2003年8月から2004年7月までの間に, 全国14施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。尿路感染症患者565症例から分離され, 起炎菌と推定され感受性を測定できたものは701株で, その内訳はグラム陽性菌が258株 (36.8%), グラム陰性菌が443株 (63.2%) であった。
Staphylococcus aureusに対する抗菌力は, Vancomycin (VCM) の抗菌力が最も強く2μg/mLですべての菌株の発育を阻止した。
Streptococcus agalactiaeに対する抗菌力は, Ampicillin (ABPC), Cefozopran (CZOP), Imipenem (IPM), Clarithromycin (CAM) が最も強く, そのMIC90は0.125μg/mL以下であった。
Enterococcus faecalisに対してはVCM, ABPC, IPMの抗菌力が良好であった。
Escherichia coliに対するセフェム系薬剤の抗菌力は全般的に良好であった。なかでも, Cefpirome (CPR) およびCZOPは最も強力で, そのMIC90は0.125μg/mL以下であった。また, キノロン耐性の
E.coli株 [Ciprofloxacin (CPFX): MIC≥4μg/mL] が15-7%検出され, 前年度よりも増加した。
Klebsiella pneumoniaeに対してはMeropenem (MEPM) の抗菌力が最も強く, ついで, CRMNおよびCZOPの抗菌力が良好であった。その他のセフェム系薬剤の抗菌力は, 前年度に比較して, 著明に低下した。
Serratia marcescensに対しては, MEPMが最も強かった。
Proteus mirabilisに対する抗菌力は, MEPMおよびCRMNが最も強く, 0.125μg/mL以下の濃度ですべての菌株の発育を阻止した。ついで, CMX (Cefmenoxime), Ceftazidime (CAZ), Cefixime (CFIX), Cefpodoxime (CPDX), CPR, CZOP, Cefditoren (CDTR) が強力であった。
Pseudomonas aeruginosaに対する各種薬剤の抗菌力は全般的に弱く, IPMおよびAmikacin (AMK) のMIC
90が16μg/mLであった以外は, いずれの薬剤も32-≥256μg/mLであったが, CZOPの抗菌力は比較的良好 (MIC
50: 2μg/mL) であった。
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