新規マクロライド系抗生物質 Azithromycin (AZM) の細粒剤, カプセル剤の小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
検討症例から分離された細菌43株について抗菌力を検討した。AZMは Erythromycin, Clarithromycin と比較し, グラム陽性菌では若干劣っていたが, グラム陰性菌では2-8倍優れていた。
血漿中濃度推移の検討では, 細粒剤を2例, カプセル剤を1例に1回10mg/kg(力価), 1日1回, 3日間投与した。血漿中半減期(24-72時間)は, 細粒剤50.0時間, 51.2時間, カプセル剤41.5時間であり, AUC0-∞ は, 細粒剤11.7μg・hr/ml, 24.3μg・hr/ml, カプセル剤8.3μg・hr/mlであった。また, 同様の用法で尿中濃度を測定した結果, 初回投与時から120時間後までの累積尿中排泄率は細粒剤では8.24%, 13.84%, カプセル剤では3.83%であった。
臨床的検討では咽頭炎, 扁桃炎, 猩紅熱, 気管支炎, 肺炎, マイコプラズマ肺炎, クラミジア肺炎, 中耳炎, 百日咳, 腸管感染症, 皮膚軟部組織感染症など123例に1回10mg/kgを標準用量として, 1回3.7-20.0mg/kg, 1日1回3-5日間投与した。臨床効果の評価対象109例に対する有効率は94.5%, 著効率は65.1%であった。また, 菌の消失率は93.5%(43/46)であった。
副作用は尊麻疹が1例, 下痢が2例に認められた。臨床検査値の異常変動は, 11例に白血球減少, 好酸球増多, 血小板増多, GOT値上昇, GPT値上昇が認められたが, いずれも臨床的に問題となるものではなかった。
以上より, AZMは1日1回3-5日間投与で, 小児科領域における感染症に対し, 有効かっ安全な薬剤であると考られる。
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