The Japanese Journal of Antibiotics
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52 巻, 11 号
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  • 原 耕平, 松本 文夫, 河田 幸道, 品川 長夫, 林 浩一郎, 松田 静治, 馬場 駿吉, 大石 正夫, 荒田 次郎, 佐々木 次郎, ...
    1999 年 52 巻 11 号 p. 629-660
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    内科, 泌尿器科, 外科, 整形外科, 産婦人科, 耳鼻咽喉科, 眼科, 皮膚科, 口腔外科および形成外科領域の各種感染症を対象とし, Biapenem (BIPM) 注射剤を1回150mg, 300mgあるいは600mgを1日2回点滴静脈内投与し, 本薬の臨床的有用性をオープン試験にて検討した。併せて, 組織移行性について検討した。
    1.総症例256例中, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用および臨床検査値異常の解析対象症例数は, 各々214例, 170例, 252例, 251例であった。
    2.臨床効果 (有効率) は, 全体で85.5% (183/214例), 敗血症2/2例, 蜂巣炎・リンパ管炎6/8例, 外傷・手術創・熱傷創感染76.2% (16/21例), 骨髄炎・関節炎4/6例, 扁桃周囲膿瘍・扁桃周囲炎92.9% (13/14例), 慢性下気道感染症83.3% (15/18例), 肺炎7/7例, 複雑性尿路感染症83.3% (30/36例), 胆嚢炎・胆管炎100% (14/14例), 腹膜炎88.2% (15/17例), 内性器感染症86.5% (32/37例), 骨盤腹膜炎8/9例, 角膜潰瘍, 眼窩感染, 全眼球炎などの眼科領域感染症2/4例, 中耳炎1/2例, 副鼻腔炎4/4例, 顎炎・顎骨周辺の蜂巣炎93.3% (14/15例) であった。このうち, 他抗菌薬無効例に対する有効率は86.4% (70/81例) であった。
    3.起炎菌として複数菌感染を含む170例より, 300株が分離され, その細菌学的効果 (菌消失率) は85.3% (256/300株) であった。
    4.副作用は252例中11例 (4.4%) に, 11件認められ, 症状は皮膚症状5例, 消化器症状3例, 問質性肺炎2例, 気分不良1例であった。いずれの症状も投与継続中または中止・終了後に消失した。臨床検査値異常は251例中31例 (12.4%) に, 50件認められ, 主な所見は好酸球増多とAST, ALT, γ-GTP, Al-pの上昇などであった。
    5.体液・組織内濃度は, 主に本薬300mgを60分かけて点滴静脈内投与された46例, 212検体において検討された。喀痰中濃度は投与終了後6時間までで0.1~2.5μg/gであった。体液・組織内最高濃度は, 胆汁, 中耳粘膜, 扁桃組織, 前房水, 骨組織で0.2~1.8μg/g orml, 胆嚢組織, 上顎洞粘膜, 篩骨洞粘膜, 口腔組織, 皮膚, 女性性器, 関節液, 関節組織, 熱死組織では, 2.0~5.7μg/g or mlであった。子宮動脈血 (血漿) 中, 骨盤死腔液中濃度推移は肘静脈血 (血漿) 中濃度とほぼ同様な濃度推移を示した。
    以上の成績から, 本注射剤は中等症以上の, あるいは難治性の各種感染症に対して有用な薬剤であることが, 臨床効果, 細菌学的効果および安全性の上から確認された。
  • 藤田 敦, 宮 敏路, 田中 良太, 平山 伸, 伊坂 泰嗣, 大野 陽子, 輿石 義彦, 呉屋 朝幸
    1999 年 52 巻 11 号 p. 661-666
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回我々はlevofloxacin (LVFX) 投与時の, 喀痰, 肺組織, 血清内濃度を高速液体クロマトグラフィー法により測定し, 呼吸器における組織移行率を検討した。対象症例は肺切除術または気管支鏡検査を受けた患者23名であった。LVFX200mgを経口投与し, 喀痰を2時間後, 肺組織を3および5時間後, 血清を2, 3および5時間後にそれぞれ採取した。肺組織内濃度の3時間後の平均値は3.91±2.33μg/g, 喀痰および血清内濃度の2時間後の平均値は各々0.71土0.63および2.08±1.01μg/mlであった。肺組織内濃度と血中濃度の間には強い相関が認められたが (p<0.0001), 喀痰中濃度と血中濃度の間に有意な相関は認められなかった。肺組織移行率は217.2%, 喀痰移行率は4.05%であった。今回の結果をもとに臨床的Breakpoint (BP) を計算すると肺炎に対しては4μg/ml, 慢性気道感染症に対しては1μg/mlであった。LVFXの肺組織への移行性は良好で, 代表的な呼吸器感染症の起炎菌のMIC90を大きく上回る濃度が得られた。また, BPも4μg/mlと良好であり, LVFXは肺炎など気道感染症に対して有効な抗菌剤であると考えられた。
  • 村瀬 光春
    1999 年 52 巻 11 号 p. 667-679
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    愛媛大学医学部附属病院で各種臨床材料から分離された18菌種, 353株に対するカルバペネム系抗生物質imipenem, panipenem, meropenem, biapenemの4剤の抗菌力測定試験を実施した。
    MRSAに対してはカルバペネム系薬のMICは0.1~100μg/mlに広く分布し, MIC90は4薬剤とも25~50μg/mlであった。
    S. marcescensを除く8菌種の腸内細菌科 (Enterobacteriaceae) に対して, いずれのカルバペネム系薬も約1μg/ml以下の濃度で全ての菌の発育を阻止した。
    P. aeruginosaに対するMICは比較的広く分布し, それぞれimipenem (0.39~25μg/ml), panipenem (0.2~25μg/ml), meropenem (0.1~125μg/ml), biapenem (0.2~12.5μg/ml) であった。
    臨床分離株に対するカルバペネム系薬の抗菌力を測定した結果, いずれのカルバペネムも広い抗菌域と強い抗菌力を有していることが再確認された。
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