名古屋大学第1内科及びその関連の多施設による臨床試験において, 血液疾患に合併した感染症患者111例に対しカルバペネム系抗生物質であるImipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) とAmikacin sulfate (AMK) の併用療法の臨床的検討を試みた。又, 基礎的にもChecker board法による検討を加えた。
1. 併用投与パターンはIPM/CS 2g/日+AMK 400mg/日が60例で全体の64.5%を占め, その有効率は66.7%であつた。
2. 有効性評価可能症例93例の臨床効果は, 著効20例, 有効37例, やや有効8例, 無効28例であり, 有効率61.3%であつた。
3. 併用投与開始直前の好中球数をみると, 100/μl未満の症例は38例 (41.8%), 100~500/μl未満の症例は21例 (23.1%), 500/μl未満の症例は32例 (35.2%) であり, 500/μl以下の強い好中球減少時の投与開始症例が64.8%を占めた。又, その臨床効果は, 順に68.4% (26例/38例), 42.9% (9例/21例), 68.8% (22例/32例) であつた。
4. 分離された菌は血液由来11株, 喀痰由来13株, 膿由来6株の計30株で, 血液由来の11株のうち消長が追えた5株中4株が消失した。
5. 血液由来の6株について, IPMとAMKのin vitroでの併用効果をChecker board法により検討した結果, 4株 (66.7%) に相乗効果, 2株 (33.3%) に相加効果を認めた。
6. 安全性評価対象108例において, 副作用は9例に, 臨床検査値異常は2例に認められたが, いずれも軽度で一過性であり, 併用による増強は認められなかつた。
以上の結果から, IPM/CSとAMKの併用療法は, 特に高度の顆粒球減少時における感染症に対し基礎的及び臨床的に優れた有用性を認めた。
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