Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
33 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • とくに重複輸出小動脈について
    村上 宅郎, 三好 萬佐行, 藤田 恒夫
    1971 年 33 巻 3 号 p. 179-198
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ラット腎の血管にメチルメタクリレートを注入して鋳型を作製した. 個々の糸球体の鋳型を双眼顕微鏡下に分離したものにカーボンと金を蒸着し, 走査電子鏡下に観察した.
    1. 真性の重複輸出小動脈 (糸球体から互いに分離した2本の動脈が出るもの) は, 検査された1,200個の糸球体のうち11個に見出された. この場合, 2本の血管は糸球体のそれぞれ別の葉の毛細血管から血液を集める.
    2. 輸出小動脈がその起始部では単独でありながら, 血管極のすぐ近くで早くも分岐する型は, 1,200個の糸球体中55個に認められた. この仮性重複は, 従来の光線顕微鏡による観察法では, 真性重複と誤認されることが多かったと思われる.
    3. 輸入小動脈には, しばしば糸球体に近い部分にくびれが認められ, これは輸出小動脈にもまれに見出された. これらの場所に括約筋が存在することを暗示する.
    4. 若いラットの糸球体鋳型の所見を予報的に示した. 輸出小動脈の真性重複が生後8日の動物で時おり見出された.
    5. 糸球体の鋳型をアルコールに浸して柔らかくしてから双眼顕微鏡下に展開し, これを走査電子鏡で見ると, 糸球体葉やその毛細血管連絡が観察できる. この目的のためにはレジンに可塑剤を加えない方がよい.
  • 佐野 昌雄, 外川 ユミ子
    1971 年 33 巻 3 号 p. 199-208
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    成熟マウスの視床下部を電子顕微鏡により検索した. 観察したすべての神経核で, 神経細胞はしばしば胞体内に核小体様包括体を含んでいた. これらの包括体は核内核小体と形態学的に同様の構成成分から成るので, それらは核に由来すると考えられる. 核内で固有の核小体に隣接して核小体物質から成ると思われる集塊がしばしば核膜に付着していたり, 時に核の突出部に現われたりした. これらのものを本論文では仮に副核小体と命名した. さらに胞体中で, 核に近く副核小体に外観が極めてよく似た包括体で, 核膜から由来したと信ぜられる二重膜に包まれているものが見られた. これらの結果から核小体物質の核外脱出の過程として, 核小体物質が核膜の二重膜に包まれたまま胞体中へ直接に移動することが, マウスの視床下部神経細胞で可能であろうと考えられる.
  • 沖田 早苗
    1971 年 33 巻 3 号 p. 209-223
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    一側の腎動脈を狭窄して作製した実験的高血圧ラットの腎糸球体を電子顕微鏡で観察した.
    1. 狭窄側の腎臓の糸球体には認めうる変化はない.
    2. 非狭窄側の腎臓には糸球体硬化の過程を示唆する各種の変化を示す糸球体が混在してみられる.
    3. これらの糸球体の初期の変化は, 血漿蛋白の透過性増大と上皮細胞の著しい反応である. つまり上皮細胞の胞体に蛋白の貪食が起こり, ミトコンドリヤ等の増加を示す. 次いでこれらの変化はやみ, 上皮細胞の足突起が融合の傾向を示す.
    4. 上皮層の変化に続いて, 毛細血管の内皮細胞が異常な反応を示す. すなわち内皮細胞は血管腔に多数の微絨毛を突出させ, その結果, 血管腔は次第に狭くなり, 閉塞し, 消失する.
    5. 変性のひどい糸球体では, メザンギウムは増大を示す. これは毛細血管の崩壊後の基底模様物質の融合に加えて, 高血圧における蛋白透過の増大によって内皮細胞を通り流出した血漿蛋白の異常な沈着にも原因する.
    6. しかしながら毛細血管消失後も, 上皮細胞は糸球体硬化の後期まで, その形態を保持する.
  • 三好 萬佐行, 藤田 恒夫
    1971 年 33 巻 3 号 p. 225-246
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    イヌとラットの脾臓に脾動脈からリンゲル液を潅流して血液を充分に洗いだし, 続いて緩衝したグルタールアルデヒド液を注入して固定した. この脾臓の赤脾髄の割面を走査電子鏡で観察し, また同じ標本の樹脂包埋組織切片を透過電子鏡で検索した.
    1. イヌとラットの脾洞の壁は孔あき格子構造で, 杆状細胞とその細胞突起からなり, ウサギで観察した所見 (MIYOSHI, FUJITA and TOKUNAGA, 1970) と同じであったが, 若干の明瞭な動物差が認められた.
    2. 脾洞と脾柱静脈の間に孔のない移行部静脈洞が分化していた.
    3. 脾索は細網細胞の突起で作られた迷路状の網目であった. 切片を透過電子鏡で見ると, 細網細胞の紐状の突起に抱きこまれ, あるいははさまれて走る細網線維が認められた.
    4. 細網細胞は静脈や脾洞の壁に突起をのばし, 足底状に細胞質を広げて固着していた.
    5. 脾洞の外表面では, この細胞質から出る細い突起が主として杆状細胞の方向とは直角にのびていた. 杆状細胞のひとつの側突起はひとつの細網細胞突起で裏打ちされていた. 両細胞要素間に細網線維 (たが線維) がはさみこまれていることは, 切片の透過電子鏡観察によって知られる.
    6. 脾索細網の網目には大きい球状の大食細胞が, 細網線維によってからめられていた. この大食細胞の一型は泡状の突起に被われる細胞で, 他の一型は葉状の突起をもつものであった.
    7. 透過電子鏡で見ると前者の型は微細顆粒状のライソゾームを持ち, 後者の型の細胞は粗大顆粒状のライソゾームや食べこまれた大きな細胞破片を持っていた.
  • 大坂 道敏, 笹川 力, 小林 繁, 藤田 恒夫
    1971 年 33 巻 3 号 p. 247-260
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ヒトの結腸と直腸のいくつかの場所から粘膜片をとり, 電子顕微鏡で観察した. 13例の患者から結腸ファイバースコープで直視下に病的変化のない生検組織を得て材料とした.
    1. ヒトの結腸と直腸には少なくとも2型の基底顆粒細胞が区別された. 不規則な形の基底顆粒をもつ典型的なEC細胞 (腸クローム親和性細胞) と, 大型のまるい基底顆粒をもつ第2型の細胞である. 小型のまるい顆粒をもつ細胞が二三みられたが, 独立の細胞型かどうか疑わしい.
    2. 結腸においては基底顆粒細胞がすべて開放型で 細胞質突起を内腔面に送っていると言ってよさそうである. 直腸では少なくとも一部の細胞が内腔に開放していることは確認されたが, なお若干の閉鎖型すなわち内腔面への突起を欠く細胞があるかどうか明らかでない.
  • 1971 年 33 巻 3 号 p. 261-262
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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