Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
32 巻, 5 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • Peter BÖCK
    1971 年 32 巻 5 号 p. 399-411
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    Peripheral nerve fasciculi, supplying filiform papillae, are composed of unmyelinated and a few myelinated axons. The nerve fibers are surrounded by an one-layered perineural sheath and run, in parallel to the capillary loops, towards the tip of the papilla. Myelinated axons devide and lose their myelin sheath, and somewhat later their perineurium ends. Unmyelinated axons show striking swellings caused by an accumulation of mitochondria. These structures are believed to represent the receptive sites (presumably thermo- or mechano-receptors) of nerves. Fine unmyelinated fibers enter the epithelium. Schwann cell nuclei, surrounded by large cytoplasmic areas occur near the epithelium.
  • 藤田 英輔, 新井 一宇, 麻上 千鳥, 森 隆, 荒木 勲生
    1971 年 32 巻 5 号 p. 413-428
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    C57黒マウスの妊娠10日から生後3日にいたる各胎令の資料について, その神経管, 神経稜およびその周囲間葉織と表皮および表皮下間葉織とについて電子顕微鏡で検索した結果, 妊娠11日目胎仔の神経稜細胞の細胞質中と神経管周辺部の神経芽細胞様細胞の明調な細胞質突起中とに, いずれもプレメラノゾームとメラノゾームとが形成されているのが認められた. この所見は, これらの神経稜細胞と神経芽細胞とはそのメラニン形成能を胎生11日目頃 in situ に現わしたのち, その周囲間葉織中に移動してメラノブラストあるいは真皮メラノサイトに分化するとの可能性を示唆するものである.
    神経稜細胞の細胞質中でのメラニン形成過程は細線維形成期, 太い線維形成期, 成熟期の3段階に区別されたが, これらはMOYER (1963) がマウス胎仔の網膜色素上皮細胞におけるメラニン形成過程について記載した3段階にほぼ一致するものと思われる. その細線維形成期におけるゴルジー装置の関与を示す所見は, MOYERの観察と同様に本研究でも認められなかった.
  • 小林 繁, 藤田 恒夫, 笹川 力
    1971 年 32 巻 5 号 p. 429-444
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    胃ファイバースコープで直視下に生検したヒトの胃底粘膜の内分泌細胞を電子顕微鏡で観察した.
    1. 内分泌細胞は主として胃底腺の深部に見出された. 形は扁平なものが多く, 基底膜の近くには多数の分泌顆粒が認められた.
    2. 十二指腸と幽門前庭の内分泌細胞では細胞質の上端部が原則として内腔に開放されているのに対して, 胃底では内分泌細胞は上皮の基底部に閉鎖されていて, 内腔に突出していることはなかった. このように胃腸の内分泌細胞は“開放型”と“閉鎖型”とに分類されることが指摘され, それぞれの機能的意義が考察された.
    3. 胃底の内分泌細胞には次の5型が区別された. (1) EC細胞, (2) 大型で暗調の球型顆粒をもつ第2型の内分泌細胞, (3) 小型の球型顆粒と核の周辺部の線維束の集合をもつ第3型の内分泌細胞, (4)小型の不整形顆粒と多数の小型の糸粒体をもつEC様細胞, および (5)膵島のD細胞に酷似する顆粒をもつD様細胞.
    5. これらの内分泌細胞は微細構造より考えて, いずれも蛋白性の胃腸ホルモン (未知のものをも含めて) を分泌していると想像される.
  • 村上 宅郎
    1971 年 32 巻 5 号 p. 445-454
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    微細血管の鋳型を走査電子顕微鏡でみると, たやすく明瞭にその分布状態を観察することができる. 例として, メチルメタクリレートで鋳型したラットの腎糸球体, 胃粘膜, 小腸絨毛および肝の毛細血管網の走査電子顕微鏡写真を示した. またこれらの毛細血管の鋳型に用いた方法とその走査電子顕微鏡試料作製法を述べた. とくに小腸絨毛の毛細血管のような微弱な血管も鋳型できるように, 従来の鋳型法を改良した.
  • 工藤 重治
    1971 年 32 巻 5 号 p. 455-497
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ニワトリの膵臓内自律神経節を電子顕微鏡で検索した. 神経節の神経要素として, 単独であるいは小集団で現われる神経細胞と主に無髄の神経線維束とがある.
    1. 神経細胞の細胞質には大有芯胞 (直径1,000∼1,500Å), 暗調顆粒 (おそらくライソソーム) および時折り多胞体が含まれる. ニッスル物質は相対的にリボソームの付着の少ない粗面小胞体と多数の遊離リボソームからなる. 神経細胞の核は偏在し, 時折り密に並行した微原線維からなる棒状の封入体を含む.
    2. 神経細胞は多極性で, 少数の樹状突起を備えるが, 軸索突起は確認できなかった. 樹状突起は多量のニッスル物質, 遊離のリボソームおよびその他ほとんどすべての胞体内細胞質要素を含む.
    3. 節前無髄神経線維は太い神経線維束を形成するが, その中に数本の細い有髄神経線維も含む. 軸索形質には胞体内のものと同様の大有芯胞, 無芯小胞 (直径400∼800Å), 糸粒体および時折り暗調顆粒を含む.
    4. 軸索-樹状突起終末部は多いが, 軸索-胞体終末部は立証できなかった. また軸索-軸索終末部の存在も疑わしかった. 軸索-樹状突起終末部は神経細胞体の近く, とくに樹状突起の根元近くにみられる.
    5. 軸索突-樹状突起終末部ではシナプス前膜および後膜に軽微な肥厚や著しい電子密度の増大がある. また両膜の内側に沿って, 暗調の物質がある. シナプス裂腔 synaptic cleft (幅約300Å) は暗調の微細顆粒状物質で満たされる. また シナプス域の膜分化が中断して 二つの小域に分けられた いわゆる bi-focal synaptic area がしばしば見られる.
    6. 軸索-樹状突起終末部には円形ないし卵形の無芯小胞 (直径400∼800Å) と大有芯胞 (直径1,000∼1,500Å) が含まれる. その大多数の終末部には長楕円形の小胞も種々の数でまじる.
    7. 外套細胞質は電子密度が高く, 神経細胞体, 樹状突起および節前軸索を被う. 外套細胞の薄い細胞質層による外被のないところでは基底膜が直接神経要素を被う. また 節前軸索が末梢神経の外套細胞 (シュヴァン細胞) の薄い二重ないし三重の細胞質層によって被われた いわゆる tunicated nerve fibers が時々みられる.
feedback
Top