The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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59 巻, 4 号
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  • その3.感受性の推移
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 松川 雅則, 国島 康晴, 広瀬 崇興, 茂田 士郎, 山口 脩, 石橋 啓, 錫谷 達夫, 吉田 浩, 今福 ...
    2006 年 59 巻 4 号 p. 217-315
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2004年8月から2005年7月までの間に全国14施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Staphylococcus aureus, Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aeruginosa) を供試し, 各種抗菌薬に対する感受性を測定した。菌株を単純性尿路感染症由来と複雑性尿路感染症由来 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む) の2群に分類し, 1995-2003年の感受性と比較した。
    S.aureusの薬剤感受性は, 2003年度までの成績と同等で, Vancomycin (VCM) およびArbekacin (ABK) に対して最も強い感受性を示した。E.faecalisの薬剤感受性も2003年度までの成績とほぼ同等であった。E.coliのセフェム系薬剤に対する感受性は全般的に良好で, Cefbzopran (CZOP) のMIC90は1995年以降0.125μg/mL以下であり最も安定していた。Cefpirome (CPR) およびCefbtiam (CTM) に対する感受性も良好であったが, Cefaclor (CCL), Cefixime (CFIX), Cefbodoxime (CPDX) に対する複雑性尿路感染症群の感受性は大きく低下した。カルバペネム系薬剤に対する感受性も良好であったが, 前年度まで良好だったCarumonam (CRMN) に対する感受性は低下傾向を示した。また, キノロン系薬剤に対する感受性の変動は大きく, 単純性尿路感染症群では2003年以降, 複雑性尿路感染症群では2000年以降急激な低下を示しており, 耐性株の出現が示唆された。Klebsiella spp.の薬剤感受性は, 前年度Cefazolin (CEZ), CTM, CCL, CPDX, Cefditoren (CDTR) に対して低下したが, 本年度は前々年度のレベルにまで回復した。その他のセフェム系薬剤に対する感受性は, 1995年以降比較的安定しており, 特にCZOPに対して最も高い感受性 (MIC90≤0.125μg/mL) を維持している。カルバペネム系薬剤およびCRMNに対する感受性も良好であった。アミノグリコシド系薬剤に対する感受性はCZOPより低いものの1995年以降安定な推移を示している。P.aeruginosaの薬剤感受性は全般的に低く, その感受性は1995年以降ほとんどの薬剤で大きく変動している。単純性尿路感染症群に対してMIC90が大きく変動しているものは, Ceftazidime (CAZ), Cefsulodin (CFS), CZOP, Imipenem (IPM), Meropenem (MEPM), Aztreonam (AZT), CRMN, Gentamicin (GM) ならびにTobramycin (TOB) で, 複雑性尿路感染症群に対しては, CFS, CZOP, MEPM, GMならびにCiprofloxacin (CPFX) であった。Amikacin (AMK) に対する複雑性尿路感染症群の感受性は比較的安定していた。MIC50の年次推移からみて, 比較的安定して高い抗菌力 (MIC50: 0.5-2μg/mL) を有している薬剤はTOBついでIPMであった。
  • 松崎 薫, 大美賀 薫, 長谷川 美幸, 佐藤 弓枝, 小林 寅哲
    2006 年 59 巻 4 号 p. 316-320
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Nadifloxacin (NDFX) は, 大塚製薬が開発したfluoroquinolone系抗菌薬で, 皮膚科領域感染症の外皮用薬として用いられている。われわれは, 1996年, 2000年, 2005年の三期にわたり, 皮膚科由来感染症患者検体より分離したStaphylococcus属2菌種およびPropionibacteriumacnes計575株のNDFXおよび対照薬に対する感受性を検討した。
    薬剤感受性測定は, NDFX, levofloxacin (LVFX), clindamycin (CLDM) およびgentamicin (GM) の4薬剤を対象とし, 日本化学療法学会標準法に準じた寒天平板希釈法にて行った。
    Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA), methicillin-resistant S.aureus (MRSA), Staphylococcus epidermidisおよびP.acnesに対し, NDFXは試験抗菌薬のなかでもっとも強い抗菌活性を有し, 経年的な耐性化は認められなかった。2005年分離のこれら4菌群に対するNDFXのMIC90は, それぞれ0.05μg/mL, 1.56μg/mL, 0.78μg/mLおよび0.20μg/mLであった。一方, LVFX, CLDMおよびGMでは, MRSAにおいて耐性株が認められた。CLDMおよびGMのMRSAに対するMIC50は, それぞれ>100μg/mL, 25μg/mLであった。また, GMはP.acnesに対するMIC50は, 12.5μg/mLであったが, NDFXはいずれの菌種に対しても両薬剤に比較し高い活性を示し, そのMIC50は, MRSAに対し0.05μg/mL, P.acnesに対し0.20μg/mLであった。
    以上の成績からNDFXは, 1993年に製造販売が承認された後, 12年以上を経過した現在においても皮膚科領域感染症抗菌治療薬として有用であることが示唆された。
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