Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
31 巻, 5 号
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  • 吉川 検
    1970 年 31 巻 5 号 p. 495-509
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    FALCK-HILLARP法を用いて, モノアミン含有ノイロンの分布とその線維連絡を追求し, 交感神経系におけるノイロン連鎖のあり方を検討した. 材料としてはイヌが用いられ, 第13胸椎の高さにある幹神経節を中心に, これに接続する交通枝, 大内臓神経, 椎前神経節, 結腸神経ならびに腸の壁内神経叢が検索された. 実験的には種々の高さにおける節前ならびに節後線維の切断, モノアミン代謝に関与するレゼルピンならびにナイアラマイドの投与を行なった.
    1. 白交通枝はモノアミン含有線維を含まない.
    2. 椎旁および椎前神経節 (内臓および下腸間膜神経節) では, いずれもモノアミン含有ノイロンにまざって, モノアミンを全く含まない神経細胞が存在する. 非モノアミン作動性神経細胞は孤立性にあるいはグループをなして出現するが, とくに椎旁神経節では白交通枝の進入部位で集団をなす傾向がある.
    3. 灰白交通枝, 大内臓神経および結腸神経には, 遠心性のモノアミン作動線維が含まれている.
    4. 椎旁および椎前神経節においては, モノアミン含有神経細胞にも非含有神経細胞にも, その周部に終末するモノアミン作動線維がみとめられる.
    5. 神経節を形成するモノアミン作動性神経細胞から出た節後線椎は, 短いものはその神経節の中で, 長いものは遠隔の神経節の中または壁内神経節において終末する.
    6. 壁内神経節は, アウエルバッハ, マイスネルともに非螢光性神経細胞から形成されている.
    7. 以上のような研究結果を総合し, 脊髄側角にはじまり, 消化管壁に分布する交感神経系におけるノイロン連鎖の状態を5つの基本型と5つの亜型, 計10型に分類した.
  • 毛細血管壁の物質透過性に関する新らしい仮説の提唱
    小林 繁
    1970 年 31 巻 5 号 p. 511-528
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    シマヘビ65ヒキの種々の器官を電子顕微鏡下に観察して, 約3割の個体の血中に従来記載のない特異なコロイド粒子を認めた. この粒子は高電子密度球型の小体で, 直径約20mμあり, 血液中と血管周囲の組織腔に分布していた.
    毛細血管壁ではこの粒子は内皮細胞の膜構造物, 内皮下腔, 基底膜中にみられ, これらの所見はこの粒子の毛細血管壁通過を示すと解釈された.
    この粒子は毛細血管壁の物質透過性の形態的研究に従来使われてきた標識物質と大きさはほぼ同じであるが, それ自身血液の生理学的構成要素である点で根本的にちがっていた.
    本研究で, 毛細血管内皮はいわゆる窓のほか2つ以上の小胞がつながってできる細管により貫かれ, 血管腔と組織腔とはこれを通して結ばれていることが明らかになった. 窓の隔膜と同様の構造が小胞の開口部および2つの小胞の癒合部にもみられた. これらの隔膜はコロイド粒子の通過をさまたげるもので, 生理学者のいう“small pore system” はこの隔膜に含まれると考えられた. 隔膜がすべてとり去られた場合, 細管は巨大な粒子をも通過させ得る. PALADEらのいう“transport in quanta”は本研究で明らかにされた内皮細胞を貫く細管系による物質の流出よりも効率が低いと想像され, 毛細血管内皮の物質透過が“transport in quanta”とちがうことを強調するためにこの論文では細管系による物質の流出は“transport in continuum”と呼ばれた.
    コロイド粒子は一般的には毛細血管の基底膜を通過するが腎糸球体ではこの膜は完全にこの粒子の通過を阻止していた.
  • 村上 正浩, 中山 陽城, 島田 達生, 天ケ瀬 憲治
    1970 年 31 巻 5 号 p. 529-540
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    月令5月から8月までの男女両性のヒト胎児の交連下器官が電子顕微鏡で観察された.
    すでに光線顕微鏡でしらべられているように, ヒト胎児の交連下器官は長い基底突起を具えた多列の高円柱状上衣細胞から構成されている. これら上衣細胞の脳室に面する表面には多数の微絨毛と時として細胞質の偽足状突出が見られるが, 線毛は極めて少数か全く欠如している. 脳室内にはこの器官の分泌物の凝固によって生じたと考えられている REISSNER の線維は存在しない. 細胞によって胞体や核の電子密度はかなり違っているが, いずれも散在するミトコンドリア, 核上部に限局する比較的発達したゴルジ装置や平行に走る微小管の束を持っている. ヒト胎児ではまた胞体中に瀰漫性に分布するグリコゲンの存在が特徴的である.
    一般の脊椎動物においてこの器官の分泌物生産の場と見做されている粗面小胞体はヒト胎児では細胞基底部にしばしば出現する同心円性ないし渦巻状の構造を除くとその発達や分布は悪い. 胞体内にはこの器官の分泌能を証拠づける粗面小胞体腔内微細雲絮状物質も, またこれで満たされている分泌嚢も, さらに分泌活動を示唆する何等の構造も認められない. このことからヒト胎児の交連下器官は一種の痕跡器官であって, 分泌機能は消失しているものと考えられる。
  • 1970 年 31 巻 5 号 p. 541-544
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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