中濃度は投与後1.26時間に最高値16.5μg/mlを示し, 以後1.91時間の半減期で漸減した。又, 羊水中への移行は投与後5.57時間に12.9μg/mlとピークを示し, 4.42時間の半減期で以後緩徐に減衰した。同様に本剤を2g One shot静注並びに19点滴静注 (1時間) した際の移行及び消失は, 1g One shot静注時とほぼ同じ傾向を示した。
    (2) 母体にAZT1g One shot静注後の新生児残留血清中濃度はほとんど検出限界以下であった。又, 乳汁中への移行についてもほとんど認められなかった。
    2.臨床的検討
    (1) 周産期領域における各種感染症47例にAZTを投与したところ45例が有効以上を示し, 有効率95.7%であった。又, 感染予防例12例では全例に予防効果が認められた。細菌学的効果は好気性グラム陰性菌29株中25株消失, 1株不変, 3株不明で消失率96.2%と良好であつたが, グラム陽性菌に対してはそれよりもやや低値を示した。
    (2) 副作用は1例 (1.3%) に軽度の蕁麻疹がみられ, 臨床検査値異常は好酸球増多1例及びGOT・GPT・Al-P上昇が1例に認められた。
    以上の基礎的・臨床的検討の成績から, AZTは周産期領域における各種感染症及び感染予防に対し有用であり, 又, 安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 小原 康治, 福田 秀行, 神田 稔久, 河野 恵
    1990 年 43 巻 4 号 p. 754-756
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    不透過型CP耐性緑膿菌の細胞間隙蛋白から, プラスミドkR102支配の特異的CP親和性蛋白 (分子量18,000) がCP base-アフィニティークロマトグラフィーによつて検出された。そして, この蛋白によるCP膜透過阻害がリポソームを用いた膜再構成実験から示唆された。
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