3~15歳の小児15例において, Fostomycln sodlum (FOM-Na, Forocyle-S®) の25mg/kg及び50mg/kgをOne shot静注あるいは1時間点滴静注で投与した際の血清中濃度, 尿中排泄について検討すると共に, One-compartment model による薬動力学的解析を行つた。
1.25mg/kg 及び50mg/kg One shot 静注後の平均血清中濃度は投与後30分では55.3±6.3μg/ml及び118.8±31.1μg/mlで, その後は各々1.04+0.15時間, 0.98±0.17時間の半減期でもって推移し, 投与後6時間では2.7±1.6ug/ml, 6.2±5.μg/mlであつた。
又, 25mg/kg及び50mg/kg 1時間点滴静注では, 点滴静注終了時の平均血清中濃度は34.2±14.9μg/ml及び89.7±6.7μg/mlで, その後は各々0.87+0.24時間, 0.69±0.10時間の半減期でもつて推移し, 投与開始後6時間では2.7+1.8μg/ml, 6.7+0.8μg/mlであった。
なお, 25mg/kg投与例と50 mg/kg投与例の血清中濃度推移には, いずれの投与方法においても明らかな Dose response が認められた。
2. 25mg/kg及び50mg/kg One shot静注後の平均尿中濃度は投与後0~2時間では5,778±2,257μg/ml及び6,268±3,329μg/ml, 4~6時間では701±765μg/ml, 1,588±1,324μg/mlで, 投与開始後6時間までの尿中回収率については各々平均72.8±11.0%, 73.9±11.1% であつた。
又, 25mg/kg及び50 mg/kg 1時間点滴静注では, 投与開始後0~2時間の平均尿中濃度は3,570±1,540μg/ml及び11,800μg/ml, 4~6時間では211+124μg/ml, 1,300μg/mlで, 投与開始後6時間までの尿中回収率については, 前者では平均57.9±16.3% 後者では78.4%であつた.
なお, 25mg/kg投与例と50 mg/kg投与例の尿中濃度推移には, いずれの投与方法においても明らかなDose responseが認められ, 又, 尿中回収率については, 投与量, 投与方法による差異はほとんど認められなかった。
3. One-compartment modelを適用して得られたそれぞれの投与量, 投与方法における薬動力学的parameterの平均値については消失速度定数 (Kel) は0.678±0.091~1.018+0.142 hr 1, 分布容積 (Vd) は0.229±0.081~0.370+0.084 L/kgにわたり, 投与量, 投与方法による差異は大きくなかった。なお, 年齢的にみると, Kelについては年齢的な差異をほとんど認めなかったが, Vdについては年齢が大きくなるにつれて小さい値を示す傾向がみられた。
4.薬動力学的Parameterを用いて算出された時間濃度曲線下面積 (AUC) の平均値については, 25mg/kg投与, 50 mg/kg投与共に投与方法による差は認められなかった。又, いずれの投与方法においても25mg/kg投与例と50mg/kg投与例との問には明らかなDose responseが認められた。
又, それぞれの投与量, 投与方法における全身クリアランス, 腎クリアランスの平均値については, 各々3.91±0.99~4.31±1.19ml/min/kg, 2.06~3.28+1.50ml/min/kgにわたっており, 投与量, 投与方法による違いは大きくなかった。なお, 両クリアランアスには若干の開きがみられたが, FOM-Naの腎主体の排泄性が否定されるようなものではなかった。
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