The Japanese Journal of Antibiotics
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51 巻, 7 号
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  • 池本 秀雄, 渡辺 一功, 森 健, 猪狩 淳, 小栗 豊子, 清水 義徳, 寺井 継男, 井上 洋西, 中舘 俊英, 伊藤 忠一, 吉田 ...
    1998 年 51 巻 7 号 p. 437-474
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1996年10月~1997年9月の間に全国16施設において, 下気道感染症患者449例から採取された検体を対象とした。それらの検体 (主として喀痰) から分離され, 起炎菌と推定された細菌557株のうち543株について感受性を測定した。分離菌の内訳はStaphylococcusaureus 98株, Streptococcus pneumoniae 93株, Haemophilus influenzae 84株, Pseudomonasaeruginosa (non-mucoid株) 84株, Pseudomonas aeruginosa (mucoid株) 17株, Moraxellasubgenus Branhamella catarrhalis 31株, Klebsiella pneumoniae 21株などであった。
    主要菌株の抗菌薬に対する感受性は, ほとんどの菌種で前年とほぼ同様の成績を示した。S. aureus及びP. aeruginosa (non-mucoid株) に対しては一部の薬剤を除き抗菌力は弱かったが, その他の菌種に対しては, ほとんどの薬剤が比較的強い抗菌力を示した。S.aureusではOxacillinのMICが4μg/ml以上の株 (methicillin-resistant S. aureus: MRSA) が1995年度と比べ約15%増加し, 67.3% (66株) を占めた。これらMRSAについても, ArbekacinとVancomycinは優れた抗菌力を示した。
    また, 患者背景と感染症と起炎菌の推移等についても検討した。
    年齢別分布では高年齢層の感染症が多く, 60歳以上の症例が71.0%を占め, 1992年以降で最も多かった。疾患別分布では, 1993年以降で増加傾向にある細菌性肺炎, 慢性気管支炎がそれぞれ35.9%, 30.3%と多かった。細菌性肺炎からの分離菌はS. aureusが最も多く24.7%, 次いでP. aeruginosa 17.5%, S. pneumoniae 15.5%が多く分離された。慢性気管支炎ではS. pneumoniaeとS. aureusの分離頻度が高く, それぞれ16.3%, 15.7%であった。抗菌薬の投与の有無, 投与日数ごとの分離菌についてみると, 投与前に多く分離された菌はS. pneumoniae 24.2%, H. influenzae 19.3%, S. aureus 16.3%, P. aeruginosa 12.7%などであった。このうちS. aureusS. pneumoniaeの分離頻度は投与8日以上で日数に伴い減少したが, H. influenzaeP. aeruginosaの分離頻度は投与により一旦は減少するが15日以上になると投与前に比べても高かった。感染抵抗力減弱を誘起する因子・手術の有無によるMRSAの分離頻度は「有り」で77.0%, 「無し」で37.5%であった。抗菌薬の投与前後におけるMRSAの分離頻度は「投与前」で42.6%, 「投与後」で90.2%となり, 抗菌薬投与後で高値を示した。また, 入院患者からのMRSAの分離頻度は74.4% (61/82) と高く, 一方, 外来患者からの分離頻度も31.3% (5/16) を占めた。
  • 甲田 雅一, 福原 淳子, 竹内 美香, 大川原 正文, 松崎 廣子, 遠井 初子, 古畑 紀子, 丸山 美樹, 佐々木 希実, 沢辺 悦子 ...
    1998 年 51 巻 7 号 p. 475-487
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    189株のブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌 (非発酵菌: Acinetobacter baumannii (44), Alcaligenes faecalis (5), Alcaligenes xylosoxidans (25), Burkholderia cepacia (12), Chryseobacterium indologenes (23), Chryseobacterium meningosepticurn (9), Pseudomonas fluorescens (8), Pseudomonas putida (12), stenotrophomonas maltophilia (51) に対するpiperacillin, sulbactam/cefbperazone, minocycline (MINO), gentamicin, amikacin, flomoxef, ceftazidime, cefozopran, cefsulodin, imipenemのMICを測定した。試験した非発酵菌の多くは多剤耐性菌であり, 全菌種に抗菌力を有したのは, ここで使用した抗生物質の中ではMINOだけであった。各種抗生物質の非発酵菌に対する抗菌スペクトルは, 非発酵菌の同定の補助として利用できると思われた。
  • 佐藤 征, 三浦 富智, 工藤 幸生, 工藤 恵美, 斎藤 芳彦, 金原 市郎, 辻野 守泰, 工藤 肇
    1998 年 51 巻 7 号 p. 488-493
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床材料から分離したMRSA (mecA陽性) 8株を用いてVCMとPAPMの抗菌活性に及ぼすpHの影響と両薬剤の併用における抗菌活性をin vitroで検討した。
    MICに及ぼすpH (6, 7, 8) の影響は (1) VCM単剤では1.0~2.0μg/mlの範囲で変化なかった。(2) PAPM単剤ではアルカリ側で抗菌活性が増強される傾向にあった。(3) VCM, PAPMの併用効果に及ぼすpHの影響はなかった。
    VCMとPAPM併用時の殺菌曲線は (1) VCM: 1/4MICとPAPM: 1/4MICでは作用6時間後では1.05×105CFU/ml→6.45×104/mlへ, 24時間後では検出不能 (<10CFU/ml) であった。(2) VCM: 1/4MICとPAPM: 1/8MICでは併用24時間後では2.68×105/ml→3.6×102/mlの抗菌活性を示したが48時間後再び増殖した。これらの成績からVCMとPAPMとの併用療法は投与薬剤量を少なくすることが可能となり, 副作用を軽減させる可能性があり, 腎臓機能が低下している人等のMRSA感染症の治療に有効であると推察される。
  • 中村 昭夫, 谷口 和夫, 鶴渕 和恵, 小原 康治, 澤井 哲夫
    1998 年 51 巻 7 号 p. 494-500
    発行日: 1998/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1996年度に臨床分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 200株に対する, エリスロマイシン, クラリスロマイシン, ロキシスロマイシン, オレアンドマイシン, トリアセチルオレアンドマイシン, アジスロマイシン, ジョサマイシン及びミデカマイシンなどのマクロライド抗生剤 (ML) の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。その結果, MRSAの88%以上の株が用いた全てのMLsに対して高い耐性を示し, MIC値によって5群に分類された。このうちMLSタイプと異なったMICパターンを示す株, 即ち14員環MLに高度耐性で16員環MLに感受性を示す株が9.0%存在することが明らかとなった。この株の一部において, エリスロマイシンあるいはオレアンドマイシンでの耐性誘導処理の結果から, クラリスロマイシン及びロキシスロマイシン耐性上昇がみられ, アジスロマイシンに対しては耐性上昇はみられないことが明らかとなった。
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