The Japanese Journal of Antibiotics
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51 巻, 6 号
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  • 1998 年 51 巻 6 号 p. 363-394
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 久野 邦義, 小川 昭正, 早川 文雄, 宮島 雄二, 高橋 秀明, 奥村 彰久, 加藤 徹, 糸見 和也
    1998 年 51 巻 6 号 p. 395-406
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいβ-lactamase阻害剤Tazobactam (TAZ) を配合したTazobactam/Piperacillin (TAZ/PIPC) について小児科領域において基礎的・臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. TAZ/PIPCの25mg/kgを1例に5分間かけて静注した時のTAZ及びPIPCの投与終了5分後の血中濃度は各々24.4μg/ml及び119μg/mlで, 以後半減期0.48及び0.60時間にて推移した。また, 50mg/kgの2例の場合には, TAZ及びPIPCの投与終了5分後の血中濃度は17.5, 32.2μg/ml及び92.8, 163μg/mlで, 半減期は0.37, 0.50時間及び0.51, 0.59時間で推移し, いずれの場合もTAZ, PIPCの血中濃度比は1: 4にて推移した。投与開始後6時間までの尿中回収率はTAZ 15.8~64.9%, PIPC 39.8~53.4%であった。
    2. 本治験にて分離された株の感受性はHaemophilus influenzae, Streptococcus pneumoniaeでMIC 0.05μg/ml以下に分布し, Escherichia coli, Staphylococcus aureus, H.parainfluenzaeではMIC 1.56~25μg/mlに分布した。
    3. 15例に本剤を投与した結果, 臨床効果判定可能な各種小児感染症14例に対する本剤の臨床効果は, 著効9例, 有効5例で, 有効率100%であり, 高い著効率 (64.3%) を示した。細菌学的効果は91.7% (10/11) の消失率であった。
    4. 臨床検査値異常は認められなかったが, 1例に軽度の下痢が認められた。以上の結果より, TAZ/PIPCは小児科領域感染症に有用な薬剤と考えられた。
  • 北村 賢司, 西森 久史, 庵原 俊昭, 神谷 齊
    1998 年 51 巻 6 号 p. 407-412
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/Piperacillin (TAZ/PIPC) はPIPCとβ-lactamase阻害剤であるTAZの合剤である。我々は6カ月から8歳の小児10例に対し, TAZ/PIPCを1回46.0~73.5mg/kgを1日3回, 3~13日間静脈内投与し, 本剤の薬物動態と小児感染症に対する有効性及び安全性につき検討した。
    TAZ/PIPCを46mg/kg静注した時の血中半減期はPIPCが0.6時間, TAZが0.5時間であり, 投与後6時間以内の尿中回収率はPIPCが56.3%, TAZが61.6%であった。
    投与した対象疾患の内訳は呼吸器感染症6例, 咽頭扁桃炎1例, 百日咳1例, 皮膚軟部組織感染症2例の計10例で, 全例投与基準並びに使用基準に適合し効果判定可能であった。
    有効率は100%であった。このうち起炎菌が同定出来かつ経過を追跡し得た症例は, 2例2株 (Staphylococcus aureus 1株, Streptococcus pyogenes 1株) であり, 共に菌は消失した。
    副作用としては1例に軽度の発疹がみられたが, 投与中止2日後消失した。1例に好中球減少がみられ, 1例に好酸球数の増多がみられたが, 投与終了後正常化した。
  • 本廣 孝, 長井 健祐, 山田 秀二, 沖 眞一郎, 山田 孝, 吉永 陽一郎, 津村 直幹, 織田 慶子, 阪田 保隆, 加藤 裕久, 今 ...
    1998 年 51 巻 6 号 p. 413-431
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたβ-lactamase阻害剤であるTazobactam (TAZ) とPenicillin系抗生物質であるPiperacillin (PIPC) の力価配合比が1: 4のTAZ/PIPCについて, 保存株と臨床分離株に対する薬剤感受性試験を行うと共に, 本剤の注射剤を小児の種々の感染症に投与し, 有効性及び安全性を検討したところ, 次のような成績が得られた。
    1. 薬剤感受性試験では保存菌株4菌種ll4株に対しTAZ/PIPCとPIPC, Penicillin G (PCG), Ampicillin (ABPC), Cefotiam (CTM), Cefotaxime (CTX), Ceftazidime (CAZ), Sulbactam (SBT) /Cefoperazone (CPZ) の8薬剤を, またTAZ/PIPCの投与症例から分離された3菌種中Staphylococcus aureus (S.aureus) にはTAZ/PIPC, PIPC, Methicillin (DMPPC), CTM, CTX, SBT/CPZの6薬剤, 他の2菌種に対してはこれらの6薬剤中DMPPCを除く5薬剤を用いて, 接種菌量106CFU/mlにおけるMICを測定した。
    保存菌株中グラム陽性球菌のStreptococcus pyogenes (S.pyogenes) 45株に対するTAZ/PIPCのMIC90は0.05μg/mlで, PIPC, CTM, CAZ, SBT/CPZのMICと同じか類似の傾向にあり, Streptococcus agalactiae (S.agalactiae) 28株に対するTAZ/PIPCのMICは全株が0.39μg/mlで, PIPC, CTM, CAZ, SBT/CPZのMICと同じか類似した。グラム陰性桿菌中Bordetella pertussis (B.pertussis) 10株に対するTAZ/PIPCのMIC90は0.10μg/mlで, PIPCのMICと同じか類似し, Haemophilus influenzae (H.influenzae) 31株に対するTAZ/PIPCのMIC90は0.05μg/mlで, PIPC, CTX, SBT/CPZのMICと同じか類似した。TAZ/PIPCの投与症例から分離されたグラム陽性球菌中S.aureus 2株では1株がβ-lactamase非産生菌, 1株が低産生菌で, MICは各々0.78, 3.13μg/mlを示し, 前者ではPIPC, DMPPC, CTM, CTX, 後者ではPIPC, DMPPC, CTX, SBT/CPZのMICと同じか類似した。Streptococcus pneumoniae (S.pneumoniae) 4株に対するTAZ/PIPCのMICは各2株が0.05μg/mlか1.56μg/mlで, PIPC, SBT/CPZのMICと同じか類似した。グラム陰性桿菌のH.influenzae 7株では, 6株がβ-lactamase非産生菌, 1株が高度産生菌で, 前者に対するTAZ/PIPCのMICは5株が≤0.025μg/ml, 1株が0.39μg/mlで, PIPC, SBT/CPZのMICと同じか類似し, 後者の1株に対するTAZ/PIPCのMICは0.78μg/mlで, SBT/CPZのMICに類似し, PIPCのMICより小であった。
    2. 臨床効果は7疾患33例中著効17例51.5%, 有効14例42.4%, やや有効2例6.1%で, 無効例はなく, 有効以上の有効率は93.9%であった。
    3. 細菌学的効果は4菌種17株で判定でき, 全株が消失した。
    4. 副作用は臨床効果の判定できた33例と脱落症例2例, 計35症例について検討でき, 4例11.4%に下痢が出現した。
    5. 臨床検査値は末梢値の検査で血小板数の増多が32例中1例3.1%, 好酸球増多は29例中2例6.9%に出現した。血液生化学検査では21例中GPTの単独, GOTとGPTの同時異常上昇が各1例に出現した。
  • 春田 恒和, 西尾 利一, 小林 裕
    1998 年 51 巻 6 号 p. 432-436
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tazobactam/Piperacillin (TAZ/PIPC) の髄液中移行をStaphylococcus aureus髄膜炎家兎モデルを用いて検討した。TAZ/PIPCを125mg/kg及び250mg/kg髄膜炎家兎に静脈内投与し髄液中濃度及び血清中濃度を測定した。125mg/kg投与での30分後及び60分後のTAZの髄液中濃度平均値はそれぞれ7.3μg/ml, 2.4μg/ml, PIPCは10.1μg/ml, 3.5μg/ml, 髄液血清比百分率はTAZで29.4%, 31.4%, PIPCでは24.3%, 35.6%であった。250mg/kg投与の髄液中濃度平均値はTAZでそれぞれ16.5μg/ml, 12.6μg/ml, PIPCはそれぞれ25.6μg/ml, 18.2μg/ml, 髄液血清比百分率はTAZで22.1%, 56.1%, PIPCでは12.2%, 51.9%であった。
    TAZを配合することによるPIPCの髄液中濃度移行に大きな変化はみられなかった。
    また, 髄膜炎の主要起炎菌種に対する抗菌力を考え合わせると, 本剤は化膿性髄膜炎に有効であろうと考えられた。
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