The Japanese Journal of Antibiotics
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57 巻, 3 号
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  • 島田 馨, 中野 邦夫, 猪狩 淳, 小栗 豊子, 池本 秀雄, 森 健, 横内 弘, 山本 真, 井上 洋西, 中舘 俊英, 諏訪部 章, ...
    2004 年 57 巻 3 号 p. 213-245
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2002年10月-2003年9月の間に全国16施設において, 下気道感染症患者476例から採取された検体を対象とし, 分離菌の各種抗菌薬に対する感受性および患者背景などを検討した。これらの検体 (主として喀痰) から分離され, 原因菌と推定された細菌584株のうち578株について薬剤感受性を測定した。分離菌の内訳はStaphylococcus aureus77株, Streptococcus pneumoniae103株, Haemophilus influenzae95株, 非ムコイド型Pseudomonas aeruginosa61株, ムコイド型P. aeruginosa23株, Klebsiella pneumoniae36株, Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis29株などであった。
    S. aureus77株のうち, Oxacillin (MPIPC) のMICが2μg/mL以下の株 (Methicillinsusceptible S. aureus: MSSA) は34株 (44.2%), OxacillinのMICが4μg/mL以上の株 (Methicillin-resistant S. aureus: MRSA) は43株 (55.8%) であった。MSSAに対しては, Imipenem (IPM) およびMinocycline (MINO) の抗菌力が最も強く, 0.25μg/mLで全菌株の発育を阻止した。Clindamycin (CLDM) およびアミノグリコシド系抗菌薬の抗菌力も強かったが, 耐性株が検出された。Cefbtiam (CTM) は1μg/mLで全菌株の発育を阻止し, 良好な抗菌力を示し, 耐性株も検出されなかった。MRSAに対してはVancomycin (VCM) の抗菌力が最も強く, 2μg/mLで全菌株の発育を阻止した。Afbekacin (ABK) の抗菌力も比較的良好で, 4μg/mLで全菌株の発育を阻止した。S. Pneumoniaeに対する抗菌力はカルバペネム系抗菌薬が最も強く, 0.25-0.5μg/mLで全菌株の発育を阻止した。Cefbzopran (CZOP) の抗菌力も良好で, MIC90は1μg/mLであり, 2μg/mLでは全菌株の発育を阻止した。これに対して, Cefaclor (CCL), Erythromycin (EM), CLDM, およびTetracycline (TC) では耐性株が, それぞれ50.5%, 76.7%, 50.5%, 80.6%にみられた。
    H. influenzaeに対する抗菌力はLevofloxacin (LVFX) が最も強く, 0.063μg/mLで96.8% (92/95) の発育を阻止した。ムコイド型および非ムコイド型P. aeruginosaに対して, Tobramycin (TOB) が最も強い抗菌力を示し, 2μg/mLで全菌株の発育を阻止した。CZOPの抗菌力も比較的良好で, ムコイド型P. aeruginosa, 非ムコイド型P. eruginosaに対するMIC90はそれぞれ8μg/mL, 16μg/mLであった。K. pneumoniaeに対する抗菌力はCZOPおよびCefbirome (CPR) が最も強く, MIC90は0.125μg/mLであった。M.(B.) catarrhalis に対しては, いずれの薬剤も比較的強い抗菌力を示し, MIC90はすべて4μg/mL以下であった。
    呼吸器感染症患者の年齢は, 70歳以上が全体の47.5%とほぼ半数を占めた。疾患別では細菌性肺炎と慢性気管支炎の頻度が高く, それぞれ35.7%, 33.8%であった。細菌性肺炎患者から多く分離された菌はS. pneumoniae (22.6%) であった。一方, 慢性気管支炎患者からはS. aureus (16.6%) およびP. aeruginosa (13.7%) が比較的多く分離された。抗菌薬投与前の症例で, 呼吸器感染症患者から多く分離された菌は, H. influenzaeおよびS. pneumoniaeで, その分離頻度はそれぞれ24.5%および24.2%であった。前投与抗菌薬別に分離菌種を比較したところ, 前投与抗菌薬がセフェム系あるいはマクロライド系抗菌薬であった症例では, P. aeruginosaが比較的多く分離され, ペニシリン系抗菌薬ではH. influenzaeが比較的多く分離された。
  • その1.感受性について
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 松川 雅則, 国島 康晴, 広瀬 崇興, 山口 脩, 石橋 啓, 茂田 士郎, 錫谷 達夫, 吉田 浩, 今福 ...
    2004 年 57 巻 3 号 p. 246-274
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2002年8月から2003年7月までの間に, 全国13施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。 尿路感染症患者491症例から分離され, 起炎菌と推定され感受性を測定できたものは578株で, その内訳はグラム陽性菌が177株 (30.6%), グラム陰性菌が401株 (69.4%) であった。 Staphylococcus aureusに対する抗菌力はVancomycin (VCM) の抗菌力が最も強く1μg/mLですべての菌株の発育を阻止した。 Staphylococcus epidermidisに対してはCefotiam (CTM) をはじめとするセフェム系薬剤の抗菌力は比較的良好であった。 Enterococcus faecalisに対してはAmpicillin (ABPC), Imipenem (IPM) およびVCMの抗菌力が最も強くMIC90は2-4μg/mLであった。 Clarithromycin (CAM) に対する高度耐性株 (MIC: ≥256μg/mL) が48.3%認められたが, Cefozopran (CZOP) に対しては, 全く認められなかった。 Escherichia coliに対するセフェム系薬剤の抗菌力は全般的に良好であった。 なかでも, CefPirome (CPR) およびCZOPは最も強力で, そのMIC90は0.125μg/mL以下であった。 また, キノロン耐性のE.coli株 [Ciprofloxacin (CPFX): MIC≥4μg/mL] が13.5%検出され, 前年度よりも増加した。 Citrobacter freundiilこ対するセフェム系薬剤の抗菌力は全般的に弱かったが, CZOPおよびCPRは非常に強力で, そのMIC90はそれぞれ0.25μg/mLおよび0.5μg/mLであった。 Klebsiellapneumoniaeに対するセフェム系薬剤の抗菌力は良好で, なかでも, Cefmenoxime (CMX), Cefixime (CFIX), Flomoxef (FMOX), CPRおよびCZOPは, 強力な活性を示し, そのMIC90は0.125μg/mL以下であった。 Serratia marcescensに対しては, Meropenem (MEPM) が最も強く, ついでCPR, CZOPの順に強力であった。 Proteus mirabilisに対する抗菌力は, CMX, Ceftazidime (CAZ), CPR, MEPM, Carumonam (CRMN) およびLevofloxacin (LVFX) が最も強く, そのMIC90は0.125μg/mL以下であった。 セフェム系薬剤では, CMX, CPR, CAZについでCZOPおよびCFIXが強力で, そのMIC90は0.25μg/mLであった。 Pseudomonasaeruginosaに対する各種薬剤の抗菌力は全般的に弱く, IPMおよびAmikacin (AMK) のMIC90が16μg/mLであった以外は, いずれの薬剤も64-≥256μg/mLであったが, CZOPの抗菌力は比較的良好 (MIC50: 8μg/mL) であった。
    我々は, 泌尿器科領域において重要な疾患である尿路感染症について, 1979年以来, 分離菌の頻度, 各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 患者背景および感受性の経年的変動について検討を続けてきた1~23)。
    本年も若干の知見を得る事ができたので, その1では感受性, その2では患者背景, その3では感受性の推移について報告する。
  • その2. 患者背景
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 松川 雅則, 国島 康晴, 広瀬 崇興, 山口 脩, 石橋 啓, 茂田 士郎, 錫谷 達夫, 吉田 浩, 今福 ...
    2004 年 57 巻 3 号 p. 275-287
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2002年8月から2003年7月までの間に全国13施設において尿路感染症と診断された491症例から分離された615菌株を供試し, その菌種の分離頻度を患者背景別に比較した。患者背景は, 性別, 年齢, 感染症, 抗菌薬投与時期, 感染防御能低下に影響を及ぼす因子・手術 (以下因子・手術) の有無であった。
    年齢あるいは性別と感染症の関連についてみると, 男性の症例は50歳未満が少なく, 感染症別ではカテーテル非留置複雑性尿路感染症が多い傾向にあった。今回, 最も多く分離された菌種はEscherichia coliで, つぎに比較的多かったものがPseudomonas aeruginosaおよびEnterococcus faecalisであった。E. coliは単純性尿路感染症に比し, 複雑性尿路感染症での分離頻度は少なく, P. aeruginosaは複雑性尿路感染症での分離頻度が高かった。E.faecalisは単純性尿路感染症よりも複雑性尿路感染症で高頻度に分離される傾向にあった。これらを年齢別にみると, 単純性尿路感染症では, いずれの年齢層においてもE. coliの分離頻度が最も高く, 20-49歳では70.8%を占めた。また, カテーテル非留置複雑性尿路感染症においては, E. coliの分離頻度は加齢とともに減少し, 70歳以上の症例では, E.coliの分離頻度はE. faecalisより低かった (18.3 vs 20.6%) 。カテーテル留置複雑性尿路感染症におけるE. coliの分離頻度は, いずれの年齢層でも, 単純性尿路感染症における分離頻度より低く, P. aeruginosaおよびE. faecalisの分離頻度は高かった。分離菌を抗菌薬投与前後で比較すると, いずれの感染症においても, E. coliは投与後で少なく, P. aeruginosaは投与後に多く分離された。分離菌を因子・手術の有無別に比較すると, いずれの感染症においても, E. coliは因子・手術無で多く分離され, P. aeruginosaは因子・手術有で多く分離された。E. faecalisは, 単純性尿路感染症およびカテーテル非留置複雑性尿路感染症では因子・手術有で多く分離され, カテーテル留置複雑性尿路感染症では因子・手術無で多く分離された。
  • 新井田 昌志, 榊原 四郎, 川畑 敏枝, 前橋 一紀, 高田 利彦, 疋田 宗生
    2004 年 57 巻 3 号 p. 288-293
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    MRSAと緑膿菌との混合培養系およびマウス混合全身感染モデルに対するarbekacin (ABK) とbiapenem (BIPM) の併用効果について検討した。その結果, MRSAと緑膿菌のin vitro混合培養系では, ABK (1/2 MIC) とBIPM (1/4および1/2 MIC) の併用によりMRSAに対して単剤作用に比して優れた併用効果を示した。一方, 緑膿菌に対してもABK (1/2MIC) とBIPM (1/4および1/2MIC) の併用では, 薬剤作用2時間後の生菌数は測定限界以下になり, 優れた併用効果がみられた。またマウス混合全身感染モデルに対するABKとBIPM併用群では単独群に比べ優れた治療効果を示した。
  • 2004 年 57 巻 3 号 p. 295-310
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 57 巻 3 号 p. C1-
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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