The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
53 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 樫谷 総子, 福沢 滋, 森 千佳子, 村上 日奈子, 安井 久美子, 湯本 重雄, 石川 光延, 岩田 守弘, 舘田 一博, 宮崎 修一, ...
    2000 年 53 巻 1 号 p. 1-25
    発行日: 2000/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    東邦大学附属大森病院において1995年-1997年に臨床材料より分離された5菌種, methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA), methicillin-resistant S. aureus (MRSA), Klebsieua pneumoniae, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosaについてカルバペネムを中心としたβ-ラクタム系抗菌薬の抗菌力の年次推移を検討した。また, その他に主要な菌種についても1997年に臨床材料より分離された菌株を用いて抗菌力を検討した。
    検討した5菌種においてカルバペネム系抗菌薬はいずれも著明な耐性化の上昇傾向は認められなかった。MRSAに対するカルバペネム系抗菌薬の抗菌力は弱く, MIC90値は25-50μg/mlであった。
    近年メタロβ-ラクタマーゼの産生により高度耐性化が問題となっているS.marcescens, P.aeruginosaにおいて, 年次的な感受性の変化はいずれの薬剤においても認められなかった。特にP.aeruginosaにおいてカルバペネム系抗菌薬のMIC90値は12.5-25μg/mlで, ceftazidimeとほぼ同等であり, PIPCと比較して4-8倍優れていた。
    また, 臨床上問題となる主要な16菌種においてもカルバペネム系抗菌薬は, グラム陽性菌からグラム陰性菌までいずれの菌種においても幅広く優れた抗菌力を示した。
  • 三鴨 廣繁, 佐藤 泰昌, 早崎 容, 尹 香花, 玉舎 輝彦, 川添 香子, 古田 典夫, 岩砂 眞一, 伊藤 充彰, 野村 昌男, 塚原 ...
    2000 年 53 巻 1 号 p. 26-45
    発行日: 2000/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    市販後特別調査として, 婦人科領域感染症を対象に硫酸セブピロム (cefpirome sulfate: CPR) の有効性および安全性を調査, 検討した。特に, Bacteroides属が検出された症例を抽出してCPRの臨床効果および細菌学的効果を調査, 検討した。また, 分離されたBacteroides属のCPRに対する感受性の経年的変化についても調査, 検討した。本調査における収集調査票は194例であった。そのうち168例が安全性評価対象症例, 146例が有効性評価対象症例であった。本調査では嫌気性菌が189株分離され, Bacteroides属 (55株), Peptostreptococcus属 (65株), Prevotella属 (51株) が多く認められた。CPR承認前の旧分類のBacteroides属 (現Bacteroides属, Prevotella属, Porphyromonas属) は合計112株であった。菌種でみると, Bacteroides fragilisが26株, Prevotella biviaが25株であった。有効性評価対象症例146例の臨床効果は「著明改善」12例, 「改善」110例, 「やや改善」9例, 「不変」15例で, 「悪化」と判定された症例はなかった。「著明改善」と「改善」を合わせた改善率は83.6% (122例/146例) であった。旧分類の, Bacteroides属, すなわち現分類のBacteroides属, Prevotella属, Porphyromonas属の3属のいずれかが分離された症例は102例であり, その臨床効果 (改善率) は83.3% (85例/102例) であった。現分類のBacteroides属, Prevotella属あるいはPorphyromonas属が検出された症例の改善率は, それぞれ83.0% (44例/53例), 86.0% (43例/50例), 83.3% (5例/6例) であり, 3属ともほぼ同程度の成績であった。菌種別にみると, B.fragilis分離症例, P.bivia分離症例はどちらも25例であり, 改善率はそれぞれ84.0% (21例/25例), 88.0% (22例/25例) であった。.Bactmides属の消失率は68.5% (37株/54株), Prevotella属は77.6% (38株/49株), Porphvromonas属は100% (5株/5株) で, Bacteroides属がやや低かった。これら3属を合わせた旧分類のBacteroides属108株の菌消失率は74.1% (80株/108株) であった。菌種別にみると, B.fragilisの消失率は73.1% (19株/26株), P.biviaの消失率は75.0% (18株/24株) であり, 両菌種の消失率はほぼ同じであった。本調査成績からは, B.fragilisをはじめ.Bacteroides属, Prevotella属あるいはPorphyromonas属の細菌が, CPRに対して, 細菌学的に, あるいは臨床的に, 耐性化傾向を示しつつあるという顕著な徴候は認められなかった。承認前には報告がなかった副作用として間質性肺炎, 血圧上昇のそれぞれ1例報告された。
    したがって, CPRは, 現在のところ, Bacteroides属による感染症に対して承認時の有効性を維持していると考えられる。しかしながら, 今後も, 産婦人科領域細菌感染症では重要な原因菌である嫌気性菌に関する研究の継続は必要であると考えられる。
  • 特にIsepamicinとの比較評価
    小原 康治, 中村 昭夫, 澤井 哲夫, 星野 和夫, 岩井 有紀, 中村 貞博, 瀬戸 勇
    2000 年 53 巻 1 号 p. 46-59
    発行日: 2000/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998年に全国の臨床施設から収集した臨床分離株 (MSSA, MRSA, Sepidermidis, E. coli, C.freundii, κ.pneumoniae, Enterobacter sp., serratiasp., P.aeruginosa各50株及びProteus sp.(P.mirabilis 25株, P. vulgaris 25株) に対する, アミノグリコシド系薬5剤 (ISP, AMK, GM, TOB, DKB) とP.aeruginosaに抗菌力を有する注射用β-ラクタム系薬3剤 (IPM, CAZ, PIPC) の抗菌力を微量液体希釈法にて測定し, 以下の成績を得た。
    1.検討した菌種におけるISPの耐性率は, MRSA 14%, Proteus sp.2%, P.aeruginosa4%, 他菌種0%であり, 比較薬剤のなかで最も耐性菌が少なく, 次いでAMKが少なかった。
    2.検討した8薬剤のすべてに耐性を示す株はMRSAに6株存在したが, ISPのMIC値は他剤に比し低かった。
    3.また, 7薬剤に耐性 (いずれかの1薬剤に感受性) を示す株はMRSAに4株のみで, 感受性を有する薬剤はISPのみであった。
    4.同様に, 6薬剤に耐性 (いずれかの2薬剤に感受性) を示す株はMRSAに21株, P.aeruginosaに1株存在し, いずれの菌株もISP, AMKには感受性であった。
    5.ISPとAMKに対する感受性相関を調べると, ISPの方が低いMICを示す株が多かった。
    以上より, ISPは市販後10年を経た現在でも, 耐性菌が少なく, 優れた抗菌力を有するアミノグリコシド系薬であることが明らかとなった。
feedback
Top