Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
26 巻, 3 号
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  • 牧田 登之, 塩田 俊朗, 西田 司一
    1966 年 26 巻 3 号 p. 203-213
    発行日: 1966/02/28
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1) 鳥類 (ニワトリ, アヒル, ハト, ウズラ, スズメ) の甲状腺における神経分布について, Bielschowsky 鍍銀法の変法などを用いて検索した.
    2) 迷走神経の節状神経節に相同の胸部神経節が, 甲状腺に並んであるが, そこから直接, 細い神経束が甲状腺に入る, しかし, 甲状腺に分布する神経束の主要なものは, 胸部神経節から出て, はじめ甲状腺動脈に接し, 次いでこの動脈に沿って甲状腺に至る, 太い有髄線維と細い無髄線維とからなる大きい神経束であった. この神経束は, 甲状腺に至るといくつかの枝に分かれ, 血管に沿ったり, あるいは, それとは独立に甲状腺実質に入る.
    3) 甲状腺被膜の結合組織中には, 多くの小神経束が見られたが, そのなかに知覚神経線維の分布が見られた.
    4) 太い神経束が甲状腺に入り, 分岐する部位で, いくつかの神経細胞が神経束にともなって見られた. その数は全体として少なく, また Legait らがいうように大小の二種類を区別することは, 困難であった. 実質内に散在する神経細胞は, 認められなかった.
    5) 甲状腺内の動脈枝は, 総頸動脈壁から続く血管周囲の神経叢をもつが, そのほか, 甲状腺動脈にともなう太い神経束から別れた神経束が, これに沿って走り, その線維の少なくとも一部は血管壁に分布した. これらの線維は, また動脈枝の分岐部を囲む結合組織のなかで神経叢をつくる. この部位の, 血管中膜と結合組織との間などに, 棍棒状終末が見られた.
    6) 甲状腺小胞のまわりを, 微細な神経線維が走る. そのほか, 小胞周囲には, 比較的太い神経線維が単独で走るが, これは小胞に分布する求心性線維と考えられ, 小胞上に棍棒状終末が見られた.
  • III. トリパン青生体染色後の視索上核
    川端 五十鈴
    1966 年 26 巻 3 号 p. 215-240
    発行日: 1966/02/28
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    正常ならびにトリパン青生体染色後のラットの視床下部神経分泌核である視索上核を電子顕微鏡により観察し, 次のような結果を得た.
    1. 神経分泌細胞の細胞質には, 糸粒体, 粗面小胞体, よく発達したゴルジ装置, 神経分泌顆粒, 多小胞体 (multivesicular body), リゾゾーム (lysosome) と思われる大形の電子密度の高い封入体が観察される. トリパン青投与後, 大形の暗調封入体は増加し, また, その封入体の形, 大きさは種々であり, その内部の電子密度は一様でない. さらに, 自家食胞 (autophagic vacuole), または融胞体 (cytolysome) と形態的に類似した封入体も, トリパン青処置後の神経分泌細胞の細胞質中に, しばしば観察される. トリパン青生体染色後に, 神経分泌顆粒は主にゴルジ装置の付近に多く観察される.
    2. 視索上核には, 多数の無髄神経線維が観察されるが, 有髄神経線維は少ない. 神経終末の形態は一様でない. トリパン青投与後, 神経分泌細胞の細胞質中に見られたと同様な暗調封入体が, しばしば神経線維や神経終末内に観察される.
    3. 視索上核には, 星状膠細胞, 稀突起膠細胞, 小膠細胞の3種の神経膠細胞が観察される. 星状膠細胞の特徴は明調な細胞質であり, 小胞体の数は少ない. ゴルジ装置, 糸粒体の発達も悪い. 正常の星状膠細胞に観察される不均質な内容をもつ暗調顆粒は, トリパン青処置後に増加の傾向を示す. 稀突起膠細胞の細胞質は中等度の電子密度をもち, この膠細胞のあるものは, 星状膠細胞で観察された暗調顆粒と形態的に類似した封入体を含む. 小膠細胞は電子密度のきわめて高い細胞質によって特徴づけられ, しばしば大型暗調顆粒を含む. トリパン青生体染色によって, この封入体は著明に増加し, さらに, 小膠細胞そのものも正常視床下部におけるより, はるかに頻繁に観察される.
    4. 視床下部神経分泌核の毛細血管は内皮細胞, 基底膜ならびに外膜細胞より成る. トリパン青投与後, 内皮細胞と外膜細胞の細胞質中に, 限界膜をもつ暗調封入体が観察された.
    5. 視床下部神経分泌細胞に対するトリパン青の作用と, この色素のもつ催奇形作用との関係について考察が加えられた.
  • R. WEGMANN, P. PETKOV
    1966 年 26 巻 3 号 p. 241-248
    発行日: 1966/02/28
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Cytochemical research on the “clear cells” in excretory ducts of guinea pig pancreas shows a strong activity for G-6-P-DH, 6-P-G-DH, IC-DH, Cis-AC (Cis-Aconitase). The NADH and NADPH tetrazolium reductases are also strong. There exists no complete enzymatic similarity between the clear cells and insular cells. Even if definite cytochemical characteristics of these cells are well investigated, the cytophysiological significance has to be elucidated.
  • IV. 心臓の銀黒線維 (SF) の電子顕微鏡的構造について
    佐野 幹, 川原 群大, 糟谷 一朗
    1966 年 26 巻 3 号 p. 249-267
    発行日: 1966/02/28
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    脊椎動物の心働と血管現象の形態学的一環研究として, 血管系に検出される銀黒線維を著者らの銀染第4法で追究中の筆者らは, すでに心筋の銀黒線維微細構築の所見を第3報 (1962) で詳述したので, 今回は心筋に分布する銀黒線維の粒子構成, 線維形成ならびに終末装置の超微細構造を電顕的に調べた結果を報告する.
    1. 心筋がまだ形成されず, また, 膠原原線維や網質線維が現われない胎生初期の心臓では, その組織の空隙部に, 電子密度の低い粒子の線維状連鎖が見られ, これは蛋白性微粒子の連鎖像らしく, そして筋フィラメントや膠原原線維のような周期構造は示さない.
    2. 心筋構成初期には, 銀黒法を用いない限り, このような粒子結合の線維様物質の検出は出来ない.
    3. 銀黒法を施した心筋の超薄切片では, 本線維は電子密度の高い銀粒子の沈着像と電子密度の低い粒子構造から成り, 銀粒子の連鎖は, 特に主幹線維に強く, 線維の終末遠位では散在性もしくは点状性の連鎖になる.
    4. 心筋線維の筋鞘の表面では, 本線維の終末枝の分枝と細網形成 (遠位では0.01-0.025μの網目) により超微細の終末装置がつくられる.
    5. 超薄切片で見ると, 主幹線維の形像は断続的に現われるが, 終末装置の観察は容易である.
    6. 本線維内の銀沈着の電顕像は膠原原線維のものに似るが, よく見ると, 本線維の粒子はおもに長軸の方向に排列する. またそれが周期構造を示さないこと, その粒子の間隙が比較的狭いこと, 構造が単調であることなどからみると, この線維は膠原原線維, 網質線維, 膠原線維と本質的に相異することが明らかである.
    7. 銀粒子が吸着するところは, 蛋白性と見られる微粒子の連鎖の間隙であることが明確で, その吸着模様は膠原原線維の場合と同様である。
    以上のように, 本線維の銀黒化したものでは電子顕微鏡内で電子密度の高い銀粒子像とその低い線維粒子の連鎖との組合わせとして現われ, その線維の末梢には超微細終末網が構成されている.
    かくて, 本線維は光学顕微鏡的所見 (既報) から推測されていたように, 膠原原線維, 網質線維, 膠原線維と本質的に異なる線維系であることが確められた.
  • 平田 幸男
    1966 年 26 巻 3 号 p. 269-279
    発行日: 1966/02/28
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    フォルマリン灌流固定脳を電子顕微鏡で観察すると, オスミウム浸漬固定脳には見られない, 円筒状のシナプス小胞が出現する. この小胞は径240∼300Å, 長さ300∼1000Åで, 終末ボタン中にも, また通過シナプス (Synapse en passant) をつくる神経突起中にも認められる.
    この円筒状小胞は, これまで著者が検索した, 嗅球, 大脳皮質, 小脳皮質, 海馬, 中隔部, 手綱核, 外側膝状体背側核, 外側視床枕核, 視床下部視交叉上核および腹内側核, および脊髄前角の何れにおいても認め得たが, その分布, および円筒形シナプス小胞を含む終末の数と, 球形のシナプス小胞をもつ終末の数との比は, 中枢内の各領域によって, 特定の値を示す. 円筒状シナプス小胞をもつ終末は, 細胞体とも, また樹状突起とも, またさらに他の神経終末との間にもシナプス結合をつくるが, これらの場合, シナプス間隙は, 球形のシナプス小胞がシナプス結合をつくる場合に比してやや狭く, またシナプス膜の肥厚も著明でないことが多い. 球形の小胞を含む終末と円筒形の小胞を含む終末とが, シナプス結合を行なう場合は, 一般に球形の小胞を含む終末がシナプス前性 (presynaptic) である.
    何故に灌流固定脳においてのみ, この小胞が出現するかを論じ, また灌流固定法について少しく検討を加えた.
  • 2. 電子顕微鏡による観察
    関根 通夫
    1966 年 26 巻 3 号 p. 281-327
    発行日: 1966/02/28
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Bei den im April gefangenen, japanischen Hufeisennasen (Rhinolophus ferrum-equinum nippon) wurden die apokrinen Schweißdrüsenzellen der Gesichtsdrüse elektronenmikroskopisch beobachtet. Die Untersuchungsmaterialien wurden mittels des CAULFIELDschen Gemisches fixiert, nach der Entwässerung durch aufsteigende Alkoholreihe in Epon eingebettet. Die hergestellten ultradünnen Schnitte wurden durch Doppelfärbung mit Uranacetat und Bleihydroxyd kontrastiert. Die wichtigen Ergebnisse werden im folgenden angegeben.
    1. Die Luminalfläche der Drüsenzellen ist in der Regel mit äußerst zahlreichen, dicht nebeneinander ins Drüsenlumen vorspringenden Microvilli versehen (Längsdurchmesser: 650-850mμ, Querdurchmesser: etwa 80mμ), die nicht selten einfach verastelt sind. Jeder Microvillus enthält in der Achse längs verläufende filamentäre Struktur, in Querschnitten erscheinen die Filamente als feine Punkte, die in der Mitte der Microvilli eine ringförmige Anordnung zu zeigen pflegen. Unterhalb der dünnen Exoplasmaschicht der Luminalfläche finden sich Centriole.
    2. Zwischen den lateralen Flächen der benachbarten Drüsenzellen kommt immer unmittelbar unterhalb der Luminalfläche eine Schlußleiste, nämlich Zonula occludens und Zonula adhaerens vor, dann folgt meistenfalls mit einem kurzen Intervall ein Desmosom, Macula adhaerens, der letztere tritt zuweilen nach basalwärts nacheinanderfolgend in Mehrzahl auf, während er im Basalteil der Zellen nur selten zu finden ist. Im tieferen Abschnitt der lateralen Fläche findet man häufig zwischen den benachbarten Drüsenzellen die der Zonula occludens entsprechenden Strukturen, welche im Querschnitt der Zellen lang, während im Längsschnitt sehr kurz gestreckt sind. In diesen Stellen dürfte der Interzellularraum, wie es bei der Schlußleiste der Fall ist, vollkommen geschlossen sein, Die interzellulären Interdigitationen sind nicht so gut entwickelt, sie sind im allgemeinen im Basalabschnitt viel besser ausgeprägt, sie bestehen aus von den gegenüberstehenden lateralen Flächen der benachbarten Zellen schräg ausgehenden, dünnen fingerartigen Cytoplasmafortsätzen (etwa 75mμ dick), welche durch den Interzellularraum voneinander getrennt ineinander greifen. An der sich bei der Interdigitation beteiligenden Plasmamembran findet man kaum die Bildung der Vesikel. Die interzellulären Interdigitationen werden öfters, wie unter näher geschildert, durch lange, in den Interzellularraum zwischen lateralen Flächen der Drüsenzellen hineindringende Cytoplasmafortsätze der Wanderezellen (Lymphocyten) aufgelöst, doch bleiben die Interdigitation bildende Cytoplasmafortsätze der Drüsenzellen ganz unverändert erhalten und liegen der Plasmamembran der Fortsätze der Wanderzellen gegenüber.
    3. An der Basalfläche der Drüsenzellen findet man besondere Basaleinfaltungen, die strukturell mit den interzellulären Interdigitationen übereinstimmen. Die Basaleinfaltung ist in der Regel in den Stellen, wo die Drüsenzelle zwischen den Myoepithelien direkt an die Basalmembran gelangt, viel besser entwickelt und zeigt viel kompliziertere Struktur als in den Stellen, wo dieselbe mit den Myoepithelzellen in Berührung kommt. In ersteren Stellen springen zahlreiche, microvillusartige, lange, teilweise verästelte Cytoplasmafotsätze (etwa 50mμ dick) dicht nebeneinander parallel nahezu senkrecht nach der Basalmembran vor, um sich mit ihren Basalenden an die Basalmembran anzuschmiegen. Außerdem gehen die Fortsätze häufig zum Teil von der nach basalwärts geschickten keulenförmigen Ausbuchtung der Drüsenzelle aus. Die Höhe dieser Struktur beträgt etwa 1.5-2.5μ.
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