The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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58 巻, 6 号
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  • 嶋田 甚五郎, 山口 惠三, 柴 孝也, 齋藤 厚, 守殿 貞夫, 横山 隆, 稲松 孝思
    2005 年 58 巻 6 号 p. 489-506
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 東梅 友美, 田中 淳司, 太田 秀一, 加藤 菜穂子, 梅原 伸太郎, 加畑 馨, 豊島 経康, 浅香 正博, 今村 雅寛
    2005 年 58 巻 6 号 p. 507-517
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々がすでに報告した好中球減少時の造血器悪性腫瘍患者におけるイトラコナゾール (ITCZ) カプセル剤200mg/日投与の真菌感染症予防効果の確認及び安全性の検試を目的として, 2001年4月から2004年3月までに当科に入院した同様の患者37症例を対象として非対照, プロスペクテイブ試験を実施した。ITCZ投与中の好中球減少 (<1000/μL) 例は, 31例 (83.8%)(20例 (54.1%) は, 最低値が100/μL未満) であり, そのうち一過性の監視培養陽性が12例 (うち1例は真菌抗原検査も陽性) 認められたが,真菌感染症の発症エピソードは全例において認められなかった。しかし, 監視培養陽性率はStageIII-IV期の悪性リンパ腫において認められた好中球減少持続期間の長さ及び好中球数最低値の低さと相関していた。ITCZの安全性については, ビンカアルカロイド系薬剤との相互作用によると思われる便秘2例 (54%) 及び痺れ2例 (5.4%) が認められたが, 併用薬の変更等により消失しており, ITCZ予防投与によると疑われる明らかな副作用は認められなかった。また, ITCZ血中濃度の測定は28症例で行われ, 投与開始10日前後のトラフ値の平均値は有効血中濃度 (250ng/ml) を超えていた。以上の結果より, 造血器悪性腫瘍患者におけるITCZ予防投与の有用性が示唆された。
  • その1.感受性について
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 松川 雅則, 国島 康晴, 広瀬 崇興, 茂田 士郎, 山口 脩, 石橋 啓, 錫谷 達夫, 吉田 浩, 今福 ...
    2005 年 58 巻 6 号 p. 518-543
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2003年8月から2004年7月までの間に, 全国14施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。尿路感染症患者565症例から分離され, 起炎菌と推定され感受性を測定できたものは701株で, その内訳はグラム陽性菌が258株 (36.8%), グラム陰性菌が443株 (63.2%) であった。
    Staphylococcus aureusに対する抗菌力は, Vancomycin (VCM) の抗菌力が最も強く2μg/mLですべての菌株の発育を阻止した。Streptococcus agalactiaeに対する抗菌力は, Ampicillin (ABPC), Cefozopran (CZOP), Imipenem (IPM), Clarithromycin (CAM) が最も強く, そのMIC90は0.125μg/mL以下であった。Enterococcus faecalisに対してはVCM, ABPC, IPMの抗菌力が良好であった。Escherichia coliに対するセフェム系薬剤の抗菌力は全般的に良好であった。なかでも, Cefpirome (CPR) およびCZOPは最も強力で, そのMIC90は0.125μg/mL以下であった。また, キノロン耐性のE.coli株 [Ciprofloxacin (CPFX): MIC≥4μg/mL] が15-7%検出され, 前年度よりも増加した。Klebsiella pneumoniaeに対してはMeropenem (MEPM) の抗菌力が最も強く, ついで, CRMNおよびCZOPの抗菌力が良好であった。その他のセフェム系薬剤の抗菌力は, 前年度に比較して, 著明に低下した。Serratia marcescensに対しては, MEPMが最も強かった。Proteus mirabilisに対する抗菌力は, MEPMおよびCRMNが最も強く, 0.125μg/mL以下の濃度ですべての菌株の発育を阻止した。ついで, CMX (Cefmenoxime), Ceftazidime (CAZ), Cefixime (CFIX), Cefpodoxime (CPDX), CPR, CZOP, Cefditoren (CDTR) が強力であった。Pseudomonas aeruginosaに対する各種薬剤の抗菌力は全般的に弱く, IPMおよびAmikacin (AMK) のMIC90が16μg/mLであった以外は, いずれの薬剤も32-≥256μg/mLであったが, CZOPの抗菌力は比較的良好 (MIC50: 2μg/mL) であった。
  • その2.患者背景
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 松川 雅則, 国島 康晴, 広瀬 崇興, 茂田 士郎, 山口 脩, 石橋 啓, 錫谷 達夫, 吉田 浩, 今福 ...
    2005 年 58 巻 6 号 p. 544-556
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2003年8月から2004年7月までの問に全国14施設において尿路感染症と診断された565症例から分離された719菌株を供試し, その菌種の分離頻度を患者背景別に比較した。患者背景は, 性別, 年齢, 感染症, 抗菌薬投与時期, 感染防御能低下に影響を及ぼす因子・手術 (以下因子・手術) の有無であった。
    年齢および性生別と感染症の関連についてみると, 男性の症例は50歳未満が少なく, 感染症別ではカテーテル非留置複雑性尿路感染症が多い傾向にあった。女性では男性に比べ20-39歳の症例が比較的多くみられた。感染症別では, 0-9歳および70-79歳を除くすべての年齢層で, 単純性尿路感染症の占める割合が高く, 44.4-91.7%であった。今回, 最も多く分離された菌種はEscherichia coliで, つぎに比較的多かったものが, Pseudomonas aeruginosaおよびEnterococcus faecalisであった。E.coliは単純性尿路感染症で最も多く, PaeruginosaおよびE.faecalisは複雑性尿路感染症のカテーテル留置例で多くみられた。これらを年齢別にみると, 単純性尿路感染症では, いずれの年齢層においてもE.coliの分離頻度が最も高く, 40%以上を占めた。また, カテーテル非留置複雑性尿路感染症においては, E.coliの分離頻度は加齢とともに減少したが, いずれの年齢層においても最も高い値を示した。カテーテル留置複雑性尿路感染症におけるE.coliの分離頻度は, いずれの年齢層でも, 単純性尿路感染症におけるより低く, P.aeruginosaおよびE.faecalisの分離頻度は, 高くなる傾向にあった。分離菌を抗菌薬投与前後で比較すると, いずれの感染症においても, P.aeruginosaは投与後に多く分離された。分離菌を因子.手術の有無別に比較すると, いずれの感染症においても, E.coliは因子.手術無で多く分離され, P.aeruginosaおよびE.faecalisは因子・手術有で多く分離された。
  • その3.感受性の推移
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 松川 雅則, 国島 康晴, 広瀬 崇興, 茂田 士郎, 山口 脩, 石橋 啓, 錫谷 達夫, 吉田 浩, 今福 ...
    2005 年 58 巻 6 号 p. 557-654
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2003年8月から2004年7月までの間に全国14施設において, 尿路感染症と診断された患者565症例から分離された菌株 (Staphylococcus aureus, Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aeruginosa) を供試し, 各種抗菌薬に対する感受性を測定した。菌株を単純性尿路感染症由来と複雑性尿路感染症由来 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む) の2群に分類し, 1994-2002年の感受性と比較した。
    S.aureusの薬剤感受性は, 2002年度までの成績と同等でVancomycin (VCM) が最も強い感受性を示した。E.faecalisの薬剤感受性も2002年度までの成績とほぼ同等であった。E.coliの薬剤感受性は, ペニシリン系薬剤を除き, 全般的に良好で, 2002年度までの成績とほぼ同等であった。セフェム系薬剤で最も良好な感受性を示したのはCefozopran (CZOP) およびCefpirome (CPR) で, そのMIC90はいずれも≤0.125μg/mLであった。Cefotiam (CTM) に対する感受性は10年間安定しており, MIC90は0.5μg/mL以下と良好であった。カルバペネム系薬剤およびCarumonam (CRMN) に対する感受性もCZOP同様に良好であつたが, キノロン系薬剤に対する複雑性尿路感染症群の感受性は, 2000年度以降低下しており, 耐性株の出現が示唆された。Klebsiella spp.は, いくつかのセフェム系薬剤に対して感受性の低下を示した。感受性の低下が大きかった薬剤は, Cefazolin (CEZ), CTM, Cefhclor (CCL), Cefpodoxime (CPDX) であった。カルバペネム系薬剤のImipenem (IPM) も感受性の低下を示した。その他の薬剤に対する感受性は, 2002年度までの成績とほぼ同等であり, なかでもCZOPの薬剤感受性は, Meropenem (MEPM) 同様に最も良好で, そのMIC90は単純性尿路感染症 (I群) で≤0.125μg/mL, 複雑性尿路感染症 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む・II群) で0.25μg/mLであった。P.aemginosaの薬剤感受性は全般的に低く, その薬剤感受性は, 2002年度までの成績と大きく異なるものではなかった。
  • メロペン特別調査 (全国感受性調査) 研究会
    山口 恵三, 石井 良和, 岩田 守弘, 渡邉 直樹, 上原 信之, 保嶋 実, 葛西 猛, 諏訪部 章, 山端 久美子, 賀来 満夫, 金 ...
    2005 年 58 巻 6 号 p. 655-689
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Meropenem (MEPM) をはじめとするカルバペネム系薬を中心に, 全国の医療機関30施設より収集した2004年の臨床分離株2889株 (グラム陽性菌1790株, グラム陰性菌907株, 嫌気性菌192株) に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 以下の結果を得た。
    1.MEPMのMIC90は, 腸内細菌科, Haemophilus influenzaeにおいて他のカルバペネム系薬に比較して殆どが2-5管低値であり, 特にグラム陰性菌全般に対し良好な抗菌力を示した。また, グラム陽性菌・嫌気性菌に対しても, MEPMは, methicillin-resistant Staphylococcus aureus等の一部の多剤耐性株を除く殆ど全ての臨床分離株に良好な抗菌力を示した。
    2.PseudomonasaeruginosaにおけるMEPM耐性株に対するimipenem (IPM) の交差耐性率は87.9%であったのに対し, IPM耐性株に対するMEPMの交差耐性率は49.2%であった。また, ciprofloxacin (CPFX) 耐性株に対するMEPMの交差耐性率も38.0%と低値であった。
    3.基質拡張型β-ラクタマーゼ (ESBL) 産生株が, Escherichia coliで4株 (3.1%), Citrobacter koseriで2株 (8.0%), Klebsiella pneumoniaeで3株 (2.5%), Enterobacter cloacaeで2株 (2.5%), Serratia marcescensで1株 (0.9%), Proteus mirabilisで2株 (2.2%) 認められた。また, メタロ-β-ラクタマーゼ産生株は, P.aeruginosaで5株 (1.6%) 認められた。
    4.前回実施した2002年臨床分離株での成績に比較して, MEPMのMIC90が2管以上上昇した菌種はPeptostreptococcus spp.(0.25μg/ml→1μg/ml) のみであり, MEPMに対する感受性に顕著な耐性化を認めなかった。
    以上より, MEPMは上市後9年以上を経過した時点においても, 広域かつ強力な抗菌力を維持しており, 依然として臨床的に有用性の高いカルバペネム系薬であるとの結論を得た。
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