我々は, 注射用セフェム系抗生物質cefozopran (SCE-2787, CZOP) の低出生体重児・新生児に対する基礎的・臨床的検討を行った。
(1) 血中濃度
20mg/kg静注時, 日齢1~3の成熟児は投与後30分の血中濃度が69.7μg/ml, 半減期が2.99時間, 日齢4~7の成熟児は投与後30分の血中濃度が38.7μg/ml, 半減期が2.85時間, 日齢8以降の成熟児は投与後30分の血中濃度が40.8μg/ml, 半減期が3.81時間, 日齢4~7の低出生体重児は投与後30分の血中濃度が48.6μg/ml, 半減期が3.77時間であった。
日齢8以上の成熟児で10, 20, 50mg/kg静注時の投与後30分の血中濃度は,それぞれ21.1, 40.8, 153.6μg/ml (60分値) で, 半減期はそれぞれ2.24, 3.81, 3.07時間であった。
30分点滴静注では, 20, 40mg/kg投与で点滴終了時の血中濃度はそれぞれ48.0, 103.2μg/mlで, 半減期はそれぞれ2.60, 3.33時間であった。
(2) 尿中排泄
累積排泄率は, 10, 20, 40mg/kg静注時で28.4~58.6%, 40mg/kg30分点滴静注時で49,0%であった。
(3) 髄液移行
無菌性髄膜炎例の髄液移行は, 投与後1時間値が4.1~155μg/mlであった。
(4) 臨床成績
敗血症3例中2例, 敗血症疑い10例中全例が有効以上, 肺炎9例, 尿路感染症3例, 子宮内感染症3例全例が著効であった。感染予防12例は全例予防投与として有効であった。
菌の消長が確認できた10株中7株が消失した。
本剤投与に伴う副作用は認あられず,臨床検査値異常変動は,γ-GTP上昇, GPT上昇等8例 (16.7%) に14件認められたが,重篤なものはなかった。
以上の成績より, CZOPは低出生体重児・新生児感染症及び感染予防に対して, 有用性のある薬剤であると考えられる。
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