FALCK-HILLARP法を用いて, モノアミン含有ノイロンの分布とその線維連絡を追求し, 交感神経系におけるノイロン連鎖のあり方を検討した. 材料としてはイヌが用いられ, 第13胸椎の高さにある幹神経節を中心に, これに接続する交通枝, 大内臓神経, 椎前神経節, 結腸神経ならびに腸の壁内神経叢が検索された. 実験的には種々の高さにおける節前ならびに節後線維の切断, モノアミン代謝に関与するレゼルピンならびにナイアラマイドの投与を行なった.
1. 白交通枝はモノアミン含有線維を含まない.
2. 椎旁および椎前神経節 (内臓および下腸間膜神経節) では, いずれもモノアミン含有ノイロンにまざって, モノアミンを全く含まない神経細胞が存在する. 非モノアミン作動性神経細胞は孤立性にあるいはグループをなして出現するが, とくに椎旁神経節では白交通枝の進入部位で集団をなす傾向がある.
3. 灰白交通枝, 大内臓神経および結腸神経には, 遠心性のモノアミン作動線維が含まれている.
4. 椎旁および椎前神経節においては, モノアミン含有神経細胞にも非含有神経細胞にも, その周部に終末するモノアミン作動線維がみとめられる.
5. 神経節を形成するモノアミン作動性神経細胞から出た節後線椎は, 短いものはその神経節の中で, 長いものは遠隔の神経節の中または壁内神経節において終末する.
6. 壁内神経節は, アウエルバッハ, マイスネルともに非螢光性神経細胞から形成されている.
7. 以上のような研究結果を総合し, 脊髄側角にはじまり, 消化管壁に分布する交感神経系におけるノイロン連鎖の状態を5つの基本型と5つの亜型, 計10型に分類した.
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