The Japanese Journal of Antibiotics
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54 巻, 7 号
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  • 島田 馨, 中野 邦夫, 横内 弘, 池本 秀雄, 森 健, 猪狩 淳, 小栗 豊子, 寺井 継男, 井上 洋西, 中舘 俊英, 伊藤 忠一 ...
    2001 年 54 巻 7 号 p. 331-364
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1999年10月~2000年9月の間に全国16施設において, 下気道感染症患者430例から採取された検体を対象とし, 分離菌の各種抗菌薬に対する感受性及び患者背景などを検討した。これらの検体 (主として喀痰) から分離され, 原因菌と推定された細菌515株のうち506株について感受性を測定した。分離菌の内訳はStaphylococcus aureu78株, Strepto-coccus pneumoniae101株, Haemophilus influenzae104株, Pseudomonas aeruginosa (non-mucoid株) 58株, P. aeruginosa (mucoid株) 11株, Moraxella subgenus Branhamella ca-tarrhalis41株, Klebsiella pneumoniae18株などであった。
    S. aureus78株中OxacillinのMICが4μg/ml以上の株 (Methicillin-resistantS. aureus: MRSA) は57.7%を占めた。MRSAに対してVancomycinとArbekacinは強い抗菌力を示し, 1998年に認められたABK耐性株 (MIC: 64μg/ml) やVCM感受性株の減少は認められなかった。S. pneumoniaeのなかで, ペニシリンに低感受性を示す株 (Penicillin-intermediate S. pneumoniae: PISP+Penicillin-resistant S. pneumoniae: PRSP) の分離頻度は1998年の46.0%から34.7%に減少し, PRSPは1991年以降で最も少なく3.0%であった。また, S. pneumoniaeに対してはカルバペネム系薬剤の抗菌力が強く, 特にPanipenemは0.063μg/mlで全101株の発育を阻止した。H. influenzaeに対しては全般的に抗菌力は強く, いずれの薬剤もMIC80は4μg/ml以下であった。1998年にはOfloxacinのMIC分布は0.063~4μg/mlであったが, 1999年は全株のMICが0.125μg/ml以下であり, H. influenzaeに対して最も強い抗菌力を示した。P. aeruginosaに対してはTobramycinとCiprofloxacinの抗菌力が強く, MIC80は1μg/mlであった。ムコイド産生株の分離株数は11株と少なかったが, 非産生株に比べ各薬剤に対する感受性は良好であった。K. pneumoniaeはAmpicillinを除く各薬剤に対して良好な感受性を示し, 1998年に比べ低感受性株も少なかった。M.(B.) catarrhaliSに対しても全般的に抗菌力は強く, いずれの薬剤もMIC80は2μg/ml以下であった。最も強かったのはImipenemであり, 0.063μg/mlで全41株の発育を阻止した。
    患者背景については, 年齢別分布では増加傾向にあった80歳以上の症例が1999年は減少したものの, 70歳以上の高齢者は47.0%と前年に続きほぼ半数を占めた。疾患別の頻度では細菌性肺炎と慢性気管支炎が多く, それぞれ37.9, 30.5%であった。1999年は例年に比べ気管支喘息が多く, 気管支拡張症とほぼ同じで約10%みられた。これら感染症からの抗菌薬投与前後における分離菌株数をみると, 細菌性肺炎では前年と同様に投与前後でほぼ同数であったが, 慢性気管支炎では前年は投与後において半数以下に著しく減少したが, 1999年は3分の2に減少したに留まった。抗菌薬の投与の有無, 投与日数ごとの分離菌については, 投与前に多く分離された菌はH. influenzae 28.4%, S. pneumoniae 25.7%, M.(B.) catarrhalis 12.0%, S. aureus 10.6%などであった。S. aureusは投与15日以上では投与前の分離頻度とほぼ同じであったが, P. aeruginosaは36.8%と投与前に比べ多く分離された。S. pneumoniaeは投与により減少し, 投与終了後では全く分離されなかったが, H. influenzaeは3日以内では7.1%まで減少するものの, 終了後では21.4%と多く分離された。
  • 福岡 隆, 井上 晴美, 阿部 友美, 大屋 哲
    2001 年 54 巻 7 号 p. 365-371
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP: MIC of benzylpenicillin, ≥1.56μg/ml) による実験的マウス肺感染に対するpanipenem/betamipron (PAPM/BP) の効果をimipenem/cilastat(IPM/CS), meropenem (MEPM), cefbzopran (CZOP), ceftriaxone (CTRX), ampicillin (ABPC) およびvancomycin (VCM) と比較した。PRSPの臨床分離菌株9601 (血清型6型) または10693 (血清型19型) をddY系, 雄マウスに経鼻的に接種して感染を惹起した。感染18, 26, 42および50時間後に0.4, 2および10mg/kgの薬剤を皮下投与し, 感染66時間後に肺内の生菌数を測定した。本感染モデルに対してPAPM/BPは検討薬剤中最も優れた効果を示した。PRSP9601および10693に対するPAPMのMICsはそれぞれ0.125μg/mlであり, IPM (それぞれ0.25および0.5μg/ml), MEPM (それぞれ0.5および1μg/ml), CZOP (それぞれ2および1μg/ml), CTRX (それぞれ1μg/ml), ABPC (それぞれ4μg/ml) およびVCM (それぞれ0.5および0.25μ/ml) よりも優れていた。これらの結果から, PAPM/BPの優れたinvivo抗菌力はPAPMの優れたinvitro抗菌力が反映されたと考えられた。
    臨床分離penicillin-susceptible S. pneumoniae (PSSP: MICofbenzylpenicillin, ≤0.05μ/ml), penicillin-intermediate S. pneumoniae (PISP: MIC of benzylpenicillin, 0.1~0.78μg/ml) およびPRSPに対するPAPM, IPM, MEPMおよびCZOPのMICsを寒天平板希釈法により測定した。これらのPSSP, PISPおよびPRSPに対する薬剤のMIC90sはそれぞれPAPMが0.012, 0.05および0.39μg/ml, IPMが≤0.006, 0.1および0.78μg/ml, MEPMが0.05, 0.39および156μg/mlおよびCZOPが0.2, 0.78および6.25μg/mlであった。このように, PISPおよびPRSPの臨床分離株に対してPAPMは検討薬剤中, 最も優れた抗菌力を示した。
  • 宮田 愛子, 荒明 美奈子, 小川 弘, 花木 秀明, 平松 啓一
    2001 年 54 巻 7 号 p. 372-381
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    TSST-1産生methicillin-resistant Staphylococcus aureusを使用し, 抗MRSA薬であるarbekacin (ABK), vancomycin (VCM), teicoplanin (TEIC) のTSST-1産生に及ぼす作用を検討した。対数増殖期の菌に対してTSST-1産生量は各1/4MIC濃度で, ABK, VCM, TEICの順に85%, 10%, 25%減少した。定常期の菌に対して, ABKは4.0μg/ml作用で50%, 5.0μg/mlで90%の減少が認められたがVCM, TEICでは8.0μg/mlまで抑制作用は認められなかった。また, 血液中での作用を検討したところ, ABKでは最高血清中濃度 (Cmax) の1/256 (0.04μg/ml), 1/64 (0.15μg/ml) 濃度でそれぞれ50%, 75%に減少したが, VCMとTEICは1/16Cmax (VCM: 3.1μg/ml, TEIC: 4.48μg/ml) でもTSST-1の減少は確認できなかった。ABKはMRSAに対しVCM, TEICに比べ優れた殺菌力と上記のTSST-1産生抑制作用により, MRSA感染症に対する臨床上の優れた有用性が期待できると考えられた。
  • 南大阪シンポジウムより
    長坂 行雄
    2001 年 54 巻 7 号 p. 382-400
    発行日: 2001/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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