The Japanese Journal of Antibiotics
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47 巻, 2 号
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  • 平谷 民雄, 山口 英世
    1994 年 47 巻 2 号 p. 125-128
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Candida albicans野生株, およびそれより誘導したトリァゾール系薬剤Vibunazole (VBZ), イミダゾール系薬剤Ketcconazole (KCZ) またはモルホリン系薬剤Amoromne (AMF) に耐性を示す変異株計9株を用い, エルゴステロール合成阻害剤として知られるこれらの各系薬剤間で交叉耐性が成立するか否かを検討した。
    その結果, VBZ, イミダゾール系薬剤KCZまたはClotrimazole, およびAMFの各薬剤間には, 菌株によって程度の差はあるものの, 全般的には交叉耐性がみとめられた。一方, アリルァミン系薬剤Terbinafine (TBF) に対する感受性は, いずれの耐性変異株も野生株のそれとほとんどまたはまつたく変わらず, 前記3系統のいずれの薬剤もTBFとは交叉耐性を示さないと考えられた
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1994 年 47 巻 2 号 p. 129-142
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1991年11月~1993年4月に, 全国の歯科・口腔外料19施設において採取し, 当所に送付されてきた歯性感染症患者採取材料より検出した臨床分離株を対象に, Cefteram (CFTM) の抗菌活性を知ることを目的に, 対照薬剤を加えて最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して以下の結果を得た。
    1. 198症例, 198検体から合わせて430株が検出されたが, 菌種同定し得た株数は425株であり, 内訳はOral streptococci 204株 (48.0%), Peptostreptococcua spp.81株 (19.1%), Bacteroides spp.10株 (24%), Prevotella spp.23株 (54%), Porphyromonas spp.9株 (2.1%) などであり, グラム陽性菌と陰性菌の割合は前者が78.4%, 後者が21.6%で, グラム陽性菌の占める割合が高かった。
    2. Oral streptococci, Peptostreptococcus spp.に対するcFTMのMIC90は前者には0.10μg/ml, 後者には0.05μg/mlであり, これらの菌種におけるCFTM耐性の経年的増加は認められなかったが, 該当する菌種の一部にはCFrM低感受性もしくは耐性株が登場していた。
    3. Bacteroides spp., Prevotella spp., Porphyromonas spp., すなわち従来においてはGenus Bacteroidesに組み込まれていたこれらの菌種の一部にはCFTM耐性株が存在していたが, 総じてみるとこれらの菌種におけるCFrM耐性の経年的増加は認められなかつた。
    4. taphylococcus aureus subsp. aureus6株中2株はMethicillin-resis吐ant S. aureus (MRSA) だつた。
    5. 上記によりCFTMは, 1990年代を迎えた今日においても, 歯性感染症に関与し得る主な臨床分離株に対する強い抗菌活性を保持していることが示唆された。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 中根 豊, 福本 寅雄
    1994 年 47 巻 2 号 p. 143-160
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1992年9月以降に検出した多剤耐性臨床分離株を対象とし, Cefpirome (CPR) の抗菌活性を知ることを目的に対照薬剤を加えて最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. Methicmin-resistant Staphylococcus spp., Enterococcus faecalis, 更にBenzylpenicillin-insensitive or resistant Streptococcus pneumoniaeに示されたCPRの抗菌活性からは, グラム陽性菌に対するCPRの抗菌スペクトルの拡大と抗菌力の増強が認められた。そして, CPRは既存のいわゆる第四世代セフェム系薬剤の中においては,「グラム陽性菌に強い特徴」が示唆された。
    2. いわゆる第三世代セフェム耐性のFamily Entcrobactenaceaeに対するCPRの強い抗菌活性が認められたが, これらはCPRのβ-ラクタマーゼに対する安定性と結合親和性の低下によるものと考えられた。
    3. Pseudomonas aeruginosaを含むブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に対するCPRの抗菌スペクトルの拡大が認められたが, これらはCPRのPenicillin-binding proteinsに対する幅広い結合親和性と透過性の向上によることが示唆された。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 中根 豊, 福本 寅雄
    1994 年 47 巻 2 号 p. 161-169
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    市中下気道感染症患者採取喀痰を対象としたβ-Lactamaseに関する検討により, 以下の結果を得た.
    1. 単独菌検出例の推定起炎菌はStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzaeの割合が高く, 既報の結果とほぼ同等だつた.
    2. β-Lactamaseを産生する常在菌が多種多様に検出されたが, そこにおいては推定起炎菌がβ-Lactamase非産生株であっても, 常在菌のβ-Lactamase産生株が検出される症例が多かった。
    3. 喀痰の615%からはβ-Lactamaseが検出された。一方, 喀痰に添加した抗生物質の回収率は, 推定起炎菌と常在菌のβ-Lactamase産生株の検出結果, 及び喀痰中のβ-Lactamase検出の有無と高い相関を示した。更に, そこに添加した抗生物質はSulbactam/Cefoperazoneが他の薬剤に比較して高い回収率だつた。
    4. 市中の下気道感染症においても, β-Lactamaseを産生する常在菌がIndirect pathogenicityを構成する重要な構成因子になり得ることが示唆された。
  • 須甲 松伸, 井上 哲文, 森田 寛, 伊藤 幸治, 戸叶 嘉明, 山中 健次郎, 廣瀬 俊一, 高橋 昭三, 美田 俊一, 真野 健次, ...
    1994 年 47 巻 2 号 p. 170-180
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器に肺癌その他の基礎疾患を有したり, 全身性の免疫不全を有する患者の肺実質感染及び慢性気道感染の急性増悪の63例を対象とし, スルバクタム/セフォペラゾン (SBT/CPZ) 単独投与群とアミカシン (AMK), トブラマイシン (TOB) などのアミノグリコシド系抗生剤との併用療法群における有効性, 安全性を封筒法による二群割り付け法により比較検討した。
    臨床効果は単独群で30例中著効5例 (16.7%), 有効17例 (56.7%) で有効以上の有効率は73.3%であり, 併用群では33例中著効18例 (54.5%), 有効。例(15.1%) で有効以上の有効率は69.7%であり, 統計学的に差はなかった。しかし著効率において併用群が優れている傾向があった。
    細菌学的効果が検討されたのは単独群11株, 併用群17株であり, 菌消失率は単独群で54.5%(6/11), 併用群で81.3% (13/16) であった。
    安全性については単独群で下痢が1例及び臨床検査値異常が5例, 併用群で臨床検査値異常が2例に認められた。いずれも投与終了, 中止により消失した。
    以上より, 基礎疾患を有する呼吸器感染症及び慢性気道感染症の急性増悪に対して, SBT/CPZ単独療法並びにSBT/CPZとアミノグリコシド系抗生剤の併用療法はいずれも優れた有効性, 安全性を示し, 特に著効率と菌消失率で有意差は認められないものの, 併用療法は, 単独療法に比較して高く, 有効な治療法であると考えられた。
  • 岩井 直一, 中村 はるひ, 宮津 光伸, 渡辺 祐美
    1994 年 47 巻 2 号 p. 181-194
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいエステル型経口Cephem剤であるCefditoren pivoxil (CDTR-PI) の小児用粒剤について, 基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1. 小児10例 (5~10歳) おいて, 本剤3mg/kg (5例)あるいは6mg/kg (5例) 食後30分服用後の血清中濃度と尿中排泄について検討した。
    3mg/kg投与例の平均血清中濃度は, 2時間値の1.23±0.34μg/mlがピークで, その後1.60±0.38時間の半減期をもつて推移し, 8時間値は0.04±0.04μg/mlであつた。また, 6mg/kg投与例では, 1時間値の2.62±0.42μg/mlがピークで, 半減期は1.58±0.31時間, 8時間値は021±0.11μg/mlであつた。さらに, 服用後8時間までの尿中回収率は, 前者では149±0.9%, 後者では17.0±0.7%であった。尚, 3mg/kg投与例と6mg/kg投与例の血清中濃度推移には明らかなDose responseが認められた。
    2. 小児期感染症31例 (1~10歳) に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用及び服用性について検討した。尚, 1回の投与量は2.9~6.8mg/kg, 1日の投与回数は3回, 投与日数は3~10日であつた。
    臨床効果の判定対象となつた猩紅熱2例, 急性咽頭炎1例, 急性化膿性扁桃腺炎12例, 急性気管支炎4例, 急性肺炎5例, 計24例に対する臨床効果は, 著効16例, 有効8例で, 著効と有効を含めた有効率は100%であった。また, 原因菌と推定されたStaphylococcus aureus 4株, Sreptococcus pyogenes6株, β-Streptococcus 2株, Haemophilus influenzae 4株に対する細菌学的効果は, H.influenzae 1株が減少, 1株が存続であつた以外は消失と判定され, 全株でみた除菌率は87.%であつた。尚, 菌交代については, S.pyogenes からStreptococcus pneumoniaeへの交代が1例, H. influenzaeからS.aureusへの交代が1例,計2例においてみられた。
    安全性の面では,副作用のみられた症例は1例もなかつた。また, 臨床検査値異常については, 軽度のGPT上昇が1例に認められただけで, しかも追跡により正常化が確認された。さらに, 服用性については, のみにくい, あるいはのあないと訴えた者は一人もおらず, 全例普通の服用性をもつと一の回答をよせた。
    以上の成績より, 本剤は小児期感染症において高い有効性が期待でき, しかも安全に投与できる薬剤であると考えられた。
  • 荒川 創一, 松井 隆, 田中 一志, 石神 襄次, 守殿 貞夫, 伊藤 登, 田中 浩之, 蓮沼 行人, 大前 博志, 篠崎 雅史, 原 ...
    1994 年 47 巻 2 号 p. 195-209
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カテーテル非留置の複雑性膀胱炎に対するS6472 (Cefaclor持続性製剤) カプセル剤の有効性, 安全性及び有用性を検討する目的でS6472顆粒剤を対照薬として二重盲検比較試験を行つた。投与量を両製剤ともに1回375mgとし, 1日2回7日間食後経口投与した。臨床効果はUTI薬効評価基準 (第3版) に従い判定し, 以下の成績を得た。
    1. カプセル剤投与群と顆粒剤投与群の背景因子の分布に有意な偏りは認められなかつた。
    2. 総合臨床効果はカプセル剤投与群で78.7%, 顆粒剤投与群で80.5%の有効率であり, 両群間に有意差は認められなかつた。UTI群別にみた効果についても, 4群, 6群のいずれにおいても両群間に有意差は認められなかつた。
    3. 細菌学的効果は,カプセル剤投与群で85.9%, 顆粒剤投与群で86.0%と同程度の菌消失率を示した。
    4. 主治医による臨床効果は, カプセル剤投与群78.7%, 顆粒剤投与群74.7%であり, 両群間に有意差は認められなかつた。
    5. 副作用の発現率は, カプセル剤投与群で3.0% (3例/101例), 顆粒剤投与群で7.1% (7例/98例) であり, 両群間に有意差は認められなかつた。臨床検査値異常変動は, カプセル剤投与群で75例中4例で5件認められ, 顆粒剤投与群で76例中1例も認められなかったが, 両群間に有意差は認められなかった。
    6. 有効性及び安全性を勘案して, 主治医により判定された有用性において両群間に有意差は認められなかった。
    以上のごとく, カテーテル非留置の複雑性膀胱炎に対してS6472カプセル剤は有効性, 安全性, 有用性において, S6472顆粒剤と同程度の優れた成績を示したことから, S6472カプセル剤とS6472顆粒剤は同程度の有用度の高い製剤であると考えられた。
  • 船越 尚哉, 藤原 明, 長岡 秀郎, 村山 史雄
    1994 年 47 巻 2 号 p. 210-214
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminoxを手術前に2g患者に点滴静注し, 肺切除手術中の血清中及び肺組織内濃度を測定し以下の結果を得た。
    1. 定常状態においてヒト肺組織内には血清中の約46%の濃度で分布する。
    2. 投与終了後3時間目まで良好な血清及び肺組織内濃度が得られ, 手術中手術後の感染予防に有用である。
  • 黒川 正人, 鈴木 茂彦, 松田 和也, 中村 聡人, 松下 洋次, 北原 貴代志, 青木 久尚, 太田 正佳, 鷹羽 浄顕, 内藤 素子, ...
    1994 年 47 巻 2 号 p. 215-218
    発行日: 1994/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (ASPC) の形成外科領域での有用性を検討する目的でASPCの皮膚移行について検討し, 以下の結論を得た。
    1. ASPCを成人13例は2g, 小児2例は1gを1時間点滴静注で投与し, 点滴終了後1時間の平均血清中濃度は70.46±28.05μg/mlであつた。15例の投与後1時間の平均皮膚組織内濃度は32.45±18.47μg/gであつた。15例の投与後1時間の皮膚移行率は52.0±29.7%であった。
    2. 部位別に顔面の5例と体幹・四肢の10例を比較すると, 両者の問には皮膚組織濃度および皮膚移行率で有意差はなかった。
    3. 術後感染予防の目的で, 術後2~3日間, 成人例では2g, 小児例では1gを1日2回点滴静注したが, 術後感染症を認めた症例はなく, 有効であつた。また副作用および臨床検査値の異常を認めた症例もなかった。
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