The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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52 巻, 6 号
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  • 猪狩 淳
    1999 年 52 巻 6 号 p. 449-457
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    大屋らは, カルバペネム系抗生物質の抗糸剥農菌活性は, 培地中の塩基性アミノ酸濃度を低下させることにより, 著明に増強する事を認め, Mueller-Hinton Agar (MHA) を蒸留水で希釈した培地と非希釈培地とでは, パニペネム (PAPM) の緑膿菌に対する抗菌力に明らかな差がある事を報告した。私どもは臨床材料から分離された糸剥農菌の新鮮株 (2,312株) を対象として非希釈培地と希釈培地におけるPAPMに対する抗菌薬感受性を検討した。感受性試験には昭和一濃度ディスク法と寒天平板希釈法を用いた。一濃度ディスク法では被験菌株の阻止円径は16倍希釈, 40倍希釈MHAいずれも非希釈MHAより阻止円径の大きい方に分布した。寒天平板希釈法によるMIC値も16倍希釈, 40倍希釈MHAで非希釈培地よりMIC値の小さい方に分布し, 約90%の株は16倍希釈MHAでは2~8倍, 40倍希釈では2~16倍のMIC値の低下を示した。
    以上より, PAPMのIN VITRO抗緑膿菌活性は, MHAの濃度を低下することにより増強されることを確認した。
  • 甲田 雅一, 福原 淳子, 竹内 美香, 大川原 正文, 松崎 廣子, 遠井 初子, 古畑 紀子, 丸山 美樹, 佐々木 希実, 沢辺 悦子 ...
    1999 年 52 巻 6 号 p. 458-468
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas aeruginosaに対する各種抗生物質の抗菌力は分離施設の使用抗生物質の種類や量により影響されることが多く, ある施設で有効とされる抗生物質が他の施設でも有効とは限らない。真に抗菌力に優れる抗生物質とはMICが低く, 薬剤耐性が進行し難い薬剤であり, そのような抗生物質こそ, どの施設からの分離菌に対しても有効と言えるであろう。著者らは薬剤耐性が進行し易い抗生物質ではMICの施設間差が大きいと考え, 6施設から分離したP.aeruginosaに対する各種抗生物質のMICとMICの施設間差を調査し, その結果をスコア化して, 総合的に抗菌力を評価する試みを行った。その結果, 真にP.aeruginosaに対する抗菌力に優れる抗生物質はimipenem, cefozopran, ceftazidime, cefsulodin, amikacinなどであると考えられた。本報告で提案した解析方法は, 入院患者の細菌感染症に対する優れた抗生物質の評価のための一方法になり得ると考える。
  • 松本 好弘, 石原 理加, 鈴木 由美子, 西成 千里, 石井 由紀子, 中根 豊, 遠藤 晴美
    1999 年 52 巻 6 号 p. 469-477
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998年1月~3月に, 市中の気道系感染症患者から分離した臨床分離株を対象に, Cefetamet (CEMT) の抗菌活性を他の主なβ-ラクタム系経口抗菌薬剤を加えて検討し, 以下の結論を得た。
    1.Streptococcuspyogenes, Streptococcus pneumoniae及びHaemophilus influmzae, すなわち市中の気道系感染症における「三大起炎菌」に対するCEMTの強い抗菌活性が, 今回の検討においても認められたが, Penicillins (PCs)-intermediate S.pneumoniae (PISP), 及びPCsresistant S.pneumoniae (PRSP) に対するCEMTの抗菌活性は, 一部の対照薬剤の抗菌活性に比較してやや劣っていた。
    2.S.pyogmes, H. influenzae, Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis, Klebsiellapneumoniaeに対するCEMTの抗菌活性には, 経年的な変動が認められなかった。しかし, S.pneumoniaeにおいてはPISP, PRSPの増加のため, 経年的に耐性化が認められた。
  • 石原 理加, 鈴木 由美子, 西成 千里, 石井 由紀子, 松本 好弘, 賀来 満夫, 嶋田 甚五郎
    1999 年 52 巻 6 号 p. 478-490
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の市中気道系感染症に対する臨床的, 細菌学的効果を1994年, 1996年の2回の検討とほぼ同様に実施して, 以下の結果を得た。
    1.臨床的検討は1998年1月1日~3月31日に東京都, 神奈川県, 埼玉県, 千葉県, 山梨県内の53施設において, 同一プロトコールでCEMT-PIが投与された512例を対象になされた。除外症例を除いた臨床効果解析対象症例387例の内訳は, 99.7%が外来患者で診断名は咽喉頭炎51.4%と半数を占め, 以下扁桃炎37.7%, 急性気管支炎10.1%等であった。
    2.細菌学的検討は, あらかじめ検体採取と管理, 輸送方法を詳細に記載した印刷物を各施設に配布し, 推定起炎菌の分離・同定, 最小発育阻止濃度 (MIC) の測定及びβ-ラクタマーゼ産生のチェックは東京総合臨床検査センター研究部にて一括して実施した。臨床効果解析対象となった387例中144症例 (372%) から推定起炎菌が検出され, 主な菌種はStreptococcus pyogenes32株, Haemophilus influenzae19株であった。推定起炎菌別臨床効果 (著明改善+改善。以下改善率と略す。) はCEMT適応菌種 (79症例) 84.8%, CEMT適応外菌種 (46症例) 80.4%であった。
    3.疾患別臨床効果 (改善率) は咽喉頭炎78.4%, 扁桃炎87.0%, 急性気管支炎79.5%の臨床効果が得られた。また, CEMT-PIの適応疾患全体の臨床効果は, 81.9%であった。
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