Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
33 巻, 5 号
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  • 磯野 日出夫, 桜井 静子, 藤井 寛之, 青木 静代
    1971 年 33 巻 5 号 p. 357-370
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    自然冬眠下 (対照) および燐投与のアカハライモリ上皮小体を電子顕微鏡で観察した. なおミトコンドリア, ゴルジ装置, 均質暗調小体, 不均質暗調小体, 空胞様小体およびリポフスチン様小体の細胞質100μ2あたりの平均値が算出された.
    アカハライモリ上皮小体の実質細胞は, フィラメントが多く細胞小器官に乏しい basal cell (基底細胞) とフィラメントに乏しく細胞小器官の発育良好な suprabasal cell (基底上細胞) の2種類に区別される.
    基底細胞では少数の細胞小器官と封入体には, 対照と燐投与の間に大差はない.
    基底上細胞は実質の大部分を占め, 燐投与のものでは細胞質は肥大し, 小胞体は増加し, グリコゲン顆粒は減少する. ミトコンドリアは対照と燐投与の間にほとんど差は認められない. ゴルジ装置は対照に比して増加し, 燐投与7日に最高値を示し, ゴルジ野における小暗調顆粒 (分泌前顆粒と考えられる) も増加する. 均質暗調小体 (分泌顆粒を含むと考えられる) は対照に比して増加し, 燐投与7日に最高値を示す. 不均質暗調小体 (小胞型とリゾソーム型に区別) は燐投与14日までは対照に比してやや減少するが, 燐投与21日では増加する. 対照ではその大部分がリゾソーム型からなるが, 燐投与では小胞型が優勢である. 空胞様小体は燐投与3日に急激に減少し, 以後漸減する. リポフスチン様小体は対照に比して漸増する.
    以上の所見から燐投与による細胞小器官と封入体の変動は基底上細胞の機能亢進状態を示すと考えられるが, 封入体の相互関係はさらに検討を要する問題であろう.
  • B. R. MAITI
    1971 年 33 巻 5 号 p. 371-380
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    The role of estrogen on the uropygial gland function was investigated following estradiol therapy to both sexes of adult pigeons and ovariectomy in pre-pubertal pigeons and ducks and in post-pubertal pigeons. Administration of estradiol in intact adult male pigeons elicited a regression of the uropygial gland. Parallel treatment of estradiol in female birds provoked a stimulation of this gland. Pre-pubertal spaying in pigeons and ducks (kept for 30 days) and post-pubertal ovarian ablation in pigeons (kept for 30 and 60 days) did not bring about any perceptible change in the uropygial gland. All these findings have been confirmed by gravimetric, histologic, karyodynamic and some cytochemical studies. It has been suggested that estrogen is not normally involved in the maintenance of the uropygial gland of female pigeons and adrenal androgen and/or other adrenocortical hormones replace estrogen in regulating the preen gland of females. The differential action of estradiol upon this gland has also been briefly discussed.
  • 大町 純一
    1971 年 33 巻 5 号 p. 381-396
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    1. 絶水1週間後の視索上核神経細胞には, 核小体の肥大, 粗面小胞体の嚢状の拡大, その内部への暗調な構造物の出現, ポリゾームの増加, 基本顆粒の減少がおこる. この所見は, 神経が後葉ホルモンの大量の需要に対応し, さかんな分泌生産のための活動を示す像と解される.
    2. 絶水が2週に及ぶと, 神経分泌細胞の核周部や下垂体後葉の終末に, 多種多様の形態をもったリゾゾームが多数出現する. 細胞形質においては cytolysome の出現や小胞体の萎縮や菲薄化がみられる. これらの所見は, 神経分泌細胞が高度な分泌活動ののちに疲労し, 変性に陥ろうとする姿と受け取れる.
    3. 絶水後水を与えると, 神経分泌細胞は急速に正常像への回復を示す.
    4. 四酸化オスミウムーグルタルアルデヒド混合固定標本では, 神経分泌細胞に終わるシナプス前線維中に, 直径約500Åの明小胞と, 約1,000Åの含粒小胞の2種類のシナプス小胞がみとめられる. 軸索細胞体シナプスとしては, これら2種類のシナプス小胞を同時に含む終末の方が明小胞のみを含む終末より量的に多い. シナプス前線維のあるものは, 複数の神経分泌細胞との間にシナプスを作る.
    5. 細胞体周縁に終わるシナプス前線維においては, 神経分泌細胞の機能〓進時には小型の明小胞の減少とシナプス小胞の分散が, 機能低下時にはその増量と密集がおこる. しかし含粒小胞には量的変化はみられない.
  • 2. 主細胞の表面にみられるシナプスの超微構造
    小林 繁
    1971 年 33 巻 5 号 p. 397-420
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    両棲類 (クロサンショウウオ, イモリ, ヒキガエル, トノサマガエル), 鳥類 (ジューシマツ, ニワトリ), 哺乳動物 (ネコ, イヌ, マウス, モルモット) およびヒト胎児の頸動脈小体-とくに主細胞の支配神経-の超微構造が電顕的に比較研究された.
    すべての動物において, 頸動脈小体の構造上の基本単位は, 主細胞と支持細胞と神経終末との特有な複合体によって形成されていた. これらの複合体の中では, 神経終末と主細胞との間に 特別な接着装置が構成されており, これらは 形態的には化学的シナプスの条件をすべて満足していた. シナプス小胞の局在部位により, 主細胞の表面にみられるこれらのシナプスは2種類に分類された. 第1のものは遠心性シナプスと思われるもので, 前シナプス要素に相当する神経終末内に, コリン作動性神経終末にみられるシナプス小胞に類似した, 直径約40mμの芯のない小胞が多数含まれていた. 本研究ではこの種のシナプスは すべての動物で見出された. 他の種類のシナプスでは, 主細胞のシナプス膜に直接する部位の細胞質に, 直径30~40mμで, 顆粒状の芯のあるシナプス小胞が集積していることから, 興奮は主細胞から神経へ伝えられると考えられた. 本研究では この種のシナプスはクロサンショウウオ, ジューシマツ, マウスおよびモルモットで見出され, これらこそ化学受容の興奮伝達の部位に相当すると考えられた. 頸動脈小体の主細胞はすべての動物で相同であると仮定して, これらが遠心性と求心性の二重の神経支配を受けている可能性が示された. 両棲類と鳥類の頸動脈小体では, 異様に膨大した軸索が しばしばみられ, その中には糸粒体やミエリン構造やグリコゲン顆粒などが密集していた. これらの軸索の異常と, 哺乳動物の頸動脈洞で記載されている圧受容性と思われる膨大した軸索との 微細構造上の類似性が考察された.
  • 小林 寛, 高橋 嘉幸
    1971 年 33 巻 5 号 p. 421-443
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    過剰のビタミンA (25,000と50,000i.u.) を非経口的に それぞれ1日2回, 4日間投与したラットで, 肝臓のとくに類洞壁にある3種の細胞, すなわち内皮細胞, クッパー細胞, 脂肪摂取細胞の微細構造の変化について観察した.
    ビタミンA過剰ラットで, 類洞壁にあって多数の脂質滴を貯え, 肥大した細胞は 脂肪摂取細胞にほかならないことが明らかにされた. 類洞周囲腔内に分布し, 普通の状態においても脂質滴を貯えている脂肪摂取細胞が肝臓におけるビタミンA貯蔵の主たる場であると考えられるのである. ビタミンA過剰状態において この細胞は肥大し, 過剰のビタミンAを貯えるために おそらく細胞質内で合成された多量の脂質滴を蓄積していると思われる.
    これに対して クッパー細胞は 細胞内に脂質滴を欠くので, この細胞がビタミンAを貯蔵することは考えられない. しかしその活発な貪食細胞は 高ビタミンラットで細胞の肥大とライソゾームの膨化を示し, 高ビタミンAによってひきおこされる肝臓内の活発な代謝に関連をもつことが示唆される.
    ビタミンA過剰ラットの類洞内皮細胞はほとんど形態学的な変化は示さず, むしろ本質的には壁構成細胞と考えられ, 肝臓内におけるビタミンA代謝にはほとんど関連をもたないと思われる.
    高ビタミンラットの肝細胞は脂肪量の増加やゴルジ装置の増大など, いくらかの形態学的な変化を示したが, とくに増大したゴルジ装置では肝細胞のリポプロテイン分泌を促進させることを示唆する像が電顕的に示された.
  • 1971 年 33 巻 5 号 p. 445-448
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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