臨床で汎用されている7種類の小児用抗生物質製剤 [セフェム系製剤; 5種類, cefhclor (CCL), cefpodoxime proxetil (CPDX-PR), cefdinir (CFDN), cefditoren pivoxil (CDTR-PI), 及びcefcapene pivoxil (CFPN-PI), マクロライド系; 1種類, clarithromycin (CAM), ペネム系; 1種類, faropenemsodium (FRPM)] について, 製剤並びに薬物の水溶解性の観点から評価を試みた。各製剤0.5gに水10mlを添加した条件下において, 水溶解性は製剤問及び薬物間で大きな差が認められた。製剤自体の溶解性は, 約40%しか溶解しないもの (CFPN-PI) から, 100%溶解するもの (FRPM) まで, また, 成分薬物 (抗生物質) については, 水への溶解が全く期待出来ないもの (CAM) から100%溶解するもの (FRPM, CCL) まであった。また, 80-90%の溶解性が得られた製剤 (CPDX-PR, CFDN, CDTR-PI) においても, 水不溶物の約半分が薬物であることが判明した。今回の結果から, 市販されている小児用抗生物質製剤は, 水溶解性の観点から, 溶解・懸濁用の製剤 (FRPM, CCL), 懸濁可能な製剤 (CPDX-PR, CFDN, CDTR-PI) 及び懸濁に適さない小児用細粒製剤 (CFPN-PI, CAM) の3群に大別できること, 更に, 剤形を示す名称を統一化する必要性が示唆された。
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