1988年6月から同年11月までの間に全国9施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌・抗生剤に対する感受性を測定した。グラム陽性菌は29.3%であり, その多くは
Enterococcus spp.であつた。グラム陰性菌は70.7%であり, その多くはEscherichia coliであつた。
Enterococcus spp.に対してはVancomycinが最も抗菌力が強く, その他Ampicillin (ABPC), Piperacillin (PIPC), Ofloxacin, Ciprofloxacin, Imipenem (IPM) が良好であつた。
Staphylococcu saureusに対してはArbekacin, Minocyclineが強かったが, ペニシリン系, セフェム系薬剤は弱かった。
E.coliに対しては各薬剤とも良好な抗菌力を示したが, 特に第2, 第3世代セフェム系薬剤は良好であつた。
Klebsiella pneumoniaeに対してはペニシリン系薬剤は抗菌力が弱かつたが, セフェム系, ニューキノロン系薬剤は良好であった。
Proteusmirabilisに対してはABPC, PIPCや第3世代セフェム系, ニューキノロン系薬剤が良好であった。
Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, serratia marcescens, Pseudomonas aeraginosaの弱毒菌に対してはニューキノロン系薬剤, IPMが強い抗菌力を示したが, ペニシリン系, セフェム系薬剤は弱かった。
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