新しく開発されたアザライド系抗生物質Azithromycin (AZM) の10%細粒剤を小児感染症に対して10mg/kg (以下投与量は全て力価で表示) の標準用量で1日1回3~5日間投与 (全体の89.5%が3日間投与であった) し, 有効性及び安全性を検討した。
また, 18例の血中濃度, 17例の尿中濃度を測定し, 体内動態の検討を行った。
1. 吸収・排泄試験成績
AZM10mg/kg投与16例及び20mg/kg投与2例のC
mas [平均 (±標準偏差)] はそれぞれ0.29±0.24μg/ml, 0.75μg/ml, T1/2は42.0±11.8時間, 51.3時間, AUC0~coは10.72±5.00μg・hr/ml, 28.83μg・hr/mlであった。尿中濃度は10mg/kg投与14例では投与開始後48~72時間, 20mg/kg投与3例では24~48時間で最高濃度を示し, 投与後120時間までの累積尿中回収率は10mg/kg投与で9.1±2.6%, 20mg/kgで10.8±3.4%であった。
2.臨床効果
総症例数は619例で, 除外・脱落を除いた564例を臨床効果の解析対象とした。有効率 (「著効」+「有効」の割合) は原因菌判明例 (A群) 246例で94.3%であった。参考として原因菌不明例 (B群) 321例では90.7%であり, A群とB群に有意差をみなかったので両群を合わせると, 有効率は92.2%であった。
3日間以上続けた先行化学療法が無効であった116例に対する有効率は94.0%であり, 先行化学療法で消失しなかった菌の消失率は86.8%であった。
3.副作用・臨床検査値異常
安全性解析対象596例のうち, 下痢, 軟便, 発疹, 嘔吐の症状が15例 (2.5%) に認められたが, 投与中止例4例を含め軽度又は中等度の一過性の症状であり, 全て回復した。
臨床検査値の異常変動は, 白血球数の減少23件 (5.6%), 好酸球数の増多28件 (7.1%), 血小板数の増多2件 (0.5%), 血小板数の減少1件 (0.3%), GOTの上昇3件 (0.8%), GPTの上昇6件 (1.6%) が認められたが, 一過性のものであり特に留意すべき異常所見はなく, 異常値と関連すると思われる臨床症状を呈した症例はなかった。
4. 服用性
解析対象614例のうち「不明」14例を除き, 「非常に飲みやすい」47例 (7.8%), 「飲みやすい」312例 (52.0%) で「飲みやすい」以上が59.8%, 「普通」217例 (36.2%), 「飲みにくい」18例 (3.0%), 「飲めない」6例 (1.0%) であった。
以上の成績から, 本剤は1口標準用量として1回10mg/kg, 1日1回, 3日間投与により, 小児市中適応感染症に対して有用な薬剤であると考えられる。
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