The Japanese Journal of Antibiotics
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44 巻, 9 号
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  • KIYOHIRO NISHIKAWA, CHIEKO SHIBASAKI, KATSUTOSHI TAKAHASHI, TOMIO TAKE ...
    1991 年 44 巻 9 号 p. 917-925
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The effect of treatment schedule on antitumor activity of 15-deoxyspergualin (NKT-01) against P388 1eukemia was studied by changing each 2 out of 3 factors of administration schedule (number of injections, inlection interval, andinjection period) with the rest being constant.The antitumor activityof NKT-01 was shown to be strongly time-dependent;highere Mcacy was obtained with prolongation of treatment periodand with increasing the number of injections.The dosing interval seemed not to be a dominant factor regarding the activity of NKT-Ol.The strong dependency on treatment period was also observed in continuous infusion schedules by using Alzet 2001 osmotic minipump.The degree of dependency on infusion period was estimated to be3-to4-fold stronger than that on the infused dose by logarithmical plotting of the infusion periods and infused daily doses required to produce 130% of T/C (%).The effective dose range by the continuous infusion was slightly narrower than that by the repeated bolus inlections, although slightly higher maximal activity was obtained at the optimal dose.Hyperacute pharmacological toxicity caused bybolus injection of high dose (51.2 mg/kg) of NKT-01 did not occur by continuous infusion method even at much higher dose (409,6mg/kg/day).Cumulative gastrointestinal toxicity was observed by prolonged continuous infusion as well as repetitivetreatment schedule.From these results on antitumor activity and toxicity by various treatment schedules, recommendable clinical modality for NKT-01 seems to be the short-time infusion on every or every other day continuing for a few weeks.The results also suggest that NKT-01 may not have specific action to particular cell population of a certain cell cycle phase like cell cycle phasespecific agents, and seems to exhibit its antitumor activity through different modes of action from other antitumor drugs, of which details remained to be solved.
  • ニューキノロンを中心として
    山 博, 村田 葉子, 山中 喜代治, 小川 祐司, 三浦 博良, 井上 伸, 藤田 育子, 松野 和弘, 西野 武志
    1991 年 44 巻 9 号 p. 926-940
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1990年1月から6月に大阪府下6病院において分離された各種菌株に対する経口抗菌剤のMICを日本化学療法学会標準法により測定し, 以下の結果を得た。
    1.Streptococcus pyogenesを除く各菌種においてセフェム系薬剤に比ベニューキノロン系薬剤の抗菌力が優れており, 耐性頻度も少なかった.ニューキノロン系の中では, グラム陽性菌に対してはTosufloxacin (TFLX) が, グラム陰性菌に対してはCiprofloxacin (CPFX) とTFLXが優れた抗菌力を示した。
    2.CPFXのMICが3.13μg/ml以上を示す耐性菌が10%以上認められた菌種は, Staphylococcus aureus, S.aureus以外のStaphylococcus spp., Entorococcus faecalis, Citrobacter freundii, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Serratia spp., Pseudomonas aenuginosa, Pseudomonascepacia, Xanthomonas maltophiliaの10菌種であった.
    3.ニューキノロン系薬剤耐性S. aureusは, 入院患者由来及び尿由来株で有意に高い分離率であった。一方, P. aeruginosaでは入院・外来別及び分離材料によるニューキノロン系薬剤耐性菌分離率に差はなかった。しかし, 両菌種とも病院間で差がみられた。
    4.S. aureus 137株中27株 (19.7%) がMethicillin-resistant S.aureus (MRSA) であった.ニューキノロン系薬剤はMRSA以外の株に対しては良好な感受性を示したが, MRSAに対しては15~50%が耐性であった。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1991 年 44 巻 9 号 p. 941-957
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1987年, 1990年に検出した市中感染症由来臨床分離株多数菌種, 多数株に対するOfloxacin (OFLX) の抗菌活性を検討することを目的に他のニューキノロン系薬剤, セフェム系経口薬剤を加えた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 以下の結論を得た。
    1.1987年分離株・1990年分離株を対象にしたOFLXのMIC分布の比較において, OFLX耐性株分離頻度の経年的増加傾向を示唆する結果が得られた。
    上記の経年的比較においてOFLX耐性株の増加傾向を示唆する菌種は, Staphylococcus aureus, Enterococcus finecalis, Escherichia coli, Citrobacter spp., Klebsiella spp., Enterobacter spp., Proteusvulgaris, Morganella morganii, Providencia spp., Acinetobacter calcoaceticusであった。これら大部分の菌種におけるMIC値の上昇はMIC80, MIC90の変化であり, MIC50の大きな変化は認あられなかった。しかしSerratia marcescens, 及びPseudomonas aeruginosaにおいては, 1987年分離株・1990年分離株双方のMIC50が比較的高い値を示していた。
    なお, S, aureusのOFLX耐性株の大部分は, Methicillin-resistant S.aureus (MRSA) と考えられた。更にCoagulase-negative staphylococciは, 1987年分離株・1990年分離株双方のMIC80値が高かった
    。2.Streptococcus spp.の検討は1990年分離株に限るが, 1980年代前半における諸家の報告と比較して大差がなかった。
    3.1990年分離株においてもOFLX耐性株の出現が皆無, もしくは極めて低頻度の菌種はProteus mirabilis, Haemophilus influenzae, Neisseria gonorrhoeae, Campylobacter spp.そしてPeptostreptococcus SPP.だった。
    4.近年に分離された市中感染症由来株には, 多くの菌種にOFLX耐性株の増加傾向が認められた。しかし, OFLX耐性株の割合が高い菌種はMRSAを除けばいわゆる弱毒菌であり, 他の菌種においてはMIC80, MIC90の上昇だったことから, 1990年代を迎えた今日においても, OFLXは市中感染症において起炎菌となり得る主な菌種に対して有効な抗菌活性を維持していることが示唆された。
  • 大石 正夫, 宮尾 益也, 岡崎 治
    1991 年 44 巻 9 号 p. 958-963
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    DR-3355の眼内動態を知る目的で, 白色成熟家兎を用いて前房水中濃度及び眼組織内濃度を測定した。
    20mg/kg1回経口投与後, 前房水中へは2時間でPeak値1.06μg/mlのDR-3355濃度が移行してみられ, 6時間後も0.37μg/mlの濃度が証明された。Peak時の房血比は23.3%であった。
    薬動力学的解析による前房水中並びに血清中濃度のCmaxは1.02μg/ml, 4.56μg/ml, Tmaxは1.42時間, 1.47時間, T1/2は0.96時間, 1.57時間, AUCは3.91μg・hr/ml, 19.70μg・hr/mlであった。
    2時間値における眼組織内濃度は, 外眼部組織で3.84~16.10μg/g, 眼内部には0.70~13.52μg/g or mlであった。6時間値では, 外眼部で2時間値の1/2~1/32, 眼内部で1/2~1/7の移行濃度が測定された。
    これら眼組織内には, 主要なグラム陽性球菌, グラム陰性桿菌のMIC90以上のDR-3355濃度が証明された。
  • 小児期におけるCefiximeの薬動力学的検討
    中村 はるひ, 岩井 直一
    1991 年 44 巻 9 号 p. 964-978
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児期におけるCefiximeについての吸収, 排泄を検討すると共に, 薬動力学的解析を加えた。
    1. 食事の影響をみた学童6例の同一症例における3mg/kg食前30分と食後30分服用後の検討では, 前者のTmax.は3.33±0.42時間, Cmaxは1.03±0.17μg/ml, T 1/2は2.31±0.26時間, 尿中回収率 (0~12時間) は15.3±2.2%で, 後者はそれぞれ4.00±0.52時間, 0.90±0.09μg/ml, 3.11±0.21時間, 11.3±1.6%であつた。食前投与の方が若干Tmaxが早く得られ, 高いCmaxを示し, 尿中回収率も高い値が得られたが, 両投与方法の問に有意差は認められなかつた。
    2. 用量依存性をみた学童5例の同一症例における3mg/kgと6mg/kg食後30分服用後の検討では, 前者のCmaxは1.01±0.26μg/ml, AUCは5.86±1.13μg・hr/ml, 後者ではそれぞれ1.76±0.29μg/ml, 12.54±1.77μg・hr/mlであり, 両者の間にはCmax, AUC共に明らかなDoseresponseが認められた。
    又, 乳児7例及び3例における3mg/kg, 6mg/kg食後30分服用後の検討では, 前者のCmaxは2.45±0.26μg/ml, AUCは33.50±7.62μg・hr/ml, 後者では各々4.42±0.98μg/ml, 66.85±25.19μg・hr/mlであり, 両者の問にはCmax, AUC共にDose responseが認められた。
    3. 年齢による差異をみた学童11例, 幼児5例, 乳児7例における3mg/kg食後30分服用後の検討では, Tmaxは学童, 幼児, 乳児でそれぞれ3.82±0.33時間, 5.20±0.49時間, 5.43±0.37痔間であり, 学童で明らかに早く得られる傾向があつた。又, Cmaxについてはそれぞれ0.95±).12μg/ml, 0.56±0.06μg/ml, 2.45±0.26μg/mlで, 乳児が最も高く, 次いで学童, 幼児の順であつた。更に, T 1/2についてはそれぞれ2.85±0.18時間, 3.94±0.96時間, 6.72±1.31時間であり, 乳児において明らかに長い傾向が認められた。又, AUC, 尿中回収率についても乳児で明らかに大きい値が得られる傾向があつた。
  • 北村 聖, 高久 史麿, 宮崎 保, 三浦 亮, 溝口 秀昭, 齋藤 英彦, 正岡 徹, 木村 郁郎, 仁保 喜之
    1991 年 44 巻 9 号 p. 979-986
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    血液疾患に合併した重症感染症491例に対してSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) 合剤単独又は他の注射用抗菌剤との併用による臨床評価を, 全国多施設で行った。
    評価対象症例は437例で, 基礎疾患は急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病, 悪性リンパ腫, 多発性骨髄腫, 骨髄異形成症候群などで, 白血病及び悪性リンパ腫が367例と全体の84.0%を占めており, 94.3%が悪性の血液疾患であった。
    感染症の主なものは敗血症41例, 敗血症の疑い205例, 肺炎47例, 尿路感染症15例, 不明熱59例であつた。本剤単独又は他剤併用の有効率 (著効+有効) は60.0%であり, 感染症別有効率は, 敗血症及び敗血症の疑いに対して59%, 肺炎に対して57%であった。副作用は15例 (3.1%), 臨床検査値異常は42例 (8.6%) に認められたが, 重篤なものはなかった。
    血1液疾患に伴う感染症は重篤な場合が多いにもかかわらず, SBT/CPZは比較的高い有効性を示し, 又, 安全性も高く, 有用な抗菌剤であることが示唆された。
  • 虫垂組織内濃度と臨床効果の関連
    平山 隆, 斎藤 幹夫
    1991 年 44 巻 9 号 p. 987-992
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 各種感染症の治療に, 薬剤の抗菌力と共に血中濃度及び感染臓器への組織移行が重要視されてきている。今回, 我々はCefuzonam (CZON) の虫垂組織への移行性を検討し, 併せて虫垂穿孔による腹膜炎に対しCZONを投与し若干の臨床的検討を行つたので報告する。
    虫垂炎22例について組織移行を検討した結果, カタール性虫垂炎では虫垂組織濃度は0.066~21.7μg/g, 蜂窩織炎性では0.173~11.7μg/g, 壊疽性ないし穿孔性では0.116~12.1μg/gであつた。虫垂炎の炎症の程度とCZONの組織移行の直接の相関は認められなかつた。
    又, 虫垂穿孔による腹膜炎6例に対しCZONを1回1g, 1日2回, 5~10日間投与し, その臨床効果を検討した。結果は有効5例, やや有効1例で有効率は83%であつた。副作用は認められなかつた。
  • 平谷 民雄, 浅黄 友季世, 松坂 厚子, 内田 勝久, 山口 英世
    1991 年 44 巻 9 号 p. 993-1006
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたモルホリン系抗真菌剤Amorolfine (MT-861) のin vitro抗真菌活性について, 主要な病原真菌菌株を対象に, イミダゾール系薬剤Clotrimazole (CTZ) を対照薬として用い, 寒天希釈法により検討した。MT-861の抗真菌スペクトルは広く, Aspergiuus, Penicilliumなどの非着色性糸状菌を除く大部分の病原真菌に対して明らかな活性を示した。MT-861の活性は, 皮膚糸状菌, 二形性真菌, 並びにMalassezia furfurの大部分の菌株に対してはCTZよりも強く, 特に皮膚糸状菌及びM. furfurに対してMT-861は極あて強力な活性を示した。一方, Candida albicansなど病原性酵母に対してはCTZよりも弱かった。MT-861の活性は, 接種菌量, 培養日数, 培地pH, 培地の種類, 血清添加などの測定要因によつて影響を受け, この影響はC. albicansで顕著であつたが, Trichqphyton mentagrophytesでは軽微であつた。C. albicansその他の主要なCandida属菌種に対するMICを種々の培地上で比較測定したところ, Casitone agarで最も低い値が得られた。MT-861はT. mentagrophytes及びSporothrixschenckiiといつた感受性の高い真菌の発育培養に対して充分低い濃度で殺菌的効果を示し, この効果は24時間以後培養時間と共に増強された。MT-861含有培地にCalbicans及びCandida glabrata菌株を15代まで継代培養したが, この間感受性の低下は全く認められなかつた。以上の成績から, MT-861は多くの真菌症, 特に表在性真菌症の原因菌に対して優れたin vitro活性を有することが示される。
  • 内田 勝久, 青木 興治, 山口 英世
    1991 年 44 巻 9 号 p. 1007-1012
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    モルホリン系抗真菌剤Amorolfine (MT-861) の表在性皮膚真菌症治療における有用性を評価するため, 足白癬101例, 体部白癬42例, 股部白癬29例, 爪白癬1例, その他9例合計182例の皮膚糸状菌症患者から新鮮分離したTrichophyton rubrum 112株, Trichophy tonmentagroehytes 65株, Microseorum canis3株及びEeidermoehyton floccosum2株合計182株及び皮膚カンジダ症患者から新鮮分離したCandida albicans39株について, MT-861及びClotrimazole (CTZ), Bifonazole (BFZ) の両対照薬剤のin vitro抗菌活性を寒天平板希釈法にて測定し下記の結果を得た。
    1. T. rubrum 112株に対する3薬剤の抗菌活性の強さはMT-861>CTZ>BFZの順であり, MT-861の幾何平均MIC値は0.0070μg/mlと低かつた (分離部位の異なる菌種間の感受性は, BFZにおいて相違が認められ, 足分離株は体部分離株の約2.3倍大きい幾何平均MIC値を示した)。
    2. T. mentagrophytes, M. canis 及びE. floccosum に対する3剤の抗菌活性の強さの順位は, T. rubrumと同様であり, 最も強い活性を示したMT-861のそれぞれの菌種に対する幾何平均MIC値は0.0267, 0.0079, 0.0018μg/mlであつた。
    3. C. albicans 39株に対する MT-861のMIC値は0.01~10μg/mlの幅広い範囲に分布したが, その幾何平均MIC値 (0.1762μg/ml) はBFZ, CTZのいずれよりも低かつた。
    4. 以上の成績から, MT-861は皮膚糸状菌及びC.albicansの臨床分離株, 皮膚科領域の真菌症起因菌に対して, 現在臨床的に頻用されている代表的なイミダゾール系薬剤CTZ及びBFZのいずれよりも優れたin vitro活性を示すことが実証された。
  • 内田 勝久, 青木 興治, 山口 英世
    1991 年 44 巻 9 号 p. 1013-1019
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新たに設定した条件下での寒天平板希釈法によりモルホリン系抗真菌剤Amorolfine (MT-861) の綴風起因菌Malassezia furfurの保存株11株及び新鮮臨床分離株28株並びに類縁菌種Malassezia pachydermatis保存株8株に対するin vitro活性を対照薬剤, Clotrimazole (CTZ) 及びBifonazole (BFZ) のそれと比較測定した。
    M. furfur, M. pachydermatis両菌種保存菌株に対する抗菌活性は, MT-861が最も強く (幾何平均MIC値はそれぞれ0.428μg/ml, 0.174μg/ml), BFZはその1/10以下, CTZは約1/100の弱い活性を示したに過ぎなかった。
    M. furfur臨床分離株28株は, 保存株と同程度の高いMT-861感受性を示したが, 臨床分離株に対するBFZ, CTZ両剤の感受性は全体的に保存株よりも高かった。
    以上の成績から, Malassezia属菌種に対するMT-861のin vitro抗菌活性はBFZと同程度か又はそれを上回り, CTZよりは明らかに強いことが確認された。
  • 内田 勝久, 松坂 厚子, 山口 英世
    1991 年 44 巻 9 号 p. 1020-1031
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    モルホリン系抗真菌剤Amorolfine (MT-861) の外用抗真菌剤としての有用性を評価するため, モルモット背部皮膚において作成したTrichophyton mentagrophytes感染症モデルを用い, 1% Bifonazole (BFZ) を対照薬剤として, MT-861のクリーム剤及び液剤の塗布による治療効果を検討し下記の結果を得た。
    1. 0.125%, 0.5%及び1% MT-861クリーム剤を感染5日目から1日1回局所に投与した場合, いずれの濃度の製剤でも有効な治療効果を示した.有効性は薬剤の含有量共に増大したが, 0.5%でほぼ最高レベルに達した。対照薬と比較すると病変の改善度, 培養成績共にMT-8610.5%及び1%製剤と1% BFZ剤との間で有意差 (P<0.05~0.001) がみられた。
    2. クリーム剤を用いて病変局所の培養陽性率とキチン含有量を指標として投与期間の検討を行つた結果, MT-861の0.5%及び1%製剤の1週間治療で有効性が認められた。又, 治療1週間, 2週間, 3週間における局所皮膚のキチン定量測定値は培養成績と良く相関した。
    3. 液剤を用いて1日1回, 2週間連日局所塗布を行つた場合, MT-861液剤では, クリーム剤の場合と同様に, 薬剤濃度が高いほど有効性も増強された.対照薬と比較すると, MT-861の0.5%, 1%各製剤は, 培養成績において1% BFZ剤との間に有意差 (P<0.05~0.001) が認められた。
    以上の実験結果から, MT-861はクリーム剤及び液剤共にモルモットの白癬菌感染モデルにおいて優れた治療効果を示し, 0.5%剤の1日1回塗布で十分な有効性が実証された。皮膚真菌症患者に対し臨床的有用性が期待される。
  • 内田 勝久, 山口 英世
    1991 年 44 巻 9 号 p. 1032-1041
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amorolfine (MT-861) 外用抗真菌剤の皮膚組織内貯留性を検討するために, モルモット背部皮膚に作成した白癬モデルを用い, 各濃度クリーム製剤を1回塗布した後, 一定時間間隔を置いて菌接種を行い, その予防効果を1% Bifonazole (BFZ) クリーム製剤と比較検討した。得られた結果は下記のとおりである。
    1.0.125%, 0.25%及び0.5%MT-861製剤を感染1日から3日前に1回局所に投与した場合, 感染12日後又は19日後の感染局所の病変度は基剤対照群より有意に低かつた。
    2.感染19日後における局所皮膚の培養成績は, 感染1日前のすべての薬剤及び基剤塗布群との間に有意差 (P<0.001) が認められた。
    3.病変度及び菌陽性率のいずれを指標とした場合でも, MT-861の感染予防効果は濃度依存的であり, しかもこの効果は薬剤塗布から菌接種までの間隔が短いほど, 又, 感染後12日目のほうが19日目に比べてより著しい傾向を示した。
    4.病変度を指標にした場合, 両薬剤, 各濃度共に薬剤投与と菌接種との時間的間隔の違いは, 少なくとも1~3日の範囲では感染予防効果に影響を及ぼさなかつた。これに対して, 感染19日目の菌陽性率を指標とした場合には, この時間間隔が短いほど効果が強い傾向にあつた。
    5.病変度及び菌陽性率のいずれを指標とした場合も, 0.5%MT-861製剤は1%BFZと同程度か又はそれに勝る感染予防効果を示した。
    6.以上のMT-861の強力でしかも持続性の感染予防効果を示す成績から, 本剤の良好な皮膚貯留性が示唆された。
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