1. 道内8施設で扱つた小児血液, 悪性腫瘍のうち顆粒球減少時の細菌感染症と診断された症例にImipenem/Cilastatin sodium単独投与を行い臨床効果及び安全性を検討した。
2. 症例数で44例, エピソードの数で73例であつた。安全性評価の対象としては71例であり, 有効性の評価症例数は60例であつた。
3. 感染症別臨床効果では敗血症疑いで89.2%と最も高く, 次いで敗血症の83.3%, 肺炎の 80.0%と続く。全体では48例/60例, 80.0%であつた。
4. 基礎疾患の病期別の臨床効果では, 寛解期での100%, 強化療法後の80.0%, 初回寛解導入期の73.3%, 再発寛解導入期の71.4%であつた。
5. 先行抗生剤のあつた例では有効率79.2%, ないものでは80.6%で両者の間に有意差はみられなかつた。
6. 投与開始時, 及び効果判定時の好中球の数と有効率の関係では, 投与後に100/μl以下のものでは58.8%であるのに反して投与後に500/μl以上に上がつたものでは84.0%と多少高くなる傾向がみられた。
7. Endospecy test陽性例については90.0%で有効以上を示した。
8. 副作用では悪心, 嘔吐, 下痢などの消化器症状を示したものが合計3例あり発現率は5.0% であつた。又, 肝機能の異常をみたものは2例3.3%にみられた。これらはいずれも投薬中止により回復した。
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