The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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53 巻, 10 号
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  • 吉田 英生, 古田 隆久
    2000 年 53 巻 10 号 p. 615-620
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Erythromycin (EM) の6位水酸基をO-メチル基に置換したclarithromycin (CAM) は肺に対する高い親和性を示す。本研究においては, EMの化学構造中の4箇所の水酸基のメチル化誘導体を用いて, 肺への移行性の構造相関を検討した。
    各種O-メチルEM誘導体をラットの外頸静脈内投与後の肺組織中濃度と解離定数 (PKa) との間に相関は認められなかった。一方, 脂溶性との問には相関が認められ, 水酸基がメチル化される毎に脂溶性が増加するのに伴って, 肺への移行性も増加した。しかし, その上昇の程度は各置換位置で大きく異なり, 6位及び12位を置換した場合は, 11位及び4″位の場合に比べて肺への移行性が著しく上昇した。
    遊離肺細胞への [14C] EMの取り込みに対して各EM誘導体の阻害効果は認められなかった。 [14C] CAMの取り込みは6位にO-メチル基が導入された誘導体の全てにおいて阻害が認められたが, 11位のO-メチル誘導体及び6位のO-アセチル誘導体では阻害効果がなかった。既報4) において, CAMの肺細胞への移行にはエネルギー依存性の輸送系が存在することが明らかとなっている。今回の結果から, CAMの肺細胞への移行に関与する能動輸送系は6位O-メチル基を認識しているものと考えられた。また, 6位0-メチル化に加え, 12位がO-メチル化された誘導体を添加した場合, CAMの能動輸送系への阻害効果が増加した。
  • 保坂 美生, 入野田 一彦, 中野 竜一, 北里 英郎, 岡本 了一, 西元寺 克禮, 井上 松久
    2000 年 53 巻 10 号 p. 623-630
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床材料より分離されたHelicobacter pyloriに対する種々のβ-ラクタム薬, マクロライド薬, ニューキノロン薬, アミノグリコシド薬, テトラサイクリン薬, クロラムフェニコール, リファンピシン計16薬剤のMICを求めた。その結果, 各種β-ラクタム薬に対する感受性は良好であった。その中でもCTM, CAZは比較的幅広いMIC分布を示した。マクロライド薬については, 16員環化合物が14員環化合物に比べ抗菌力は劣る結果となった。ニューキノロン薬については, その感受性分布は2峰性を示し, すでに耐性を獲得しつつある傾向がみられた。また, アミカシンとクロラムフェニコール, アミカシンとニューキノロン薬間には両薬剤に対して耐性を示す株が見られた。今回検討した24株のうち, 3株から遺伝的性状の不明なplasmid, いわゆるcryptic plasmidが確認された。H.pyloriも種々の臨床分離細菌同様, 薬剤耐性遺伝子がplasmidに組み込まれ広がっていくことが危惧されることから, 今後除菌療法を行っていく上で抗菌薬感受性動向についても注意深い観察が必要と考えられた。
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