造血器腫瘍及び固形腫瘍に合併する重症感染症67症例を対象とし, Imipenem/Cilastatinsodium (IPM/CS) を投与した。その内, 脱落3例を除いた64症例で安全性を, 更に, 除外14例を除いた50例で有効性の検討を行つた。
1.造血器腫瘍では, 31症例中著効10例, 有効10例で, 有効率は64.5% (20例/31例) であった。固形腫瘍では, 19症例中著効8例, 有効8例で, 有効率は84.2% (16例/19例) であった。
2.先行抗生剤無効症例に対しても, 造血器腫瘍の群, 固形腫瘍の群において, それぞれ有効率59.3%, 62.5%と優れた成績であった。
3.造血器腫瘍では, IPM/CS投与前後の好中球数が500/mm3以下の症例においても, 有効率75.0% (6例/8例) と, 好中球減少時の感染症に対し優れた成績であった。
4.分離菌別臨床効果は, 造血器腫瘍においては, 分離菌が判明した群の有効率は70.0%, 不明群は61.9%, 固形腫瘍においては, 分離菌が判明した群の有効率は90.9%, 不明群は75.0%と, 分離菌の判明の有無にかかわらず, 優れた成績であった。
5.安全性評価対象症例64例中, 自他覚的副作用は3例, 臨床検査値異常は2例であったが, いずれも軽微で, 本剤投与中により速やかに消失した。
以上の結果から, IPM/CSは造血器腫瘍及び固形腫瘍に合併した重症感染症に対し有用性の高い薬剤と考えられた。
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