The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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51 巻, 9 号
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  • 木下 承晧, 熊谷 俊一
    1998 年 51 巻 9 号 p. 551-560
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床分離したグラム陰性桿菌 (腸内細菌科271株, およびnon fermentative Gram-negativebacteria; NFB242株) についてMEPM, IPM, PAPM, CAZ, CZOP, AZT, NFLX, TCのMICを測定した。カルバペネム系抗菌薬は腸内細菌科およびNFBに対してCAZ, CZOP, AZT, NFLX, TCより優れた抗菌力を示した。
    カルバペネム系抗菌薬のMIC90はMEPMが最も優れており, IPMおよびPAPMに比べて約2管良好であった。IPMはPAPMに比べて菌種によりやや優れているかもしくは同等であった。メタロβ-ラクタマーゼ産生を疑うIPM耐性 (>16μg/ml) は腸内細菌科で3株 (1.1%), NFBでは14株 (5.8%) で認められた。
    MEPM, IPM, PAPMのMIC相関は, 腸内細菌科では各薬剤間でそれぞれ3菌種3株に, NFBではMEPMとIPMで14株, MEPMとPAPMで15株, IPMとPAPMで29株に交差耐性を認め, これらは全てPseudomonas aeruginosaであった。IPMに耐性のP. aeruginosa29株中15株はMEPMに感性を示し, PAPMに耐性のP. aeruglnosa 92株中77株はMEPMに感性を示した。CAZ (≥32μg/ml) およびAZT (≥32μg/ml) 耐性菌は腸内細菌科で33株 (12%) が検出され, ESBL産生株であることが示唆された。
  • 松本 好弘, 鈴木 由美子, 石井 由紀子, 石原 理加, 中澤 ありさ, 中根 豊, 西成 千里, 出口 浩一
    1998 年 51 巻 9 号 p. 561-575
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1993年1月~12月 (以下1993年と略す) および1996年10月~1997年3月 (以下1996年と略す) において, 全国の耳鼻咽喉科施設から送付されてきた中耳炎および外耳炎患者採取材料より分離・同定した臨床分離株を対象にして, Ofloxacin (OFLX) の経年的抗菌活性を知ることを目的としてOFLXと対照4薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 以下の結果を得た。
    1. 1993年から1996年においてMethicillin-resistant S. aureus (MRSA), Coagulase-negativestaphylococci (CNS) およびP. aeruginosaに対するOFLXのMIC50には経年的な変動は認められなかったが, MIC80およびMIC90では上昇が見られ, OFLX耐性株の経年的増加傾向が示唆された。しかしながら, これらの菌種においてもOFLXのMIC値>100μg/mlを示す高度耐性株の割合は対照薬剤と比較して低かった。
    2. Methicillin-susceptible S. aureus (MSSA), Streptococcus spp., Proteus spp. およびH. inftuenzaeに対するOFLXのMIC50, MIC80, MIC90には経年的に大きな変動は認められず, これらの菌種に対してOFLXは高い抗菌活性を保持していた。
    3.近年に検出した中耳炎および外耳炎由来臨床分離株に対するOFLXの経年的な抗菌活性には耳科局所用剤としての臨床効果に影響するほどの大きな変動は認められず, OFLX耳用液は今日においてもなお臨床的に有用な耳用液の一つであると考える
  • イミペネムとフロモキセフ
    相馬 彰, 北浦 一宏, 戸田 省吾, 佐藤 伸一, 和田 行雄, 山岸 久一, 岡 隆宏, 藤田 直久
    1998 年 51 巻 9 号 p. 576-582
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    開胸手術後にサイトカインの上昇を認める事は知られているが, その上昇の程度が抗生剤の選択に影響されることについては知られていない。開胸手術後に抗生剤の予防的投与を行う事は広く行われているが, 予防的であるが故に抗生剤選択の客観的な基準は作成しがたい点があるのは否めない。重症感染症に対する治療においては選択する抗生剤により血中エンドトキシン濃度やサイトカインに差異が生じる事が知られており, 今回われわれは予防的投与においても同様の差異が認められるかを検証した。前述の重症感染症においてはイミペネムが他のセフェム系抗生剤に比してサイトカインの上昇が少ないと信じられており, 本稿ではイミペネムとフロモキセブの2種の抗生剤を計13例の開胸術症例に2群に振り分けサイトカイン上昇を調べた。IL6は手術直後から両群で上昇したが, イミペネム群ではその後の低下が早く, 術後4日目には有意に低い値となった。しかしながら両群とも感染症発症には至らないためか術後7日目では有意差は消失した。予防的投与における抗生剤選択によってはサイトカイン濃度から推測して, 続発する感染症が起きた際には生体に対する侵襲を増大する可能性があることが示唆された。
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