The Japanese Journal of Antibiotics
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49 巻, 10 号
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  • 秋田 博伸, 佐藤 吉壮, 楠本 裕, 岩田 敏, 竹内 可尚, 青山 辰夫, 横田 隆夫, 砂川 慶介
    1996 年 49 巻 10 号 p. 899-916
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規マクロライド系抗生物質 Azithromycin (AZM) の細粒剤, カプセル剤の小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    検討症例から分離された細菌43株について抗菌力を検討した。AZMは Erythromycin, Clarithromycin と比較し, グラム陽性菌では若干劣っていたが, グラム陰性菌では2-8倍優れていた。
    血漿中濃度推移の検討では, 細粒剤を2例, カプセル剤を1例に1回10mg/kg(力価), 1日1回, 3日間投与した。血漿中半減期(24-72時間)は, 細粒剤50.0時間, 51.2時間, カプセル剤41.5時間であり, AUC0-∞ は, 細粒剤11.7μg・hr/ml, 24.3μg・hr/ml, カプセル剤8.3μg・hr/mlであった。また, 同様の用法で尿中濃度を測定した結果, 初回投与時から120時間後までの累積尿中排泄率は細粒剤では8.24%, 13.84%, カプセル剤では3.83%であった。
    臨床的検討では咽頭炎, 扁桃炎, 猩紅熱, 気管支炎, 肺炎, マイコプラズマ肺炎, クラミジア肺炎, 中耳炎, 百日咳, 腸管感染症, 皮膚軟部組織感染症など123例に1回10mg/kgを標準用量として, 1回3.7-20.0mg/kg, 1日1回3-5日間投与した。臨床効果の評価対象109例に対する有効率は94.5%, 著効率は65.1%であった。また, 菌の消失率は93.5%(43/46)であった。
    副作用は尊麻疹が1例, 下痢が2例に認められた。臨床検査値の異常変動は, 11例に白血球減少, 好酸球増多, 血小板増多, GOT値上昇, GPT値上昇が認められたが, いずれも臨床的に問題となるものではなかった。
    以上より, AZMは1日1回3-5日間投与で, 小児科領域における感染症に対し, 有効かっ安全な薬剤であると考られる。
  • 西村 忠史, 杉田 久美子, 青木 繁幸, 高木 道生
    1996 年 49 巻 10 号 p. 917-925
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Azithromycin (AZM) の小児科領域感染症に対する臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    咽頭炎5例, 扁桃炎1例, 気管支炎4例, 肺炎4例, マイコプラズマ肺炎14例, 猩紅熱9例, 伝染性膿痂疹4例, 膿皮症1例およびキャンピロバクター腸炎1例の計43例について検討を行った。AZMは体重1kgあたり1.6~20.0mgを1日1回, 3~5日間投与した。評価可能であった39例における臨床効果は著効15例(38.5%), 有効19例(48.7%), やや有効1例, 無効4例で有効率は87.2%であった。
    細菌学的効果はStaphylococcus aureus, streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Campylobacter jejuniおよびMycoplasma pneumoniae など計20株について検討し, 16株は消失, 4株は不変であった。
    副作用は軟便と好酸球増多を来たした1例, 白血球減少2例および好酸球増多6例であったが, いずれも問題となるものではなかった。
  • 春田 恒和, 小林 裕
    1996 年 49 巻 10 号 p. 926-931
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたアザライド系抗生物質Azithromycin(AZM)を12例の小児感染症例に投与した。投与方法は1日1回,原則として10mg/kgを3日間投与とした。得られた臨床成績を検討し,以下の結論を得た。
    1. 対象疾患は咽頭炎2例,扁桃炎4例,気管支炎1例,マイコプラズマ肺炎1例,猩紅熱2例および腸炎2例であった。臨床効果は著効8例,有効4例であった。
    2. 検出されたStreptococcus pyogenes5株,Haemophilus influenzae4株,Haemophilus parainfluenzae2株に対する細菌学的効果は消失8株,不変1株,不明2株で,消失率は88.9%であった。
    3. 副作用は認められなかった。臨床検査値の異常変動として,好酸球の増多が1例において認められた。
    4. 服用性については服薬拒否はなく,いずれも「飲みやすい」または「普通」であった。以上の成績から,AZMは小児感染症において有用な経口抗生物質と考えられた。
  • 黒田 泰弘, 伊藤 道徳
    1996 年 49 巻 10 号 p. 932-938
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Azithromycin(AZM) を小児細菌感染症12例 (咽頭炎4例, 扁桃炎1例, 咽頭気管支炎2例, マイコプラズマ肺炎5例) に使用した結果, 臨床的に有効と判定されたものは11例 (91.7%) であった。副作用症状, 臨床検査所見ともに特に問題となるものは, 認められなかった。また, 服用性は12例中11例が「飲みやすい」であった。以上より, AZMは小児細菌感染症の治療に有用な薬剤であると考えられた。
  • 岡本 喬, 関口 隆憲
    1996 年 49 巻 10 号 p. 939-946
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Azithromycin (AZM) 細粒剤またはカプセル剤を咽頭炎3例, 扁桃炎1例, 気管支炎6例, 肺炎6例, マイコプラズマ肺炎14例, 百日咳, 腸炎各1例の計32例に使用した。
    評価対象とした30例に対する臨床効果は著効18例, 有効11例, やや有効1例で有効率は96.7%であった。
    細菌学的効果は, 分離されたStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzae の計3株の全てが除菌された。
    副作用については軽度の泥状便1例, 蕁麻疹1例がみられた。臨床検査値の異常変動については, 白血球数の減少が1例, 好酸球の増多が3例, GOTおよびGPTの上昇が1例にみられたが, いずれも軽度の変動であった。
    以上の成績から本剤は, 各種の小児細菌感染症に対し有用な薬剤と考えられた。
  • 鈴木 由美子, 石原 理加, 石井 由紀子, 中澤 ありさ, 出口 浩一, 松本 好弘, 西成 千里, 中根 豊, 福本 寅雄
    1996 年 49 巻 10 号 p. 947-965
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1992年7月-12月, 及び1995年7月-12月に,当所が全国の医療機関から収集または検出した臨床分離株を対象とし, Cefodizime(CDZM)の経年的抗菌活性を検討することを目的に, CDZMと対照薬剤の最小発育阻止濃度(MIC)を測定して,以下の結果を得た。
    1. CDZM耐性株が皆無もしくはそれにほぼ等しい菌種はStreptococcus pyogenes, Haemophilus influenzae, Citrobacter koseri, Proteus mirabilis, Neisseria gonorrhoeae であるが, Klebsiella pneumoniae にはCDZMのMIC-rangeが広がる傾向があり, 他の菌種すなわちStreptococcus pneumoniae, Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis, Escherichia coli, Citrobacter freundii, Enterobacter spp., Serratia marcescens, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia spp., Peptostreptococcus spp., Bacteroides fragilis groupにはCDZMを含むセフェム耐性株が存在した。
    2. 日常診療における感染症に関与し得る確率の高いStreptococcus spp., H. influenzae, M.(B.)catarrhalis, E. coli, Klebsiella spp., P. mirabilis, N. gonorrhoeae, Peptostreptococcus spp.の1995年検出株に対するCDZMのMIC90は0.05-3.13μg/mlであり,いわゆる市中感染症 (Community-acquired infections) に対するCDZMの有用性は失われていないものと考えられた。
    3. H. influenzae の供試株には Imipenem (IPM) 耐性株, 及びNorfloxacin(NFLX)耐性株も含まれていたが,これらIPM及びNFLX耐性株を含む1995年検出株に対するCDZMのMICrange は≤0.025-0.1μg/ml, MIC90は0.05μg/mlであるから,CarbapenemsやNew quinolones 耐性 H. influenzae にもCDZMが強い抗菌活性を発揮し得ることが示唆された。
  • 中島 光好, 小菅 和仁, 石井 行雄, 大坪 正幸
    1996 年 49 巻 10 号 p. 966-979
    発行日: 1996/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフェタメトピボキシル (CEMT-PI) はピバロイルオキシメチル基をもつ薬剤であり, CEMT-PI単独投与時とカルニチン併用投与時における血漿中カルニチンのホメオスタシスと尿中排泄に対する影響を検討するため, 臨床薬理試験を行った。
    健常な被験者をCEMT-PI単独投与のA群(5名),CEMT-PIに加えて塩化レボカルニチンを併用するB群 (3名) に分け, それぞれ1日2回8日間継続して投与した。
    全試験期間を通じ, 本剤投与による自・他覚症状及び臨床検査値の異常変動は, A群B群ともに認められなかった。
    総カルニチン濃度は投与期間中緩徐に減少し,投与前値の平均に対してA群では45%(25.5μM), B群では66%(38.8μM)であった。遊離カルニチン濃度も徐々に減少し, 投与5日目にはA群で17.7μM(投与前値の37%), B群で29.2μM(投与前値の58%)となった。血漿中ピバロイルカルニチン濃度は速やかに増加し,投与4口目にはA群で6.12μM, B群で4.05μMになった。投与終了後, 血漿中の総カルニチン及び遊離カルニチン濃度は, A群では投与終了後5日目に, B群では投与終了後3日目に投与前値まで回復した。血漿中ピバロイルカルニチン濃度は両群とも投与終了後7日目まで検出された。カルニチン投与量はピバリン酸とほぼ等モルであったにもかかわらず, 血漿中の総カルニチン及び遊離カルニチン濃度は減少を示した。このことから, 経口投与時のカルニチンのバイオアベイラビリティーは16%と低いので, CEMTPIのバイオアベイラビリティーの55%と比較すると, かなり低い値であると考えられた。
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