The Japanese Journal of Antibiotics
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46 巻, 5 号
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  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 鈴木 香苗, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1993 年 46 巻 5 号 p. 349-363
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1989年9月~1992年8月の3力年間において, 全国の眼科臨床施設から送付されてきた臨床分離株, 及び眼科領域各種感染症患者採取材料から分離・同定した臨床分離株を対象とし, Ofloxacin (OFLX) の抗菌活性を検討することを目的に, OFLXと対照薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. 1984年~1986年における諸家の報告に比較して, OFLXにいわゆる「中等度及び弱度感受性株」が増加した菌種は, Staphylococcus spp., Corynebacterium spp., Serrtia spp., そしてGlucose-nonfemlentative Gram-negative rods ((G) NF-GNR) である。
    2. 供試株には上記に該当する菌種のOFLX耐性の増加傾向が認められたものの, OFLXの MIC値 100μg/mlを示すOFLX高度耐性株の割合は, 極めて低率であることが一つの特徴だつた。
    3. OFLXの抗菌スペクトルは (G) NF-GNRを含むが, そこに示されたOFLXの抗菌活性は, 対照薬剤としてのアミノ配糖体系薬剤, ペニシリン系薬剤, セフェム系薬剤に勝つていた。
    4. OFLX高度耐性株の割合が低く, OFLXの幅広い抗菌スペクトルからは, 0.3%OFLX点眼剤のAbove the MIC, Time above MICの有用性があらためて示唆された。
  • 金子 明寛, 富田 文貞, 小林 寅喆
    1993 年 46 巻 5 号 p. 364-366
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    白血球減少マウスを用い, 緑膿菌全身感染モデルを作製し, 各種抗菌剤 (Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ), Cefoperazone, Ceftazidime, Piperacillin, Imipenem/Cilastatin) とG-CSF (Granulocyto-colony stimulating factor) の併用効果を検討した。SBT/CPZを除く4薬剤のED50は, 無処理マウスでのED50値より2倍以上高く, G-CSF投与群と無投与群で差がなく, G-CSF との併用効果はみられなかつた。しかし, SBT/CPZではG-CSF投与群のED50は, 無投与群より低く, 無処理マウスでのED50と同じものであつた。SBT/CPZとG-CSFとの併用に効果が認められた。
  • 中井 勲, 徳島 武, 広田 裕, 永松 昌子, 武田 弘, 溝辺 雅一, 高井 力
    1993 年 46 巻 5 号 p. 367-373
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    肺癌手術, 気胸手術, 肺良性腫瘍手術等の開胸手術患者を対象にAspoxicillin (ASPC, ドイル®静注用) 2gを手術直前に1時間点滴静注投与し, 各症例ごとに1点ずつ測定された肺, 気管支及び血清中のASPC濃度について薬物速度論的解析を行い, 胸部組織への移行性を検討した。併せて開胸手術におけるASPC術後感染予防効果も検討した。
    1. 開胸手術36例を対象に検討した濃度推移の解析より次の結果が得られた。
    1) 血中濃度は点滴静注終了時にピーク (約80μg/ml) を示し, 経時的に低下して点滴静注開始6時間後には約10μg/ml以下となり, 消失半減期は約1.4時間と計算され, 健康成人のそれ1) と大差はなかつた。
    2) 肺及び気管支組織内濃度のピークは点滴静注終了後約30分に得られ, それぞれのピーク濃度は肺組織が約30μg/g, 気管支組織が約40μg/gであり, 両組織とも投与開始6時間後には約5μg/gの濃度になると計算された。
    2. 術前にASPCを投与した39症例につき, 術後1週間の感染予防効果を観察した結果, 全例に術後感染は認められず, 本剤の有用性が確認された。
    3. 全例に副作用及び臨床検査値異常は認めなかつた。
    以上の呼吸器組織移行濃度の検討と術後感染予防効果の検討から勘案し, ASPCは胸部術後感染予防に有用な薬剤であると考えられた。
  • 北村 聖, 宮川 清, 若林 芳久, 浦部 晶夫, 佐藤 宏, 大林 由明, 高久 史麿, 戸川 敦, 新藤 英一, 青木 功, 藤岡 成徳 ...
    1993 年 46 巻 5 号 p. 374-387
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 血液疾患に合併した深在性真菌症に対してFluconazole (FLCZ) を161例の患者に投与し, 効果判定のできた109例について, その診断方法から確診例 (48例), 疑診例 (61例) の2群に分けて検討を行つた。
    総合臨床効果は確診例で43.8% (21例/48例), 疑診例で55.7% (34例/61例) であり, 合計で50.5% (55例/109例) であつた。
    安全性は161例について検討し5例 (3.1%) に副作用がみられたが, 特に重篤なものはなく, ほとんどが投与中止にて消失・軽快した。
    以上のことから, FLCZは血液疾患に合併した深在性真菌症の治療において有用な薬剤であると考えられた。
  • 武田 武夫, 畑江 芳郎, 中舘 尚也, 藤田 晃三, 鈴木 豊, 我妻 嘉孝, 今野 武津子, 高瀬 愛子, 高橋 豊, 永島 哲郎, 桑 ...
    1993 年 46 巻 5 号 p. 388-396
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. 道内8施設で扱つた小児血液, 悪性腫瘍のうち顆粒球減少時の細菌感染症と診断された症例にImipenem/Cilastatin sodium単独投与を行い臨床効果及び安全性を検討した。
    2. 症例数で44例, エピソードの数で73例であつた。安全性評価の対象としては71例であり, 有効性の評価症例数は60例であつた。
    3. 感染症別臨床効果では敗血症疑いで89.2%と最も高く, 次いで敗血症の83.3%, 肺炎の 80.0%と続く。全体では48例/60例, 80.0%であつた。
    4. 基礎疾患の病期別の臨床効果では, 寛解期での100%, 強化療法後の80.0%, 初回寛解導入期の73.3%, 再発寛解導入期の71.4%であつた。
    5. 先行抗生剤のあつた例では有効率79.2%, ないものでは80.6%で両者の間に有意差はみられなかつた。
    6. 投与開始時, 及び効果判定時の好中球の数と有効率の関係では, 投与後に100/μl以下のものでは58.8%であるのに反して投与後に500/μl以上に上がつたものでは84.0%と多少高くなる傾向がみられた。
    7. Endospecy test陽性例については90.0%で有効以上を示した。
    8. 副作用では悪心, 嘔吐, 下痢などの消化器症状を示したものが合計3例あり発現率は5.0% であつた。又, 肝機能の異常をみたものは2例3.3%にみられた。これらはいずれも投薬中止により回復した。
  • 坂田 育弘, 丸山 次郎, 高橋 均, 北岸 英樹, 中路 正明, 吉信 久, 萬谷 美彦, 丸山 克之, 居和城 宏, 松島 知秀
    1993 年 46 巻 5 号 p. 397-403
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    救命救急センターでは重度の外傷非外傷患者が入院治療を行つている。その中には糖尿病や貧血などの基礎疾患を持つ症例, 入院中に肝臓や腎臓の臓器不全となる症例が多く, 感染症を合併すると重症化することがしばしばみられる。起炎菌もメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (以下MRSA) や耐性緑膿菌によるものが多く治療に難渋する。今回, 救命救急センターに入院中の重症感染症患者30例に対し, カルバペネム系抗生物質配合剤Imipenem/Cilastatin sodium (以下 IPM/CS) を投与し, その有用性について臨床的検討を行つた。臨床効果は著効l1例, 有効5例, やや有効9例, 無効5例で臨床的有効率53.3%であつた。細菌学的効果は起炎菌として分離された28株中消失11株, 減少3株で細菌学的有効率は50%であつた。本剤によると思われる副作用及び臨床検査値異常は認あなかつた。
  • 森本 健, 中谷 守一, 佐々木 康之, 木下 博明
    1993 年 46 巻 5 号 p. 404-410
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    乳癌術後の創感染予防に対するOfloxacin (OFLX) の投与期間とその効果を調べるために無作為割付による比較試験を行つた。1990年6月から1992年9月までに入院した乳癌117例について封筒法により割付が行われた。適格症例110例についてでは術前日夕から, OFLX1日量 600mgが分3投与され, 58例は5日投与群に, 52例は10日投与群に割付けられた。5日群では 9例, 10日群では12例の感染が認められ, 発症までの平均日数は5日群12日, 10日群8日であつた。抜去ドレーンからの分離菌株数は感染の発生と密接な関係を示し, 感染巣からの分離菌株数は創感染に対する治療の必要性と密接な関係を示した。術前因子について重回帰分析の結果からは年齢だけが創感染に対する有意な因子であることが示された。しかし, OFLXの投与期間は創感染発症には影響していなかつた。以上のことから, 乳癌根治術後のOFLXの予防投与期間を延長しても創感染発生を減少させ得ないと結論できる。
  • 藤井 良知, 小林 裕, 西村 忠史, 砂川 慶介, 岩田 敏, 目黒 英典, 豊永 義清, 秋田 博伸, 久野 邦義, 岩井 直一, 本廣 ...
    1993 年 46 巻 5 号 p. 411-420
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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