The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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53 巻, 5 号
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  • 池本 秀雄, 森 健, 猪狩 淳, 小栗 豊子, 寺井 継男, 井上 洋西, 中舘 俊英, 伊藤 忠一, 吉田 武志, 大野 勲, 岡田 信 ...
    2000 年 53 巻 5 号 p. 261-298
    発行日: 2000/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998年10月~1999年9月の間に全国16施設において, 下気道感染症患者438例から採取された検体を対象とし, 分離菌の各種抗菌薬に対する感受性及び患者背景などを検討した。これらの検体 (主として喀痰) から分離され, 起炎菌と推定された細菌532株のうち517株について感受性を測定した。分離菌の内訳はStaphylococcus aureus85株, Streptococcus pneumoniae100株, Haemophilus influenzae 96株, Pseudomonas aeruginosa (non-mucoid株) 75株, Pseudomonas aeruginosa (mucoid株) 6株, Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis 38株, Klebsiella pneumoniae 26株などであった。
    S. aureus 85株のうちOxacillinのMICが4μg/ml以上の株 (Methicillin-resistant S. aureus: MRSA) は60.0%を占めた。これらMRSAに対してVancomycinとArbekacinは強い抗菌力を示したが, ABKに対してMICが64μg/mlを示す耐性株が1株検出され, またVCMでも感受性株の減少が認められた。ペニシリンに低感受性を示す株 (Penicillin-intermediate S. pneumoniae: PISP+Penicillin-resistant S. pneumoniae: PRSP) の分離頻度は前年の30.9%から46.0%に増加したが, PRSPは減少しておりPISPが19.8%から39.0%に2倍近く増加した。S. pneumoniaeに対してはPanipenem, Imipenem, Faropenemの抗菌力が強くMIC80はいずれも0.125μg/ml以下であった。H. influenzaeM.(B.) catarrhalisは, 一部の薬剤を除き全般的に良好な感受性を示した。1997年に認められたこれらの菌のCeftazidimeに対する感受性の低下は1998年に回復した。P. aeruginosaに対してはムコイド産性株の6株を含めTobramycinの抗菌力が最も強かった。K. pneumoniaeはAmpicillinを除く各薬剤に対して良好な感受性を示したが, 1997年の成績と比較すると若干低感受性株が多くみられた。
    患者背景については, 年齢別の分布では80歳以上の症例が増加し, 70歳以上の高齢者は48.6%とほぼ半数を占めた。疾患別の頻度では細菌性肺炎が40.2%であり, 経年的に緩やかな増加傾向がみられ、特に症例数の多い70歳以上では1997年までに比べ約10%増加した。次に多いのが慢性気管支炎の27.6%であるが, 経年的には徐々に減少している。これら感染症からの抗菌薬投与前後における分離菌株数をみると, 慢性気管支炎では抗菌薬の投与により分離株数が半数以下に減少するが, 細菌性肺炎では投与前後での分離株数はほぼ同数であった。抗菌薬の投与の有無, 投与日数ごとの分離菌については, 投与前に多く分離された菌はS. pneumoniae26.7%, H. influenzae 23.8%, S. aureus 13.3%, M.(B.) catarrhalis 10.8%などであった。S. aureusは投与15日以上で減少したが, P. aeruginosaは薬剤投与により減少することはなく, 15日以上では45.5%分離された。S. pneumoniaeは投与により減少し, 15日以上では4.5%のみであったが, H. influenzaeは14日以内では4.8%まで減少するものの, 15日以上では25.0%と多く分離された。
  • その3. 感受性の推移
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 広瀬 崇興, 松川 雅則, 国島 康晴, 荻原 雅彦, 石橋 啓, 茂田 士郎, 渡辺 純子, 吉田 浩, 今福 ...
    2000 年 53 巻 5 号 p. 299-386
    発行日: 2000/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998年6月から翌年5月までの間に全国9施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Entmcoccus faecalis, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aeruginosa) を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1990~1997年と1998年の感受性を比較した。比較は菌種を単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症 (カテテル非留置とカテテル留置を含む) に分類して行った。 E. Faecalis では, ほとんどの薬剤に対して低感受性株の増加がみられた。 S. aums では単純性尿路感染症から分離された5株の感受性は Gentamicin (GM) に対して最も良好であった。複雑性尿路感染症でも50%以上のS.aureusが GM に良好な感受性を示したが, 逆に耐性株も増加し, MIC90は≥256μg/mlであった。また Arbekacin (ABK) に対しても複雑性尿路感染症で, 1996~1997年に比べ感受性の低い株が増加し, MIC90が1μg/mlから4μg/mlに低下した。Vancomycin (VCM) は前年までと変らず, 良好な感受性を維持していた。E. coliでは Minocycline (MINO) に対する感受性が1997年はそれ以前に比べ良好であったが, 1998年は単純性尿路感染症において1996年以前に戻った。また Ofloxacin (OFLX) の MIC90は感染症に拠らず1997年に比べ2~3段階低下した。 Klebsiella spp.では1997年にセフェム系薬剤に対して単純性尿路感染症で低感受性株が増加したが1998年はほとんど検出されなかった。 P.aeruginosa では1997年に比べ全般的に感受性株が増加し, Cefbzopran (CZOP) とOFLXは1990年以降でMIC50が最も良好であった。 CeRazidime (CAZ) でも前年までは僅かであったMICが0.5μg/mlの感受性株が約30%に増加した。一方 Piperacillin (PIPC), Cefbperazone (CPZ), GM, OFLXでは≥256μg/mlの耐性株も増加した。
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