The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
46 巻, 10 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 熊澤 淨一
    1993 年 46 巻 10 号 p. 841-849
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftibuten (7432-S, CETB) は, 塩野義製薬株式会社で創製された経口川セフェム系抗生物質で, 化学構造はセフェム核3位側鎖がH, 4位が非エステル型, 7位側鎖がZ-2-(2-Amino-4-thiazolyl)-4-carboxy-2-butenoylamino基を有する (Fig. 1)。
    最近, 広範囲スペクトルの抗菌薬が数多く開発され, 広く使用されているが, 全国的に問題となつているMRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) の発症や, 菌の耐性獲得が促進化されている現状からみて, すべての抗菌薬が広範囲スペクトルである必然性がなくなつてきている。一部のポイントに優れた特徴を持つような特異的 (Specific) な薬剤の開発も重要である。
    CETBの抗菌スペクトルは緑膿菌を除く広範囲のグラム陰性菌と一部のグラム陽性菌である。抗菌力はグラム陰性菌には極めて強いが, グラム陽性菌には弱い。このため開発過程において多くの困難な問題と遭遇し, 幸いにもこれらを乗り越えた薬剤である。本薬の最大の特徴は経口吸収が良いことで, このことが本薬の臨床効果に反映したと考えられる。
    本薬の基礎及び一般臨床試験成績は第26回ICAAC (1986年9月, ニューオルリンズ), 第35回日本化学療法学会西日本支部総会 (1987年11月, 鹿児島) において検討された。又, 本薬は米国シェリング・プラウに導出され, 世界30数力国に申請中で既に11力国で承認が取得されている。以下に本薬の特徴について概説する。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1993 年 46 巻 10 号 p. 850-859
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1988年, 1990年, そして1992年において全国の医療機関から送付されてきた臨床分離株, 更に各種感染症患者採取材料から分離・同定した臨床分離株の中から, 中耳炎及び外耳炎由来株を対象に, Cefmenoxime (CMX) と対照薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して以下の結果を得た。
    1. Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), 多剤耐性Coagulase-negative staphylococci (CNS), 更に多剤耐性Proteus groupの経年的増加が示唆されたが, MRSAの割合は1980年代前半におけるそれに比較してほぼ同率だつた。
    2. Streptooccus pneumoniaeのペニシリン系薬剤及びセフェム系薬剤低感受性もしくは耐性株の経年的増加傾向が示唆された。
    3. 多剤耐性Pseudomonas aeruginosaも検出されていたが, 経年的増加傾向は認められなかつた。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 中根 豊, 鈴木 香苗
    1993 年 46 巻 10 号 p. 860-876
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1992年7月~12月において, 当所に全国の医療機関から送付されてきた臨床分離株, 及び各種感染症患者採取材料から分離・同定した臨床分離株を対象とし, Cefodizime (CDZM) の抗菌活性を知る目的で, CDZMと対照薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. CDZMを含むセフェム耐性株が皆無もしくはそれにほぼ等しい菌種はStreptococcus pyogenes, Haemophilus infiuenzae, Citrobacter diversus, 大部分のKlebsiella pneumoniae, Proteus mirabiiisであるが, Klebsiella oxytocaの一部にはセフェム耐性株が存在しており, β-ラクタム耐性Streptococcus pneumoniae, セフェム耐性Escherichia coliの増加が示唆された。そして, Citrobacter freundii, Enterobacrer spp., Serratia marcescens, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia spp., すなわち, いわゆる弱毒菌の範疇に入るこれらの菌種のCDZMを含むセフェム耐性菌の割合は高く, そこにおけるセフェム耐性菌の多くは, ニューキノロンにも耐性を示す多剤耐性菌だつた。
    2. 日常診療における感染症に関与し得る確率の高いStreptococcus spp., H. influenzae, Mornxella subgenus Branhamella catarrhalis, E. coli, Klebsiella spp.,P. mirabilisに対するCDZMのMIC90は≤0.025~1.56μg/mlであることから, これらの菌種が関与した感染症には, CDZMは単独投与でも臨床効果が期待し得る十分な抗菌活性を保持していた。しかし, そこにおいてはβ-ラクタム耐性S. pneumoniae, セフェム耐性E. coli, セフェム耐性K. oxytocaに留意すべきである。
    3. 上記に示した「弱毒菌」には多剤耐性株の割合が高いことから,「弱毒菌」の多剤耐性株にはCDZMとアミノ配糖体系薬剤の併用を検討すべきである。
    4. 今回示した臨床分離株に対するCDZMの抗菌活性からは, CDZMはTime above MICへの適合性が高いことが示唆された。
  • HITOSHI YOSHIMURA, YOSHITANE KOSAKA, TOMOKO HAYASHI, SHIGEHARU KAWAHAR ...
    1993 年 46 巻 10 号 p. 877-883
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The in vitro activity of cefpirome (CPR) was compared with that of cefazolin (CEZ), cefotiam (CTM), flomoxef (FMOX), cefotaxime (CTX), ceftazidime (CAZ) and imipenem/cilastatin (IPM/CS) against 384 clinical isolates, for tested by the broth microdilution method. The activity of CPR against Staphylococcus aureus (MIC50, 1 μg/ml) and Enterococcus faecalis (MIC50), 8 μg/ml) was better than CTX and CAZ, but slightly less than IPM/CS. CPR and other antibacterial agents were not effect against methicillin resistant S. aureus and Enterococcus faecium. The activity of CPR against Enterobacteriaceae was as good as that of CTX, CAZ, and IPM/CS, and more effective than CEZ, CTM and FMOX. The MIC50 of CPR for Acinetobacter calcoaceticus (2 μg/ml) and the MIC50 of CPR for Pseudomonas aeruginosa (8 μg/ml) were as good as that of CAZ. Conclusionly, CPR was a new broad spectrum cephalosporin as compared with used cephalosporins.
  • 高濃度域を含むMIC測定成績
    出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 中根 豊, 福本 寅雄
    1993 年 46 巻 10 号 p. 884-895
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1992年1111以降に検出した主な臨床分離株を対象とし, Polymyxin B (PL-B) の抗菌活性を知ることを目的に, 対照薬剤を加えて最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して以下の結果を得た。
    1. Family Enterobacteriaceaeの主な菌種, すなわちEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacterspp., 更にPseudomonas aeruginosaの多剤耐性株を含む対象株に対するPL-BのMIC分布からは, 現状においてもPL-Bの抗菌スペクトルに入るグラム陰性桿菌のPL-B耐性は, 皆無もしくはそれにほぼ等しいことが示唆された。
    2. Sraphylococcus aureus及びCoagulase-negative staphylococciのMethicillin (DMPPC) 耐性株を含むPL-BのMICは, 大部分の株が100~800μg/mlに分布しており, PL-B 1mg/mlの局所使用においてはMRSAを含むStaphylococcus spp. の除菌効果が期待できるという諸家の報告を支持する結果だつた。
    3. Bacteroides fragilis groupに対するPL-BのMIC分布も上記とほぼ同様だつた。
  • 前橋 一紀, 糸山 利生, 内田 勝久, 山口 英世, 浅岡 健光, 岩佐 曜
    1993 年 46 巻 10 号 p. 896-903
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規イミダゾール系化合物Neticonazole hydrochloride (SS717) の外用抗真菌剤としての有用性を評価するために, プレドニゾロン処置モルモットで作成した皮膚カンジダ症モデルを用いて1%クリーム剤及び液剤の治療効果を検討した。対照薬剤には, 市販の1% Bifbnazole (BFZ) クリーム剤及び液剤を用いた。感染5日後から1日1回3日間薬剤を塗布し, 感染9日目に局所皮膚の培養試験を行つて治療効果を判定した。クリーム剤を用いた試験においては, SS717及びBFZ両治療群とも無処置感染対照群に対して有意に (P>0.01) 優れた治療効果を示し, このSS717の治療効果は基剤処置群に対しても有意な (P>0.01) レベルであつた。液剤による試験において, SS717液剤治療群は, 無処置感染対照群, 基剤処置群及びBFZ液剤治療群のいずれをも有意に (P>0.01) 勝る治療効果を示した。一方, BFZ治療群では, 無処置感染対照群よりも菌陰性化傾向が強かつたものの, 有意な差は認められなかつた。
    以上の結果から, SS717製剤はモルモットの皮膚カンジダ症モデルにおいてBFZ製剤を上回る優れた治療効果を発揮することが示された。
  • 津田 昌一郎, 三澤 信一, 堀池 重夫, 平川 浩一, 葛山 由布子, 中井 浩之, 芹生 卓, 高島 輝行, 谷脇 雅史, 加嶋 敬, ...
    1993 年 46 巻 10 号 p. 904-911
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1989年11月~1992年1月までに京都府立医科大学第3内科及び関連7施設に入院した血液疾患患者に併発した真菌感染症14例及びその疑い症例31例を対象にTriazole系の抗真菌剤であるFluconazole (FLCZ) の有効性と経過中のβ-D-Glucan値の推移を検討した。FLCZは原則として1日400mgを点滴静注した。効果は熱型, β-D-Glucan値, 画像診断で判定した。FLCZの有効率は確診例で28.6% (4例/14例), 疑診例で58.1% (18例/31例), 全体で48.9% (22例/45例) であつた。FLCZ投与前のβ-D-Glucan値は, 疑診有効群16例中7例 (43.8%) で25pg/ml以上の高値を示したが, 無効群のほとんどが25pg/ml以下であつた。確診例ではβ-D-Glucan値が25pg/ml以上に上昇したのは4例で上昇しない症例が6例であつた。
    現在, β-D-Glucanは深在性真菌症の指標として汎用されているが, 低値でも真菌感染症を否定できず, 特に確診例で低値の症例に関して検討が必要と考えられた。
  • 福田 正高, 平嶋 邦猛
    1993 年 46 巻 10 号 p. 912-917
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    血液疾患に併発した重症感染症例に対してSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) とAmikacin sulfate (AMK) の併用療法を行い, 臨床的検討を行つた。評価対象例は82例で, 全体での有効率は70.7%であり, 原因菌の同定できた敗血症の症例においても, 4例中3例 (75.0%) と高い有効率を示した。又, 先行抗生剤無しの症例での有効率は70.5%, 有りの症例では71.4%とほとんど差を認めなかつた。そして, 両薬剤によると思われる, 重篤な副作用及び高度な臨床検査値異常は認めなかつた。以上により, SBT/CPZとAMKの併用療法は, 血液疾患に併発した重症感染症のEmpiric therapyとして有効な併用療法であると考えられた。
  • 本島 新司, 浅川 潤一, 江連 美恵, 立石 欣司, 中島 宏和, 平田 哲, 相良 博典, 有馬 雅史, 阿久津 郁夫, 福田 健, 牧 ...
    1993 年 46 巻 10 号 p. 918-925
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症を主とした内科領域感染症にSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) を投与し, その臨床効果及び安全性について検討した。
    感染症の内訳は呼吸器感染症103例, 尿路感染症15例, 敗血症4例, 肝胆道感染症7例, その他の感染症6例, 合計B5例であり, 基礎疾患を有しているものは86例であつた。SBT/CPZは, 1日投与量2~6gを2~3回に分けて静注又は点滴静注により投与した。投与期間は3日から35日であつた。
    臨床効果を判定できたのは130例であり, 有効以上76.9%, 細菌学的効果は菌消失率69.0%であった。副作用としては薬剤熱が1例, 臨床検査値異常は1例あつたが, SBT/CPZとの因果関係は不明であつた。
    以上のことから, SBT/CPZは内科領域感染症に対して有用であると考えられた。
  • Cefditoren pivoxilカルニチン研究班
    藤井 良知, 千葉 峻三, 沼崎 啓, 森 俊彦, 寺嶋 周, 目黒 英典, 森 淳夫, 豊永 義清, 砂川 慶介, 佐藤 吉壮, 岩田 敏 ...
    1993 年 46 巻 10 号 p. 926-937
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefditoren pivoxil (CDTR-PI, ME1207) 粒剤を感染症小児16例に治療的に投与した際, カルニチン代謝に及ぼす影響を検討した。CDTR-PIのPivaloyloxymethyl (POM) エステル由来のピバリン酸はカルニチンと抱合して尿中に排泄された。その結果, CDTR-PI投与中のカルニチンの尿中排泄量は増加し, 血清 (血漿) 中遊離カルニチン濃度は低下し, アシルカルニチン/遊離カルニチン濃度比は増加した。これら尿中及び血中所見は投与中止と共に急速に正常化した。なお, 全例において, 副作用は認められなかつた。
feedback
Top