The Japanese Journal of Antibiotics
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49 巻, 5 号
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  • Mupirocinを中心として
    井上 松久, 稲松 孝思, 賀来 満夫, 清水 喜八郎
    1996 年 49 巻 5 号 p. 403-418
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    清水 きょうは, MRSAの保菌者対策ということで, お話し合いをしていただきます。
    MRSAの院内感染という問題が, 一時期やかましく社会問題にまでなった時期がありましたが, 医療従事者の努力, あるいは厚生省などの努力でやや下火になってきた感があります。その辺のことから話を始めていきたいと思います。
  • 池本 秀雄, 渡辺 一功, 森 健, 猪狩 淳, 小栗 豊子, 小林 邦彦, 佐藤 清, 松宮 英視, 斎藤 玲, 寺井 継男, 丹野 恭夫 ...
    1996 年 49 巻 5 号 p. 419-455
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は1981年以来,全国各地の病院・研究施設と共同で呼吸器感染症分離菌を収集し, 分離菌の各種抗菌薬に対する感受性, 患者背景と分離菌などを経年的に調査してきた1~8)。今回は, 1994年度の調査結果を報告する。
    1994年10月~1995年9月の間に全国23施設において, 呼吸器感染症患者421例から採取された検体を対象とした。それらの検体 (主として喀痰) から分離され, 起炎菌と推定された細菌は492株であった。このうち, MICの測定できた菌株数は482株であった。その内訳はStaphylococcus aureus70株, streptococcus pneumoniae101株, Haemophilus influenzae92株, Pseudomonas aeruginosa (non-mucoid株) 61株, Pseudomonas aeruginosa (mucoid株) 25株, Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis48株, Klebsiella pneumoniae14株, Escherichia coli10株などであった。
    主要菌株の抗菌薬に対する感受性は, ほとんどの菌種で前年とほぼ同様の成績を示したが, K. pneumoniaeについては一部のセフェム系薬剤に対して, かなりの低感受性株の増加が認められた。S. aureusではOxacillinのMICが4μg/ml以上の株 (methicillin-resistant S. aureus) が36株, 51.4%を占めたが, これは1992年度の61.4%以降減少傾向にある。又, 患者背景と感染症と起炎菌の推移等についても検討した。
    患者背景については, 年齢別の分布では高年齢層の感染症が多く, 60歳以上が62.0%を占め, 高齢者の割合は前年とほぼ同程度であった。疾患別の頻度では, 慢性気管支炎, 細菌性肺炎がそれぞれ35.6%, 27.1%と多く, 以下気管支拡張症, 気管支喘息の順であった。疾患別の起炎菌の頻度についてみると, 慢性気管支炎ではS. pneumoniae24.6%, H. influenzae 22.9%, S. aureus 14.3%, 細菌性肺炎ではS. pneumoniae 23.5%, S. aums 18.2%, H. influenzae 12.9%, 気管支拡張症ではP. aeruginosa 31.6%, H. influenzae 22.8%, S. pneumoniae 14.0%が上位を占めた。抗菌薬の投与の有無, 投与日数ごとの分離菌についてみると, 投与前に分離頻度が多い菌はS. pneumoniae 26.9%, H. influenzae 21.6%, M.(B.) catarrhalis 14.2%であった。これらの菌は投与後では減少するが, 投与前に9.9%分離されたP. aeruginosaは逆に投与後の分離頻度が高く15日以上では46.4%を占めた。感染抵抗力減弱を誘起する因子・手術の有無によるMRSAの分離頻度は「有り」で59.6%,「無し」で34.8%となり, 因子・手術の有りの例でMRSAの分離頻度が高い傾向を示した。抗菌薬の投与前後におけるMRSAの分離頻度は「投与前」で40.9%, 「投与後」で69.2%となり, 抗菌薬投与後で高値を示した。
  • 品川 長夫, 由良 二郎, 真辺 忠夫, 真下 啓二, 石川 周, 水野 章, 平田 公一, 傳野 隆一, 向谷 充宏, 石引 久彌, 牛島 ...
    1996 年 49 巻 5 号 p. 456-464
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1983年7月より1995年6月の間の多施設共同研究である。外科感染症におけるEscherichia coli分離頻度とその薬剤感受性変遷について検討した。一次感染症においてE. coliの分離頻度は調査期間中を通じて第一位の分離頻度であったが, 術後感染症よりの分離頻度は低かった。抗菌薬が投与された後に分離される細菌は,Enterococcus spp., Staphylococcus spp., Pseudomonasspp.などが多く,嫌気性菌やE. coli, Klebsiella spp.などは治療に良く反応すると考えられ, その分離頻度は低かった。E. coliに対してCefozopran(CZOP), Carumonam(CRMN), Aztreonam (AZT) の抗菌力が優れており, 次いでCefmenoxime (CMX), Imipenem (IPM), Latamoxef (LMOX), Gentamicin (GM), Ofloxacin (OFLX)などであった。E. coliに対するMIC90を年次的にみるとCefazolin (CEZ) において耐性化が認められた
  • その1. 感受性について
    熊本 悦明, 広瀬 崇興, 横尾 彰文, 引地 功侃, 茂田 士郎, 白岩 康夫, 亀岡 浩, 吉田 浩, 田崎 寛, 入 久巳, 内田 博 ...
    1996 年 49 巻 5 号 p. 465-493
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1994年6月から翌年5月までの間に全国10施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。尿路感染症患者から分離された菌の内訳は, グラム陽性菌が26.8%であり, その約40%はEnterococcus spp.が占めていた。グラム陰性菌は73.2%であり, 最も多く分離されたのがEscherichia coliであった。これらの菌に対する抗菌薬の効果をみるとEnterococcus faecalisに対してはAmpicillin (ABPC), Imipenem (IPM) の抗菌力が最も強かった。Staphylococcus aureusに対して最も強い抗菌力を示したのはVancomycin (VCM) で,ついでArbekacin (ABK) が良好であったが, 他の薬剤は弱かった。Staphylococcus epidermidisに対してはMinocycline (MINO) の抗菌力が最も強く, ついでABKが良好であった。1993年度とMIC90で比較するとMINOのMIC90が32μg/mlから0.25μg/ml, セフェム系薬剤が64~256μg/ml以上から2~16μg/mlと良くなった。Citrobacter freundiiに対しては,Gentamicin (GM) の抗菌力が最も強く, ついでIPMが強かった。Enterobacter cloacaeに対してはIPMの抗菌力が最も強く, ついでGM, Amikacin (AMK), Ciprofloxacin (CPFX) 及びTosufioxacin (TFLX) の抗菌力が強かった。E. coliに対しては, ほとんどの薬剤が良好な抗菌力を示したが, ペニシリン系薬剤は弱かった。Klebsiella pneumoniaeに対してはCarumonam (CRMN) の抗菌力が最も良好であった。Proteus mirabilis に対しては全般的に抗菌力は良好であったがMINOのMIC90は128μg/mlと悪かった。1993年度とMIC90で比較するとCefmetazole (CMZ) のMIC90の値が16μg/mlから2μg/mlと良くなった。Pseudomonas aeruginosaに対しては全般的に抗菌力は弱く, 最も抗菌力が強かったIPMでもMIC90の値は8μg/mlであった。Serratia marcescensに対しても全般的に抗菌力は弱かったが,IPMのMIC90が1μg/ml, CRMN及びGMのMIC90が2μg/mlと比較的良好な抗菌力を示した。また1993年度と比較しても全般的に感受性は良くなっていた。
  • その2. 患者背景
    熊本 悦明, 広瀬 崇興, 横尾 彰文, 引地 功侃, 茂田 士郎, 白岩 康夫, 亀岡 浩, 吉田 浩, 田崎 寛, 入 久巳, 内田 博 ...
    1996 年 49 巻 5 号 p. 494-508
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1994年6月から翌年5月までの間に全国10施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの患者背景について性別・年齢別と感染症, 年齢別感染症別菌分離頻度, 感染症と菌種, 抗菌薬投与時期別の菌と感染症, 因子・手術の有無別の菌と感染症などにつき検討した。
    年齢と性及び感染症の関連についてみると, 男性では60歳以上の症例が多く70%以上を占め, そのほとんどが複雑性尿路感染症であった。女性では40歳未満では圧倒的に単純性尿路感染症の症例が多いが, 40歳以降では複雑性尿路感染症が若干増加傾向を示した。年齢や感染症別においても分離菌に違いはみられ, 単純性尿路感染症ではEscherichia coliの分離頻度が高く, 53.6%を占めた。カテーテル非留置複雑性尿路感染症での分離頻度が高かった菌はE. coli 22.0%, Pseudomonas aeruginosa 13.0%, Enterococcus faecalis 12.4%などであった。カテーテル留置複雑性尿路感染症ではP. aeruginosaの分離頻度が最も高く20.7%を占め, ついでE. faecalis 13.8%, Staphylococcus aureus 13.3%であった。薬剤投与前後における感染症群別の菌分離頻度をみると, 単純性尿路感染症では, 投与前はE. coliが最も多く分離され59.3%を占めたが, 投与後E. coliは15.6%に減少し, 代わってKlebsiella spp.が最も多く分離され18.8%を占めた。カテーテル非留置複雑性尿路感染症でも, 投与前はE. coliが最も多く分離され29.1%を占めたが, 投与後はE. faecalis, P. aeruginosaが多く分離されそれぞれ20.0%, 18.0%を占め, E. coliはわずか4.0%を占めるに過ぎなかった。カテーテル留置複雑性尿路感染症では投与前はP. aeruginosaが最も多く16.8%を占め, ついでS. aureusが14.9%, E. faecalisが12.9%を占めた。投与後も分離頻度に大きな違いはなく, それぞれ24.5%, 11.8%, 14.7%を占めた。分離菌を因子・手術の有無別, 感染症群別にみると単純性尿路感染症及びカテーテル非留置複雑性尿路感染症におけるE. coliE. faecalis, カテーテル留置複雑性尿路感染症におけるProteus spp.やP. aeruginosaの分離頻度など全体的に因子・手術の有無が菌の分離頻度に対して多少の影響は与えているように思われる。
  • 1996 年 49 巻 5 号 p. 508-
    発行日: 1996年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 第3報Pseudomonas aeruginosaを対象とした成績
    出口 浩一, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 田中 節子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1996 年 49 巻 5 号 p. 509-516
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年に検出したPseudomonas aeruginosaを対象とし,Isepamicin(ISP)とβ-ラクタム系薬剤との試験管内抗菌併用効果を検討して, 以下の結果を得た。
    1. P. aeruginosaに対するISP+Piperacillin, ISP+Ceftazidime, ISP+Aztreonam, ISP+Imipenem, 及びISP+Panipenemいずれの組み合わせにおいても併用による強い抗菌力の増強が認められた。
    2. 上記いずれの組み合わせにおいても, 既報と同様にISPの濃度依存的に最小発育阻止濃度 (MIC) が低下しており, 更にISPのsub-MIC濃度存在下においても強い抗菌力の増強が示唆された。
    3. 併用により, MIC90が低下するのに必要なISPの濃度は4~8μg/mlであった。抗菌併用効果は, ISP感性株においてはβ-Lactams耐性株に対しても強く生じていた。
    4. P. aeruginosaに対するISP+Penicillins, ISP+Cephems, ISP+Monobactams, ISP+Carbapenemsの併用は, いずれにおいても拮抗作用は無く, 抗菌スペクトルの拡大と相乗を含む抗菌力の増強が認められた。
    以上の結果から,ISPの1回400mg投与が可能なことが, 更にISPのsub-MIC濃度存在下における効果には,ISPの多剤耐性株に対する強い抗菌活性が有利に対応できると考えられた。更に, 第1報から第3報までにおけるすべての結果,すなわちstaphylococcus aureus, Enterobacteriaceae, P. aeruginosaに認められた抗菌力の増強は, ISPのsub-MIC濃度存在下においても生じていたことから, 臨床的有用性が考えられた。
  • 春出 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一, 仁紙 宏之, 小林 裕
    1996 年 49 巻 5 号 p. 517-521
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefozopranの髄液中移行を家兎Staphylococcus aureus髄膜炎を用いて検討した。
    本剤100mg (力価)/kgを静注後15分に血漿中濃度のピークが,60分に髄液中濃度のピークがあり, それぞれ293±17.6μg/ml, 16.5±2.74μg/ml (平均±S. E.) であった。この濃度推移曲線から求めた薬動力学的パラメーターは最高濃度髄液血漿比百分率5.72%, 曲線下面積 (AUC) 髄液血漿比百分率15~60分6.61%, 15~120分9.38%, 15~180分11.2%, 血漿中濃度半減期 (T1/2) 49.3分,髄液中濃度半減期 (T1/2) 138分, T1/2髄液血漿比は2.81であった。
    同様な方法で得られた他のβ-ラクタム系抗生物質の成績と比較すると, 本剤の最高濃度髄液血漿比百分率は中程度であるが, 最高髄液中濃度は高く, 本剤の髄膜炎主要菌種に対する抗菌力と考え合せて, 臨床上有用であると考えられた。
  • 1996 年 49 巻 5 号 p. 525-532
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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