Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
34 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • William H. BOYD
    1972 年 34 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    The bovine hypophysis serves as an excellent model for studying salient gross anatomical and microscopic features relative to the activity of the intermediate lobe.
    A potential space between the anterior and intermediate lobe is converted into an intraglandular lumen during the cyclic behavior of the intermediate lobe. The cyclic behavior of the lobe is exhibited by 3 phases of cellular activity: 1) resting, 2) desquamation and autolysis, 3) regeneration. During the second phase, the marginal zone of intermediate lobe cells increase in size from 0.3μ to 10μ in diameter. As these cells autolyze, they break away from the deep zone thus giving rise to an intraglandular lumen. Within the lumen, the desquamated cells undergo further autolysis resulting in the formation of colloid, the breakdown product of marginal intermediate lobe cells.
    As the intermediate lobe re-establishes itself by direct division of its remaining cells, the colloid is expelled from the intraglandular lumen into the venous cavernous sinuses by way of well defined capsular clefts.
  • 今本 喜久子
    1972 年 34 巻 1 号 p. 19-33
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ラットの左三叉神経第3枝を切断後, その中脳路核と運動核に生じる変化は, 同側性であった. 術後の形態的変化は中脳路核では著しい細胞の萎縮と核の偏在を伴うが, 運動核では軽度の膨大を示した. 中脳路核の組織化学的変化は術後16時間でフォスフォリラーゼ活性が急激に低下し, 前後してPAS反応も消失することが特徴的であった. 一方正常時, これらの反応が強くない運動核では変化は不著明であった. グルコーズ-6-燐酸脱水素酵素, 酸性フォスファターゼ活性は, 両核の神経細胞と神経膠細胞において, 術後10日目に強度の増強を示した. コハク酸脱水素酵素, アルドラーゼ, 乳酸脱水素酵素反応については運動核細胞の変化は判然としないが, そのニューロピル (細胞間隙) では著明な活性低下が認められた.
  • 鈴木 啓之, 黒住 一昌
    1972 年 34 巻 1 号 p. 35-50
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    モグラの鼻部無毛部皮膚の神経終末装置 (アイマー器官) を光学ならびに電子顕微鏡で観察した. そして 3種の神経終末すなわち自由神経終末, メルケル細胞ならびに有被膜終末がみとめられた.
    1) 神経線維は表皮に進入するさいに髄鞘を失い, シュワン細胞を包む基底膜は 表皮下のそれに連続する. 多くの軸索は表皮細胞間隙を通り, 有棘層上層ないし顆粒層で自由神経終末として終る. 軸索は表皮内で膨大部を形成し, その部には多数の糸粒体や小胞が集積し, 神経微原線維も豊富である.
    2) メルケル細胞は, アイマー器官の基底部近くに位置し, 直径1,000∼1,500Åの中等度電子密度の顆粒を多数ふくむ. この顆粒はゴルジ装置で形成されるものと推測されるが, 化学的性状は不明である. 多数の糸粒体と小胞をふくむ軸索がメルケル細胞に密接している.
    3) 有被膜終末は真皮に存在する. この終末は 中心に位置する軸索と, それを幾重にも密接してとりかこむ層板細胞の扁平な細胞質突起とから構成される. 層板細胞は対側性に存在し, そのため層板は相対する2群に重疊し, その2群間に裂隙が存在する. この裂隙は物質代謝のための通路として役立つと思われる.
    4) 3種の神経終末に共通する特徴は, 軸索内の糸粒体の集積と多数の小胞の存在である. これらは機械的あるいは化学的刺激を神経性興奮に転換するのに, 各軸索において同様の様式で関与しているのではあるまいか.
  • 島村 昭辰, 徳永 純一, 藤 英俊
    1972 年 34 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    総頸動脈から緩衝グルタールアルデヒド液で潅流固定し, オスミウム液で後固定したカイウサギの葉状乳頭と有郭乳頭の味孔と味毛を走査電子鏡で観察した.
    1. 乳頭の溝面上皮は多少の起伏をなすが, その高まりの頂きによく味孔が存在し, 口径のほぼ一定した円形噴火孔状を呈して開口している.
    2. 各味孔は, 輪をなすように配列された3∼5個の上皮細胞縁から構成されている.
    3. 味毛には, 2種類が識別される. そのひとつは, 味孔の大部分を占め, 味孔縁近くまで達する普通の大きさ, 形状の味毛である. 他の一つは, 味孔縁から外部に大きく突出し, かつその尖端が膨んでいる棍棒状突起で, その数は非常に少ない.
    4. 有郭乳頭の味毛は, 葉状乳頭のものほど顕著に見られず, とくに棍棒状突起の発現がごく稀である.
    5. 棍棒状突起に関しては, MURRAYらが透過型電子鏡で観察した暗調あるいはIII型細胞の味毛端を立体的にとらえたものであろうと推察した.
  • 村上 正浩, 島田 達生, 織部 智宏, 平木 達也
    1972 年 34 巻 1 号 p. 61-72
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ニホンザル (成熟雄) の交連下器官の 正常構造と酸性フォスファターゼ活性を 電子顕微鏡でしらべた.
    交連下器官を構成する上衣細胞には 2種類の分泌物が認められる. ひとつは 形と大きさのさまざまな分泌嚢, 微細雲絮状物質を容れ, 胞体の全域に分布する. この分泌嚢は核周囲の粗面小胞体が直接ちぎれて生じたものである. 他のひとつは暗調円形の分泌顆粒 (1,700Å) で, サルでは 主に脳室に近い細胞尖端部に集合している. これは 粗面小胞体でつくられた粗材が ゴルジ装置で濃縮されて出来たものと思われる. これら両分泌物は 脳室内に放出されて ライスナーの線維に凝集するものと考えられる (尖端分泌). 酸性フォスファターゼ活性は ゴルジ装置には弱陽性に出るが. 上記の両分泌物には全く陰性である.
    サルの交連下器官のもっとも大きな特徴は, 上衣細胞の基底部突起終足に暗調の顆粒 (1,000∼5,000Å) の大集団が出現することである. この顆粒は大部分のものが形や構造で上記分泌顆粒に似ているが, 酸性フォスファターゼ活性は陽性である. この顆粒は交連下器官分泌物の血管内放出 (基底分泌) と関連があるのかもしれない. 交連下器官上衣細胞の基底部に続くいわゆる hypendym 層には, よく発達した毛細血管周囲腔と, 時おり交連下器官上衣細胞と同一の構造特性を示す分泌 hypendym 細胞が認められる.
  • Ulrich N. WELSCH, Volker N. STORCH
    1972 年 34 巻 1 号 p. 73-85
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    アシナシイモリの一種 Ichthyophis kohtaoensis の膵島細胞を電子顕微鏡で観察し, 分泌顆粒の形, 構造, 大きさの差異により3型の細胞を区別した. これらはアシナシイモリの膵島組織についての光線顕微鏡的研究の文献にてらして, B, A1, A2細胞に対応する.
    B細胞の顆粒は形が多様で, その暗調な芯は, 結晶状の中央部 (35Åの周期構造を示す) と微細顆粒状ないし線維状の周縁部から成る. A1細胞の顆粒は著しく多形性で, その内容は均質に分散し, 微細な網状および顆粒状の構造を示す. A1顆粒にくらべるとA2顆粒は形が小さく数も少ないが, 他の点ではA1顆粒に似る.
    これら各型の膵島細胞には多くの脂質封入体, クリスタないし細管が角ばった断面像を示すミトコンドリア, 多数の細線維がみられる. また島細胞にはしばしば大きな結晶状の小体がふくまれ, これは小導管の上皮細胞にも出現する.
  • 村上 宅郎
    1972 年 34 巻 1 号 p. 87-107
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ラット腎の血管にメチル メタクリレートを注入して鋳型を作製し, 60個の糸球体について微解剖を行い, 走査電子顕微鏡で観察した. 解剖の各段階で同一糸球体について何度も, しかも異なる方向から観察し, 糸球体内部の血管構築をあますところなく明らかにした.
    1. 糸球体は輸入, 輸出小動脈間に介在する真の吻合毛細血管網よりなる. この網は機能的, 解剖学的にはっきりと独立した小葉に分かれる.
    2. 小葉は少数の葉間毛細血管によって互に交通する. 時に他小葉と連絡を持たない小葉もある.
    3. 輸入, 輸出小動脈間に短絡や直達路はない. 輸入小動脈の分枝にすべて微細毛細血管に分かれて糸球体血管網の構成単位である小葉形成にあずかる. 小葉内にも短絡や, 血流の主路となるような特別な辺縁血管ループのごときものはない.
feedback
Top