The Japanese Journal of Antibiotics
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58 巻, 2 号
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  • 三國谷 雄, 平石 徹, 前橋 一紀, 井田 孝志, 高田 利彦, 疋田 宗生, 山田 作夫, 後藤 直正, 西野 武志
    2005 年 58 巻 2 号 p. 105-122
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回我々は, fosfomycin (FOM) の術後感染予防薬としての可能性を探る目的で, FOMならびに術後感染予防に汎用されている各種β-ラクタム系抗菌薬 (cefazolin (CEZ), cefotiam (CTM), cefmetazole (CMZ), およびpiperacillin (PIPC)) との間での抗菌スペクトル, β-ラクタマーゼ産生株および薬剤排出ポンプ変異株に対する抗菌活性について比較検討した。さらに, AmpC型β-ラクタマーゼ誘導能についても検討した。
    標準菌株のうち, 好気性菌に対するFOMの抗菌力は, glucose-6-phosphate (G6P) をMueller-Hinton agar (MHA) 培地に添加することでMHAに比べ22菌種36株中10菌種15株で2-128倍増強され, また, G6Pをnutrient agar (NA) 培地に添加することでNAに比べ18菌種28株中8菌種14株で2-256倍増強された。嫌気性菌に対するFOMの抗菌活性はG6Pの影響を受けなかった。一方, G6P存在下でβ-ラクタム系抗菌薬に対する感受性が2倍以上変化した好気性菌ならびに嫌気性菌は認められなかった。G6P添加Mueller-Hinton brothで生育したEscherichia coli, Pseudomonas aeruginosaに対し, FOMは濃度依存的な殺菌作用を示し, 4MIC作用2時間後のP.aeraginosaの透過型電子顕微鏡像では細胞質分離が観察された。また, Staphylococcus aureusに対しては薬剤作用時に比べ, 生菌数が約1/100に減少した。P. aeruginosa PAO1株ならびにEnterobacter cloacae ATCC13047株に対し, セフェム系薬は濃度依存的にAmpC型β-ラクタマーゼを誘導したが, FOMによる誘導量はセフェム系薬の1/25-1/65であった。また, β-ラクタマーゼ産生遺伝子導入実験株に対しβ-ラクタム系抗菌薬ではMICの上昇が認められたが, FOMは各クラスのβ-ラクタマーゼの影響を受けず親株と同等のMICを示し, 各種β-ラクタマーゼ産生臨床分離株に対しても他剤に比べ概して低いMICを示した。P. aenuginosaの代表的な薬剤排出ポンプであるMexAB-OprM, MexCD-OprJ, MexXY/OprMならびにMexEF-OprNの過剰発現株あるいは欠損変異株を用いた感受性試験の結果, FOMはいずれの排出ポンプの基質にはならないことが示されたが, β-ラクタム系抗菌薬はMexAB-OprMの基質となり, MexCD-OprJからも排出されることが示唆された。
    以上の結果より, FOMは術後感染予防薬に求められているグラム陽性およびグラム陰性好気性菌に対する広範な抗菌スペクトルを有し, AmpC産生株の選択圧が低く, また, 緑膿菌の薬剤排出ポンプの基質にはならないことが示唆された。
  • 2003年度分離菌を中心に
    品川 長夫, 平田 公一, 桂巻 正, 秦 史壮, 牛島 康栄, 牛田 知宏, 相川 直樹, 葉 季久雄, 高山 忠利, 佐藤 毅, 加藤 ...
    2005 年 58 巻 2 号 p. 123-158
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から外科感染症分離菌に関する多施設共同研究を行ってきたが, ここでは2003年度 (2003年4月-2004年3月) の成績を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は254例であり, このうちの191例 (75.2%) から441株の細菌と14株の真菌が分離された。一次感染症から239株, 術後感染症から216株分離された。一次感染症では, 術後感染症と比較し, 嫌気性グラム陽性菌と好気性グラム陰性菌の分離率が高く, 術後感染症では, 一次感染症と比較し, 好気性グラム陽性菌の分離率が高かった。好気性グラム陽性菌については, 一次感染症でEnterococcus faecalisEnterococcus aviumなどのEnterococcus spp. の分離頻度が高く, 次いでStaphylococcus aureusであり, 術後感染症ではE. faecalisに次いでS.aureusの分離頻度が高かった。嫌気性グラム陽性菌では, 一次感染症, 術後感染症ともにPeptostreptococcus spp.が多く分離された。好気性グラム陰性菌では, 一次感染症からEscherichia coliの分離頻度が最も高く, 次いでKlebsiella pneumoniae, Enterobacter clocae, Pseudomonas aeruginosaなどであった。術後感染症からはE.coliの分離頻度が最も高く, 次いでP. aeruginosa, E. cloacae, K. pneumoniaeなどであった。嫌気 性グラム陰性菌では, 一次感染症および術後感染症ともBacteroides fragilis groupの分離頻度が高かった。年次的変動では, 一次感染症で嫌気性グラム陽性菌が, 術後感染症で好気性グラム陽性菌の分離頻度が高くなっていた。MRSAに対して, ABKに抗菌力の低下が認められた。VREは全集積期間を通じて認めず, 前年度10%に認められたCEZ高度耐性E.coliは認めなかった。カルバペネム耐性P. aeruginosaは10%以内であった。Enterococcus Spp.と嫌気性菌の増加については要注意と考えられる。
  • 三鴨 廣繁, 戸塚 恭一
    2005 年 58 巻 2 号 p. 159-167
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    モンテカルロシミュレーション法により, 大腸菌および緑膿菌に対するメロペネムの各種投与方法において各%T>MICが得られる確率を計算した。
    薬物動態パラメータは健常成人データより, MIC分布は各種注射用抗菌薬に対する2002年臨床分離株の感受性サーベイランスより引用した。大腸菌においては静菌効果が得られる30%T>MICと殺菌効果が得られる50%T>MICは全ての投与方法で高い値が得られたが, 緑膿菌においては1000mg (3時間点滴) 3回/day投与が最も高い確率が得られた。今後は臨床においてこれらの投与方法の検証が必要である。
  • 金澤 勝則, 上田 豊
    2005 年 58 巻 2 号 p. 168-178
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化膿性髄膜炎に対する併用療法の基礎検討として, β-lactamase非産生ampicillin耐性Haemophilus influenzae (BLNAR) およびペニシリン耐性Streptococcus pneumoniae (PRSP) に対するmeropenem (MEPM) と各種抗菌薬のin vitro併用効果を検討し, 以下の結果を得た。
    1. BLNAR23菌株を用いたChecker board法による検討の結果, MEPM+cefotaxime (CTX) 併用, MEPM+ampicillin (ABPC) 併用およびMEPM+rifampicin (RFP) 併用は, 相乗効果 (各々21株, 6株, 4株) あるいは相加効果 (各々2株, 17株, 19株) を示した。
    2. PRSP19菌株を用いたChecker board法による検討の結果, MEPM+CTX併用, MEPM+teicoplanin (TEIC) 併用およびMEPM+RFP併用は, 相乗効果 (各々5株, 8株, 1株), 相加効果 (各々14株, 11株, 17株) あるいは不関 (各々0株, 0株, 1株) を示した。
    3. BLNARに対するKilling curve法での検討の結果, MEPM+CTX併用およびMEPM+RFP併用では相乗的な殺菌効果が認められたが, MEPM+ABPC併用では, 殺菌効果が認められなかった。
    4. PRSPに対するKilling curve法での検討の結果, MEPM+CTX併用, MEPM+TEIC併用およびMEPM+RFP併用の何れにおいても, 相乗的あるいは相加的な殺菌効果が認められた。
    5. 何れの検討においても併用による拮抗現象は認められなかった。
    以上の結果から, BLNARおよびPRSPを起炎菌とする化膿性髄膜炎の治療法として, 今回検討したMEPMと各種抗菌薬の併用療法が有用であることが示唆された。
  • 2005 年 58 巻 2 号 p. 179-199
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 2005 年 58 巻 2 号 p. 200-208
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 2005 年 58 巻 2 号 p. 209-217
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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