The Japanese Journal of Antibiotics
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55 巻, 1 号
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  • その1.グラ厶陽性菌
    猪狩 淳, 小栗 豊子, 平松 信祥, 秋山 計充, 小山 常雄
    2002 年 55 巻 1 号 p. 1-21
    発行日: 2002/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフェム系抗菌薬cefozopran (CZOP) の臨床分離株に対する市販後の抗菌力を調査し, その他のセフェム系, オキサセフェム系, ペニシリン系, 並びにカルバペネム系抗菌薬の抗菌力と比較した。さらにbreakpointMICから算出された耐性率を基に, 感受性の年次推移を検討した。対象とした臨床分離株は, 1996年から2000年の間に臨床材料から分離されたグラム陽性菌: メチシリン感受性Staphylococou saureus (MSSA), メチシリン耐性S. aureus (MRSA), メチシリン感受性Staphylococcus epidermidis (MSSE), メチシリン耐性S. epidermidis (MRSE), Staphylococcus haemolyticus, Staphylococcus saprophyticus, Enterocoocus faeoalis, Enterococcus faeoium, Enterococcus avium, Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae, ペニシリン感受性Streptococcus pneumoniae (PSSP), ペニシリン中等度耐性S. pneumoniae (PISP), ペニシリン耐性S. pneumoniae (PRSP), S. millerigroup並びにPeptostreptococcus spp.の16菌種1,913株である。
    MSSAおよびMSSEに対するCZOPの抗菌力は, 他のセフェム系薬剤とほぼ同等で, MRSEに対しても優れた抗菌力を示したが, MRSAに対する抗菌力は弱かった。S. haemolyticusに対するCZOPの抗菌力は, 他のセフェム系薬剤同様に強力なものではなかった。CZOPのS. soprophyticusに対する抗菌力は, 他のセフェム系薬剤に比較して同等, あるいは強力であった。CZOPのE. faecalisに対する抗菌力は, cefbirome (CPR) と同等で, 他のセフェム系薬剤よりも強力であった。E. faeciumおよびE. aviumに するCZOPの抗菌力は, 他の薬剤と同様にほとんど認められなかった。CZOPのS. pyogenesに対する抗菌力は, cefotiam (CTM), cefepime (CFPM) およびCPRと同様に非常に強力であった。S. agalactiaeに対するCZOPの抗菌力も良好であった。PSSP, PISP, 並びにPRSPに対するCZOPの抗菌力は他のセフェム系薬剤より強力であった。“S. milleri” groupに対する抗菌力はbenzylpenicillinが最も強かったが, CZOPを含めたセフェム系薬剤も良好な抗菌力を示した。CZOPのPeptostreptococcus spp.に対する抗菌力は良好であったが, cefazolin (CEZ), CTM, cefmetazole (CMZ) よりも弱いものであった。CZOPのbreakpoint MICに基づく各菌種の耐性率を算出した結果, MRSAが96.5%, PRSPが93.1%, PISPが60.0%, S. haemolyticus が40.3%, E. faecalisが22.3%, MRSEが15.9%の耐性率を示した。この耐性率の結果は, CFPMとほぼ同等であったが, cFPMに対してE. faecalisは90.8%の耐性率を示しており, E. faecalisに対してはCZOPの良好な抗菌力が維持されていることが明らかであった。
    今回の5年間にわたる調査結果から, グラム陽性菌に対するCZOPの抗菌力に大きな経年的変動は認められなかったが, PISPおよびPRSPのCZOPに対する感受性が低下している可能性が示唆された。
  • その2. グラム陰性菌
    猪狩 淳, 小栗 豊子, 平松 信祥, 秋山 計充, 小山 常雄
    2002 年 55 巻 1 号 p. 22-60
    発行日: 2002/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフェム系抗菌薬cefozopran (CZOP) の 臨床分離株 に対する市販後の抗菌力を調査し, その他のセフェム系, オキサセフェム系, パ ニシリン系, モノバクタム系, 並びにカルバペネム系抗菌薬の抗菌力と比較した。さらにbreakpoint MICに基づく耐性率から, 感受性の年次推移を検討した。対象とした臨床分離株は, 1996年から2000年の間に得られた臨床材料から分離されたグラム陰性菌: Moraxella (Branhamella) catarrhalis influenzae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Klebsiella oxytoca, Enterobacter cloacae, Enterobacter aerogenes, Serratia marcescens, Serratia liquefaciens, Citrobacter freundii, Citrobacter koseri, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia spp., Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas fluorescens, Pseudomonas putida, Acinetobacter baumannii, Acinetobacter lwoffii, Burkholderia cepacia, Stenotrophomonas maltophilia, Baoteroides fragilis group, 並びにPrevotella/Porphyromonasの25菌種3,362株であった。
    E. coli, K. pneumoniae, K. oxytoca, 並びにS. marcesoensに対しては, CZOPは強い抗菌力を示しており, 承認時までの調査成績と同等, あるいはより良好な成績であった。B. catarrhalis, C. koseriおよびP. aeruginosaに対してもMIC90に大きな変動はなく, 承認時までの調査成績と同等の抗菌力が確認された。
    E. cloacae, E. aerogenes, 並びにP. mirabilisに対しては, MIC90の経年的上昇がみられたが, E. aerogenesP. mirabilisでは明らかな感受性低下に結びつくものではなかった。一方, E. cloacaeはCZOPに対して20.6%が耐性を示したことからも, CZOPに対する感受性低下が示唆された。C. freundiiに対しては, CZOPのMIC90は変動が大きく, 一定の傾向は観察されなかったものの, 承認時までの調査成績に比べると高値であった。同様にH. influenzaeに対してもCZOPのMIC90は1999年のみが上昇し, その他は安定していたが, いずれも承認時までの調査成績と比較して若干高値であった。
    P. fluorescens, P. putida, B. cepacia, S. maltophilia, B. fragilisgroup, 並びにPrevotella/Porphyromonasに対するCZOPの抗菌力は, 他のセフェム系薬剤と同様に弱かった。その他の菌種では, 5年間を通してMIC90に2管以上の変動がみられたが, 感受性の低下を示すような一定の傾向は認められなかった。
  • 山田 博司, 高畑 正裕, 南 新三郎
    2002 年 55 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2002/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Piperacillin耐性でTazobactam/Piperacillin (TAZ/PIPC) 感受性のPseudomonas aeruginosa, Klebsiella pneumoniae, Escherichia coli及びMethicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA) に対するTAZ/PIPCとアミノ配糖体系抗生物質Amikacin (AMK) 及びIsepamicin (ISP) とのin vitro併用効果をCheckerboarddilution法により検討し, 以下の成績を得た。
    1.TAZ/PIPCとAMKの併用において, P.aeruginosa66.7%, K.pneumoniae9.1%の株で相乗効果が認められた。一方, E.coli及びMSSAでは相乗効果はみられなかったものの, 各々76.9%, 74.1%の株で相加効果が認められた。また, 4菌種いずれにおいても拮抗作用はみられなかった。
    2.TAZ/PIPCとISPの併用において, P.aeruginosa61.9%, K.pneumoniae22.7%の株で相乗効果が認められた。一方, E.coli及びMSSAでは相乗効果はみられなかったものの, 各々84.6%, 66.7%の株で相加効果が認められた。また, 4菌種いずれにおいても拮抗作用はみられなかった。
    以上, TAZ/PIPCとアミノ配糖体系抗生物質の併用療法は, 上記4菌種が原因菌となる敗血症に対する化学療法の一つの選択肢になり得るものと考えられた。
  • 平石 徹, 宮田 愛子, 高田 利彦, 荒明 美奈子, 小川 弘, 後藤 直正, 西野 武志
    2002 年 55 巻 1 号 p. 67-76
    発行日: 2002/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗菌薬排出システム変異緑膿菌に対するbiapenemの短時間殺菌作用をimipenem, panipenem, meropenemおよびceftazidimeのそれと比較した。Pseudomonas aeruginosa PAO1株に対してbiapenemは他抗菌薬に比較し優れた殺菌作用を示した。MexAB-OprM, MexCD-OprJおよびMexXY-OprMのすべてが発現していないP. aeruginosa KG5001に対して, biapenemはPAO1株に対するのと同様に, 強い殺菌作用を示したが, imipenem 0.5μg/ml作用では作用4時間目以降に再増殖が認められ, meropenemではbiapenemほど強い殺菌作用は観察されなかった。またMexAB-OprM過剰発現株P. aeruginosa KG5003に対してはmeropenem, ceftazidimeの殺菌作用は弱く, MexCD-OprJ過剰発現株P. aeruginosa KG5007に対しては検討した濃度の範囲ではbiapenemのみで殺菌作用が認められた。MexXY-OprM過剰発現株P. aeruginosa KG5005に対して検討した抗菌薬はすべてKG5001株に対する場合と同様の殺菌作用を示した。実験に使用したいずれの株に対してもpanipenemの殺菌作用は弱いものであった。以上のように, biapenemは3種の排出ポンプの影響をうけず, 緑膿菌の抗菌薬排出変異株に対して強い殺菌作用を示すことが分かった。
  • 牧野 純子, 吉山 友二, 菅家 甫子, 柴崎 敏昭, 中島 恵美, 鎌田 正広, 小澤 定延, 丸山 寛迪, 増原 慶壮, 小林 輝明
    2002 年 55 巻 1 号 p. 77-88
    発行日: 2002/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    胸膜炎のうち細菌性胸膜炎はもちろん, 他の胸膜炎においても二次的な感染併発を認めることがあり, 適切な抗菌薬投与が必要とされる。抗菌薬を全身投与した後の胸水中への良好な移行を確保することは感染治療において重要である。今回, 胸膜炎に起因する胸水貯留を認めて胸腔ドレーンを留置し, 肺炎や気道感染等の理由でカルバペネム系抗菌薬のmeropenem (MEPM) が静脈内点滴投与された患者を対象として, MEPM投与後の血中ならびに胸水中薬物動態を検討した。対象患者6症例のMEPM0.5g静脈内点滴投与におけるMEPMの血中薬物動態パラメータは, AUC (血中濃度-時間曲線下面積) 37.9±6.2 (hr・μg/mL), Vd (分布容積) 27.3±4.4 (L), CLtotal (全身クリアランス) 13.4±1.8 (L/hr), t1/2 (消失半減期) 0.50±0.08 (hr-1), kel (消失速度定数) 1.42±0.22 (hr) であった。また, MEPMの胸水中薬物動態パラメータは, AUC35.7±7.1 (hr μg/mL), MRT (平均滞留時間) 5.00±3.25 (hr), VRT (体内滞留時間の分散) 29.9±44.6 (hr2), kel0.34±0.27 (hr-1), t1/23.14±2.36 (hr) であった。患者個々の胸水中および血中濃度比から算出した移行率46.5±26.1%となり, 他の抗菌薬の文献値と同等以上の良好な移行性を示した。以上, MEPMは胸水貯留患者の胸水中に速やかに移行することが初めて明らかになるとともに, 血中よりも胸水中に長時間滞留し得ることから, 胸膜炎で胸水貯留を認める患者の抗菌療法におけるMEPMの有用性が示唆された。
  • 2002 年 55 巻 1 号 p. 89-138
    発行日: 2002/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 55 巻 1 号 p. C1-
    発行日: 2002年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Vol. 54 No. 9
    修正箇所:著者名
    修正内容:
    (誤) MIKIO BANZAI,SATOSHI SATOU
    (正) MICHIO BANZAI,SATOSHI SATO
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