2002年から2003年に成人および小児患者の呼吸器, 尿路, 婦人科領域由来材料より分離された
Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Escherichia coli, Klebsiel pneumoniae, Haemophilus influenzae, Branhamella catarrhalis各々40株および
Peptostreptococcus spp. 22株を対象に, 経口セフェム系薬6剤の抗菌力を測定した。なお, 近年耐性化が問題視されている
S. pneumoniaeおよび
H. influenzaeについては, penicillin intermediate
S. pneumoniae (PISP), penicillin-resistant
S. pneumoniae (PRSP) また, β-lactamasenegative ampicillin-resistant
H. influenzae (BLNAR) 株を中心に収集し検討した。
S. pyogenesに対し, cefaclor (CCL) を除きセフェム系薬のMICは全株≤0.03μg/mLと良好な抗菌力を示した。
Peniciliin-susceptible
S. pneumoniae (PSSP) 7株に対し, 全ての薬剤が良好な抗菌力を示し, cefteram (CFTM), cefditoren (CDTR) のMICは全株0.125μg/mL以下の強い抗菌力を示した。PISPとPRSPを合わせた耐性株に対する抗菌力は, いずれの薬剤もPSSPに比べMICの上昇がみられた。CDTRのMIC
90が1μg/mL, CFTM, cefeapene (CFPN) が2μg/mLと, 他のセフェム系薬に比べると良好な抗菌力を保っていた。
E. coliに対し, セフェム系薬のMIC
90は0.5~8μg/mLと薬剤間に差がみられた。CFTMのMIC
90が0.5μg/mL, CDTR, CFPNが1μg/mLと良好な抗菌力を示した。また, CCLのMICが32μg/mL以上を示す高度耐性株が4株認められ, これに対し, 他のセフェム系薬もMICは上昇する傾向を示した。
K. pneumoniaeに対し, セフェム系薬のMIC
90は0.25~1μg/mLと良好な抗菌力を示した。なお, amoxicillin (AMPC) のMICは全株16μg/mL以上であった。
H. influenzae 40株のうち, β-lactamase negative ampiciilin-susceptible
H. influenzae 23株に対する各薬剤のMIC
90は, CCLが64μg/mLと高値を示し, 他のセフェム系薬でも0.25~8μg/mLと差がみられた。BLNAR 15株に対しては, CDTR, CFTMは全株MIC 1μg/mL以下の優れた抗菌力を示したが, cefdinir (CFDN), cefpodoxime (CPDX) てはMIC
90は8μg/mLを示し, CCLでは全株が16μg/mL以上のMICを示した。β-lactamase産生2株はABPC高度耐性株であった。
B. catarrhalisは全株β-lactamase産生株であり, セフェム系薬はAMPCと比較するとCCLを除き比較的良好な抗菌力を保っていた。
Peptostreptococcus spp. のMIC
90は0.25~2μg/mLであった。
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