The Japanese Journal of Antibiotics
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46 巻, 7 号
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  • その有用性と血中濃度モニタリング成績
    藤田 晃三, 室野 晃一, 吉河 道人, 宮本 和俊
    1993 年 46 巻 7 号 p. 505-510
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児患者14症例 (生後1カ月~13歳, 体重1.9~49kg) 21感染症エピソードに対してVancomycin (VCM) 10mg (1例20mg)/kg×4/日, 60分点滴静注投与し, その臨床効果と副作用を検討した。投与期間は5~27日間で, 白血病の1例には約3ヵ月半使用した。
    有効性を認めたのは, Methicilin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA) 感染症10エピソード (8症例), Methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis (MRSE) 感染症4エピソード (2症例), Methicillin-susceptible S. aureus感染症2エピソード (2症例) であった。感染症の内訳は敗血症, 膿胸, 気管支炎, 皮下膿瘍, 蜂窩織炎, リンパ腺炎であった。MRSEによる歯韻膿瘍1例にはやや有効で, 起炎菌不明の感染症4例は判定を不明とした。
    VCMの分離菌に対する最小発育阻止濃度は0.5~1μg/mlで, 腎機能異常のない小児のVCM血清中濃度は, 1日4回投与で投与開始後6~20日目点滴静注終了時で28.3±2.8μg/ml (n=4), 投与開始後2~20日目のトラフ値で6.9±1.9μg/ml (n=9) であった。しかし, 軽度腎機能障害児に対する1日3~4回投与ではいずれも高値で, 投与回数を1日2回に変更する必要があつた。
    副作用は発疹を2エピソード, 肝機能異常を4エピソードに認めた (それぞれ1エピソードは20mg/kg×4/日投与例)。発疹は点滴静注時間の延長で消失し, 肝機能異常は薬剤投与終了後正常化した。
    VCM静注は投与法の調整により比較的安全に使用できるものと考えられ, MRSA, MRSE感染症に有用と考えられる。
  • 笹川 富士雄, 中野 徳, 水戸 義昭, 関根 理
    1993 年 46 巻 7 号 p. 511-517
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    オキサセフェム系抗生物質Flomoxcf (FMOX) の慢性血液透析小児での体内動態を検討し, 以下の成績を得た。
    1. 慢性腎不全血液透析中の小児5例 (7歳から15歳) にFMOXを10mg/kg, そのうち2例に5mg/kgを1回静脈内注射した。その血中濃度, 尿中濃度を経時的に測定し, Two-compartment open modelによる薬動力学的解析を行つた。2. 非透析日使用時の血中濃度は, 10mg/kg, 5mg/kg使用でそれぞれ, 30分値33.3±4.09μg/ml (平均±標準偏差), 17.6μg/ml (平均), 1時間値29.6±3.51μg/ml, 15.9μg/ml, 2時間値27.2±2, 14μg/ml, 15.1μg/ml, 4時間値23.5±1.90μg/ml, 13.0μg/ml, 6時間値20.8±2.44μg/ml, 12.2μg/ml, 8時間値18.9±1.86μg/ml, 11.0μg/ml, 24時間値9.64±1.43μg/ml, 6.16μg/mlであつた。
    3. 10mg/kg使用時の尿中濃度は, 0~6時間で42.4~123μg/ml, 6~24時間で14.1~525μg/ml, 24~48時間で2.86~23.7μg/mlであつた。48時間の尿中排泄率は, 無尿, ほぼ無尿の2例を除くと, 9.1~10.5%であつた。
    4. 薬動力学的解析では, 10mg/kg, 非透析日使用例を正常腎機能児と比較すると, k10は0.070±0.007hr-1と著しい低値を, T1/2αは0.51±0.46時間と延長傾向を, T1/2βは15,03±1.34時間と著しい延長を, Vcは0.23±0.03L/kgと低い傾向を, AUCは6165±90.9μg・hr/mlと著しい高値を示した。
    5. 以上から, 慢性血液透析中の小児でのFMOXの使用量, 使用方法は, 1日1回10mg/kgが適当であり, 起炎菌によつては5mg/kgでも治療可能と考えられた。
  • 藤井 良知, 藤田 晃三, 室野 晃一, 西條 政幸, 角谷 不二雄, 吉岡 一, 丸山 静男, 坂田 宏, 平元 東, 印鑰 史衛, 阿部 ...
    1993 年 46 巻 7 号 p. 518-538
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新牛児及び未熟児に対するFlomoxef (6315-S, FMOX) の体内動態並びに臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。被験対象はすべて保護者のInformed consentが得られたものである。
    1. 体内動態
    (1) 成熟児におけるOne shot静注時の血漿中濃度及び血中半減期
    10mg/kg静注後30分の日齢ごと (生後0~3, 4~7, 8~28日) の平均血漿中濃度は, それぞれ21.2, 21.8, 21.3μg/mlにあり, それ以降漸減した。血中半減期T1/2(β)は3.37, 1.85, 1.63時間であった。
    20mg/kg静注後15分の日齢ごとの平均血漿中濃度は, それぞれ54.4, 51.4, 50.7μg/mlにあり, T1/2 (β) は2.99, 2.32, 1.79時間であった。
    40mg/kg静注後15分の日齢ごとの平均血漿中濃度は, それぞれ104.0, 95.9, 99.2μg/mlにあり, T1/2 (β) は3.40, 1.20, 1.80時間であった。
    (2) 未熟児におけるOne shot静注時の血漿中濃度及び血中半減期
    10mg/kg静注後15分の日齢ごと (生後0~3, 4~7, 8~28日) の平均血漿中濃度は,それぞれ24.0, 28.6, 21.7μg/mlであり, それ以降漸減した。T1/2 (β) は4.10,253, 2.57時間であった。
    20mg/kg静注後15分の日齢ごとの平均血漿中濃度は, 54.0, 54.6, 55.5μg/mlにあり, T1/2 (β) は4.28, 2.27, 3.02時間であった。
    40mg/kg静注後15分の日齢ごとの平均血漿中濃度は, 98.2, 93.0, 106.0μg/mlにあり, T1/2 (β) は4.66, 2.86, 2.09時間であった。成熟児及び未熟児においてOne shot静注時の血漿中濃度は, 10, 20, 40mg/kgにいずれもDose responseがみられた。又, T1/2 (β) は成熟児及び未熟児とも日齢が経過するほど短縮する傾向にあり, 成熟児と未熟児のT1/2 (β) は, 未熟児が延長する傾向にあった。
    (3) 成熟児・未熟児におけるOne shot静注時の尿中回収率成熟児及び未熟児に10, 20, 40mg/kgをOne shot静注した時の6時間までの尿中回収率は, 成熟児で38.9~62.8%, 未熟児で30.7~61.5%であった。
    尿中回収率は成熟児及び未熟児とも生後日齢が経過するほど尿中回収率は高くなる傾向にあった。
    (4) 1時間点滴静注時の血漿中濃度及び尿中回収率20mg/kgを1時間かけて点滴静注した時の日齢ごと (生後0~3, 4~7, 8~28日) の平均血漿中濃度のピークは点滴静注終了時にあり, 31.0, 32.7, 23.4μg/mlであつた。T1/2 (β) は2.94, 3.68, 2.25時間であった。6時間までの尿中回収率は, 35.2~52.9%であった。
    2. 臨床成績
    (1) 疾患別臨床効果
    有効性評価可能の199例の疾患別臨床効果は菌検出例 (A群), 菌非検出例 (B群) に区別し, 前者を中心として分析した。
    A群71例中 (敗血症13例, 化膿性髄膜炎1例, 肺炎18例, その他呼吸器感染症3例, 尿路感染症13例, 皮膚軟部組織感染症20例, 胎内感染2例, その他の感染症1例) 著効40例, 有効27例, やや有効1例, 無効3例で有効率は94.4%であった。
    一方, B群128例中 (敗血症疑い24例, 化膿性髄膜炎1例, 肺炎42例, 気管支炎2例, その他呼吸器感染症2例, 尿路感染症2例, 皮膚軟部組織感染症7例, 胎内感染44例, その他の感染症4例) 著効54例, 有効69例, やや有効2例, 無効3例で有効率は96.1%であつた。
    感染の予防を目的で本剤が投与された104例は, 全例において予防の目的を達成できた。
    (2) 細菌学的効果
    細菌学的効果は73株中消失62株, 減少1株, 不変2株及び不明7株で消失率は955%であり, 菌交代は1株に認められた。
    (3) 副作用と臨床検査値異常
    副作用は316例中下痢が4例 (1.3%) だけにみられ, いずれも軽度であつた。臨床検査値異常発現例は295例中25例 (85%) にみられ, 好酸球増多13例 (4.4%), 血小板増加3例 (1.0%), S-GOT上昇11例 (3.7%), S-GPT上昇4例 (1.3%), A1-P上昇1例 (0.3%), Hb減少1例 (0.3%) で, いずれも一過性の変動で重篤な症例はなかつた。
    以上の成績から本剤の標準投与量は, 1回量20mg/kgを日齢0~3日は1日2~3回, 4~28日は3~4回One shot静注及び点滴静注で十分効果が期待できると考える。
  • 田吹 和雄, 西村 忠史
    1993 年 46 巻 7 号 p. 539-546
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児におけるFlomoxef (FMOX) の臨床的検討を日齢2日から日齢27日の新生児6例について行った。
    臨床効果判定の対象とした症例は, 胎内感染又は敗血症を疑った2例, 臍炎1例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群 (SSSS) の4例で, 著効1例, 有効3例と全例が有効以上の成績であった。なお, 各症例に対する本剤の投与量はFMOX 1日200~400mg (力価), 体重kg当り60.0~105.3mgであり, 1日3~4回の分割とし, One shot静注又は30分間点滴静注で, 3~7日間投与した。又, 感染予防投与例の2例においても予防効果を認めた。
    細菌学的効果は臍炎とSSSSの症例から分離されたStaphylococcus aureus 2株及び胎内感染又は敗血症を疑った症例から分離したStreptococcus agalactiae 2株について行い, S. aureusの2株はいずれも本剤使用中に菌消失したが, S. agalactiae 2株は共に本剤使用前後の培養検査が不十分であり効果判定は不明であった。
    副作用は臨床効果判定から除外した2例を加えた計6症例について行つたが, 本剤投与前後の検査値異常や臨床症状の異常は認めなかった。
  • 本廣 孝, 丸岡 隆之, 長井 健祐, 沖 眞一郎, 津村 直幹, 佐々木 宏和, 荒巻 雅史, 古賀 達彦, 阪田 保隆, 富永 薫, 久 ...
    1993 年 46 巻 7 号 p. 547-567
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    β-Lactam系抗生物質のOxacephem系薬剤に属するFlomoxef (FMOX) を新生児6例, 未熟児10例, 計16例に20mg/kgか40mg/kgをOne shot静注で投与し, 血漿中濃度, 尿中濃度及び尿中回収率を測定, 0生日から90生日の主に新生児, 未熟児の細菌感染症44例と感染予防を目的として52例, 計96例に本剤を1日投与量平均85.5mg/kg, 分2~4, いずれもOne shot静注で, 平均9日間投与し, 臨床効果, 感染予防効果, 細菌学的効果をみると共に副作用と臨床検査値への影響について検討したところ, 次のような結果を得た。
    1, 5, 7, 16生日の新生児各1例に20mg/kg, One shot静注で投与して血漿中濃度は5生日例は投与15分, 他2例は投与後5分が最高濃度で62.5~99.7μg/ml, 半減期は1.48~1.78時間, AUCは112~161μg・hr/mlであった。5, 16, 19生日の未熟児各1例に同量をOne shot静注で投与した場合の血漿中濃度は5生日例は投与後5分で採血できたが, 16生日と19生日例同じ時間に採血できず, 投与後15分の採血で, いずれも初回の採血時間に最も高い濃度を示し, 63.6~79.9μg/ml, 半減期は1.69~2.20時間, AUCは174~201μg・hr/mlであつた。17生日と24生日の新生児各1, 2例に40mg/kg, One shot静注しての血漿中濃度はいずれも投与後5分が最高濃度で, 99.7~122.0μg/ml, 半減期は1,28~1,92時間, AUCは170~357μg・hr/mlであった。3生日, 5生日, 16~24生日の未熟児各1, 1, 4例に同量をOne shot静注で投与した時の血漿中濃度はいずれも投与後5分が最も高い濃度を示し, 各々113.0, 108.0, 112.0~148.0μg/ml, 半減期はそれぞれ3.85, 2.86, 1.70~2.25時間, AUCは各々493, 407, 310~361μg・hr/mlであった。
    2. 血漿中濃度測定と同一の症例20mg/kg投与の新生児1例で採尿ができず, 尿中濃度と尿中回収率の測定はできなかつたが, 他の14例では測定でき, 20mg/kg投与の未熟児では1例に尿中濃度と尿中回収率だけ測定された。20mg/kgを投与した5生日と7生日の新生児各1例の尿中濃度は両者共に投与後0~2時間の2回目の尿が最高濃度で,それぞれ1,770, 2,300μg/ml, 投与後6時間までの尿中回収率は各々89.3, 82.0%であつた。5, 16, 17, 19生日の未熟児各1例に同量を投与した場合の尿中濃度は投与後0~2時間か2~4時間のいずれかの尿が最も高い濃度で, 417~2,260μg/ml, 投与後6時間までの尿中回収率は40.4~78.0%であった。40mg/kgを投与した17生日と24生日の新生児各1, 2例の尿中濃度は投与後0~2時間か2~4時間のいずれかの尿が最高濃度を示し, 1,800~4,170μg/ml, 投与後6時間までの尿中回収率は66.6~77.8%であつた。3, 5, 16~24生日の未熟児各1, 1, 4例に同量を投与した時の尿中濃度は投与後0~2, 2~4, 4~6時間のいずれかの尿が最も高い濃度で, それぞれ6,220, 2,750, 2,050~3,440μg/ml, 投与後6時間までの尿中回収率は各々38.0, 62.7, 66.1~83.7%であつた。
    3. 細菌感染症44例の臨床効果は著効10例22.7%, 有効30例68.2%, やや有効1例2.3%, 無効3例6.8%で, 有効以上の有効率は90.9%を示し, 感染予防を目的とした52例ではすべてに予防効果が得られた。
    4. 細菌学的効果はStaphylococcus aureus 9株, Haemophilus influenzae 2株, Escherichia coli 1株, 計12株で判定でき, H. influenzaeの1株が減少した以外はすべて陰性化し, 消失率は91.7%であつた。
    5. 副作用は除外症例2例を加えた98例中1例1.0%に軽度の下痢が出現し, 本剤との関係は多分関連ありとされた。臨床検査値への影響では10%以上への好酸球増多が83例中1例1.2%, GOT単独とGOTとGPTの同時異常値がそれぞれ1例に出現し, 本剤との関係はいずれも関連があるかもしれないとされた。
  • 松田 静治, 平山 博章, 王 欣輝, 玉手 健一, 千石 一雄, 石川 睦男, 清水 哲也, 芳賀 宏光, 長谷川 天洙, 高田 久士, ...
    1993 年 46 巻 7 号 p. 568-576
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射用Oxacephem系抗生物質Flomoxef (FMOX) の周産期妊婦に対する基礎的・臨床的検討を全国規模の研究会にて検討し, 以下の成績を得た。
    1. 分娩前の妊婦にFMOX 1gをOne shot静注時 (46例), 1g30分点滴静注時 (42例), そして2g One shot静注時 (34例) の合計122例で本剤の母体血清中濃度, 臍帯血清中及び羊水中濃度を測定した。FMOX 1gをOne shot静注時の母体血清中濃度のT1/2は1.11時間であり, 臍帯血清中及び羊水中はいずれも9.24時間であつた。又, 臍帯血清中及び羊水中のCmax, Tmaxはそれぞれ12.71μg/ml, 11.77μg/ml及び0.57時間, 3.35時間であつた。又, 2g One shot静注時においては臍帯血清中及び羊水中濃度のCmax, Tmaxはそれぞれ35.17μg/ml, 12.37μg/ml及び0.32時間, 3.42時間であり, T1/2はいずれも12.49時間であった。
    2. 妊娠, 産褥期における各種感染症及び帝王切開術, 前期破水等の感染予防例105例の内, 除外12例を除く93例で臨床的有用性を検討した。なお, 投与法は1日2~4gの2分割の点滴静注法が中心であった。妊娠後期における絨毛羊膜炎, 尿路感染症及びその他の計では95.5% (21例/22例) の有効率であつた。又, 産褥期の子宮内感染, 乳腺炎, 産褥熱, 骨盤内感染, 創傷感染, 尿路感染及びその他では100% (46例/46例) の有効率であった。
    細菌学的には47例の内, 消失29例, 減少4例, 不変2例, 菌交代4例及び不明8例の84.6%の消失率であつた。
    副作用としては2例 (2.2%) に発疹, 下痢がみられ, 臨床検査値異常例は5例 (5.6%) のGOT, GPT, Al-P及び好酸球増多等がみられた。
    以上の成績から, FMOXは産婦人科周産期領域において有用な薬剤であると考えられた。
  • 森 淳夫, 目黒 英典, 寺嶋 周, 藤井 良知
    1993 年 46 巻 7 号 p. 577-588
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    45例の小児で主として1回3mg/kg, 1日3回食後投与によるCefditoren pivoxil (CDTR-PI, ME 1207) の臨床的検討を行い95.3%の有効率が得られた。副作用は2例に下痢を認めただけであった。Haemophilus infiuenzae, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniaeに対する抗菌力は非常によく, Staphylococcus aureusに対しても他のセフェム系薬剤よりも優れた抗菌力を有していた。
  • 田島 剛, 小林 正明, 根岸 祥子, 西村 修一, 吉田 晶子, 工藤 聡, 権東 雅宏, 中山 豊明, 阿部 敏明
    1993 年 46 巻 7 号 p. 589-595
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児におけるCefditoren pivoxil (CDTR-PI, ME 1207) の基礎的・臨床的検討を行つた。臨床検討の対象は, 1ヵ月から10歳までの18例, 19感染症であった。投与方法は1回2.1~3.2mg/kg, 1日3回, 食後30分経口投与で4~10日間投与を行つた。
    細菌感染症19例 (扁桃炎3例, 気管支炎1例, 肺炎7例, 副鼻腔炎 (上顎洞炎) 1例, 中耳炎4例, 尿路感染症1例, 皮膚軟部組織感染症2例) に対する有効率は100%であった。起炎菌が判明した症例では11例中8例が著効, 有効が3例と著効が勝っており全例有効以上であつた。
    臨床的副作用では, 18例中2例に下痢が認められたが本剤の投与を中止するほど重篤ではなく, 本剤投与終了後特に治療せず軽快した。臨床検査値は18例中15例で検討されたが, 全例に異常が認められなかった。
    細菌学的効果を判定し得た11例からは, 5菌種12株が分離された。菌種別にみると, Streptoceccus pneumoniae 2例/3例, Haemophilus influenzae 4例/4例, Staphylococcus,aureus 2例/2例, Haemophilus parainfiuenzae 2例/2例, Escherichia coli 1例/1例がそれぞれ消失した。S. pneumoniaeでは, 3株中2株は除菌できたが, 気道からの1株は除菌できなかった。3例についてCDTR-PIを3mg/kg, 食後30分経口投与し, 抗菌活性体Cefditoren (CDTR, ME 1206) の血清中濃度を測定した。最高血清中濃度は投与後40分と2時間にあり, 各々2.38μg/mlと0.72, 2.25μg/mlであった。
    以上の成績並びにCDTRの肺炎球菌とインフルエンザ菌に対する強い抗菌力から, 本剤は小児の気道感染症の初期治療に単剤で使用し得る有望な抗生物質と考えられた。
  • 佐藤 吉壮, 岩田 敏, 秋田 博伸, 青山 辰夫, 武内 可尚, 横田 隆夫, 砂川 慶介
    1993 年 46 巻 7 号 p. 596-603
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefditoren pivoxil (CDTR-PI, MF 1207) 粒剤の臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. 小児細菌感染症39例に対して本剤を投与し, 臨床的に効果判定をし得た36例中25例 (69%) が著効, 9例 (25%) が有効で有効率は94%と優れた成績が得られた。
    2. 起炎菌と思われる検出菌31株中30株が消失しており, 消失率は97%と高率であつた。
    3. 副作用及び検査値異常では, 全39例中下痢を3例(7.7%)に認めただけで, 他の副作用及び検査値異常は認められなかつた。
    以上の結果から, CDTR-PIは小児科領域において有効性, 安全性の高い薬剤と考えられる。
  • 豊永 義清, 石原 俊秀, 佐野 友昭, 手塚 徹, 中村 弘典
    1993 年 46 巻 7 号 p. 604-628
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新経口用セファロスポリン系抗生物質であるCefditoren pivoxil (CDTR-PI, ME 1207) について基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 抗菌力
    臨床分離のStaphyloceccus aureus, Streptecoccus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Haemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzae, Branhamella catarrhalisに対するMICをCefditoren (CDTR), Cefteram (CFTM), Cefixime (CFIX), Cefaclor (CCL), Cefpodoxime (CPDX), Cefotiam (CTM) について106CFU/ml接種時において検討した。CDTRのS. aureus, S. pneumoniae, S. pyogenes, H. infiuenzae, H. parainfluenzae, B. catarrhalisに対するMIC80は1.56, 0.39,≤0.025,≤0.025, 0.05, 0.20μg/mlであり非常に優れた成績であつた。S. aureusを除く5菌種では, CFTMとほぼ同等の成績であつたが, S. aureusに関しては, 第VI群の内では最も優れ, CPDXよりも1~2管, CFTMよりも2~3管優れていた。
    2. 吸収・排泄
    今回, CDTR-PIの3mg/kg (以下投与量はすべて力価表示), 6mg/kg食後投与におけるCDTRの血清中濃度推移, 尿中回収率を検討した。3mg/kg, 6mg/kgはそれぞれ2~4時間, 1~4時間に血清中濃度ピークを示し, それぞれ。.5~2.45μg/ml (平均1.38μg/ml), 1.79~4.05μg/ml (平均2.75μg/ml) であり, その後, 緩やかに漸減し, 8時間ではそれぞれ0~0.87μg/ml (平均0.32μg/ml), 0.27~0.73μg/ml(平均0.53μg/ml) となり, 両群間に明らかなDose responseが認められた。半減期は3mg/kg投与では, 1.07~9.67時間 (平均3.28時間), 6mg/kg投与では0.99~3.00時間 (平均2.01時間) であった。尿中回収率は両投与群とも8時間まで検討し, 3mg/kg, 6mg/kgはそれぞれ12.9~34.2%, 11.8~26.9%を示した。
    3. 臨床成績
    急性気管支炎20例, 急性肺炎13例, 扁桃炎21例, 咽頭炎5例, 猩紅熱7例, 膿痂疹, 中耳炎, リンパ節炎各々2例, 百日咳1例, 尿路感染症8例の計81例に対する臨床効果は, 79例が有効以上の成績を示し, その有効率は975%であつた。細菌学的検討として, 本剤投与前に検出された起因菌あるいは原因菌の経過を追跡した。検索が可能であつたものは, 複数菌感染11例を含む63例, 76株であったが, 全株が除菌され, 除菌率及び1例ごとの細菌学的有効率は共に100%であつた。又, 2例に軽度の水様便が認められた以外, 副作用は認められず, 臨床検査値異常は軽度のGPT上昇を1例認めただけであつた。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1993 年 46 巻 7 号 p. 629-636
    発行日: 1993/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セフェム系抗生物質Cefditoren pivoxil (CDTR-PI, ME 1207) の粒剤について, 小児科領域における臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    臨床的検討は扁桃炎4例, 肺炎2例, 猩紅熱3例, 膿痂疹3例, 皮下膿瘍1例, 尿路感染症1例の計14例について行い, 臨床効果は著効12例, 有効1例, 無効1例であつた。又, 細菌学的効果はStaphylococcus aureus 4例, Streptococcus pyogenes 4例, Streptococcus pneumoniae 1例, Haemophilus infiuenzae 1例, S. pneumoniaeH. influenzaeの混合感染1例, Klebsiella pneumoniae1例の計12例について検討した。S. pneumoniaeH. influenzaeの混合感染例のS. pneumoniaeは不変であつたが, H. influenzaeは消失した。又, 他の症例では本剤投与中に全例菌消失がみられた。
    副作用及び臨床検査値の異常変動はいずれの症例においても認められなかつた。
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