The Japanese Journal of Antibiotics
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53 巻, 4 号
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  • 木村 利美, 国分 秀也, 島田 慈彦, 西迫 真, 野渡 正彦, 小口 弘毅, 松浦 信夫, 野々山 勝人, 砂川 慶介
    2000 年 53 巻 4 号 p. 185-193
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カルバペネム系抗菌薬であるPanipenem/Betamipron (カルベニン (R);PAPM/BP) は小児への適応が認められているが, 新生児における薬物動態並びに至適投与の検討はなされていない。我々は微量血中濃度測定法を開発し新生児におけるPAPMの薬物動態並びに至適投与方法について検討を行った。
    NICU入院中にPAPM/BP1回10-20mg/kgが1日2回, 輸注ポンプにて投与された患児17例 (PCA;25.6-43.1週) を対象とし, 投与後3日目, 6日目に投与直前~1時間又は2時間, 6時間後に全血60μlを踵より採取し, HPLC法により血中PAPM濃度を測定した。薬物動態はNONMEMプログラムを使用し1-compartment modelに基づき解析を行った。血中濃度総数は85ポイントで点滴開始後1時間値の血中濃度は54.90-18.59μg/ml, トラフ濃度は9.45-1.15μg/mlであった。対象群全体のPAPMクリアランス (CLPAPM) は0.239±0.206 (L/hr), 分布容積 (VdPAPM) は0.97±0.80 (L), 血中半減期は3.1±05 (hr) であった。患児群をPCA34週未満 (9例) および34週以上 (8例) に2分したところCLPAPMはそれぞれ0.415±0.174 (L/hr), 0.083±0.026 (L/hr), VDPAPMは1.60±0.78 (L), 0.41±0.14 (L), 血中半減期は2.66±0.44 (hr), 3.39±0.23 (hr) と, いずれの群間にも統計学的有意差 (P<0.001) が認められたが高度に蓄積する症例はなかった。本対象群では成人, 小児に比較してトラフ値の上昇, 半減期の延長が認められているが新生児の免疫能を考慮すると1回10-20mg/kgを1日2回投与することで蓄積もなく有効な治療が行えるものと考えられた。
  • 山城 芳子, 大懸 直子, 高畑 正裕, 南 新三郎
    2000 年 53 巻 4 号 p. 194-200
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem/Cilastatin (IPM/CS) 感受性 (IPM/CSのMIC;≤3.13μg/ml) ならびに耐性 (IPM/CSのMIC;≥12.5μg/ml) のP3mdomonas aeruginosaを用い, Piperacillin (PIPC) およびIPM/CSと5種類のアミノ配糖体系抗生物質 (Gentamicin, Tobramycin, Amikacin (AMK), IsepamicinおよびNetilmicin) とのin vitro併用効果について検討し, 以下の成績を得た。
    1.IPM/CS感受性株および耐性株各々54株ずつを用いたCheckerboard dilution法による検討では, PIPCはIPM/CS感受性, 耐性のいずれにおいても, 50%以上の菌株でアミノ配糖体系抗生物質との相乗効果を示した。また, すべての株で, 相乗または相加効果が認められた。
    2.Checkerboard dilution法による検討において, IPM/CSとアミノ配糖体系抗生物質との併用では拮抗作用は認められなかったが, 相乗効果を示した株の割合は0-14.8%で, PIPCとアミノ配糖体系抗生物質との併用時に比べ少なかった。
    3.IPM/CS耐性株を用い増殖曲線に及ぼす影響を検討したところ, Checkerboard dilution法と同様, PIPCとAMKとの併用はIPM/CSとAMKとの併用よりも顕著な協力作用を示した。
    以上, IPM/CS耐性のP.aeruginosaにおいてもPIPCとアミノ配糖体系抗生物質との協力作用が認められ, 本療法の臨床における有用性が期待された。
  • 熊本 悦明, 塚本 泰司, 広瀬 崇興, 松川 雅則, 国島 康晴, 荻原 雅彦, 石橋 啓, 茂田 十郎, 渡辺 純子, 吉田 浩, 今福 ...
    2000 年 53 巻 4 号 p. 201-233
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998年6月から翌年5月までの間に全国9施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。尿路感染症患者から分離された菌は538株であり, その内訳はグラム陽性菌が30.3%, グラム陰性菌が69.7%であった。
    これらの菌に対する抗菌薬の効果をみるとEnterococcus faecalisに対してはVancomycin (VCM), Ampicillin (ABPC), Imipenem (IPM) の抗菌力が強かったが, 1997年の成績に比べ全体的に低感受性株の増加が認められた。VCMはMRSAに対しても, 強い抗菌力を示し2μg/mlで34株すべての菌株の発育を阻止した。またArbekacin (ABK) の抗菌力も強くMIC90は2μg/mlであった。Escherichia coliとKlebsiella pneumoniaeに対してはペニシリン系薬剤を除き全般的に抗菌力は強く, 特にMeropenem (MEPM) はMICが≤0.125μg/mlで全菌株の発育を阻止した。Proteus mirabilisに対してもMinocycline (MINO) のMICがすべて16μg/ml以上であったのを除き, 全般的に抗菌力は強かった。Pseudomonas aeruginosaはいずれの薬剤にも感受性は低くMIC90はすべて16μg/ml以上であった。またSerratia marcescensに対してはMEPM, IPM, Gentamicine (GM) の抗菌力が強く, 全般的に1996年以降で耐性株の減少が認められた。
  • 熊本 悦明, 塚本 泰司, 広瀬 崇興, 松川 雅則, 国島 康晴, 荻原 雅彦, 石橋 啓, 茂田 士郎, 渡辺 純子, 吉田 浩, 今福 ...
    2000 年 53 巻 4 号 p. 234-248
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998年6月から翌年5月までの間に全国9施設において尿路感染症と診断された449症例から分離された591菌株を供試し, それらの患者背景について性別・年齢別と感染症, 年齢別感染症別菌分離頻度, 感染症と菌種, 抗菌薬投与時期別の菌と感染症, 因子・手術の有無別の菌と感染症などにつき検討した。
    年齢と性および感染症の関連についてみると, 男性の症例は50歳未満が少なく, 感染症ではカテーテル非留置複雑性尿路感染症が最も多かった。女性では20歳未満の症例が少なく, 単純性尿路感染症が最も多かった。分離菌を感染症別年齢別にみると単純性尿路感染症ではEscherichia coliが最も多く分離され, 年齢別ではEnterococcus faecalis, Proteus spp., Klebsiella spp.が加齢に伴い増加した。複雑性尿路感染症ではカテーテル留置, 非留置に関わらず, 年齢による菌分布に違いはなかった。E.coliは感染症が複雑になるに従い減少し, Proteus spp., Pseudomonas aeruginosa, Staphylococcus aureusは増加した。抗菌薬投与前後の感染症別菌分布については, 例年, 単純性尿路感染症で投与後における分離菌株数が投与前に比べかなり少ないが, 1998年は投与後での分離株数が増加した。因子・手術の有無別, 感染症別に分離菌をみると, 単純性およびカテーテル非留置複雑性尿路感染症ではE.coliは無で多く分離され, E.faecalisは有で多く分離された。カテーテル留置複雑性尿路感染症では因子・手術の有無による分離菌分布に違いはなかった。
  • 2000 年 53 巻 4 号 p. 249-260
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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