The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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60 巻, 1 号
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  • 砂川 慶介, 河野 茂, 相川 直樹, 青木 信樹
    2007 年 60 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2007/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 藤村 享滋, 吉田 勇, 山野 佳則
    2007 年 60 巻 1 号 p. 17-30
    発行日: 2007/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2005年に全国の一次医療機関由来の各種患者検体から得た臨床分離株 (好気性グラム陽性球菌6菌種550株, 好気性グラム陰性菌10菌種700株, 嫌気性菌3菌種150株) に対する経口抗菌薬のMICを測定し, 薬剤感受性を検討した。その結果, 好気性グラム陽性菌のStaphylococcus属, Streptococcus属に対して, セフェム系抗菌薬ではcefcapene (CFPN), cefditoren (CDTR), cefteram (CFTM) の抗菌力が強く, ニューキノロン系抗菌薬ではmoxifloxacin (MFLX) とtosufloxacinが強かった。試験菌株に対しニューキノロン系抗菌薬は全般に強い抗菌力を示したが, MRSAでは耐性株が多く認められた。また, Streptococas pneumoniaeではマクロライド系抗菌薬に低感受性および耐性を示す株が70%以上認められた。一方, 好気性グラム陰性菌に対してセフェム系抗菌薬は, Proteus属以外の検討菌種において概ね良好な抗菌力を示し, Haemophilus influenzaeでは特にCFPN, CDTR, CFTMが強い活性を示した。ニューキノロン系抗菌薬ではProteus mirabilisおよびProvidencia属以外の検討菌種で強い抗菌力を示し, 特にH.influenzaeMoraxella catarrhalisなどには極めて強い活性を有していた。今回の一次医療機関由来の臨床分離株の成績は, 我々が別途実施している三次医療機関を主とする臨床分離株の感受性と比較すると, MSSAでキノロン耐性株が少なく, Streptococcus pyogenesでマクロライド耐性株が多いなどの異なる傾向がみられた。こうしたことから各種抗菌薬の使用状況等も考慮し, 感受性動向を正確に把握するため, より適切な調査を継続していくことが必要である。
  • 矢野 寿一, 小林 俊光, 沖津 尚弘, 青木 明子, 鳥屋 実, 中田 有紀子, 嵯峨井 均, 伊豫部 志津子, 井上 松久
    2007 年 60 巻 1 号 p. 31-46
    発行日: 2007/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2004年に分離された臨床由来のメチシリン感受性Staphylococcus aureus (MSSA) 51株, Streptococas pyogenes 20株, Streptococcus agalactiae 68株およびStreptococcus pneumoniae120株を用いてマクロライド系抗生物質のRokitamycin (RKM), Clarithromycin (CAM), Erythroiycin (EM) およびAzithromycin (AZM) の抗菌力を測定し, Streptococcus属細菌ではPCR法を用いてマクロライド耐性遺伝子について解析を加えた。マクロライド感受性MSSAに対する抗菌力はRKMより14員環マクロライドのEM, CAMなどの方が強かったが, S.pneumoniaeに対してはRKMの方が優れていた。S.pyogenesS.agalactiaeに対して4種のマクロライドはほぼ同程度の抗菌力を示した。マクロライド耐性菌はS.aureus, S.pyogenes, S.agalactiaeでそれぞれ, 12株, 1株, 2株であった。S.pneumoniaeでは120株中76株 (63.3%) がEM耐性 (≥0.5μg/mL) で, このうち23株,-5株および28株がそれぞれEM, ℃AMおよびAZMのMICが>128μg/mLの高度耐性であった。しかし, RKMに対する耐性菌は非常に少なく, MICが>128μg/mLの株は存在しなかった。S.pyogenesの耐性菌1株からmefE, S.agalactiaeの耐性菌2株からermBが検出された。また, S.pneumoniaeについては120株の全てについてPCR解析を加えたところ, 59株からermB, 19株からmefE, また5株から両方の耐性遺伝子が検出された。
    S.pneumoniaeのマクロライド感受性株および, ermBまたはmefEを保有している株を使い, マクロライド4剤の殺菌作用, Postantibiotic effect (PAE) を測定し, さらに走査型電子顕微鏡により薬剤作用後の形態変化を観察した。RKMはいずれの菌株に対しても他の3剤より濃度依存的な殺菌作用とPAEを有しており, 菌の形態的破壊作用も勝っていた。
  • 三鴨 廣繁, 田中 香お里, 渡邉 邦友
    2007 年 60 巻 1 号 p. 47-57
    発行日: 2007/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    肺炎球菌およびインフルエンザ菌は, 呼吸器感染症の2大病原微生物であり, 宿主の状態によっては重篤な感染症をきたすことがある。臨床現場では, そのような場合の抗菌化学療法として, しばしばカルバペネム薬が選択される。我々は, 岐阜県下において分離された肺炎球菌253株とインフルエンザ菌309株を調査対象として実施した薬剤感受性試験の結果に基づいて, 各種カルバペネム薬についてモンテカルロ・シミュレーション解析を行った。その結果, 宿主の免疫能がある程度保たれている肺炎球菌感染症患者に対しては, imipenem/cilastatin (IPM/CS), panipenembetamipron (PAPM/BP), meropenem (MEPM) では500mg・2回, biapenem (BIPM) では300mg・2回で良好な臨床効果が期待できると考えられた。しかし, penicillin-resistant Streptococas pnamoniae (PRSP) が指定される場合や, 宿主免疫能が低下しているような感染症患者に対しては, PAPM/BPでは500mg・2回でも良好な臨床効果が得られることが予測されるが, IPM/CSやMEPMでは500mg・3回, るインフルエンザ菌感染症患者に対しては, MEPMは500mg・2回投与で良好な臨床効果が期待できるが, PAPM/BPを選択した場合には, 1000mg・2回投与が必要であると考えられた。免疫能が低下しているインフルエンザ菌感染症の患者に対しては, MEPM500mg・3回投与でのみ, 臨床的に満足できる治療効果が期待されると考えられた。これらの結果をもとにしながら, 薬剤投与設計を行うことが既存の抗菌薬を上手に使用することにつながると考えられた。
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